みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1408「審判の日」

2023-08-13 17:46:28 | ブログ短編

 ある日のこと。テレビのすべてのチャンネルで不思議(ふしぎ)な放送(ほうそう)が流(なが)れ出した。画面(がめん)に温和(おんわ)な感じの中年紳士(ちゅうねんしんし)が現れると、何とも心地(ここち)よく染(し)み渡(わた)る声でしゃべり始めた。
「すべてのみなさまにお知らせします。神(かみ)は、最後(さいご)の審判(しんぱん)の日を三日後とお決(き)めになりました。みなさまにおかれましては、それに向けての準備(じゅんび)を始めて下さい。時間はあとわずかです。では、また三日後にお目にかかりましょう」
 人々はいろんな場所(ばしょ)に集(あつ)まると、このことについて議論(ぎろん)が巻(ま)き起こった。ある人は、これはフェイクでテレビ局(きょく)の陰謀(いんぼう)だと叫(わめ)き散(ち)らし…。またある人は、ウチは仏教(ぶっきょう)だから関係(かんけい)ないわと無関心(むかんしん)をよそおった。中には、「審判ってなに?」って言ってる人も…。
 騒(さわ)ぎが大きくなったので警察(けいさつ)も重(おも)い腰(こし)を上げた。だが、いくら捜査(そうさ)しても電波(でんぱ)ジャックをされた痕跡(こんせき)が見つからない。驚(おどろ)くことに、世界中で同時(どうじ)放送されたことが分かった。これはもう警察の手に負(お)えない状態(じょうたい)だ。それでも人々は犯人捜(はんにんさが)しを止(や)めなかった。あの紳士とよく似(に)た人がいるという通報(つうほう)が相次(あいつ)いだ。
 そして、その日が訪(おとづ)れた。最後の審判の日だ。世界中の人たちが眠(ねむ)れぬ夜を過(す)ごした。朝になると、人々はテレビの前に神妙(しんみょう)な顔で座(すわ)り込んだ。そして、あの放送が始まった。
「おはようございます。これから審判を始めさせていただきます。なにも怖(こわ)がることはありません。心穏(こころおだ)やかにお待ち下さい」
<つぶやき>こんなことが起きたら…。あなたは、この三日間をどう過ごすのでしょうか?
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