CALENDAR
S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< July 2006 >>
SEO対策
解析
MOBILE
qrcode
ARCHIVES
CATEGORIES
ウォーターマッシュルーム
 この植物の名前が、ウォーターマッシュルームという名前だというとこも、ついぞ最近まで知らなかった.何とも可哀想な話である。数年前、事務所にグリーンがひとつもないと思い立ち、柄にもなく手のひらに乗るくらいの小さなミニポットの彼を気にしない程の金額で買ったことを覚えている。ただ、その葉の形状が面白く、皿回しの様で少しだけユーモアがあり、水生で育てやすく日差しはあまり欲しがらないとかなんとか言われて衝動買いしたのだが、北向きの窓辺にあるそのグリーンはずっと何とか生きていると言った感じで、頼りなげだった。新しい葉が伸びるかと思うと、成長した葉の色が悪くなり、枯れていく。足し算と引き算の繰り返しで、一向に生育しない。いつだったか、少し大きめの鉢に変えてあげ、水が腐らないハイドロコーンを足してあげたが、たいした成果は上がらなかった。
 昨年などは、ほとんど事務所にいることもなく、ずっと静寂の淀んだ空気の中で一人窓辺にいたのだが、見る度にもうダメかなと心配だった。もともと弊社は、北向きにしか窓がなく、それも隣家と対面しているから、ブラインドをおろしていることもか多く、お日様には恵まれていない。仕事を集中してするには何とも具合の良い空間だが、植物には足がないから、可哀想な場所なのかも知れない。
 この春から、この机で仕事をすることが多くなり、目につくようになってからは、彼の名前も調べた。「ウォーターマッシュルーム」やっぱりユーモアのセンスはあるようだ。調べていくうちに、やはり日差しが必要であることなど、当時の記憶と違う情報が入ってきた。店の人の説明が間違いだったのか、私の記憶違いかは定かではない。しかし彼には悪いことをした。ウォーターマッシュルーム君、ごめんなさい。それから天気が良い日は、階下の玄関の傍らで、午前中の光だけを与えて、お昼休みに水を変えて定位置に持ってかえってくることにした。結果は、言うまでもない。
 彼の元気なグリーンの色と、ピンと張り堂々とした葉を見るにつけ、何年も申し訳なかったなと思う。私たちは、図らずも、罪作りなことをする動物である。自覚がない罪は始末が悪い。人間関係だってそうかも知れない。愛情には、深さも広さも無限にある。少しだけかけて忘れたり、持て余して投げ出したりすれば、裏返して業をする。この、少しだけおどけたグリーンの、かすかに揺れる元気なまん丸い葉を眺めながら、なるべくなら、もの、こと、人に触れるたびに、みんなが元気になればいいなと思う。
| エッセイ | 08:47 | comments(0) | trackbacks(0) |
| 1/1PAGES |

  膺肢鐚