ユーフォルビアは,ほぼ守備範囲外です.結構な大家族なのに,ウチにいるのはわずかに数種,しかも無加温ハウスでサボテンと同居させても元気に過ごせるという条件をクリアーするものだけ.おのず珍しいものは皆無.ボクにとって,ユーフォは沼でもなんでもありません.それでも時々目の前を通過するユーフォを少しでも理解すべしと思い,この新刊を手にしました.90種余りを写真で解説されていて,ユーフォ全般を眺められるよう...
ユーフォルビアは,ほぼ守備範囲外です.結構な大家族なのに,ウチにいるのはわずかに数種,しかも無加温ハウスでサボテンと同居させても元気に過ごせるという条件をクリアーするものだけ.おのず珍しいものは皆無.ボクにとって,ユーフォは沼でもなんでもありません.それでも時々目の前を通過するユーフォを少しでも理解すべしと思い,この新刊を手にしました.90種余りを写真で解説されていて,ユーフォ全般を眺められるよう...
少し古い写真を取り出し,ヘキランに出る病気を記録しておきます.他の有星類にも出ますが,特にヘキランで目につく病気です. まずは古い写真ですが,7年前の三角ヘキラン,秋の姿です.茶褐色のシミが次々と広がっていました.ダコニールを塗布し,さらに半年後の様子です. こうした処理により病斑はそれ以上は広がらず,下の写真は現在の様子.増稜してすっかり風貌は変わりましたが,その後病気の再発はありません. 次...
昨年7月にキリンに乗せたヒルホの一つが咲いてきました.これはEriosyce occulta RS1958です.Neochilenia occultaだったりPyrrhocactus occultusだったりThelocephala occultaだったりと収まりの悪い種です.このRS1958の故郷情報は,チリのタルタルとラスブレアスの間で アグアベルデ山の方向とあります.GEで見ると乾燥したガレ山のような風景です. このオクルタの花色は,白っぽいものから黄色味を帯びたもの,さらにはピ...
一年を通じて雨の少ない讃岐地方にしては,今年は陽性の梅雨,よく雨が降っています.おかげで作業の出遅れた畑は,すっかり雑草に覆われ,どうしたものかとため息が出ます. 外で雨よけ栽培をしている金鯱くんも,今は強い陽射しを待ってじっとしています.その稜間でアマガエルがひっそりへばりつき,こちらを見ているようです. 春に生まれたたくさんのカマキリの子が,ハウス内にまで棲息場所を広げていますが,雨続きのハ...
マイニアエ(M.mainiae)のオシャレな花が咲いてきました.ピンクのストライプの花弁の基部に黄色い葯がまとまり,その中をこの仲間特有の先端が大きく割れるピンクの雌しべが伸びます.どうしてこんなにオシャレな花に進化したんだろう,と見るたびに感心します. このマイニアエはどれぐらいの種内変異があるのだろうか,と思いFNの付いた種子を蒔いてみました.これはSB540,故郷はメキシコ ソノラ州のエルモシージョ(Hermo...
亀甲竜の小さい株が揃って梅雨とともに休眠に入りました.枯れた枝をむしり取ってやり,表面の軽石を取り除いてやると,ようやく亀甲模様の出てきた球根が見えました.何年移植していないのか分からなくなっていましたので,気まぐれではありますが移植することに. 鉢から抜いてみるとしっかり根が張っていました.鉢底に日向土の中粒,その上にバークを入れ,さらにその上に普通サボテンに使っている用土を用いて植えられてい...
キリンウチワに花が咲き始めたことを報告したのは5月のことでした.あれからも次々と花が咲き,5つの異なる系統で花が見られました.今回は花の特徴などを報告しておきます.5系統のうち2つは花径が他の3系統より大きい感じでした。ただ,花芽の着いた位置や樹勢により花の大きさは変わることもあるので決定的ではないかも知れません.参考に大きいもの,小さいものの写真を載せました. またある系統では下の写真のように星形の...
春に交配した綾波の果実が日に日に赤みを増し,ある日ウチのハウスを訪れた方が,赤いプラスチック,ピンポン玉のようだと言うのを聞いてなるほどピンポン玉だなーと感心しました. 梅雨が入って間も無く,ピンポン玉を収穫しました.まだしっかり母体にくっ付いているのですが,これが簡単に外れるまで待っていると種子の休眠が深まってしまうとされています.どのタイミングで休眠に入るのかなど詳細な情報はありません.趣旨...
夏に咲いて来るマミたちが次々と開花しています.その中で荒目丸が綺麗に先揃っていました.この荒目丸は学名のM. alamensisから来たものかと思いますが,現在はM.sheldoniiに統合されています.カリフォルニア半島のメキシコ側の対岸に広く分布し,このシェルドニーはかなり変異に富んだ種とされ,幾つものシノニムがあります. 花はほぼ白で薄茶色のストライプの入るものからピンクまであるようで,何が典型的なのかは決めが...
いかにもアカントらしい風貌のサボテン,Acanthocalycium munitum HD10です.A.thionanthum var. munitum ともされ,どうやらA.thionanthumに包含される流れのようです.グラウカムとはごく近いものです.故郷はアルゼンチン,広く分布しているようです.種小名のmunitumは武装している,つまり刺があるという意味ですが,確かに刺がうねるような個体もありますが,この種が特にアカントの中で強刺ということでもなさそうです....
