第1部では、メディアの「議題設定機能」に着目し、2006年~2010年の「リーマンショック期」、2012年~2013年の「生活保護見直し期」、2020年~2021年の「コロナショック期」、以上の各時期において、テレビ・メディアが貧困をどう伝えてきたか、放送時間の計量と、主だった特集番組の検討をとおして、明らかにしている。
第2部では、反貧困運動、生活困窮者支援活動を展開してきたキーパーソンが、それぞれ貧困問題にどう対峙してきたかを語る。
「リーマンショック期」に可視化された貧困問題が、第二次安倍政権下において忘却され、「コロナショック期」において問題を報道する番組の放送時間は増えたものの世論を大きくは喚起しなかった、以上の一連の経緯がよくわかる内容となっている。
近年、窮乏化する人々の不満を焚きつけて支持を拡大する、デマゴーグ政党、「日本維新の会」の暗躍が際立つが、最低賃金の引き上げをはじめとした労働条件の改善を要求する運動が、日本でなぜ活性化しないのか、本書を読んでも、その問いが解けることはなかった。
テレビ報道からSNSまで―。「貧困」の実相は伝わっているのか?「ネットカフェ難民」「派遣村」「コロナ貧困」などの現場を取材してきた著者が、「貧困報道」の変遷を詳細に分析し、問う。そして、支援活動の当事者やその活動を伝えるジャーナリストらの証言を通して、高度成長期以降の日本社会に巣くう病理に迫る!
目次
第1部 貧困問題をメディアはどう伝えたのか?
ワーキングプアとネットカフェ難民
日本の貧困を可視化させた「派遣村」
集中豪雨のような「生活保護バッシング」報道
コロナショックで再び貧困が問題化
SNS時代の「貧困」の伝え方 ほか
第2部 証言:2つの「貧困」の時代をどう見るのか
湯浅誠 「派遣村村長」「反貧困の男」のイメージを背負って
東海林智 活動する側にも参加する異色の“貧困ジャーナリスト”
清野賢司 “東京・豊島区ローカル”で困窮者支援を続ける
藤田孝典 「下流老人」はあなたの問題だと訴えたい
奥田雅治 「労働問題で企業名を出すのは当たり前」 ほか
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