プッチーニ「歌劇《トスカ》」 (7月14日・新国立劇場) | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

マウリツィオ・ベニーニ指揮東京フィルの演奏が評判通り素晴らしかった。

よく揃った弦の繊細な表情と心に刺さる音、金管のまとまり。木管の歌。細やかな演奏でありながら、ここぞというクライマックスでは、目の詰まった芯の強い音が響く。

これまで聴こえてこなかったフレーズがいたるところに表れる。歌唱との一体感はバランスがとれ、理想的だった。

 

作品の中核を占めるスカルピア役が、ニカラズ・ラグヴィラーヴァから青山 貴に代わったことは残念だった。青山も健闘するが、準備期間も少ないためか役になりきれず、主役とも言うべき悪役の存在感が薄れてしまった。

結果的にカヴァラドッシとトスカの二重唱がハイライトとなる第3幕が最も充実していた。

 

トスカのジョイス・エル=コーリーとカヴァラドッシのテオドール・イリンカイは、安定はしているが、飛びぬけた個性はあまり感じられない。脇を固めるアンジェロッティの妻屋秀和、堂守の志村文彦は好演。

 

第1幕フィナーレのテ・デウムの場面では新国立劇場が誇るアントネッロ・マダウ=ディアツの豪華絢爛な舞台を見るのは二度目だが、やはり圧巻。新国立劇場合唱団も引き締まった合唱を聴かせた。

 

 

19日(金)19時、21日(日)14時からも公演がある。

トスカ | 新国立劇場 オペラ (jac.go.jp)

 

スタッフ

【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ

【演 出】アントネッロ・マダウ=ディアツ

【美 術】川口直次

【衣 裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ

【照 明】奥畑康夫

【再演演出】田口道子

【舞台監督】菅原多敢弘

 

指揮

マウリツィオ・ベニーニ

 

演出

アントネッロ・マダウ=ディアツ

 

キャスト

【トスカ】ジョイス・エル=コーリー

【カヴァラドッシ】テオドール・イリンカイ

【スカルピア】青山 貴

【アンジェロッティ】妻屋秀和

【スポレッタ】糸賀修平

【シャルローネ】大塚博章

【堂守】志村文彦

【看守】龍進一郎

【羊飼い】前川依子

【合 唱】新国立劇場合唱団

【合唱指揮】三澤洋史

【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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