効率良くカプトメデューサエの実生を生育させるのにはどれぐらいの密度で播種すれば良いか,昨年7月に小さな実験をしてみました.種子はイヤというほど採れるのです.発芽もまずまずです.しかし生えたものを移植すると歩留まりが低い.これはどこか栽培方法に問題がるものと思われました.出来ることなら発芽後の移植を省いて何とかならないでしょうか.そこでいつも使っている25穴のトレーを用いて播種密度を5,10,15,20,25...
この南米の柱ものアレキパは,6年前の春に山城さんのところで,これは一体なんだろう?と思って手にしたモノです.当初名前が分からず困ってましたが,どうやらArequipa spinosissimaらしいと言うことで落ち着きました.すっかり立派になったなと感心して眺めています. 彼らの花は,ハチドリ受粉に適応した形態を進化させています.こうして2花が揃って咲くとそれ自体が何か鳥の様にも見えます.残念ながらここにはハチドリは...
梅雨空の下,舞衣(Mammillaria wrightii)が大きな花を咲かせていました.このライティーは,何度か登場するウィルコキシー の元となる種です.1800年代にすでに記載されており,古くから知られた種ですが,日本で広く流通しているかと言えばそうでもありません.勿体ないなと思います.この株はSB86で,故郷はニューメキシコ州Manzano Mountainsです.かなり分布が広いらしくメキシコ北部のソノラ砂漠にまで広がっている様です...
黒王丸など一部のコピが欲しい人がまだ結構居るらしく,サイズのある株は高価です.そんなに興味あるなら自分で種子を蒔けばよいのにと思うのですが,どうやらそんな人は少数派のようです.確かに少し時間がかかりますが,コピたちは,自分で育てたぞという達成感というか満足感というか優越感というか,一言で言えば栽培の楽しみを存分に享受できる代表的な種類です.まず交配すれば種は簡単に採れます. 蒔けばよく発芽します...
3年前の夏に“夏のロビビア”という記事を書いています.多分この時に交配してみたのだと思うのですが,ミズクエンシス×紫野の一つが開花しました.草姿,刺の様子などはかなりミズクエンシス(Lobivia calorubra var. mizquensis)に近い印象です.花型は中間型ですが,花色は相当紫野(L. winteriana)に引っ張られている感じです.紫野と交配したものを色々見て来ましたが,喉が白くなるのは潜性なのか,後代には現れません....
この紅籠はちょうど10年前の京都シャボテン大会でグランカクタスさんから分けてもらったものです.当時の日本ではまだ紅籠はとても珍しく,興味津々で眺めたのを思い出します.竜神木接でしたので,台を短くして栽培して来ました.すっかり竜神木の部分は木質化しています.自然とたくさんの分枝を出して多頭株になっており,一斉に開花するととてもかわいい姿です.過去記事を辿るとこの紅籠が登場するのは大変久しぶりのことで...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
雨がちの日は,何となく暗い雰囲気です.こんな時は黄色の花がハウスを明るくしてくれます.最初はバウミー綿花玉(M.baumii),春から何度も咲いてくれます.この鮮やかな黄色は本当に素敵です. 次は金星(M.longimamma)です.子供の時始めて金星を見た時,なんと大味なサボテンだろうと思いました.種小名にあるように長いイボが特徴です.株が大きくなるに従いこのイボの大きさも増し,なんとなく大味なマミラリアになるの...
接降ろしの時期がやって来ました.大体7月にキリンの接木をするのですが,1年で降ろすか,もう一年台の上に居てもらうか,いつも悩むところです.ただ1年である程度のサイズまで成長したものは,2年間据え置くと穂木はすっかり間延びしてしまいます.下の写真は昨年の接木たち,この中でサイズの出たものは,降ろすことにします. 太平たちはいつもキリンの上に2年間居てから接降ろし,その際は短い茎を着けて挿し木します.今...
昨年のこと,マグドガリーはありませんか?と友人から聞かれ,ウチに居るのは一株だけで,種子は採れませんとお答えしました.そしてネットを探すと結構な値段,おやこんなものが品薄なのかと驚きました.早速小苗を手に入れ開花するのを待っていました. 不思議なことですが,ウチに以前からいる大株はまだ蕾さえ見えない4月の初旬に次々と開花しました.そんなに開花期が違うのはどうしてだろうかと唸ってしまいました.とり...
梅雨の最中,ウチにいくつか居る神竜太平の一つが開花しました.実に綺麗な花です.神竜×太平は,用いた太平のタイプが異なるためでしょうか,それぞれ花の様相が少しずつ違うのが楽しいですね. この株は神竜×翠平と言うことで入手したものですが,ただどんな翠平なのかの情報はありません.しかし,神竜×太平は大概このような形態のサボテンになります.肌は燻んだ緑で,稜の数は多く,刺は太平と神竜の中間型ですが,大抵は...
この3月にカクタスクラブのツアーでお邪魔しましたので,それほど間が空いたわけでもありません.ただボクの気分は随分久しぶりのような感じがしていました.ハウスの入り口には多肉の寄せ植え、こんな寄せ植え置いてあったっけ?と見つめてしまいました. ようやく梅雨入りした三河地方,曇りがちなのでハウスも過ごしやすい温度でした。遮光のない強刺類のハウスでは,フェロの大株たちが気持ちよさそうに過ごしていまし...
