#5 先生なんだから!
6月5日(月)
お腹が空いた。
お掃除がんばったもんな。
気がついたら8時をまわっていた。
チラシとレシートがいっぱいおちていた。
お菓子の袋とかジュース、お茶のゴミも。
ちゃんと捨てようよ。
先生なんだからっ!
あと、水着の女の人が表紙の本とかもあった。中は見てないけど。
先生なのに…。
それにしても遅いな……。
学校なんてもうとっくに終わってるはずなのに。
何してんだろう…。
机にうつぶせようとした時、玄関のほうで音がした。
帰ってきた!
体を起こしてお迎えする。
「まだいたんだ…」
なんか…疲れた顔してる。
どうしたんだろう…?
「担当クラスの女子が行方不明になってしまったよ。」
先生はこっちをみた。
えっ?!それって…
思わず目をそらした。
「君もきっと探されてるよ。とりあえず、帰った方が良いんじゃないか?」
それができるならとっくに帰ってるし…。
電子レンジに映る自分が悲しそうにこっちを見ている。
そんな私を気にもせず先生は部屋の中に入っていった。
「うわっ…部屋キレイになってるし…」
驚き立ち止まるものの、すぐに険しい顔になった。
「…………アレは?」
え?…アレ?
「察して…」
顔が真っ赤だけど?
なんですか?
「雑誌とか…」
あ。水着の…!?
ゴミ袋の横を指差したらひどく怒られた。
「勝手に人の部屋片付けないでっ!」
先生なのにそんなの見てるんですかっ!
サイテー!
「中学女子みたいなこというなよ!そんくらい理解してくれ!」
さらに怒られた。
「俺は男だし…先生でもないし…。あぁ…もう帰って!!」
まさか、こんなに怒られるとは思わなかった。
ただ、部屋をキレイにしただけなのに…。
「んあぁーっ!!いちいち泣くなよ…。」
先生は困った顔でこっちをみていた。
<つづく>