番外編 康之編:
38.
俺はコーヒーを、彼女は甘いのがいいと、アイスロイヤルミルクティー
フロートとかいう長ったらしいネーミングのクリームがたっぷりと
カップの上まで盛られたアイス紅茶を注文した。
「私たちってこういう風にお話したことなかったですよね」
「う~ん、そうだ・・ね」
「気軽にお誘いしちゃってすみません」
「どうしたの? なにか・・・」
「ごめんなさい、特に亀卦川さんにっていうことでもないんですけど。
最近、付き合ってた人から酷い目にあっちゃって・・知り合いに会ったら、なんだか話を聞いてもらいたくなって」
あちゃ~ 😵、一番やなヤツじゃないか!
一瞬、別件を理由に断るべきだったと後悔が襲ってきた。
しかし、今更だ。
「ね、話は聞くけどさ、相手の名前出しはなしでね」
「そうですね、分かりました」
「それでどんな?」
付き合ってて問題発生って、大抵浮気だよなー。
「デートの約束の待ち合わせ時間より、ちょっとしたサプライズ気分で
相手の家に行ったんですけど」
あーっ、お客さんお客さん・・って、それ絶対しちゃあいけない
ヤツだ。
やっちまったかー。
「白鳥さん、俺・・何となく先が読めた」
「えーっ、どうして?」
38-2.
「えっと、予言者が当ててみよっか。相手の家から女が出て来た、
もしくは出てきたのが付き合ってる相手なら、女が奥の部屋にいた。
・・ってまさか、やってるところじゃないよね?
だとしたら、本当にご愁傷さまだよね」
「すごい、亀卦川さんって予言者になれるわ」
「だろ?」
「あーっわかったぁ~。きゃぁ~、やだなぁもう。
これだからンと・・って」
「何、なに? その反応。何か変なこと想像してるだろ」
「自分に経験あるからすぐピンときたんじゃないですかっ!」
「えーっ、酷いなぁ。話を聞いてる相手にそう絡む? あのねぇ、
俺も品行方正とは言い難い人間だけど、それはないっ。
今まで一度もないよ、二股はあるけど」
「二股、ぎゃぁ~ けしからん」(笑)
「確かに、けしからんっ」(苦笑)
「名前は伏せますけど、同業者なんですよぉ」
「同業者かぁ。手近だな」
「学生時代の友達の伝手って言っても卒業したのは遥か昔だし?
同業者は止めておこうっ、とは思ってたんですけどね、たまたま
美佐子ちゃんが好きになった相手となんとか付き合いたいからって
ことで。
週末の飲み会を開くので心細いから参加してほしいって頼まれて、
それがきっかけだったんです」
「女子のメンバーはふたりだったの?」
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