前年に採種したパキポジウムの種子は,いつも気温が上がる6月以降に播種しています.パキポの芽生えが揃った様子はなかなか可愛いものです.この段階では全く普通の双子葉類の芽生えですが,この後下胚軸が肥大して,あのパキポになってゆくのですから面白いことです. 今年はプラグトレー育苗にも挑戦してみました.箱蒔きに比べて生育はどうか,植え替えが楽になるかどうか見ておきたいと思います. 今年の3月に交配したパキ...
いよいよ関東も梅雨入りしたようですね.何事も東京中心のこの国では,お天気の話でも東京の暑さや風雨,そして雪に至っては国の一大事のようにテレビで盛んに伝えられます.梅雨入り直前の西武屋上を覗いてみました. しばらくぶりの西武屋上です.あの騒動以降,屋上のベンダーさんの多くが店を閉めてしまい,かつての賑わいはありません.でも嬉しいことに鶴仙園さんは現在です. いつもながら,幅広い品揃えはビギナーから...
3年前にフレーム1号を作り,ウチに居るほとんどのテフロをその中に移しました.最初は少し焼けたのですが,だんだん慣れたのか今はごく普通に過ごしています.ここに置くことで長らく咲いたことのなかった白狐が咲いたことを以前に記事にしました. 今年もいくつかのTephrocactus articulatusたちが花を咲かせたり,気まぐれに新しい茎節を伸ばしたりしています.アルティクラータスたちは,刺の有無を始め, 刺の形も実に様々...
全国的にようやく梅雨に入ったのかと思われる天気になっています.先日,梅雨の中休みを狙って,ハウスに遮熱遮光資材ふあふわを掛け,夏の備えも完了しました.ハウスは陽が射すと40℃に迫る状態ですが,サボテンたちもだんだん慣れてきています.幸い今のところ最低気温は20℃以下まで下がるので,まだ暑さはあまり心配する必要はない状態です. ハウスでは夏マミが咲き始めており,朝のうちにハウスに入る楽しみを作り出してく...
Frailea buenekeri var. densispina の花が綺麗だという記事を書いたのはもう3年も前です.当時3株あったのですが,だんだんと調子を崩して今は一株になっています.株自体はそれほど大きくはなっていませんが,以前と変わらない綺麗な花です.フライレアの仲間は花を開かずに種子を残す性質があり,花が咲かずに種子ができてしまうことがあります.このデンシスピナは比較的よく咲いてくれます.今ウチのフライレア達の多くは少...
昨年秋にFNの着いたグラウカム(Acanthocalycium glaucum=Echinopsis glaucina)種子由来の初花を記事にしました.春になり幾つもの個体が花を着けました.それぞれ特徴があることが分かりましたので,記録しておきます. 最初はFR970,爽やかなレモンイエローの花です.アカントカリキウムは大体球体の側面のアレオレに花芽が着き,花筒は短いのが特徴です.FR970の故郷は,アルゼンチンCatamarca州North of Belenです. グラ...
早春に咲いたマミたちが赤い果実をあげています.中には花よりもこっちの方が観賞価値があるんじゃないかと思われるものもあります.花と実,2回楽しめるのは嬉しいですね. 景清(M.sempervivi).この時期白い綿毛に赤い身が突然生えてきてしばらくこの姿を楽しめます. 小型のマミ,コロンビアナ(M. columbiana)です.花時もやや地味な彼らですが,赤い実を着けた今が一番の見頃なのかもしれません. 小型のタイプのグラ...
この偉壮玉は,〇〇偉壮玉と岡山のO氏の名を冠につけたものとして随分前に入手しました.長い間ゆっくりと成長していましたが,ここ数年で急に大きくなってきています. 偉壮玉にはFerocactus acanthodes var. rostiiという学名が使われ,鯱頭の変種とされていましたが,現在ではF.cylindraceusの1タイプとされています.花を見ると確かに鯱頭と同じなのだなと思えてきます.鯱頭といえば,赤やオレンジのうねる刺が特徴ですが...
この紅裳竜は2011年に西沢さんのところからきたウチに居る古参のフェロです.毎年元気成長して花も咲かせていますが,株の下側がだんだん萎縮するのか,この十数年で大してサイズは伸びていませんが,すっかり大人顔.これはある意味フェロの理想形です. この紅裳竜はFerocactus viridescens subsp. littoralisすなわち竜眼の変種とされます.littoralisとは海岸に生えるという意味で,バハカリフォルニア北部の西海岸が主な生...
サボテンの花に赤や黄色があるのは,花弁の中にベタシアニン系の色素があるためです.生体内で前駆物質から様々な酵素により修飾され最終的に色のついた物質になります.その過程で何らかの突然変異が起こる,多くの場合はある酵素の機能が欠損すると色がつかない花,すなわち白花になります. これは太陽の白花変異品種.太陽の特徴である赤紫の雌しべも色が抜けて緑になり,大変印象的な白花になります. 次は白花テレサエ....
