司法書士・行政書士の山口です。
電車の人身事故…多くは飛び込み自殺です。
この自殺をすると、遺族に損害賠償が請求されます。
振替え輸送、線路や電車の修理費、遺体の回収などがあるからです。
令和4年の自殺者数は2万1881人。
前年に比べ874人(4.2%)増のようです。
男女別にみると、男性は13年ぶりの増加、女性は3年連続の増加。
男性の自殺者数は女性の約2.1倍のようです。
(警察庁のデータより)
その内、電車の飛び込み自殺(人身事故)は、年間で1000件程度は起きているものです。
近年は、割と少なくなっているようです。
上記の鉄道人身事故データベースによれば、
1位:2010年(1363件)
2位:2013年(1254件)
3位:2012年(1238件)
4位:2011年(1220件)
5位:2014年(1154件)
6位:2016年(1112件)
7位:2015年(1106件)
8位:2017年(1065件)
9位:2018年(1061件)
10位:2019年(1022件)
11位:2021年(964件)
12位:2020年(963件)
13位:2022年(932件)
14位:2023年(470件)※継続中※
ここ4、5年は、件数としては割と少なくなっているようです。
この人身事故を起こしてしまった場合。
「遺族に損害賠償が行われる」という話は聞いたことがあるかもしれません。
法律上は、「不法行為」というものにあたり損害賠償の対象になります。
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
自ら電車へ飛び込み自殺する行為は、この不法行為に該当。
飛び込みに限らず、喧嘩や泥酔、踏切への無理な進入、老人の転落…
これらのものに、故意・過失(不注意)があれば、賠償責任が発生するというわけです。
列車の人身事故の損害額というと、数千万円ぐらいを想像されることが多いかもしれません。
脱線すると損害額は大きいようですが、そうでない限りは数百万単位で済むことが多いようです。
あとは、ラッシュ時か都心か地方か?こうした状況によっても変わるようです。
さて、この賠償金を鉄道会社から請求された場合相続放棄できるか?
という点ですが、結論として相続放棄は可能です。
いくつか注意点はあります。
①次順位の相続人のことも視野に入れる
②持ち家などがあると相続放棄はきつい
例えば、子が飛び込み自殺をした場合。
親が相続放棄をすると、その親(子のおじいちゃん・おばあちゃん)に相続権が移ります。
つまり、自分たちだけが相続放棄をしても、他の親族に迷惑をかけてしまう。
この辺りをケアする必要があるため、親族全員で相続放棄するよう検討したほうが良いでしょう。
次に、夫が飛び込み自殺をした場合。
持ち家があると、それは相続財産です。
家を相続するなら、賠償金も相続する。
賠償金を相続放棄するなら、家も放棄する。
こんな結論になってしまいます。