高橋由太「くろねこカフェのおやつ 午後三時の蜂蜜トースト」
あなたなら、最後のおやつに何を用意しますか?
海を望む古民家風の「くろねこカフェ」。
寡黙な男性店主の谷中景がふるまう「くろねこのおやつ」がある。
それは景の妹・風花が社長を務める葬儀会社のサービスの一種で、
葬式の後日、故人の「思い出のおやつ」を招待客にふるまうというもの。
人気はあるが、風花は葬儀会社社長としての自分に悩んでいた。
そんなある日、担当した故人から、おやつの招待状が届き……。
切なく優しいメッセージに感涙必至の物語。
またしても、よくある飲食店のお話かと思ったら違いました。
「くろねこのおやつ」は故人が、生前に「思い出のおやつ」を「くろねこカフェ」に頼んでおきます。
葬式の後に招待状が届き、お茶会に招待されます。
「くろねこのおやつ」は故人と生きている人をつなぐもの。
だから必ずお話の中に、死が訪れます。
読んでいて苦しかったり、涙したりしました。
特に第二話の「失恋とブルーベリータルト」は辛い悲しいお話でした。
第三話も同じような体験があるので、読んでいて涙が出ました。
家族を失った傷は癒えることがない。生きているのが不思議なぐらい苦しくて、胸が張り裂けそうだ。その悲しみを忘れることも、ましてや悲しみに打ち勝つこともできずにいた。
それでも世界は動き続ける。大切な人を失っても、時間は流れていく。
大事な人の死に直面した人は、みんな同じ思いを抱くのではないでしょうか。
私が「くろねこのおやつ」をお願いするとすれば何だろう?
いいお話でしたが、唯一風花のキャラクターがあまり好きではないかな~。
続編もあるので、読んでみたいです。
風花、もう少ししっかりするかな?