一昨年の10月に始まった朝日土曜版beの連載小説「暦のしずく」
(沢木耕太郎)がこの度完結した。
その第一回の結びは「長い日本の芸能史において、ただ一人だけ
によって死刑を処せられた芸人は、その名を馬場文耕という。講釈師
だった」。
市井の人情ものの講釈で人気の出た馬場文耕は次第にお家騒動、旗本
や幕閣などの不逞を題材にするようになる。そして美濃郡上で続く百姓
一揆の顛末を「故あって」事実通りに講釈し、他家の内実を流布した罪で
捉えられ、市中引き廻しの上獄門となる。
最終回の「了」の次に「※参考文献は単行本に明記」と書かれるので、
すぐに発刊されるだろう。よって「故あって」の故はネタバラシとなる
ので差し控えよう。挿絵は茂本ヒデキチ。
夜中にも雷と豪雨があったが、台風一過の晴れの今朝、江戸川
河川敷の冠水はやや減った。日の出の上の飛行機雲を追う。