今シーズンの不知火の着果状況は園地による差はあるものの多めのようです。
特に樹齢が高くなっている園地はその傾向が強く、反対に若い木が多い園地は若干ですが少なめとなっています。
不知火の摘果は一発摘果といって、最初の摘果作業において仕上げに近いくらいの量まで落としていくことが望ましいといわれています。
それは果実の肥大化を促進させることが目的で、不知火は大きいほど価値が高いといわれているのが要因だと思います。
しかし、当園でこのような一発摘果は行いません。
それにはそれなりの理由があるのですが、一番の理由はこれから秋口にかけての台風の影響を考慮しているということです。
それは風による擦り傷による被害があった場合、精品率が落ちてしまうことへの対応なのですが、これには各農家さん、様々な考え方を持っておられると思います。剪定作業をしっかり行っていれば風が吹いても果実に影響は出ないという考え方もあります。
そのようなことでここではどの方法が良いのかについては触れないでおきます。
当園での最初の摘果は奇形果や尻に穴の開いた実、そして、明らかに小さい小玉を中心に摘果して、残しておく実は結果枝になっているものを残しておくようにしています。
今シーズンは穴の開いた実が多い!
当園の不知火園は全部で4か所あるのですが、全体的にみても着果量の多い傾向にあります。
また、実のお尻に穴が開く穴あき果が全体的にみても多いような気がします。
この穴の出来る現象、何が原因なのかは分かりませんが、不知火独特の症状だと思われます。
毎年、同じ園地で発生するのであれば原因の特定も出来るかも知れませんが、今のところその年によって多かったり少なかったりするので、木そのものの状態によるものとは考えにくいですね。
また、剪定による影響も考えてみたのですが、今シーズンに特別な剪定を行ったわけではないので、これも原因とは考えられません。
もしかすると、気候による症状かもしれないのですが、はっきり特定できるほどでもなさそうです。
このような穴の開いた果実は見た目が悪くなるだけではなく、一種の奇形の症状と同じで、綺麗な果実にならないので商品価値を下げてしまいます。
また、その穴の部分が腐敗しやすいことも価値を下げてしまう要因になります。
なので、当園では穴の大小にかかわりなく、全てを摘果の対象としています。
大小様々な実が生っている状態…。
着果量が多くなった場合、全ての柑橘でいえることは全体的に小玉の傾向にあるということです。
実が多くなればそれだけたくさんの栄養が必要になってくるので当然の結果なのですが小さな実もそれなりのサイズでなれば商品価値は下がってしまいます。
特にこの不知火は大きいサイズが価値が高いということなので、ワンサイズでも大きな実を作ることを意識しておかなくてはいけません。
そのため、最初の摘果である程度まで落としていくのですが、その際は結果枝に生っている実を残すように意識します。
もちろん、奇形果や穴あき果、キズがあったり小玉のものに関しては摘果の対象になります。
さらに、これからの時期になると裂果も出始めるので、気が付いた時には落としておくのが望ましいようです。
具体的にどの程度の実を残しておくのかというと、葉の数で約40枚から50枚程度に1個の実を残すことを意識しています。
しかしながら、作業中に葉を数えることは出来ないので、アバウトな感覚で作業を進めています。
また、天生り果も糖度が低くなる傾向にあり、果汁も少なくなることがあるので、摘果の対象にしています。
そして、この時期の摘果作業が終了すると次は仕上げ摘果になります。
この際に見落としや小玉といった実を落としていくことが当園の方法です。