テレサエ(Mammillaria theresae)は,軟質マミの代表選手.水を吸うとぐっと伸び,成長が止まると思いっきり縮みます.なんといってもその刺の奇妙な形態と柔らかさが彼らの最大の特徴でしょうか.あるサイトでテレサエの刺はクラゲのようだと書いてありました.なるほどクラゲねーと眺めて感心しました. まずは咲き始めの写真.花は柔らかな雰囲気で,開いてまもない時間に最も色が濃く,二日目になるとより柔らかな色合いに...
春は身割れの季節です.しばらく十分に水を吸えてなかったサボテンが、ガツンと灌水され,暖かさに誘われて急に吸水すると硬くなった表皮が対応しきれず,物理的に破裂してしまうのです. 今回の身割れは袖ヶ浦,3月初旬のことでした.こんな綺麗な袖の身割れは初めて経験しました.それにしても見事な身割れ,上から下まで一刀両断って感じです. この袖の身割れ,ちょっと心配しましたが程なく傷口はきれいにカルスが出来て...
昨年の冬に干からびた恐竜(Gasteria hybrid)が膨らんだことを記事にしました.その後植え替えてやり順調に復活してきました.今年はさらに大きな鉢に移植してやる予定で,本来の姿に戻る途上にあります. ガステリアの仲間は,花の形が胃(gaster)に似ていることからガステリアという属名になったようです.確かにちょっと変わった形をしていますね.また恐竜は交配種の故でしょうか,臥牛などより花茎にたくさんの分枝を出...
讃岐地方の梅雨入りは平均値で6月5日だそうで,今年は4日ぐらい遅くなりました.梅雨といってもずっと雨が降るわけでもなく,梅雨の中休みといわれる日差しの強い日があり,これがなかなか曲者です.風通しに気をつけ日焼けさせないようにやり過ごしたいものです.例年,この梅雨の中休みを使って,遮光材ふわふわをハウスに掛けます.去年は6月16日でした. 梅雨といえばアジサイの季節ですが,ハウスでも毎年この季節に咲い...
今年も初夏の3日間,牧野植物園でサボテンと多肉植物展が開かれました. 高知サボテンクラブの方々等の力作が展示されています.昨年も書きましたが,展示会場はこれ以上ないだろうと思えるほど素晴らしい場所です.ライティングの効果抜群で,どの植物も輝いて見えます.人に感動を与えるにはただ大きいとか珍しいとかでは測れない何かが必要です.改めてサボテンを観賞するには美的センスが問われるなあと思いました. 昨年...
この春,Coryphantha schwarzianaを手にしました.赤い新刺が綺麗だなと思ったのです.ウチには居ないコリファンタでした.蕾が見えたので花を待つことに. 花が咲いてきました.この大輪の黄色い花を見れば,なるほどコリファンタです. 今このシュワルジアーナは針鼠丸(Coryphantha echinoidea)に統合されているようです.またこの仲間は蜜線がイボの間にあってかつてはNeocoryphanthaという亜属にされていたもののようで...
ここ讃岐では,他の地域に比べ多くの麦を生産しており,麦秋という季節をより身近に感じることができます。ハウスの周りも先日まで当に麦秋の風景でしたが,あっという間に麦刈,耕運,田植えが行われました.それに伴って夜になるとうるさい程のカエルの恋歌が聞かれます.こんな時期になるとディスコカクタスたちが次々と咲いてきます.夕方に蕾が大きくなってきたホルスティーを持ち込んでデスクに置きました.良い香りに包ま...
2020年から23年にかけてエキノプシスの原種たちを19記事に渡って紹介してきましたが,彼らもだんだんと大きくなり,今年も元気に花を咲かせています.FNの情報に従いここでは旧ロビビアの名称をそのまま使います. 最初は清楚な薄ピンク花はLobivia cardenasiana TB044.2です.丸弁がかわいい印象を生み出しています. この鮮やかな赤い花はL. calorubra var. mizquensis TB488.1.真上からの写真なので分かりませんが,この種...
讃岐は暖かいところと思われがちですが,少し内陸に入ると結構寒くなります.今の家はそんな地域にやや近く,冬は西風が強くかつ気温が下がります.こちらへ来て初めての冬には,大丈夫だろうと高を括って外に置いたサボテンたちがひどいダメージを受けたのには驚きました.同じ市内でも海に近い方は随分と暖かく,葉ウチワが茂っているところがあることは以前に記事にしました.その記事にある株を昨年地植えにし,冬季は簡単な...
神仙金鯱が2020年頃から開花を始め,自家受粉して種子を作り,それがちゃんと発芽,キリンで養成を始めたことを以前に報告しました.いくつか大きくなってきているものたちを紹介しましょう. まずは最初に作った2個体,これらは生えてきた数少ない実生の内,葉緑体がありかつ赤刺を出しているものをピックアップして接木したものです.刺色や刺の形状に若干の個性が見られます. 次に今キリンの上にいてこの夏に降ろしてやる...
昔は赤花兜なんて普通には流通していませんでした.子供の頃,確かシャボテン誌だったと思うのですが,初めて見てそれは驚きました.2010年代半ばぐらいからよく出回る様になり,今では特に高価なものではなくなりました. この赤花株を使って,昔からよくある有星類の交配種を作ってみるとなかなか綺麗なのです.別に真っ赤な花になる必要はありません.中間色とも言える花色が良いのです.これは白ランスーパー兜に赤花兜をか...
