夫は息子に会いたくて仕方がない。

 

これを本人は『愛情』だと言うが。

 

もしそうならば間違った愛情だと思う。

 

独りよがりで相手を傷つけずにはいられないのだから。

 

いっそのこと自ら疎遠にしてくれた方が幸せだ。

 

本人以外は息子と直接コンタクトを取ることに否定的なのにまるで分かっていない。

 

こちらがイジワルで会わせないのだとでも考えているよう。

 

兄に連絡してきた時にもそれが分かるような言動があった。

 

ある程度のことは『まー仕方ないな』と許容するような兄であっても受け入れがたいと言う。

 

大らかと言われる私たち兄妹でさえこう感じるんだから。

 

もっとシビアな感覚を持った人たちだったら拒絶感が物凄いことになると思う。

 

会うことを却下された夫は兄の同情を引こうとしたのか、

 

『お義兄さんもお子さんがいるのだからボクの気持ちが分かりますよね』

 

と言ってきたらしい。

 

あなたと私は同じ立場ですよ。

 

もし、あなたが自分と同じような状況だったら。

 

どう感じますか?

 

夫のメッセージはそう問いかけていた。

 

だけど兄はその言葉に惑わされることなく、

 

『あなたと私は同じではありません

 

 相手を傷つけたり暴力を振るったり大声で威圧することもありません』

 

と送った。

 

送った後、私や母に、

 

「いやー、一緒にされるなんて心外だわ」

 

と軽い感じで報告してきたのだが、目は笑っていなかった。

 

そうやって夫は自分とは敵対しておらず仲間だというのを表したかったのかもしれない。

 

でも兄には通用しなかった。

 

それどころか、そういう姑息な思惑を見抜かれてしまい、余計に心の距離が出来たと思う。

 

 

 

 

この手は、実は私にも使ったことがある。

 

家を出てから毎日深夜まで長電話に付き合わされて説得されていた頃。

 

「俺もお前も家族が大事だと思ってるのは同じなんだ」

 

と力説していた。

 

その時私は、『この人は一体何を言っているの?』と混乱した。

 

息子に暴力を振るい、気に入らないことがあれば大声で怒鳴ったり無視をしたりしていた。

 

物を破壊することも多く、家具には穴が開いた。

 

そんな人が家族を大事にしてるなんて、どういうことなの?

 

まだその頃は100%コントロールされている状態だったので、自分で考えることができずただ恐ろしかった。

 

でも、息子への虐待だけは愛情ではないと感じていたので、

 

「叩いたり蹴ったりするのは愛情とは違う」

 

と反論したら、

 

「お前は何も分かってない」

 

とため息をつかれ、

 

「お前らが今よりも良くなるように、こっちも必死なんだよ」

 

とそうされることがまるで当たり前のように言われた。

 

あの頃はああいう風に対応するので精一杯だったのだが。

 

今ならもっと色んな反論ができると思う。

 

兄なんて最初から全くコントロールされていないのだから、引っかからないのも当然。

 

それで逆に兄から夫に対して

 

『あんまりバカなことばかり言っているとブロックしますよ』

 

と警告していた(笑)

 

もうブロックしても良いんじゃないかと思ったのだが。

 

今後動きがあった時のために兄だけはつながっておきたいようだった。

 

連絡をスムーズに取るためとか言ってまた私の方にきたら困るから。

 

【その役割は自分がしている】というのを明確にしているのだそうだ。