早いもので、拙著【関空アクセス鉄道の復興計画】を刊行してから約7年が経過しました。この間、関空アクセス鉄道に起こった大きな変化は(コロナ禍を除くと)以下の3点です。
・JRの大阪駅地下ホームが開業した
・2031年春の開業を目指しなにわ筋線の工事が始まった
・阪急が「なにわ筋線連絡線」の建設を正式に表明した
大阪駅地下ホームは2023(令和5)年3月18日に営業を開始しました。現在は、関空特急「はるか」に加えて「くろしお」とおおさか東線からの直通列車が発着しています。
計画当初は路線図のように「北梅田」を名乗る予定でしたが、大阪駅地上ホームとの間に改札内の地下通路が設けられ、名実ともに大阪駅の一部として開業しました。関西空港駅までの所要時間は「はるか」で最速47分です。
「データで見るJR西日本2019」P.79によれば、コロナ禍前の2018(平成30)年度の「はるか」の下り片道1日平均乗車人員は日根野―関西空港間で3,770人です。単純に二倍すれば上下合わせて7,540人となります。
一方で、南海の関空特急「ラピート」の同年度の利用客数は1日あたり10,430人です。(「2019 HAND BOOK 南海」)。関西空港駅の1日平均乗降客数も、JRの29,074人に対して南海は35,390人と優勢です。
ただ、その調査区間が示すように、「はるか」の数値は純粋な空港連絡客を表しており、途中停車駅の多い「ラピート」と単純な比較はできません。このたび大阪駅地下ホームが完成したこともあり、しばらくはJRの反攻が続くのではないでしょうか。
なにわ筋線は当初の予定通り、JR難波駅からの路線と新今宮駅から南海新難波駅を経た路線が西本町駅で合流し、中之島駅を経て北梅田改め大阪駅地下ホームまで建設されることになりました。都心の地下路線としては駅間距離が長く、建設費の抑制と速達性の向上が重視されています。
総工費は3,300億円で、国と大阪府・市が1,620億円を補助します。建設主体となる第三セクター「関西高速鉄道」への出資金は大阪府・市と鉄道事業者が330億円ずつであり、JRと南海の内訳は営業区間の長さに応じて決まる模様です。残り1,020億円は関西高速鉄道が借り入れ、JRと南海の線路利用料で40年かけて償還する計画です。
書籍のご案内
【新・関空アクセス鉄道の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:616円 (税込・送料別)
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