父の訃報を聞いたのは20年前の福岡に住んでいた時でした。ずっとずっと主人がそばで支えてくれました。そして一昨年、母が亡くなったと聞いた時に、思い出すのは、あの日の主人の事ばかりで、いま主人が隣にいない自分は、なんてちっぽけなんだろう、ひとりになってしまった、と思いました。帰省する準備もはかどらず、まとまらない。礼服が見つからない。前回はいつ着た?母は何日か前にPCR検査を受けて陰性とわかったところでした。実は私も何日か前に検査を受けて陰性とわかり、念のための待機も終わったところでした。虫の知らせはなかったけれど、きっと母はそれまで待ってくれたのかもしれません。待機中なら帰省できなかった。お通夜、葬儀に参列できないなんて、最期のお別れができないなんて、考えただけで胸が張り裂けそうです。もっとも恐れていたこと...母のこと。