なにわ筋線の重大な弱点 | 京阪大津線の復興研究所

京阪大津線の復興研究所

大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

 前回「なにわ筋線は当初の予定通り」と述べましたが、想像とは異なっていたこともあります。それは、南海とJRの合流点になる西本町駅の構造です。

 私は、阪神と阪急が合流する高速神戸駅のように島式ホーム2面4線で引上げ線を1本ずつ持つ配線になると考えていました。これならば、南海とJRの普通を西本町駅止まりにして、各々JRの関空+紀州路快速および南海の空港急行と対面接続できます。

 ところが、公開されている平面図と標準断面図によれば、西本町駅は島式ホーム1面2線の単純な配線で、引上げ線も設けられないようです。数百m南、Osaka Metro長堀鶴見緑地線の西大橋駅との交点付近で合流すれば、建設費を抑えつつも高速神戸駅に準じた構造にできたはずなのですが、今となっては手遅れです。

 なにわ筋線の昼間片道1時間あたりの運転本数は、JRが「はるか」2本・「くろしお」1本・関空+紀州路快速4本の計7本、南海が「ラピート」2本・空港急行4本の計6本になると報道されています。ラッシュ時は本数が増えるでしょうが、それぞれ12本ずつくらいまでが限度です。関係者はこれで十分だと想定しているようですが、本当にそうでしょうか。

 確かに、JRの場合は天王寺駅と大阪駅の間で大阪環状線の外回りと内回りを利用できるので、なにわ筋線が極端に混むことは考えられません。問題は南海です。

 関西空港駅・りんくうタウン駅と同じく、なにわ筋線の西本町駅・中之島駅・大阪駅発着時には南海とJRがそれぞれ自社の運賃を適用します。現在、南海沿線から大阪駅へは、新今宮駅でJR大阪環状線に乗り換えるか、もしくは難波駅から梅田駅までOsaka Metro御堂筋線を利用するのが一般的ですが、なにわ筋線が開業すれば大阪駅まで運賃が通算されるので安くなります。

 よって、難波駅止まりのままとなる高野線の利用客が、新今宮駅または天下茶屋駅で大挙してなにわ筋線直通列車に乗り換えてくるのは目に見えています。高野線は南海本線以上に通勤客が多く、本線の普通や特急「サザン」を大阪駅まで延長する程度ではとても対処できません。新今宮駅と南海新難波駅の間が深刻な輸送力不足に陥るのは確実です。

 

書籍のご案内

【新・関空アクセス鉄道の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:616円 (税込・送料別)

 

【関空アクセス鉄道の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

イベントバナー

  翻译: