お昼は学食に行ってテイクアウトした。土曜日にも関わらず、キャンパスは車と人でごった返していた。平日よりも人も車も多い。食堂は学生だけでなく、家族連れの人たちも多かった。ここが郊外地区で商業街もたいしたことがなく、ショッピングモールと呼べるほどの建物がないことから休日をキャンパス内で過ごす学生やスタッフが多いのだろう。

 

食後、行方不明になっていた、タオバオでかった7.5Lボトルを宅急便BOXで受け取った。半ば諦めていたから嬉しかった。

 

宿舎に戻り食事を終えた後、引っ越し荷物の整理に取り掛かった。この部屋は当初構造がいまいちだと思っていた。無駄に台所や洗濯室が寝室が広かったからだ。これだったら、その分でもう一室作れただろうにと思っていたのだ。しかし、引っ越し荷物を配置し始めてみると、その無駄な場所が役に立った。収納場所がたくさんあって物を置くのに困らない。ベッドもやや高めに作ってあるから、下にかなり物が置ける。すごく便利。

 

午後遅く、妻がいる民宿へ行った。電動自転車の乗り方を教えるためだ。

普通の自転車もあまり乗ったことがないというから、「普通の自転車で練習してからにしたらどう?」と最初は提案したのだが、どうしても嫌だという。ネットで調べたところ、普通の自転車に乗ったことがなくても電気自転車からスタートしたという人が少なからずいるらしいことがわかったので、「まぁ、いいか」といきなり電動自転車から始めることにしたのだ。

 

手で押すところから始めて、すぐに普通に乗れるようになった。曲がるところまで練習したところで、「ここは日が強いから嫌だ。続きは明日にしよう」とか言い出す。いやいや、まだ10分ぐらいしかやってないよ。仕方がないから、場所を変えて住宅区の中で続きを練習させた。なかなか戻って来ないから心配になったが、なんとか無事に帰ってきた。「今日はもう疲れた」というので続きは明日やることになった。

自転車もろくに乗ったことがないというから危なっかしいと思っていたが、よく考えると私よりも安全に乗れるかもしれない。私は電動自転車に乗っていてもついつい他の考え事に浸ってしまう性格だが、妻は何かをやるときは目前のことしか考えない性質だからだ。事故に遭うなら私のほうが先かも。

 

練習中に男子学生J君からQQで連絡があった。

「夜、時間がありますか?」

「うん、あるよ」

食事の誘いかと思ったら、

「ここ数日軍事訓練があるのですが、その関係で私たちがライブをやります。それを見に来ませんか?」

とのこと。

面倒だなぁと思ったが、湖南の学校で最初のコミュニケーションをミスって嫌な思いをしたことがあるから、快諾した。

最初が肝心だからな。

 

宿舎に一旦戻り、指定された時間になった頃、キャンパスに向かって出発。

しかし、30メートルも行かないところで、欧米人の女性に声をかけられた。

「1分でいいから、部屋まで来て」と英語で言われた。

「はい、いいですけど」

「すぐ終わるから」

「はい。中国語で話せますか?」

「駄目です。話せません」

・・・部屋までついて行ってみると、彼女は鍵を取り出した。

「開け方を教えてください」

なるほど。ここの鍵の使い方がわからなくて、開ける自信がなかったのか。

この宿舎の鍵は中国によくあるタイプの何回か回す、面倒くさいタイプ。それで、開けられるかなぁ~と心配だったところ、ちょうど私が通りがかったというわけだ。

私の部屋の鍵とも少し違ったので少し手間取ったが、開けてみせた。

「ありがとう」

「自分でも一度やったほうがいいですよ」

「わかりました」

カチャカチャ・・。開いた。私より上手なくらいだ。

「では、また」

*ちなみに、私の英語はそんなにスムーズではありません。

 

再び電動自転車に乗ってキャンパスに向かって出発。

指定された場所はグラウンド。グラウンドに到着すると、Jくんが迎えに出て説明をしてくれた。

J君が所属している音楽クラブが1年生をクラブに勧誘するためのライブをやるので、それを観に来てもらったとのこと。

グラウンドで、学生たちが義務となっているジョギングをこなしている中、演奏が始まった。観客は10人ぐらい。

(これで勧誘になるのかな?)と思ったが、小規模なクラブだから数人も勧誘できればいいのだろう。

1時間ほど音楽に耳を傾けた後、J君に「そろそろ帰るね」と声をかけて宿舎に戻った。

 

今日も忙しい1日だった。