模範的な日常生活は必要か！？

こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

円形脱毛症に罹るとそれまでの生活を振り返る機会が一般的に増えます。

今迄の食生活、睡眠、精神的・肉体的疲労、、、、、細かい項目を数え上げればキリがありません。

そしてこのような生活態度ではダメだ。この生活態度だったから円形脱毛症に罹ったんだ。

……と、思われる方がとても多いと感じます。

そして、今までの生活態度を改めよう。食事はバランスよく３食キッチリ、ビタミンやたんぱく質を意識して睡眠は8時間厳守……とそれぞれ目標を定められる方が多いです。

これらの事は大変すばらしいと思います。良い事だと思います。

でも、これで円形脱毛症が治るかと云えば、これについて私は否定的な見解です。

じゃ意味ないじゃんと思われるかと思いますが、それもまた違うように思います。

本日の記事はこのような事柄を書いてみたいと思います。

まず、円形脱毛症には一つではない数多くの発症原因があると思います。人によっては栄養不足または過剰、過労や疲労、むち打ち、インフルやコロナなどの熱病、飲食の不摂生、精神的ストレスまたは本当に免疫異常だった方もいると思います。それらの一つまたは複数個の原因を元に円形脱毛症が発症していると思います。入り口は違えど出口は同じ円形脱毛症という現象が存在すると私の経験則を元に主張します。

何が円形脱毛症を引き起こすかは未知です。人により、または同じ人でもタイミングでも異なると思います。当院で実際にあった例では本当に多量の飲酒をした当日から髪が一斉に抜け始めた例や、尋常ではない熱さのラーメンを旨さに任せて一気に掻き込んだその日から髪が抜け始めた例、思いっきり頭をぶつけたその日から髪が抜け始めた例など円形脱毛症の発症とタイミング的にリンクしそうなイベントは本当に様々です。もちろんこれらの例が確実に円形脱毛症を発症させた証明はできません。荒唐無稽と思われるかもしれませんが、でもそれ以外のそれらしく思える発症イベントも同じように証明できないのです。私は円形脱毛症の発症は切っ掛けの直後、遅くとも数日以内だと考えています。3か月の時限装置に関しては否定的に見ています。このような見解の上ではやはりタイミング的に重なった事柄が円形脱毛症を発症しむる重要な事柄と思えるのです。

人は何かモノを考える時に自然と因果律について思いを巡らせます。

例えばニュートンよろしくリンゴが枝から離れたから重力によって地面に落ちた……などです。

そこでリンゴが地面に落ちたことが気に入らなければリンゴを拾って枝のところへ戻せばリンゴは落ちないのでしょうか。いや、既に枝から離れてしまったリンゴはもうくっつきませんね。でもどうしてもリンゴを元の場所に戻したいのであれば接着剤でくっつけてしまうという荒業もあります。でもそれは原因と結果の関係を元に戻したのではなくて接着剤と云う新しい原因によって枝にくっついたというこれまた新しい結果を導いたのです。純粋に元に戻したければ時間を巻き戻すしか方法はないのですが、こればかりは何とも……。

なんだか捻くれた事を書きましたがここで冒頭の話に戻ります。

円形脱毛症に罹った原因と思われる日常生活を正そうというのはやはり良い事です。

でもそれで円形脱毛症が治るのかと云えば先ほどのリンゴの例の如く、事ここに至ってはソレをしたところで元に戻るわけでは無いのです。現状で必要なのは違う事柄です。

ではやはり日常生活の見直しなどいらないかと云えば、要ります。

どうして必要なのかと云えば同じ轍を踏まない為です。

落ちたリンゴは極力一つだけで終わらせる工夫が必要です。第２第３のリンゴを防がなければなりません。強風の大嵐の中、出荷前のリンゴが地面に落ちないように様々な工夫を凝らすのはとても大切なことです。この工夫こそが至らなかった日常生活の改善であると思います。

つまり良い日常生活習慣は治すためではなくて、さらなる悪化を防ぐために有効であると思うのです。

無駄ではありません。

過去記事でも書いていますが円形脱毛症について私は「甘いもの」更には「冷たくて甘いもの」の多食は極力避けるべき食材と考えています。具体的には『アイス』です。ではこのアイスを食べたらたちどころに発症するかと云えばそうとは限りません。でもこれまた私の経験則ですがアイスを食べる頻度が高い人は発症もしくは悪化しやすいと感じています。アイスを沢山食べる生活と云うのは例えるならば地雷原を歩いていくようなものに思えます。もちろん無事に渡りきる人もいれば途中で地雷を踏んでしまう場合もあると思います。ですが一歩目二歩目で踏むという事はおそらくないのでしょう。でもずっと歩いて行けば確率的に地雷を踏んでしまいやすく成ります。それに体調体質タイミングによって地雷原の地雷密度も大きく変わると思います。

例えば現在円形脱毛症に罹っている人であれば、身体に何か変調があった時、その影響は円形脱毛症として現れやすい。治ってから何年も経過している場合は身体の変調は他の病として現れるのかもしれないし、何年経過していても知らず知らずのうちに再度円形脱毛症との縁が強くなっていて髪に変化が現れる事もあるかと思います。風邪などでも同じような事が言えると思います。治ってきたと思っても治りきらないうちや治った直後は少し寒いだけでもぶり返しやすいし、何でもない時には多少寒さを感じても風邪をひくまでには至らないこともあります。

昔は散々な生活習慣だったが髪は抜けなかった。今は当時に比べればよい生活習慣だが髪が抜けてしまったという現象も多くありますが、これらはその時その時で円形脱毛症に縁遠い状態だったか、縁の強い状態だったかの違いであると思います。

そして尚、縁遠いかそうでないかはなかなか推し量れないのです。

それ故に無難を維持する為に良い日常生活習慣の重要性が高まってくるのだと思います。

治療はある意味「攻め」の姿勢なのですが健康を維持するのならば「無難」が最善と思います。

当院へご来院いただいている方々から頻繁におうかがいする話があります。

『円形脱毛症にはなってしまったけどこれは寿命に関係ない病気だ。そしてこれを契機に今までの生活を見直すことができた。これは将来に可能性のある大病を防ぐのに良かったのかも。』と云うものです。まさにその通りだと思います。

良い日常生活習慣を実際にしてみると正直言ってツマラナイです。

基本的には欲望を抑え込んだモノになりがちなのですが、そのような事柄でも知らず知らずいつの間にか何かの役には立っていると思います。

ただ円形脱毛症は誰でも長期戦です。あまり頑張りすぎると続きません。程々に開放して楽しむのも同時に良いことだと思います。

良ければ参考にしてみて下さい。