「知識乏しくテストせず」 接触確認アプリ「COCOA」不具合

新型コロナウイルスの接触確認アプリで一部の利用者に通知されていなかった問題で、厚生労働省が調査結果を公表しました。
原因について、アプリの開発などに関する職員の知識が乏しく、不具合を見つけるためのテストを実施していなかったなどと指摘しています。

接触確認アプリ「COCOA」をめぐっては、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」の利用者に感染者と濃厚接触した可能性があっても、ことし2月までのおよそ4か月間、通知がされず、把握もできていなかったことが明らかになっています。

厚生労働省の調査チームによる報告書が16日公表され、不具合が見逃された原因について、去年6月に運用を始めた時点で動作確認のテストを行う環境が整備されず、10月に環境が整ってからも優先的な課題とせずにテストを実施していなかったなどと指摘しました。

その背景として、アプリの開発や運用に関する厚生労働省の職員の知識や経験が乏しく、専門的な判断ができる人材が不足していたうえ、頻発する別の不具合の対応や改修に追われ、適切に管理できない状態に陥っていたことなどを挙げています。

また、技術者などが意見を交わすサイトで、問題が発覚する前から不具合の可能性が指摘されていたことについては、サイト上の意見を管理するよう去年9月ごろに委託業者に依頼していたものの、業務の流れや分担があいまいで、具体的な対応が検討されていなかったと指摘しました。

厚生労働省が不具合を隠していた事実は、確認されなかったということです。

今回の問題を受け、厚生労働省は、樽見事務次官と正林健康局長に管理責任があったとして、16日付けでいずれも文書による厳重注意の処分にしました。

厚生労働省は「相次いだ不具合の修正に集中した結果、本来、最優先すべき指摘を見逃していた。業者任せにせず、重要な指摘を見逃さないリテラシーを職員全体で身につける必要がある」としています。

田村厚労相「管理できず反省」

田村厚生労働大臣は記者団に「アプリの開発、運用にあたって厚生労働省の知識や経験が非常に乏しく、人員体制も不十分だった。発注者としてこのプロジェクトを適切に管理できなかったことは非常に反省しなければいけない。専門知識を持った人の力をかしてもらいながら、しっかりと運用していきたい」と述べました。