教職員懲戒が最悪ペース 3カ月半で9件、昨年度10件に迫る 相次ぐ不祥事に危機感抱く県教委、識者は「丁寧な分析」訴え 鹿児島
2024/07/19 06:00
鹿児島県内で教職員の不祥事が相次いでいる。2024年度の県教育委員会による懲戒処分は3カ月半で9件に上り、昨年度1年間の10件に迫る。単純計算すると、過去20年で最悪だった12年度の27件を上回るペースだ。識者は、丁寧な要因分析の必要性を訴える。
「全ての教職員の信頼を失いかねない」。5件の懲戒処分発表から一夜明けた18日、県教委教職員課の中島靖治課長は肩を落とした。研修や指導を重ねてきたが、後を絶たない不祥事。「全員の心に響き、自分事にできる取り組みになっていたか、それぞれが問い直す必要がある」と語る。
県教委による懲戒処分は、近年10件前後で推移し、1桁台にとどまった年もあった。だが、本年度は既に9件に達し、逮捕事案や管理職の処分もあった。
危機感を募らせる県教委は急きょ、今月末に地区ごとに開かれる小中学校長の研修会で、どんな取り組みや改善が必要か議論する場などを用意。夏休み中に各学校で全教職員へ指導を徹底してもらう狙いだ。
現場にも衝撃は広がる。鹿児島市内の中学校の管理職は「処分者が出た学校以外でも、子どもや保護者が教員に不安を抱きかねない状況だ。組織として指導を強めていかなければならない」と気を引き締める。
一方、確かな再発防止策を見いだせず戸惑う声も。ある高校の50代管理職は、昔に比べ教員同士がコミュニケーションを取る機会が減ったと感じている。「一人一人に寄り添うしかないが、トラブルを抱えているか見えにくくなっている」
鹿児島大学教育学部の高谷哲也准教授(教師学)は、不祥事を起こした要因や背景は人によって異なるため、一元的な対策で再発を防ぐことは難しいと指摘。「各事案が発生した要因を丁寧に分析し、要因にあたる条件がそろわないためにはどうしたらいいか、地道に検討し続けることが必要だ」と提言した。
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