連休前後ぐらいから順次今年の種蒔きをして来ました.ウチでは場所,他の作業,接木の時期やらの関係で,播種時期が決まります.早く大きくしたいものはキリンに実生接するのですが,実生接ぎする時期から逆算すると5月が蒔き時になるのです.今期第1陣は25穴トレーが入ったバンジュウ11箱,これで一応今手元にある種子ストックは蒔き終えました.播種の方法は,以前に記事で紹介した通りで,何年も同じ方法で全ての種類の種子...
今年もカプトメデューサエの大株が,春以降2度3度と一斉開花をしています.不思議なことに蕾を着けた枝(イボと言うべきですね)の発達ステージが異なるのに,一定の範囲に入った蕾は一斉に開花します.この種の開花は午後咲き,しかもかなり遅くの時間に開花します.一体誰がポリネーターなのでしょうか.蜂の仲間であれば午前中に咲くのが有利だと思うのですが. この花を見ていると何やら悍ましいほどの生命力というか妖力と...
キリンの園に養成中の白ランモンストがいます.ある程度のサイズになり,確かに際立った亀甲タイプの白ランになってきました.実生接をして間も無くの発達初期には,どれもこれもしっかりと刺をだしており,この白ランモンストなるものが雑種起源であることが示唆されました. これは以前にクラブの会員の放出苗から救出した白ランモンストらしきものです.いくつか竜神に接いだのですが,いずれも動きが鈍く,何か不具合があり...
昨年の7月に実生接したキリン台の面々.昨年からずっと順調に生育し続けています.その中で気の早い幾つかの種では,初夏になって花をつけ始めていますのでとりあえず紹介だけしておきます. 最初はMatucana oreodoxa subsp. roseiflora,赤い花がポツンと咲いているのが目に入り,最初はなんだろう?と思いました.名札を確認して,ああこんなものを蒔いていたんだねと感心しました.比較的新しく発見されたオレオドクサの亜種...
これまで旧ノトカクタス随一の美人さんは,紅冠丸(Notocactus rutilans)だと思っていました.しかしこのロゼオルテウス(N. roseoluteus DV75)も負けていません.こんな綺麗なピンク花が旧ノトにいるとは知りませんでした.このノトは一昨年に友人から頂いたものですが,昨年は開花せず,報告ができていませんでした.どうやらちょっと花つきは悪いようですね.午後咲きタイプで午前中は気温が上がっても花が開きません. 草姿...
このミラレシー(Gymnocalycium millaresii)は,正確には年はわかりませんが,10年以上前に廣仙園さんで手にしたもので,随分と大きくなりました.でも近年はこれ以上大きくなって欲しくないので,同じサイズの鉢に植えています.この株は昨年植え替えたので,元気よく膨れて鉢のヘリに刺した名札を薙ぎ倒しています. 花は ゼガラエの仲間の特徴的な花型.渋い花で,それが良いといえば確かに良いのですが,特に感動もなくあ...
初夏の陽射しの下,ギガンティア(Copiapoa gigantea KK614)が気持ち良さそうに咲いています.まあコピの花はどれも同じで観賞するようなものではないのかも知れません.横から見ると花筒が綿毛に隠れているので扁平な花に見えます.ウチにはギガンティアがこれ一株なので種子生産はしていません. この株は10年前に小さな接木苗を買い求めたものです.9年前に接降ろしをした時と比べるとなんと大きくなったことでしょう.昨...
初夏から梅雨の走りと言われる雨の日もあり,ギムノの季節になりました.まずは瑞晶玉(Gymnocalycium stellatum),ギムノらしい底紅の白花.子供の頃大好きだった竜頭はやはりこんな感じの花,それもそのはずで,同じステラツムでした. そしてやはり子供の頃憧れだった緋牡丹錦.今はよほどのものでない限り手頃な値段で手に入りますね.自分で選抜しようとするとどれだけ実生を育てなければならないか,気に入ったものが手...
黄大文字(Trichocereus spachianus (Echinopsis spachiana))は,子供の頃から馴染みのサボテンです.昔は結構接木の台木として使われており,ボクも子供の頃台木として使用していました.刺がたくさんあるので,扱いにくいのですが,何より丈夫で耐寒性もあり,北陸では重宝していました.そんな黄大文字の花を見てみたいと思い,大鉢に植えて養成していました.この春幾つかの茎の先端部分のアレオレに綿毛が吹き,やがて花芽...
大体地味系の種が多いエスコバリアですが,花もまた地味なものが多く,せっかく開花していてもパッと目に飛び込むようなことはありません.しっかり観察していないといい時を見過ごしてしまいます. このツベルクロサ(Escobaria tuberculosa)は,崩壊した大株から枝先を救出したものです.サイズダウンして今は元気にしています.エスコバリアによくある色合いの花です. 次のジルジアーナ(E. zilziana)もいかにもエスコバ...
やや咲きにくいとされるEchnicereus engelmannii.今年も咲いてくれました.昨年の様子と見比べると随分立派になってきました. ちょっと天気周りが良くなくて,やや開き方が良くないですが,大きな花です.大株になって群花したらさぞ見事でしょうね. このようなキリン養成群生株が3つあるのですが,実は咲くのは一株だけ.同じフレームに居るのにどうしてそうなるのか分かりません.エビたちの開花はほんと気まぐれだね. ...
