夫には仲間がいる。

 

そこそこ事情を知っていてサポートしてくれる人たちがいる。

 

虐待をしていたこともふんわりと分かっているのに。

 

それでも受け入れてくれるなんて心が広いと思う。

 

だけど夫の心は満たされない。

 

まだ離婚が成立していないっていうのに彼女だって居るのにね。

 

一日でも早く離婚したいから彼女の存在はウェルカムだ。

 

むしろどんどん付き合って欲しい。

 

そして、その彼女にどっぷりはまってもらえればと思う。

 

ある人が言っていた、

 

「そういう人は他に執着する対象ができれば驚くほどあっさり去っていくものだよ」

 

という言葉には妙に納得した。

 

夫の押し付けにも似た感情はどうしても愛情だとは思えない。

 

ただ依存する先を求めているだけなんじゃないかと薄々勘づいていた。

 

でもそれって私の願望なのかな。

 

結果を急ぐあまり、都合の良い解釈をしてしまっているのかも。

 

そんな風に思うこともあり、言葉に出すことはしなかった。

 

内心そうなのかもしれないと感じていたことを周りから指摘されたことで。

 

私の心の中のモヤモヤが晴れたように感じた。

 

やっぱりそうなんだ。

 

彼女も献身的に尽くしてはいるけれど、イマイチ心に入り込めていない。

 

尽くせば尽くすほど、夫の中での有難みが小さくなっていっている気もする。

 

最初は彼女がいることで多少は心が安らいだはずなのに。

 

もう『尽くされること』が当たり前になっているみたいだ。

 

行き詰まった彼女は、息子を懐柔する作戦に出たこともある。

 

多分息子が夫の元に戻れば全てが上手く行くと思ったんだろうけど。

 

夫から息子の『ママ大好きっ子エピソード』を聞いて諦めたようだった。

 

 

 

 

夫もアホだな。

 

そんな話をしなければ彼女は諦めなかったかもしれないのに。

 

私にとってはラッキーだった。

 

夫は同情を引きたくてその話をした。

 

私が夫の良くない情報を吹き込んでいるから息子が自分に懐かないのだ、という風に。

 

つまり、『可哀そうな俺』を演じたのだ。

 

それにまんまと引っかかって最初は可哀そうに思ったようで、私に攻撃的になった。

 

その頃は直接つながったこともないのになぜか頻繁に連絡が来ていてかなり引いた記憶がある。

 

それが落ち着いてきたと思ったら、今度は

 

「息子君はママと居るのが幸せ」

 

という感じに変わった。

 

彼女が少しはまともな人で本当に良かった。

 

数々のエピソードを聞いて、これは母親と引き離せないと思ったに違いない。

 

夫は目論見が外れて彼女の言動にはがっかりしていると思う。

 

本人は動かずに周りを動かしたい人だから。

 

良い駒になって息子を取り戻すための手助けをしてくれるものだと期待したはずだ。

 

結局何をやっても夫の心は満たされない。

 

そのうち周りにも逃げられて誰も居なくなって。

 

一人になる時が来たら。

 

その時初めて分かるのかもしれない。

 

それまでは狭いコミュニティの中で王様のように振舞えばいい。

 

周りの人たちの心がどんどん離れて行っていることにも気づかずに。