長年使っていた柱時計を処分する事にしました。
この時計の振り子はすぐ止まってしまうので
動かす事を諦めてからもう10年は触っていませんでした。
それでも2本の針は元気だったので時計としての役割は果していたのです。
この振り子に不思議な事が起きたのは2年前。
母が亡くなった時でした。
居間に母のお骨を置き供養の用意をし、お線香をあげてからふと、音に気付いたのです。
カチ カチ カチ カチと。
何だろう?と周りを見渡して時計に目がいきました。
振子が動いていたのです!
エッ?! どうして………!
驚きました!
私の他には誰もいないのに、時計には触ってもいないのに なんで?と 。
すぐに姉に電話で教えると 姉はこう言いました。
きっと母さん○○ちゃん(私の名前)が心配なんじゃないのかな?と。
きっと近くに居るんだよ。と。
生前母はあの動かない振り子を気にして
私に よく動かしなさいと言ってました。
何度も手で左右に振るけれどすぐに止まった。
もしかして、私が思う以上に気になっていたのかな? あの振り子の事。
それからの数日間 夜中に玄関のチャイムが2度なってドアを開けると誰もいなかったり、
ソファーでうたた寝をしているとまたチャイムが鳴ったりした。
朝5時にピンポーンと鳴ったり・・・
勿論出ても誰もいません。
その間もあの振り子はずっと動いていました。
そうして、四十九日を迎え 雪が溶けて春になったら納骨をしようと決め
お骨は仏壇の前へと移動しました。
その夕方です。
振り子はゆっくりと振幅が小さくなりやがて
止まりました。
以前のように手で動かしてみたけれど、半日ももたなかった。
あの日から1度も動きません。
何かを伝えたかったのかな……私に
文字盤が歪んで剥がれてきたので棄てる事を決めたけれど
母は きっと許してくれると思う……
もう、いいよね? 母さん