古家苺佳と大林瑤子(医師)

 

27

 ◇お迎え

 翌日のお迎え時は午前中晴れていたのにお日様が顔を隠して
どんより曇り空だった。

 眞奈は比奈ちゃんと砂場で遊んでいた。


「ママ、もう少し遊んでてもいーい?」

「いいよぉ~。比奈ちゃんちのママが迎えに来るまでね」

 そう言って大林さんを待っていたけれど、1時間過ぎても
彼女は現れなかった。


「眞奈、お買い物して晩御飯の用意もしなきゃいけないから
ぼちぼち帰ろっか」


「はーい。じゃあ、比奈ちゃんばいばいっ」

「ばいばい」

 ちょっと比奈ちゃん、寂しそうだ。


 一度は眞奈と帰りかけたんだけど、なんか気になって比奈ちゃんに
訊いてみた。


28


「比奈ちゃん、ママいつもは早く迎えに来てるのかなぁ?」
比奈ちゃんは答えず、首を振った。

「眞奈、少しだけここで待ってて」

 私は娘にそう言い残し、先生を探しに行った。


          ◇ ◇ ◇ ◇



「先生、私大林さんとは少し面識があるのですが、比奈ちゃんのお迎えは
いつも何時頃来られてるのでしょう?」

「あぁ、眞奈ちゃん比奈ちゃんと仲いいですものねぇ。
今も、しばらく一緒に遊んでて。

 大林さんはフルタイムのお仕事をされているので大抵19時ギリギリまで
お預かりしてます。

 それで有給取られてたりする日はお休みさせてますね。
 お家でゆっくりされてるんだと思います」



「他にも19時まで残ってるお家の子はいるんでしょうか?」

「週に2、3回遅くなる子はいますけど、19時までっていうのはないので、

最後は比奈ちゃんひとりになってしまうんですよね。


でも私たちがいますので大丈夫ですよ」



「あぁ、そうですよね。
 先生方がいらっしゃるのに込み入ったことを訊いて失礼しました。
 あの、今日もお世話になりました。失礼します」
 

「さよなら。お疲れ様です」

 

 

               
 
 よろしければポチ、宜しくお願いいたします。

       書く励みになります。       

 

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