いかにも硬い感じのエリオシケです.Pyrrhocactus echinus FR537(Eriosyce taltalensis subsp. echinus)として入った種子由来です.ブルー肌に硬い黒刺がびっしりと生えなかなか勇ましい姿,蕾が出てくると赤い感じに何やら優しさもあります. この種にも以前に記事にしたアンディコーラと同様白花とピンク花があるようです.このFNから出た3個体は皆白花でした. ただこの植物を上記のアンディコーラと見比べ,web上の情報...
以前から気になっていたイベントですが,なかなか見にゆく機会がありませんでした.今回は第4回で神戸駅の真ん前が会場,アクセスは至極便利です.午前中に入るにはかなり並ぶ必要があると聞かされていましたが,朝にSNSを確認すると800人近い人が並んでいるというので,敢えてゆっくりと出発.神戸駅で早めのお昼を食べて会場入りしました. たくさんのブースがあり,もちろんサボテンばかりではありません.ランあり,ビカク...
ここ数年キリンウチワに花を咲かせて種子生産するってことにそれなりのエネルギーを注いできました.昨年,幾つかの系統を袖に接木しました.しかし昨年は全く花が咲かず仕舞いでした.そこで9月に150cmぐらいの高さで選定して,効果があると聞いたカリ肥料を施肥しました. そしてこの初夏,たった2系統ですが,花芽が誘導されました.全部で10個ほどの花芽があります.複数の系統で花が着いたことは,単なる偶然ではなく,開花...
久々の登場のEriosyce dimorpha(Pyrrhocactus dimorphus),今はE. heinrichianaのようです.このディモルファは流通している株と随分見た目が違います.それもそのはず,種小名のdimorphaとは二形のという意味で,株が小さい時はほぼ刺がなく,それでも開花するのですが,さらに大きくなると立派な刺が出て来て,まるで違う種のようになることからこのような種小名が与えられています. 大きな花ですが,実に渋い雰囲気.本体...
このところちょっと気持ちが塞ぎがち,何事にも今ひとつ気力が湧かない.自分でもこれは何やら危ないのではと思い,ちょっと気晴らしに出かけることにしました.要は気持ちの問題,ゆめゆめ老人性うつなどにならないよう気をつけなくちゃ. 移植は大体目処がつき,今月初めに蒔いた150種類余りの種子は今発芽を始めています.少しだけですが柱への接木もやり,挿し芽を始たキリンの実生接は来月後半からになります.今年の太平...
これは広義のエビサボですが,銀紐(Echinocereus poselgeri)の花はなるほどエビだなと思います.銀紐ありませんか?と最近よく聞かれるので,交配しておきました.実生はすぐにスックリ立ち上がるので面白いですね. 次は昔から明石丸(E. pulchellus var. weinbergii),綺麗な花なのでいつも咲くのを楽しみにしています. そしてカエスピトーサ(E.reichenbachii subsp. caespitosus),この個体はちょっと変わった色合いの花...
この時期,毎日何かのロビオプシスやエキノプシスが咲いていて,栽培棚を華やかにしてくれます.夜咲きのものと昼咲きのものがあるのですが,この時期朝にハウスに入ると両方が咲いていてとても華やかです. 一昨年頂いたSunny,大きくなったので接降ろししましたが,さらに元気になっており,今年はたくさんの蕾を着けています. 次は正式な名前ではないのでしょうが通称那須の朝焼け.色合いが気に入って残しています. そ...
今回はダシアカンサスたちです.御旗はEchinocereus dasyacanthusとされますが,E. pectinatus var. dasyacanthusともされ,ペクチナタスとは親戚筋と言えます.なので今日は真のアンソロジーではなく,親族集合です.この御旗はBS253同士の種子から得たものをキリンで育成したものです.若干刺色に個体差が出ました.花はいずれも黄色大輪です.開花から3日目ぐらいが最大の大きさになります. 次はボク自身が交配したダシアカ...
2016年の秋に鶴仙園の本店で手に入れました.当時本店はいつでも訪ねることができ,入荷したてでいくつも転がっているものの中から好きなものを選ばせてもらいました.毎年春に葉を伸ばし,夏に枯れるというサイクルを繰り返し,それなりに元気にしていたのですが,なかなか花が上がりませんでした.4月後半のある日,ハウスのメンテをしていて偶然目がボーちゃんの鉢に行き,おーっと声をあげてしまいました. 花茎が伸びるの...
昨年に一度友人から頂いたカマエロビビアを紹介しました.その時未開花だったいくつかの品種が,ようやく咲いてきたので紹介したいと思います.カマエロビビアのコレクターはそれほどいるわけでもないので,流通も超マイナー,なかなか名前のついた品種を見ることもありません.なので頂いたものを眺めるのはボクにとって貴重な経験です.まずこれはChamaelobivia ‘Lincoln Gem',優しいオレンジ色で花弁のフリルがはっきり見て...
