6月7日(水)の18時頃、突然通知がありました。
「現在流通している10,000フラン札と5,000フラン札は、明日から流通しなくなり、紙クズとなります」
あまりにびっくりして、夫に鬼電しました(すぐには出ませんでした)。
私たちは、ブルンジ国民は、一体どうなってしまうんだろうと大きな不安を抱えながら、1人で娘2人をみていると(何があろうと子育てに休みなし)、数分後にもう少し詳しいニュースが流れてきました。
「6月17日までが、新紙幣と交換できる猶予です。市中銀行やマイクロファイナンスで交換してください」
とりあえず、今すぐ紙クズになるわけではなさそう。
その後更に、口座への預け入れには金額の制限があること、引き出しにも制限があることが発表されました。
さて、果たして本当に交換できるのか?
おそらく、口座に預け入れしている分は、きっと中央銀行-市中銀行の間で交換してくれるだろう。わからないがそう信じるしかない。
では、今手元にあるキャッシュ60万フランは?口座に預け入れさえすれば、上述のように自動で交換されるのだろうか。
もし新紙幣の流通量が制限されているなら、銀行が預け入れを拒むのでは?そうしている間に10日間が経ってしまい、紙クズになるのでは?
目先の不安は手元の60万フランだが、この先のブルンジ経済は大丈夫か??
先行きが不透明で、不安であまり眠れませんでした。
さて、なぜこんなことが起きたのか。難しいのですが、自分なりに少し調べて考察しました。
まず、ブルンジは、経済開発の遅れによる、慢性的・構造的な貿易赤字、財政赤字を抱えています。
加えて、2015年の政治危機を機に、EUが財政支援を止め、2022年初旬に再開するまで、特に厳しい状況が続きました。
深刻な外貨不足を招き、固定相場である正規レートと、実際の価値に即した市場レートの乖離は、どんどん開く一方でした。
政府は、街の中の外貨両替所を閉鎖させ(昨年末に再開)、外貨の流出を防ぐことに努めていました。
ですが、インフレは進み、食料価格の高騰は市民生活にとって大きな打撃となっています。
(緑のアフリカ平均と比較すると、青のブルンジのインフレ率が非常に高いことがわかります)
(IMFのグラフでは、GDPが成長していない一方で、インフレ率が高いことがわかります)
ほんの数年前の倍の価格になっている食料もあります。コメやメイズなど主食、油など。
一方で給料はほとんど増えず、生活は困窮しています。
そこで、IMF(国際通貨基金)による救済が始まりました。
Extended Credit Facilityという、低所得国向けの譲渡的融資制度であり、構造的な国際収支問題を抱える低所得国に対して、持続可能な貧困削減を目標に、中長期的に融資する制度だそうです。
4月に、40カ月の261.7百万ドルの融資を受けることが決まり、ほどなくして5月に通貨切り下げが実施されました。正規レートが少し市場レートに近づきました。まだ乖離はありますが。
こういう流れでの、今回の通貨刷新です。
公式には、非正規な取引(銀行を介さない)によって、紙幣が不足したためと説明がされています。
前の首相が逮捕されたのですが、何十億フランも非正規に取引していたようです。
さらに、私自身で調べて考えたこととしては、貨幣の流通量を抑えてインフレを減速させる目的があるのかと推測しています。
現況ですが、一般市民はわりとのんきで、旧紙幣をまだ使っています(!)。
我が家は、手元にあったキャッシュは預け入れできました。一方で、新紙幣の引き出しは制限されており、50,000フラン(13ドルとか)しか引き出せませんでした。さてどうやって生活しようか・・・
不安は大きいですが、アンテナを張ってできる限りのリスクには備えながらも、でも祈るしかないかんじです。
最後に、中央銀行からの公式発表を載せておきます。メディアからとったのですが、1ページ目は判読不可です・・・