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※この記事はあくまでも私が感じた総体的な印象と、「こんな子におすすめ」、「こういう子なら書きやすいかも」 という点だけピックアップしています。私の感想や作品のあらすじ、書き方のポイントなどには一切触れませんのでご承知おきください。
図書館がくれた宝物ケイト・アルバス 作櫛田理絵 訳
ケイト・アルバスさんは米国の児童文学作家 なんと、本書がデビュー作なのだそう
心理学者として研究に携わっていたキャリアがおありで、創作の集まりへの参加をきっかけに、物語を書き始めたのだそうです。
この本は、2021年ニューヨーク公共図書館ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー児童書部門に選出されています
そして翻訳の櫛田理絵さんは、大学在学中から国際人権NGOでボランティア翻訳をされていたそうで、鉄道会社勤務を経て翻訳のお仕事に進まれています過去にも、翻訳をされた著書が読書感想文コンクールに選出されていたこともあります
さあ、読書好きはタイトルだけで惹かれてしまいそうな、この作品。
戦争関連作品は夏休みの課題図書に選出されやすいテーマで、今夏も3~4年生の課題図書『いつかの約束1945』(考察記事はこちら)、同じく5~6年生の課題図書にも『ぼくはうそをついた』(考察記事はこちら)などがあります
しかし、この『図書館がくれた宝物』は1940年、第二次世界大戦中のイギリスが舞台。日本とは違う世界観で、戦争の悲しさが語られ ヒットラーによるナチス・ドイツと苛烈な侵攻が作中にも描かれています。(なつかしの、サウンド・オブ・ミュージックのトラップ一家を思い出しました。あちらはまさに戦渦のオーストリアからスイスへ亡命するお話ですが)
主人公は12歳のウィリアム、11歳のエドマンド、9歳のアンナの3兄妹 とある秘密を抱えてロンドンを離れ農村部へと疎開し、様々な苦難に遭うなかで、図書館が心のよりどころとなります
私の印象ですが、この『図書館がくれた宝物』はすごく読みやすく、小学生のお子さんでも読み進めやすい文章です。これは翻訳者さんの技ですね
マイナー言語に比べれば英日翻訳を手がける方はすごく多いですが、小学生が読むことを意識されて翻訳をしてくださっているのが感じ取れました。
もちろん歴史上の言葉やイギリスならではの文化に関する記述がありますが、そのつど注釈がついていますので、読み手も混乱することなく読めますよ 私自身も「へえ~」とうなずきながら読んだ箇所多し
作中には『小公女』や『ピーターパン』、『赤毛のアン』といった作品名も登場しますので、そうした 海外を舞台にしたお話が好きな子 は、ぜひとも読んでほしい1作です。
巻末には作中に登場した本もリスト化されていますので、お子さんの読書傾向も広がりそうですよ
第二次世界大戦下の話ではありますが、家族の絆、家族のあり方について琴線に触れる作品ですので、家族のお話が好きな子も感想が出てきやすいと思います。
『図書館がくれた宝物』――原題は、A PLACE to HANG the MOON(月をかける場所)です。本書を最後まで楽しむと、このタイトルの意味に納得できるかと思います
お子さまの夏休み、読書と作文を少しでも楽しんでいただけるようがんばります
お読みくださりありがとうございました♪