ハウスに入ると黄色い花が目に入りました.これはMammillaria melaleuca,和名はありません.うちでは初開花なので,しげしげと眺めてしまいました.彼らはタマウリパスが故郷らしいですが,どうやら生息地は限定された場所のようです.澄んだ綺麗な黄色の花,旧Dolichntheleらしい花色です.この黄花が特徴のドリコテレは,マミの中では結構独立性が高いのではないかなと思われます. 普段は地味で小さな株です.覗き込むと黒...
エビたちが居るフレームの中でアリゾニクス(Echinocereus arizonicus)がポツンと一つだけ花を咲かせていました.この株は,10年前に開花したことを記事にしています.その後開花したのかどうか記憶にありませんが,とにかく滅多に開花しないことだけは確かです. アリゾニクスの横で,いくつか居るコッキネウスが咲いていますが,風貌,花姿は共によく似ています.実はアリゾニクスは,E.coccineus var. arizonicusともされ,...
春はいよいよ駆け足になり,あっという間に初夏になりました.比較的開花期間の長いマミラリアたちですが,紹介が追いつきません.最初は白美人(M.spinosissimaの白刺タイプ)と呼ばれるもの.もっと純白の刺のものもありますが,ウチのはこの程度です. 次は白絹丸(M.lenta)です.実生では成長がゆっくりさんでなかなか大株になりません.これはキリンで養成したものですが,レンタはキリンの上でもメタボにはなりませんので...
エスコバリア ミニマ(Escobaria minima)は大好きなサボテンの一つです.春に新しい刺が出てくる様子はなかなか素敵です. ウチには以前からいくつかミニマの群生株があるのですが,時折調子を崩すものが出ます.そんなわけで数年前実生苗をキリンにいくつか乗せてみました.相性が良いようで,自然と群生株になり,しかも決して間延びした姿でもなく,それらしく仕上がりました. 面白いことに刺色に僅かな個体差が見られ,群...
連休も終わりましたが,レブチアたちがまだ次々と咲いてくれています.彼らは温度に反応して花を開くのですが,たとえ曇天でも僅から温度上昇に敏感に反応して咲いてくれます.毎朝彼らがいる栽培棚では誰かが咲いています. 最初はSulcorebutia polymorpha SE130,レブチアらしからぬ厳つい草姿ですが,花はなかなか美しい. 次はパープレクサ(Rebutia perplexa),これはなんとか維持している大株です.毎年,これが見納めじ...
数年前に友人からFNのついたパロディアを色々いただきました.その中で獅子王丸の仲間たちが,それぞれ特徴がわかるサイズになって来ましたので,改めて確認してみました.パロディア(旧ノトカクタス)の獅子王丸は,それは普及種中の普及種,初夏になるとホムセンなどでも結構なサイズの花着き株がリーズナブルな値段で売られています.ボクも子供の頃持っていたサボテンの中にちゃんとこの獅子王丸がいました.よく普及してい...
これまで何度も登場してきたマミの美花種ウィルコキシー((M. wrightii subsp wilcoxii)です.少し自分で増やしておこうと思って種子を蒔いていました.育ってきた実生たちを眺めると刺色の濃淡がかなりはっきりしています.どういうことかなと思い,トゲ色の薄いものを一つだけ個鉢に移して栽培していました.その株がこの春に開花したのですが,驚いたことに白花です.正確に言えば白花ではなく,うっすらとピンクの中筋が入...
月光殿の群生株から大きな蕾がニョッキリ出てきました.なかなかの迫力です.これは咲くのが楽しみだなと待っていました. 気温が大して上がらない曇天の昼,気がついたら満開です.この恐ろしいほど派手なピンクの花は,とても心穏やかな気持ちで観ることはできません. そして夜になるとすっかり閉じて,細長い蕾のようになってスタンバイ. また翌日には満開に.雄しべの展開する様はまるで花火のようです. この月光殿は...
黒竜(Pterocactus tuberosus)の花は毎年のように載せています.自分でも不思議なのですが、この花が好きなんでしょうね.コイツが暗い赤色の花を咲かせたらもっと素敵だろうなと想うのですが,こればかりは叶わぬ夢でしょう. さてウチには2株この黒竜が居るのですが,そのうちの一株がなかなか狙ってもできない姿で花を咲かせました.本種を含め所謂ニョロニョロくんたちは茎をどのように誘引するか悩むところです.放任する...
子供の時のことです,初めて瑞鳳兜を見てその見事なまでの中間体にいたく感心しました.お父さん似とお母さん似がいることは子供でも知っており,足して2で割ったかのようなことはないものだと思っていました.瑞鳳兜はまさに足して2で割った姿で,しかもそれが美しいのです.そんな訳で子供時代のコレクションにも瑞鳳兜はいました.時代は変わり,今は赤花兜というものがあり,この瑞鳳兜は瑞鳳玉×赤花兜です.花いろが微妙に...
この透き通るような黄色の花を見ると幸せな気分になります.これは旧イスラヤ属の花輪王子と呼ばれたものです.現在は色々あったイスラヤの家族は全てEriosyce islayensis一つに統一されています. 時を経るとともに貫禄ある姿となり,なかなか素敵なサボテンです.この独特の姿を見ると,イスラヤという懐かしい響がやはり良いなあと思ってしまいます. 自分でも少し種子から育てて見たいなと思ったのですが,いざやってみる...
