巣鴨('23.9.24)
『脱出ゲーム 香川県からの脱出』に登場する、歴史上の人物ゆかりの場所を巡る旅。
とげぬき地蔵に参拝した後、巣鴨での本来の目的地へ向かいます。
- 巣鴨のお地蔵さんと、巣鴨のお地蔵さん
- 「悪官吏・悪新聞屋等を敵とし、正義忠良の国民を味方とする」(宮武外骨)
- 日本女子サッカーの夜明け(第1回皇后杯の開催地へ)
- チャレンジハイスコア~黎明期のeスポーツ
- 南千住の小塚原回向院にカール・ゴッチの墓があった
- 隅田川貨物駅(2023年9月24日)
- 今日の歩きはつらかった。あとはお墓を拝むだけ
- 平賀源内のポツンと一軒墓
- 上野東京ライン経由で常磐線から品川駅へ
- 高輪ゲートウェイ駅周辺はまだまだ開発中だった
- 高輪の街にとけこむ小さな高野山
- 高輪ゲートウェイ駅のスタバは今くらいがちょうどいい
東京都染井霊園です。
高村光雲・光太郎・智恵子や、岡倉天心、二葉亭四迷などのお墓があります。
また周囲のお寺には、遠山金四郎、千葉周作、田沼意次、芥川龍之介、谷崎潤一郎のお墓も。
ここで私が訪れたいのは、香川県出身で、明治から昭和前半に活躍したジャーナリスト、宮武外骨のお墓です。
園内の案内図を参考に、外骨さんのお墓に向かいました。が、見つかりません。
染井霊園は、8ヶ所ある都立霊園の中で最も規模が小さいはずなのですが。少なくとも、以前訪れた多磨霊園より、はるかに小さいはず。
(後で調べたら、染井霊園は約7ヘクタール、多磨霊園は128ヘクタールだそうです)
地図では「西そめいよしの通り」の近くにあるように見えるのですが、段差があって、通りから墓地へ移動できません。
そのうち管理所に着いてしまいました。私が入った巣鴨から反対側、駒込に近い方の端です。
管理所で地図を頂き、見ながら探し回るのですが、それでも発見できず。
同じエリアをだいぶウロウロと歩きました。
多磨霊園のような開放感はありませんが、染井霊園も木々に囲まれて、落ち着いた雰囲気。
染井といえばソメイヨシノ発祥の地でもあるので、染井霊園にも多数のソメイヨシノが植えられており、春は桜の名所となるようです。
ようやく見つけた宮武外骨さんのお墓。
地図に描かれた区割りと、見た目の区割りが少し違っているように見え、地図だと通れなさそうに見える箇所に細い道があり、その道に面していました。
何角形とも言い難い不思議な形の墓石に、「宮武外骨霊位 能子霊位」と刻まれています。
隣に「中村」と刻まれたお墓も並んでいますが、このお墓についての詳細はわかりませんでした。
手前に立つ六角柱は、名刺受けとなっています。
ここに刻まれた文字は、下の方が読めなくなっていますが、「暗き世に爆(は)ぜかえりてぞ曼殊沙華」という、作家・エッセイストの小沢信男氏の句だそうです。
宮武外骨は、香川県出身で、明治から昭和前半に活躍したジャーナリスト。
『頓智協会雑誌』『滑稽新聞』『スコブル』などの雑誌・新聞を創刊し、権力者などへの批判をユーモラスに行ない、人気を博しました。
しかし、当局から発売禁止処分を受けることも多く、1889年(明治22年)には、『頓智協会雑誌』の記事が不敬罪に問われ、3年以上にわたって投獄されてしまいます。これも含め外骨は生涯に4度投獄されましたが、もちろんそれで畏縮することはなく、むしろ「反権力」色を強めていきます。
批判の対象は政府・官僚のみならず、悪徳商法、選挙違反、マスコミ等にも及びました。
とりわけマスコミに対しては手厳しく、権力に迎合する新聞や、報道の力を悪用して“ゆすり”を行なう記者を糾弾しています。
一方で、1923年(大正12年)の関東大震災をきっかけに、明治時代に発行された新聞・雑誌の保存活動にも尽力。東京帝国大学に明治新聞雑誌文庫を設置しました(現在の東京大学大学院法学政治学研究科附属・近代日本法政史料センター)。
著書にも、『猥褻風俗史』『賭博史』『奇態流行史』『筆禍史』など、歴史の中で忘れ去られかねない、アンダーグラウンド系の事象を記録した本が数多くあります。
第二次世界大戦後、ようやく日本政府から発禁処分を受けることもなくなると思われた矢先、『アメリカ様』という著書が、今度はGHQから発禁処分を受けてしまいます。
『アメリカ様』の発売日は、日本国憲法公布より前でしたが、表現の自由を保障した日本国憲法が施行された後も、GHQによる検閲はしばらく続いており、外骨は晩年まで、筆禍に見舞われる羽目になりました。
ちなみに当ブログのこの記事のタイトルに書いた「悪官吏悪新聞屋等を敵とし正義忠良の国民を味方とする」とは、『大阪滑稽新聞』創刊号の表紙に書かれていた言葉。『滑稽新聞』に1908年(明治41年)、発行禁止命令が出されたため、外骨がその後継紙として創刊したのが『大阪滑稽新聞』です。
外骨さんのお墓に手を合わせ、まさに今、外骨さんの故郷で悪官吏・悪新聞屋が幅を利かせて、いわゆる「ゲーム条例」を強引に成立させ、この条例に基づいて県の予算を使い、ゲームバッシングのためだけに、誤った科学知識を子供たちに植えつけている現状を報告。外骨さんのお力で、この状況を何とかして頂きたいと訴えました。
そして例によって、『脱出ゲーム 香川県からの脱出』の中に、外骨さんを登場させたことを事後報告しました。
【東かがわ:8】<脱出ゲーム 香川県からの脱出> キクチ砲、撃てども撃てども
【東かがわ:9】<脱出ゲーム 香川県からの脱出> 20年前の週刊誌によるデマ記事の影響
※『脱出ゲーム 香川県からの脱出』のヒット祈願で、ゲームの登場人物ゆかりの地を巡る旅は、以前にも何度か行なっています。よろしければこちらも御覧下さい。
池上駅 池上本門寺(日蓮) 矢口渡駅、蒲田の屋上観覧車 東急多摩川線・武蔵新田駅から新田神社(1)(新田義興、平賀源内) 新田神社(2) 新田神社(3)
東急&相鉄新横浜線&相鉄・JR直通線 緑園都市駅&ゆめが丘駅 藤沢本町(源義経) 辻堂駅北口・テラスモール湘南(前編) テラスモール湘南(後編) 片瀬江ノ島駅
多磨霊園(前編) 多磨霊園(後編)(大平正芳、大川博、菊池寛) 虎ノ門の金刀比羅宮 神田明神・将門塚(平将門) 東寺(空海) 白峯神宮(前編)(崇徳天皇) 白峯神宮(後編)(崇徳天皇) 晴明神社(安倍晴明) 北野天満宮(菅原道真)
せっかく巣鴨まで来たので、近くにある、気になるスポットをちょっと見てから、次の目的地へ向かいます。
(「日本女子サッカーの夜明け(第1回皇后杯の開催地へ)」に続く)
※これまでの「日本縦断紀行」はこちら。
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・周りの人に知ってもらいたいこと
(「高齢者と同居しています」「基礎疾患を持っています」等)