大統領車両でオフロード ジョコウィドド大統領の視察風景 | 知りたがりな日本人のブログ@インドネシア

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日本語では検索できないインドネシア国内の話題を、雑談に使えるレベルで解説。

舗装が剥がれたガタガタの道をゆっくりと進む大統領のメルセデスベンツ。後輪が凹みの上を通ると長い車体ががっくりとゆれる。護衛車両やオートバイ、後陣には大統領のスタッフや商業大臣や国営企業大臣も同伴している。国家を代表するこんな忙しい人たちがそろいもそろってこんなところで、オフロードしているという珍しい光景だ。

 

ジャワ島との間を行き来する連絡船が着く港のあるランプン州。生活道路の崩壊があまりにも酷いと、地元住民が次々に動画を拡散して注目を集めた。雨が降った後には大きな水たまりが出来て、人身事故も頻発している。もう何十年もこの状態だ。すぐそばで国家プロジェクトとして既に一部開通しているスマトラ縦断高速道路の、緑の中を通り抜ける新しい道路の美しい風景とはあまりにもギャップがある。

 

州の予算の半分が公務員のために消えていると聞くと納得がいく。インドネシアで地方自治体の長を直接投票で選べるようになったのは2004年から。歴代州知事は誰も、道路を修繕しなかった。

 

州を批判する動画を一番最初にアップしたTiktokerを、警察に通報し、両親を呼び出して脅しをかけた州知事の態度も、この州の閉鎖的な性質をよく表したものだが、却ってそのために炎上し、大統領が視察に訪れることになった。

 

抜き打ち訪問の知らせを前日に受けた州知事は、大統領を迎える準備のためヘリコプターに乗って視察を行った。大統領が通る予定の道路だけを応急処置で修繕し、大統領の視察当日用にもヘリコプターを準備していた。

 

ところが大統領は”道路の状態を視察に来たのだからヘリに乗っては意味がない”とヘリコプターを使用しなかった。そして、視察ルートも、修繕されていない道に変更。地元民が見守る中、要所要所、車を降りては視察。途中で、異常を示すランプの点灯が止まらなくなってしまったベンツをSUV車に乗り換え、人々が待ち受ける市街地に到着する。埋め尽くす大群衆に迎えられ、その場ですぐに、道路修繕のための具体的な予算と期間を発表。


大統領の背後で、無邪気に拍手して喜んでいる風の州知事。視察中は、土地名を尋ねられて答えられず地元民に教えてもらったり、自分に都合の悪い質問に答えようとする地元民を𠮟りつけたり、といった日頃の行いが垣間見えるようなシーンもあった。

 

こんな州知事にアテンドされて、言いたいことは沢山あったはずだが、人々の前で決してそんなこをは口にせず、かえって”道中はスムーズだったよ。大臣なんか気持ちよく寝てた”と、いつもの穏やかな口調でユーモアで答える大統領。

 

言葉で、相手に恥をかかせるようなことは決してしない。解決策を提示して機会を与える。意見の違う相手にはかえって寄り添い、協力せざるを得ないような関係を作ってしまう。こんなエピソードは数えきれない。

 

学生時代は寡黙なギター青年で、今でも移動中の車の中ではメタリカやディープパープルなどを聞いているという。家業の小さな家具工房から輸出業のビジネスマン、地元ソロで市長を二期務めたあと、建国の父スカルノ大統領の娘メガワティ元大統領の推薦を受けて、首都ジャカルタ州知事へ、任期半ばで大統領選挙に出馬して当選、現在二期目で2024年には任期満了をむかえる。任期中ずっと高い水準を維持してきた政権満足度調査の値は4月に最高値の82%に達する。

 

海外向けにはネガティブに報道されることが多いようだけれど、おそらくそれはビジネスで利害が相対するからということであって、庶民レベルでみればやはりジョコウィ大統領のスタイルは、これまでの政治家と全然違うし、言葉だけでなく実際の変化も感じられ、希望を感じさせてくれる。

 

”大統領”という言葉と紐づいて、ろくでもない話ばかり出てくる世知辛い世の中、こんな大統領もいるのだということをお伝えしたかった。

 

 

 

 

#Jalan tol Trans sumatra mudik 2023 

#mobil jokowi nyangkut 

#Lampung jalan rusak parah

Gambar oleh Peter H dari Pixabay

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