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心理コンサルタントの白瀧です。
さて、人生の遅い段階で発症する真性の妄想症からは、嫉妬のケースが生まれることがある、とアドラーは述べています。
ただし、この嫉妬は、無力な状態を埋め合わせるために作られた幻に過ぎません。
これをよく示しているのが、以前はとても裕福でどんな贅沢もできていたのに、その後落ちぶれてかなり貧しくなった次の女性のケースです。
結婚した二人の娘が援助してくれていたので、女性も夫も身についた贅沢を続けることができていました。
それでも、女性は、見捨てられたように感じ、制限された新しい状況に適応できない、と感じていました。
大金と権力を使うことに慣れ過ぎていたのです。
自分の家族のことで忙しい娘たちは、金銭的な援助はしていましたが、母親にあまり関心を示さず、彼女に残されたのは夫だけでした。
彼女は、失ったすべてを夫で穴埋めしようとしました。
しかし、そんな立場を引き受けることなど夫にはできませんでした。
例え夫が完全に服従しても、彼女の求める個人的な優越感が満たされることはなかったのです。
また、夫が実際に示した服従は、彼女の要求からは程遠いものでした。
こうして、彼女のすでに傷ついていた尊厳は、一層強く傷つきました。
自分の優位を追求する彼女は、夫が七十歳、彼女が六十歳という年齢であるにもかかわらず、浮気をしていると言って夫を責めました。
家には住み込みの家政婦がいたので、夫が親切にしているところを見て、二人が関係していると思い込んだのです。
それ以降、昼でも夜でも、家の中で何か聞こえれば、やはり自分の思った通りだと考えるようになりました。
家政婦は、とうとう家を出て、別の街で仕事に就きました。
それでも、彼女は、家政婦が近くにいると思い込み、深夜にドアをノックする音が聞こえたと思い込んだり、新聞の広告欄で二人が連絡を取り合っているのではないか、と疑ったりしました。
彼女がなぜ嫉妬せずにはいられなかったのかを理解することは、それほど難しいことではありません。
夫と娘たちの態度は、彼女が家族の注目を集めていたころとは大きく変わってしまいました。
そのような現実に絶望しながらも、彼女は、まだ前と同じ優越という目標を抱えていたのです。
そして、嫉妬して非難の態度を示すことによって、自分の特権を中心にして状況を動かそうとしたのでした。
【参考文献】
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