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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、今回は、四十歳の男性のケースです。
この男性は、アドラーのもとを訪れた時には、神経が過敏な状態でした。
まるで判断力を失ったかのように、いとこと結婚しなければならない、という考えにとりつかれていました。
近い血筋の結婚は、それが現実であっても、また空想であっても、通常、異性に対する恐れを示している、とアドラーは述べています。
なぜなら、近親婚というのは、血を混ぜていく勇気を求める共通の感覚(コモンセンス)に反するからです。
また、近親婚志向には、臆病さと社会における不全感が原因にある、と考えられています。
この患者は、愛と結婚に向かう衝動にずっと抵抗していました。
観劇や肉食など、さまざまな楽しみを自分に禁じていました(この頃には、菜食主義者になっていました)。
純潔が最も大事だと考え、会社で取引先の女性と商談する時でさえ、ひどく動揺しました。
男性は、第一子で、弟が生まれて王座から引き落とされたことに腹を立て、母親に放っておかれた上に後ろに押しやられたとも感じていました。
そのため、父親のほうを頼るようになりました。
母親に対する批判は、後に女性すべてに広がり、とても厳しいものでした。
彼の最も古い記憶は、次のようなものでした。
「四歳の時、引っ越しました。新しい家の近くでおかしな女の人に会って、その人を堀に突き落とそうとしました」。
さらに、祖母に対しても、とても敵対的な感情を持っていたことも思い出しました。
彼は、結婚しても当たり前の年齢になり、自分でも結婚しようと思っていました。
しかし、その方法が普通ではなく、一種の妥協案として、近親者を選びました。
こうして判断力をなくし、急に後悔に襲われる様子からは、彼が整えてきたライフスタイル(人生の目標に対する一貫した動きのこと)の根深い部分が垣間見えました。
彼が本当にしたかったのは、生涯ずっと女性に近づかないという警告を強く自分に与えることだったのです。
それを警告するためにちょっとした舞台を演出し、アドラーに一つの役を割り振ったのでした。
それは、彼に結婚しないように勧め、その結婚願望は、ただ神経症が現れただけだと伝える賢明なカウンセラーの役でした。
【参考文献】
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