帰り道。
アスファルトの熱が足下から押し寄せる。
自転車を漕ぎながら熱気を纏うと、一気に汗が毛穴から吹き出してくるのがわかる。
そうすると夏の本気を感じ、この苦行はいつまで続くのかとげんなりする。
汗が出るのは健康な証拠。
エアコンが壊れていた時、サナエさんはそう言って僕をたしなめた。
その言葉を思い出す。
ものは取りよう。
灼熱の道路を自転車漕いで、坂道を手で押して、うちに着くと、一層滝のような汗が吹き出し急いで着替えて、猫と一緒に外の風に当たる。
健康だ。
いい汗だ。
夏は嫌いだけど、好きだ。
苦行も鍛錬も、自分を高めるためには必要なこと。
オリンピック選手だって、積み上げた苦しさの上に栄光があるわけで、僕ら凡人は平坦な日々を暮らそうとするけれど、今よりもっと…という気持ちも持っている。
望まない困難を与えられることにより、強制的に強くなっていく。
人生ってそういうものかもしれないな。
エアコンが壊れた7月。
今年最大のピンチであろう事件を乗り越えた。
困難は続く…笑