2023年9月7日(木)宝塚大劇場にて、月組『フリューゲル-君がくれた翼-』新人公演が上演されました。

 

終演後、しばらく立てませんでした。

ついでに、鼻もズビズバ。

帰宅後もなんとなくボーッ。

その原因を含めた感想です。

 

 

★雅 耀(108期・研2)

 

ルイス・ヴァグナー

本役…風間柚乃(100期・研10)

 

新人公演で、破線上の三番手役おめでとうございます。

 

雅耀くんを初めて認識したのは、107期文化祭の予科コーラス。

「誰や、あの美形?」

翌年、108期文化祭でスウェーデンの皇太子になって登場(演劇主演)

 

フリューゲル新公では研2にして早くもメインキャスト。

推されてますなぁ。

 

瑠皇りあ君と対峙すると、美の双璧。

完璧な横顔同士、シンメトリーな並び。

美しすぎる…!

これが宝塚の真髄…!!

 

雅くんは芝居が好きな生徒さんだと思います。

全国ツアー『ブラックジャック』を観て、明確に感じました。

 

BJでは雅くん、主にモブで台詞なし。

その中で、ボディガード?SP?…のような役もありました。

スーツを着て、舞台下手に立ってるだけ。

微動だにせず、完全無表情。

 

雅くんは普段から小芝居小僧で、なんやかや表情をつける人ですが、その時は背景と化していました。

 

役の意味を知り、体現する人なんだな、と。

直立不動で無表情のSP、印象的でした。

 

…と思うだけで感想かけてなかったから、ようやく書けました。

 

ルイスは明朗快活で頼れる男。

でも、肚は見せない。

 

そんなキャラクターを理解し、風間ルイスをトレース。

風間柚乃の意図を汲み、体現していました。

醸し出す空気感や台詞の言い回しなど、本役さんを研究し、意識しているなと。

 

東京新公では、オディセカラーを加える挑戦も考えてみては?

風間さんなら、面白がって下さりそう。

相談しながら、オリジナル・スパイスを効かせてみても良いかもしれません。

 

※風間さんを「108期・研2」と書いてて、ごめんなさい。

 ボケてました。

 コメントでご指摘ありがとうございます♡

 

 

★白河りり(103期・研7)

 

エミリア・ハインリッヒ

本役…白雪さち花(91期・研19)

 

私の鼻をズビズバさせた張本人。

本公演ではさち花さんに毎回ズビズバさせられてます。

 

ヨナス(瑠皇りあ)の生母エミリアは戦時中、軍人として強制収容所で勤務。

ホロコーストに関与した戦犯として捕えられました。

 

実際は立場を利用して書類を秘密裏に改竄し、ユダヤ人を逃がしていました。

命を救われ、長じて弁護士になった少年が、収監されたエミリアを探し出し、引き取ります。

 

長年の収監(おそらく劣悪な環境)で記憶混濁を起こし、車椅子生活になったエミリア。

 

ラストでヨナスと再会しても、それが己の息子だと判りません。

分からないながら、昔「私の坊や」と共にくちずさんだ歌をヨナスと共に歌い、「また会いたいわ」と微笑みます。

 

本公演では弁護士(蓮つかさ)、ヨナス(月城かなと)、エミリア(白雪さち花)…芝居上手で固めてます。

 

新公では弁護士(槙照斗)、ヨナス(瑠皇りあ)、エミリア(白河りり)…それぞれの表情を見てほしい。

配信では同時に映らないね、三人の。

残念です。

 

エミリアは夢見るような、惚けた表情です。

おそらく頭の中は霧がかかっているのでしょう。

 

それを見守る弁護士とヨナス。

この二人、表情に感情があまり出て来ません。

すごく冷静。

でも、エミリアに対する気持ちが伝わってきます。

 

抑えた演技です。

誰も悲壮感を出そうとしない。

泣かせの演技はしない。

 

だから、泣ける。

なんだ、これ。

高等すぎて痺れる…!

 

これぞ、芝居の月組の真骨頂…!

