翌日 5月9日 (月)
【戦勝記念式典】
《夜 at ドイツ大使館》
少佐と部下たち 荷物をまとめている
B: お偉いさん達が無事帰国して
ほっとしたけど、疲れたなあ
R: 夜に荷物をまとめてると
夜逃げする気分ですね
B: お前 したことあるのか?
R: ないけど
A: 文句を言うんじゃないよ 二人とも
キリッ!
A: ぼくたちはホテルに
宿泊できるからいいけど
予算のとれない国の情報機関や
報道関係者は
大使館借り上げのボロいアパートだぞ
B: 別に文句言ってないよな
R: うん
A: じゃ、行こう
少佐の携帯ブルル
少: お..
ABR 部屋を出る パタン
少: エーベルバッハです
部:〈私だ 今日はご苦労だったな〉
少: 何事もなく終わってほっとしましたが..
部:〈フム〉
少: Rが...
部:〈Rが?〉
少: 猫を拾いました
部:〈? ..そんなことより、雷帝は?〉
少: まだ何も
あせらずにやりますよ
部:〈自分に言い聞かせているのかね 少佐
ま、どっちにしろ君は
あと一週間はモスクワに滞在だ〉
少: イヤミを言うために国際電話ですか
部:〈いや 実はな
ボーデン湖に不時着した飛行機を
所有していたのが
旧KGBのダミー会社だと判明した〉
少: 旧KGBのダミー会社..
部:〈無論 今はその会社は存在せん〉
少: 搭乗していたのが
ウクライナの情報局員
部:〈警察が押収して分析していた
液体からはごく微量だが、
放射能が検出された〉
少: 放射能... いったい何を持ち込んだ?
部:〈保持者が被ばくせず
検疫での検出が困難で
しかも持ち運びが容易な放射性物質
となると〉
少: ポロニウム210
部:〈まだはっきり特定出来てはないが〉
少: しかし部長
液体に含まれていた物質が
210poでなかったとしても、この事件
国家レベルの関与がありそうですな
部:〈そう考えて間違いない
こっちに残っているのはCGH..〉
少: Cにこの件を調べるよう指示します
部:〈せっかく部下を引き連れて
モスクワ入りしとるんだ
軍事のみならず各方面の情報を
“もれなく” 集めて来てくれよ、少佐〉
少: おれに中国のスパイを見習えと?
部:〈・・・〉
《翌日 at 外務省》 5/10 (火)
会議室近くのロビーにZR 待機
R: テロ対策の交通担当閣僚会議の
事前調整が
なんで外務省であるのかな
Z: 交通省の方が手狭で老朽化している
からだと思いますけど
R: そうか
A先輩たちは独自の情報網を使って
情報収集してるけど
私たちはほんとのカバン持ちね
Z: 仕方ありませんよ キャリアの差です
一朝一夕には人脈は出来..
Zの携帯 ブルル
Z: ちょっと失礼
R 窓から外を見ながら
R: 今日のお昼 少佐は何を食べるって
言うかな
どうせならロシア料理の
ビジネスランチがいいな
モスクワって食事代が意外と高いのよね
Z: 先輩!
R: ン?
Z: フランクフルター・アルゲマイネの
モスクワ支局の記者と
あさって食事の約束がとれました
R: あなたもモスクワに人脈があるのね
Z: 大学の先輩なんです
ロシア人の支局員も来るそうです
先輩も一緒に行きましょう
R: ええ でもどんな話をしたらいいのかな
Z: 普通の話でいいんです
情報をとろうなんて思ったら逆効果です
R: ヘェ...
Z: 信頼できる人間だと思ったら、
彼らの方からそれとなく
情報を流してくれます
R: 信頼できる人間..
Z: 先輩だって情報を渡すなら
そういう人間を選ぶはずです
パタン!
会議室のドアが開いて参加者が出てくる
R: ねぇ 今日、少佐 何食べるかな
Z: ロシア料理って提案してみましょう
あ、少佐..
少佐 会議室から出てくる
後から女性が追いかけてくる
エ: 少佐! エーベルバッハ少佐!
お待ちになって!
少佐 振り向く
エ: NATO情報部の
エーベルバッハ少佐ですわね
フランス対外情報部ですわ
少: おれに何か用ですか?
エ: まあ 素っ気ない言い方
仕事以外のことで
呼び止めてはいけませんの?
ZとR ほど近いところで見ている
R: (おフランスの女スパイはコケティッシュ
エマニュエル・べアール風... )
エ: 近くにおいしいレストランがありますの
よかったらお昼をご一緒に
少: いや結構
昼メシは部下ととることにしています
エ: そんなことおっしゃらないで
パリジェンヌはお嫌い?
モスクワでパリジェンヌと
デートなんていかがかしら?
少: ・・・
R: (少佐 押し切られるのかな
それとも好みのタイプかな)
参加者の一人(男性)
少佐とエマニュエルの間に入る
MI: フランス女性は魅力的な男性を
捕まえるのが早い
少: MⅠ6 (SIS) か
少佐 タバコを取り出す
MI: いかにも
世界に冠たるイギリスのMⅠ6
少: あんた、ロレンスの弟子か?
MI: いかにも ロレンス大尉は
私の先輩であります
少: ・・・
MI: ところでロレンス大尉より
鉄のクラウスに大事な伝言が
少: ロレンスからの大事な伝言?
どうせ大したことじゃないだろう
MI: いえ 大尉によりますと、
これは鉄のクラウスの
生死に関わる問題と
少: .....何なんだ?
(フン ロレンスのやつ 大げさな)
MI: では私といっしょにビジネスランチを
エマニュエル さっと少佐の腕をとって
エ: 少佐には先約がございますのよ
三人 連れ立って外へ
ZR ボーゼンと見送る
Z: さすがフランス女性は
色っぽかったですね
R: ・・・
Z: 先輩?
R: な~にがパリジェンヌなんだか!
少佐も少佐よ
ちょっと色目を使われて
その気になって! フン!
Z: 少佐はロレンスの伝言の方に
興味があったんですよ
R: あ~んなチマチマしたのが
好みだったなんて 知らなかった
私は好きじゃないわ ああいうタイプ
Nadiaの方がずっと美人だわ!
Z: (先輩はいったい何を言いたいんだろう.. )
To be continued