8強の勢力図に異変、近畿勢ゼロに
■顔ぶれは東北3校、関東2校、九州2校、中国1校
夏の甲子園は17日(木)までに3回戦が終了、8強が出そろった。3回戦終了後の抽選で準々決勝の組み合わせが決まり、第12日の19日(土)に4試合が行われる。
準々決勝の組み合わせは次の通り。
第12日 準々決勝
沖縄尚学(沖縄)×慶応(神奈川)
土浦日大(茨城)×八戸学院光星(青森)
神村学園(鹿児島)×おかやま山陽(岡山)
仙台育英(宮城)×花巻東(岩手)
8強の顔ぶれをみると、東北勢が3校、関東勢2校、九州勢2校と3地区に集中しているのが分かる。そしてなんと近畿勢はゼロという結果になった。勢力図に異変が起きているのだろうか。
履正社と智弁学園が3回戦で敗退、地元の近畿勢はすべて甲子園の舞台から去った。最近5年で見ると近畿勢は少なくとも2校は8強入りしており、21年には8校のうち5校を近畿勢が占めた。しかも4強入りしたのはすべて近畿勢、まさに絶頂期だったのかもしれない。
それにしても今夏に7年ぶりに8強入りが1校もいなかったのは不思議ではある。単純に実力が足りなかったのか、あるいは組み合わせによるものか、いずれにしても異例なこと。
一方で土浦日大、神村学園、おかやま山陽の3校は初の8強入りを果たした。沖縄尚学、八戸学院光星は8年ぶり、花巻東は10年ぶりの8強入り。慶応の場合は15年ぶりの8強入りである。
夏連覇をねらう仙台育英はなにか別格な存在に見えてくる。他の顔ぶれをみると、優勝の1番手に挙げられるのは当然ではある。
準々決勝で注目したいのは2つの対戦カードだ。ひとつは第1試合の沖縄尚学(沖縄)と慶応(神奈川)の対戦、そして第4試合の仙台育英(宮城)と花巻東(岩手)の東北勢対決だ。
沖縄尚学vs慶応
■絶対的エースの右腕東恩納をV候補の慶応はどう攻略するのか
沖縄尚学の右腕東恩納は最速147㌔の直球とスライダーなどの変化球を駆使して、今夏は県大会からほぼ1人で投げ切って無失点を続けてきた。甲子園3回戦の創成館戦で8回に初失点を許したが、5-1で完投勝利、9年ぶりの8強入りに導いた。絶対的エースを擁する沖縄尚学は「初の4強」を目標にしており、そのためにはV候補の慶応を倒さなければならない。
慶応は3回戦で夏出場24回の強豪・広陵と対戦。序盤に3点を奪ってリードしたが後半に追いつかれて延長タイブレークに。10回に5番・延末の2点タイムリーなどで3点を奪って6-3で下し、15年ぶりの8強入り。森林貴彦監督は「同点は想定通りと思って終盤に向かった」と語っていた。冷静に戦局を見据えて堅実な采配を振るった結果の勝利だった。
投手陣はエースの小宅、鈴木、松井の3人による継投。注目の強打者・真鍋を擁する強力打線に13安打を許したものの、3失点で勝ち切った。慶応は投・攻・守のバラスがいいので凡ミスがなく隙がない。
沖縄尚学の右腕東恩納にどう立ち向かうのか、そのための攻略法を観察するのもひとつの楽しみだ。
仙台育英vs花巻東
■東北勢対決、直近の実績は仙台育英が断トツ
仙台育英は履正社とのV候補対決を4-3で制して準々決勝に進出、夏連続制覇に向けてまた一歩前進した。2-2の同点で迎えた3回裏に、守備の乱れが出て3つのエラーで1点を失い、県大会を含めて初のリードを許す。4回に1番・橋本のタイムリーで同点に追いついたものの、7回までは投手戦が続き3-3のまま。
動いたのは仙台育英。8回表に先頭打者の3番・湯浅が右2塁打を放つと、4番・斎藤陽が犠牲バントで一死3塁にした。ここで5番・尾形がきっちりとスクイズを決めて勝ち越し点をもぎ取った。須江航監督は「こんな試合はスクイズで勝負が決まる」と思ったそうで、事前に尾形に「スクイズ行くぞ、カウントは任せる」と言ったそうだ。強力打線であっても機動力も生かす試合をして勝ち抜くーこれも同校の強みだ。
盤石と言われる投手陣。先発の右腕湯田が5回まで投げて、エースの右腕高橋に継投、逆転は許さなかった。
花巻東は長打力のある強力打線の智弁学園を5-2で下し、10年ぶりの8強入り。高校通算140本塁打を記録している3番・佐々木麟が3安打2打点の活躍。打線をけん引してチームは16安打を放ち智弁学園に打ち勝った。
直近の実績では仙台育英に及ばないが、打線に爆発力があることは智弁学園戦で証明した。まだ甲子園では佐々木麟に一発は出ていないが、序盤でビッグイニングをつくって打撃戦に持ち込めば勝機も出てくるが・・・。「150㌔トリオ」の仙台育英の投手陣を打ち崩して10年ぶりの4強をめざす。
==============
3回戦の結果
沖縄尚学5-1創成館
慶応6-3広陵
八戸学院光星6-3文星芸大付
土浦日大10-6専大松戸
仙台育英4-3履正社
花巻東5-2智弁学園
おかやま山陽7-2日大三
神村学園10-4北海