日本ではインドについてよく耳にする質問ですね。答える前に、「カレー」とは元々何なのか、正確に理解しておく必要があると思います。
「カレー」という言葉はタミル語の「カリ」に由来しています。日常のタミル語では、単に「カリ」といえば、通常未調理のヤギ肉を指します。 他の動物の肉を表すには、「カリ」の前に、その動物の名前を言います。例えば、鶏肉の場合は「コーリ・カリ」等。また、調理する時は、揚げ物(「ヴェルヴァル」)、ドライカレー(「チュッカ」)、シチュー・煮込み(「クランブ」)など、色んな方法があります。したがって、ヤギのシチューは「カリ・クランブ」と呼びます。
イギリスの植民地時代に、イギリス人がこの「カリ・クランブ」という料理を短くして「カリ」と呼び始めたのが、英語では「curry」、日本語で「カレー」等の言葉が世界的に流行るきっかけとなりました。
現在、「カレー」という言葉は、「スパイスや香味野菜で作ったソースにお肉などを煮込んで調理した、香りが高く、刺激的な味・風味のシチュー」という意味で使われています。「Curry」という言葉こそがタミル語に由来していますが、似たような料理はインド各地で昔から沢山あります。また、今ではインド・カレーの他、タイ・カレーや日本のカレーなどもありますよね。
以下、南インド、タミル・ナードゥ州の田舎生活を見せるチャンネルからのビデオです。このビデオではヤギ・カレーの本格的な作り方を見せています。(カレーの作り方だけを見るなら1分30秒から見てください)。
それでは、インド人はいつもカレーばかり食べているでしょうか?このご質問に関して、簡単に答えば「No」ですね。
現在の使い方で言えば、「カレー」は一種の調理方法にすぎません。他にも揚げ物、炒め物、蒸し物、焼き物、煮物、など、沢山の調理方法があります。それらは「カレー」とは呼ばれません。
しかし、日本を含める外国では「カレー味・カレー風味」といった使い方もよく聞きますので、調理方法というよりも、味や風味を指す言葉として使われているかもしれませんね。インドのスパイスで味付けされたものを「カレー風味」と呼んでいるのでしょうか。
そうであれば、もちろん、インド料理はスパイスで味付けされていることが特徴的だと言えると思います。日本料理の代表的な味付けは醤油、みりん、お酒であるように、またヨーロッパ料理の多くは塩・胡椒で味付けされるように、スパイスはインド料理の代表的な味付けだと言えます。ただ、インドで使われているスパイスは実に100種類近くあり、その組み合わせなども料理毎に違うので、味は多種多様ですよ。
また、すべて濃い味付けのものばかりではありません。特に家庭料理はあっさり系の料理も沢山あります。では、全インド各地の定番家庭料理のご飯とお豆スープの簡単レシピをご紹介しようと思います。さっぱりしていて、ほっとする味の一品で、日本人のお口にもとても合うと思いますので、ぜひお試しくださいね。
材料と作り方:
ハトエンドウ(皮なし、半分に割れたもの)1.5カップを洗って30分水に浸したもの、小さじ0.5のターメリック粉(ウコン)、小さじ0.25のアサフェティダ、と2.5カップの冷水を圧力鍋で柔らかくなるまで(日本式の圧力鍋なら8~10分位でしょうか)調理し、塩と好みによって少し黒砂糖で味を調え、ギー(澄ましバター)と一緒にご飯の上にかけてお召し上がりください。
圧力鍋がない場合は、普通の鍋でも出来ますが、柔らかくなるまで少し時間がかかりますし、沸騰してこぼれないように、また水気がなくならないように気を使わなければなりません。