目の前も後ろも白の彼岸荒れ
すっぽりと雪の礫に包まれり
四方八方なんにも見えず
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15年前のことだ。札幌で用事を済ませ、当時住んでいた三笠へ帰宅する時だった。
車を運転する夫が「車が少ないから」と考え、交通量の多い国道ではなく、新篠津村(石狩管内)の道を通って帰ることになった。
冬の青空が続き、気分も晴れやか。見渡す限りの農地で、風を遮るものは何もなかった。
しばらく走ると、地吹雪がいきなり襲いかかってきた。車道が分かりづらくなった。
一瞬にして青空がかき曇り、雪が激しさを増す。車道が消えた。夫は、ハザードランプとヘッドライトをつけ、路肩に停車した。
雪が視界に満ちる。方向、高低、地形の起伏が分からない。
白い闇の、不思議な世界に身を置くことになってしまった。
いずれやむだろうとは分かっていても、「ここから抜け出せなくなったら」と思った。
車内に災害への備えは何一つない。命の危険にさらされている―。
いきなり「ドン」と鈍い音がして、何かが車にぶつかった。辺りが少し明るくなってきた。
反対車線から来た乗用車と分かった。夫は「こんな時は誰がぶつかっても不思議ではない」と言い、新車に付いた傷をなでる。相手は何度も頭を下げた。吹雪はやんでいた。
降り始めから30分ほどで天気が回復した。さらに長引いていたらと考えると、ぞっとする。
日々暮らす場でも、予報もなく天気の急変に襲われることを体験した。
寒い冬になるたび、このホワイトアウトを思い出す。 片桐恵子(80歳)=札幌市東区(北海道新聞いずみ欄2023.3.11より)
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北海道に住んでいると一度や二度この地吹雪に遭遇することがある。
私も数年前に大丈夫だろうとたかを括ってあと数分で着く家に行く途中、ホワイトアウトに遭遇、結果車が雪山に突っ込み身動きが取れなくなった。遭難の一歩手前である。
それ以来青空が見えるとき以外は冬は其処に行かないようにした。
冬道は侮る勿れである。
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だんだん春めいてきた今日この頃、毎年春のお彼岸の頃には彼岸荒れが来ると言われている。
昨年も二階の玄関先の階段が天井まで雪で埋もれた。
今年はまだ吹雪が来ていない、彼岸荒れがやって来るのか戦々恐々の昨今です。
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