廿日市の鋳物師
鋳物師山田氏・久枝氏
 山田氏は厳島社造営の金具鋳造のため鎌倉より厳島社神主家藤原氏に随伴して廿日市に下向したと伝えられるが定かではない。山田氏の鋳造活動は永享9年(1437)の作品から天保15年(1844)の間約400年間余の鋳造活動が判明している。中世には山田氏のほかに久枝氏の作品もみられ廿日市では複数の鋳物師が鋳造活動をしていたものとみられる。
 廿日市鋳物師の鋳造作品は現在75ケ所の鋳造が判明しており、そのうち32ケ所の作品が現存している。延宝5年(1677)から元文4年(1739)にかけて鋳造活動した貞栄・貞能の作品が多く山田氏の全盛期であった。また、山田氏は町の要職である庄屋役を務めたり本陣を経営していた。
 廿日市市内には極楽寺の鰐口(広島県重文)・梵鐘(廿日市市重文)・茶釜、蓮教寺の梵鐘(廿日市市重文)、正覚院の梵鐘(廿日市市重文)が残されている。また、山田氏歴代の墓碑が日蓮宗の常国寺境内墓地に残されている.
 西光寺(福山市沼隈町)の梵鐘は元厳島外宮地御前神社の梵鐘で、天文13年(1544)施主は大内義隆で、廿日市鋳物師の久枝直家が鋳造している。この梵鐘は広島県重要文化財に指定されている。       
多田八幡神社の鰐口
中世・近世初頭の廿日市鋳物師関連作品一覧表

安芸国鋳物師の鋳造活動

廿日市の鋳物師関連小稿

宇佐の鉄燈籠鋳工についての一考察」『山口県地方史研究』第65号(山口県地方史学会)1991年5月
・「寺原八幡神社の梵鐘について」『広島県文化財ニュース』第158号(広島県文化財協会)1998年9月
・「安芸国廿日市鋳物師の一考察−近世初頭の鋳造活動を中心として−」『芸備地方史研究』第225号(芸備地方史研究会)2001年4月
海田の鋳物師関連小稿
・「植木氏の鋳造作品について−中国仙伝文学からの図柄文様−」『広島県文化財ニュース』第162号(広島県文化財協会)1999年8月
・「中国仙人文様のある梵鐘」−『梵鐘』第14号(日本古鐘研究会)2002年7月
可部の鋳物師関連小稿
・「江戸期における安芸国可部鋳物師の鋳造活動−三宅・細田氏を中心として−」『芸備地方史研究』第205号(芸備地方史研究会)1997年3月
白市の鋳物師関連小稿
・「白市鋳物師伊原氏の鋳造活動について」『広島県文化財ニュース』第176号(広島県文化財協会)2003年3月
防長の鋳物師関連小稿
・「郡司信尚(信向)の鋳造作品について」『山口県地方史研究』第78号(山口県地方史学会)1997年10月

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