 

エミリアという役は、断片的にしか登場しません。

その時系列も様々。

 

幼い息子を育てる未亡人

若き軍人

記憶が混濁した老女

 

ひょいと挿入されるエミリア。

細切れエピソードや回想に登場する、一見すると別の年代・別の境遇の人間を、同一人物として表現すること。

その難易度は、相当なものだと思います。

 

…ふと、思い出したのですが。

 

『エリザベート』でシシィ(愛希れいか)が精神病院を慰問する場がありましたね。

そこで「私が皇妃エリザベートだ!」と食ってかかる、ヴィンディッシュ嬢(海乃美月)

 

護衛に取り押さえられたヴィンディッシュ嬢を、シシィは解放し、「あなたこそ自由な翼を持っている」と己の扇を与えます。

すっかり落ち着いたヴィンディッシュ嬢は扇を手に、皇妃に戻って退場。

 

この場には、車椅子の少女がモブの一人としていました。

 

ヴィンディッシュ嬢が荒れ狂えば怯え、縛められれば固まり、救われれば落ち着きを取り戻し…。

完全にヴィンディッシュ嬢の心情と連動していました。

この時、ヴィンディッシュ嬢に背を向け、その演技を見ていないにも関わらず。

 

そしておそらく、この連動する演技は演出家がつけたものではありません。

初日付近では、ただの岩でしたから。

 

己の役割を考えたのでしょう。

その思考が、演技を変化させた。

 

ただ恐れるだけのモブから、ヴィンディッシュ嬢の心の動きを映す鏡へと変化していました。

 

気づいた人は少ないかもしれません。

大半の人は、愛希れいかと海乃美月に釘付けだったでしょう。

 

でも、気づいた人もいる筈です。

私がその一人ですから。

 

その少女を演じていたのが、白河りりです。

久々に思い出しました、あの少女を。

 

車椅子に乗ってたからかな。

少女も、エミリアも。

 

あの頃、研2でしたね。

たった5年で、なんて大きく成長したことか。

 

新公・長の期の挨拶も白河りり。

研1試験から、月組103期首席の座を譲らず。

103期の末っ子(中卒で3/31生まれ)ながら、あっぱれ。

努力の人ですね。

 

無事に上演できた事や、劇場へ足を運んで下さった事への感謝を述べていました。

手短にまとめ、主演の瑠皇りあ君へバトンタッチ。

 

東京公演は本当に最後の最後ですし、少しりりちゃん色を投入しても良いかも?

 

全国ツアーご当地紹介(大阪)では、毎回ちがうオチつけてましたものね。

 

笑いを求める関西人でごめんなさい。

でも、りりちゃんもそうやもんな?

知らんけど。

 

※りりちゃんが全ツで使ったネタ「知らんけど」より

 

 

★きよら羽龍(104期・研6)

 

ゾフィア・バーデン

本役…梨花ますみ(67期・研43)

 

堂々とした部長でした。

きよらさんは大人の役が似合う。

(…と、毎回言い続けてますね ^o^;)

今回の新公では、ハプニング発生。

「西独の歌手ナディアが来るぞ」という話が広報部で出るも、部長が出て来ない。

 

予定の段取りが狂い、焦るホフマン中佐(爽悠季)

「なぜ出て来ないんですか、部長~?!」

まんまやーん!なツッコミが受けました。

 

ヨナス(瑠皇りあ)も「部長~!」と上手袖に向かって呼びかける。

やがて、広報部全員で「部長~~!!」

 

ようやく出て来たきよらさん、悪びれず、お芝居を再開。

最初マイクに声が入らず、生声で台詞いってました。

途中からマイクが入り、ホッ。

 

この場が終った瞬間、大きな拍手が沸きました。

 

何かしらアクシデントがあったのかな。

出のタイミングを間違える(忘れる)可能性も含めて。

 

うっかりも含め、生の舞台ゆえのハプニング。

それをどう収めるか。

 

きよらさんは何かフォローを入れるでもなく、無言の「何もありませんでした」的な力技で対処。

 

これはこれで面白かったです。

いや、面白がってごめん。

きよらさん、堂々としてたけど内心バックバクでしたよね。

 

ただ、こういう事もナマ舞台の魅力の一つ。

それをしっかりして見える、きよら羽龍がやっちまった事がまた美味しかったなと。

(美味しいなんて言ってごめんなさい)

 

 

▽ つづきます

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