中学受験をやっていると常に付きまとい、振り回されたのが偏差値。
塾で配られる「偏差値一覧」をみると、それがあたかも「学校の良し悪し」を示しているような錯覚にとらわれます。
偏差値は、塾のテストを通じて全体の中での立ち位置を確認する上ではとても便利な指標で、その重要性を否定するものではありませんが、過度に評価、あるいは過信することは禁物だと思います。
何となく、順序を表す指標で、50を真ん中にプラスマイナス30くらいの範囲で変動するものだというイメージがあるかもしれません。
50が中央で、0から100までの尺度を表すデータだと思うかもしれませんが、全く違います。
自分は統計の専門家ではなく、ズブの素人なので偉そうなことはいえませんが、理屈の上では偏差値はマイナスもあるし、100を越えることもあります。
どういうことかというと、極端な例で考えるとわかりやすいのですが、例えば、あるテストを100人が受け、100点が1人だけで残りの99人がゼロ点だったとします。
平均点が1点というとんでもなく難しいテストということですが、この場合、100点の人の偏差値は何と、「149」になります!
そしてゼロ点の人は、ゼロ点であるにもかかわらず偏差値は49もあります!
全く得点できていないのに偏差値49は明らかにおかしいのですが、それがあり得るわけです。
逆に、100点が99人いて、1人だけゼロ点だった場合は、平均点が99点となり、100点を取っても偏差値は51にしかならず、ゼロ点の人の偏差値は何と、「マイナス49」(!)になってしまいます。
つまり、100を越えたりマイナスになったりするものなんです。
別の例を考えてみたいと思います。
100人がテストを受け、40点の人が95人、30点が5人だったとします(平均点39.5点)。
このとき、40点の人の偏差値は52、30点の人の偏差値は「6.4」になります。
ここで、40点が95人ではなく、「100点が5人、40点が90人」だったとします(平均点42.5点)。
すると今度は、40点の人の偏差値は48で少し下がるだけですが、30点の人の偏差値は40.6となり、何と34ポイントもアップしてしまいました。
満点を取った人が5人いたかいないかで全体のバラツキが大きく変わったため、大きな違いが出ました。
テストの難易度や本人の点数はあまり変わらないのにごく一部の他の人の出来次第で偏差値が大きく変わることがあります。
本人の実力以外のところでいくらでも動いてしまう。
そんな中、1回のテストでの偏差値の5ポイントとか10ポイントというのはどれほどの意味があるのだろうかと思ってしまいます。
軽視していいというわけではなく、偏差値一辺倒で物事を考えるのは危ういことだと考えます。
数値が低いからと言って悲観する必要はなく、高いからといって安心できない。
むしろテストで出来なかった問題について正答率を見ながらチェックし、得点力を着実に高める方策を考えることが大事だと思います。