なんという歴史的展開だろう  ——翁長雄志・沖縄県知事が開いたもの


『生き抜くための省察録』から

なんという歴史的展開だろう

  ——翁長雄志・沖縄県知事が開いたもの


夜の言葉〔第014葉〕



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 なんという歴史的展開だろう。

 今回の翁長雄志・沖縄県知事と安倍晋三・内閣総理大臣との会談の意義は、もはや日本国に消滅しかかっている——あるいは、むしろ最初からなかった——「民主主義」の理念そのものを、究極の抵抗の手段とも、また最終の目的ともして、状況を根底から覆す大技が、沖縄から仕掛けられたことだ。

 いかにも、いまや日本国においては、政府も社会の大勢も、人間としての倫理が重大な破綻に瀕している。
 だが少なくともアメリカは、その建前上、正当な手続きにおいて示された「民意」を公然と蹂躙することはなるべくしたくはあるまい。

 もとより、最初から日本政府に対してなど、ひとかけらの「期待」もない。
 だが、日本国内閣総理大臣・安倍晋三を「使者」として、全世界にアメリカの民主主義の存否を問うのなら、それはどうか? 
 
 今回の翁長—安倍会談に際し、その言葉の圧倒的な力に慌てふためいて、翁長発言を封じ込めようと、途中で「公開」を打ち切るという政府側の拙劣極まりない対応は、当然、事柄の理非曲直をよりいっそう明確にした。
 いまや、安倍が訪米するよりも早く、もはやオバマ大統領自身が翁長雄志・沖縄県知事からの、全世界を意識した公開質問状を受け取っているに等しいのだから。

 その売国的・亡国的ファシズムの完成を目論んでの訪米前に、あまりに軽率にも試みた、翁長―菅会談、そして翁長―安倍会談は、日本政府側の思惑としては、内外の輿論(よろん)に対しても、アメリカ政府に対しても、辺野古問題の〝アリバイ作り〟となる筈だったのだろう。
 だが——昨年11月の選挙当時、述べた通り——あるいは史上、最も卓越した存在かもしれない沖縄県知事・副知事と、疑いなく史上最低・最悪の首相・官房長官とでは、その政治的・人間的力量が、あまりにも違い過ぎた。

 問題はついに、人類史上最強の超大国に、沖縄がその尊厳を賭け、論理と情理を尽くして、人間としての覚醒を迫るという局面へと、一気にこぎ着けたのだ。
 
 この闘いの帰趨を、私は到底、楽観しない。むろん、できる訳もない。
 政治は、その全過程にたえず思いがけない策動と裏切りの可能性を抱え持ち、そして何より日本国家は、政府・メディア・大衆社会のいずれもが、あまりにも腐蝕しきっている

 だが、いま——少なくともいま、私たちが選んだ県知事の叡智と勇気を振り絞った抵抗の姿勢に、私は胸が熱くなる。






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by uzumi-chan | 2015-04-19 02:02 | 【C】夜の言葉

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