#9 ちょっと待って!
6月6日(火)
目覚めた時。
今度はちゃんと朝だった。
時計は7時半ごろ。
長い手足、膨らんだ胸は昨日のまま。
キッチンには先生もいる。
そろそろ起きる時間だろうか。
今日も学校あるもんね…。
先生…?
声をかけようとした瞬間ガバッと起きあがる。
「今、何時?」
あせって時計をさがす。
時間を見てあわてる。
「起きてたんなら起こしてよっ!」
ごめんなさい……
とっさにあやまってしまったけど……
別に私のせいじゃないし…
今起きたばっかだもん…!
ムッとする私に気づく余裕もなくバタバタしだした。
いきなり服を脱ごうとするからサッと顔を隠した。
もうっ!!
着替えが終わるとカップ麺を開け、そのままバリッと口に入れ飛び出していった。
え?大丈夫なの?!
ここからだったらぜんぜん間に合うのにな…。
自転車なんだし…。
先生の行動に圧倒されてしまっていたが、またすぐ現実に引き戻された。
出ていこうにも行くところないし、お金もない。
ママに言う?
言えない…。
先生だって、ちゃんと話を聞いてくれなかった。
ママだって…信じてくれないよ。
洗面所で鏡を見てあらためて思った。
私自身、信じられないもんな…。
大人になってしまっただなんて。
使ったふとんをたたもうとしたとき、ふと荷物が目に入った。
先生のかばんと部屋の鍵と携帯電話。
慌てすぎでしょ!
今、追いかければ間に合うかな?
自転車だし、それは無理か。
とりあえず先生の上着を羽織って、荷物を持って追いかけてみた。
先生のサンダル…大きくて歩きにくい。
とりあえず、そのまま学校まで届けることにした。
<つづく>
キッチンの床なんかで寝てしまったら
身体、バッキバキになってしまうよぅ。。