これはNeoporteria curvispina var. andicola (Pyrrhocactus andicola)という名前でMesaから入った種子由来のものです.アンディコーラというのは「アンデスの」って意味かと思うのですが,由来を示すにはちょっと大雑把ですね. 密に刺が重なり,なかなか美しいサボテンです. 花色は結構鮮やかなピンクと白があります.花が咲くまで外観から花色を推定することは出来ませんでした. 花後に綺麗な果実を見ることができるのは...
エビサボの勇者リンゼイ(E.ferreirianus subsp. lindsayi)が盛んに新刺を伸ばしています.天気がすぐれないので,ハウス内のメンテをしていると,何か刺の先に緑のものがたくさんいます.近づいてみるとバッタの赤ちゃんです.普通バッタの休眠卵の孵化は5月ごろからと言われていますが,ハウスの中なので少し早いお目覚めなのでしょうか. どうして刺の先ばかりに集まるのかな.孵化したらとりあえず近くの草に取りつき,上へ...
まだ小さな株で本領発揮していないと思われるのですが,初花なので記録のために載せました.これはEriosyce chilensis var.chilensis FK3です.同時に育成したいくつかの株を見ていると刺の色がかなり違います.これはまだ実生数年の小さな株ですから,もっと大きくなると印象も違ったものになると思われます. チレンシスは,旧ネオポルテリアなのですが,ネオポルテリアによくある剣弁が多数重なる花形ではなく,開花と同時に...
太平の花の季節がやって来ています.それぞれの株見ていると,ある古株の太平丸の肌に何やらポツンポツンと傷がありました.よく見ると稜間の線を挟んで左右対称にあるのです.これは何?と全体をよく見てみました. するとまるで焼けた餅を引き延ばしたように組織が分かれようとしてるところがありました.なんでこんなことになるの? さらに成長点付近を見ると稜間の組織が癒合しているところが何箇所かみられました.こうし...
来週はもうGWの始まり,季節は春から初夏へ急速に変わりつつあります.サボテンの移植も続けながら,色々な草花の種蒔きもあって,頭が混乱しそうです.そんな中,エビたちが次々と咲きます.まずは珠毛柱,これはWilcoxia属でしたが今はEchinocereus schmollii.穏やかな花が結構好きです.垂れ下がるように作ろうと思いながら,ここ数年放置されています. チソエンシス(E.chisoensis),美しいエビサボです.気に入っているの...
移植をしているとマミラリア小苗に見慣れぬ花がありました.花の形からしてこれはバハグループだなと思われました.名札を見るとM. angelensis,メサから買った種子のようです.これはM.dioica subsp. angelensisとする見解もあるようで,なるほどなと思いました. 故郷はバハカリフォルニアの湾内のsla Ángel de la Guardaという島です.なかなか栽培が難しい種とされますが,バハグループは大体において気難しいですね. 一応...
マミラリアは色々と咲きすぎて,何を記事にすべきか迷っているうちに時間がすぎて行きます.本当は拘れば色々ツッコミ所があるはずですが,あー今年も咲いているなーとほぼスルーの面々. まず早くから咲いていた景清(M.sempervivi).近年は多毛景清ばかり,どうしたわけか多毛系は薄い花色でちょっと寂しいです.やはり景清はこんな花がいいですよね. そしてフラウテンベルゲリ(M. freudenbergeri syn. M. winterae)は...
これはMammillaria huajuapensis FO250として頂いた2株.刺の長さが随分と違う.小苗の時から違いは明瞭で,どっちがか間違いなんだろうなと思って見ていました.しっかり花が咲く大きさになり,改めて調べてみて,これは種内変異と見たほうが良いかと思い直しました.左の株は外観がミスタックスに似てるなと思っていたのですが,このhuajuapensisは,M.mystax var.huajuapensisとされ,さらに今はM.mystaxに統合されています....
色々な物価が上がり生活費を圧迫していると言われます.そもそも日常生活であまり買い物をせず,野菜などは自給しているわが身には物価高騰という印象はそれほどありません.確かに都会のホテル宿泊代は高騰しています.レストランでの食事代も少し高くなったように思います.果たしてサボテンの値段はどうでしょうか.先日東京へ行った際にいつものように西武屋上の鶴仙園さんをのぞきました. ハオルチアはせいぜい2−3千円で...
昨日は普通の綾波でしたが,今日はモンストの話です.ウチにいる綾波モンストは入手してから12年経ち,結構なサイズになっています.それなりの貫禄も出てきましたが,全く開花しません.でも真上から見た刺模様はとても魅力的です. これなら将来花が咲くかも,と経験豊かなランポーさんから小さな綾波モンストの袖接ぎ苗を頂いたのは2022年の6月のことです.これがその時の様子,アレオレは縦長になっていますが,稜線もはっ...
今年はどうしたことか綾波たちが元気です.早春からガツンと水をあげたせいでしょうか.春の綾波を見ると誰しもが,これはすごい刺が出て来たと期待してしまいます.大抵は普通の刺におさまるのですが,毎年騙されます. 綾波の花は文句なく綺麗です.太平丸などは個体間でかなり花色の濃淡があるのですが,普通の綾波はそれほど差がありませんね.花弁先端の羽状の切れ込みも大体皆同じです.これは王綾波系.ここ何年も本調子...
またまだ移植が終わらないのですが,今日からちょっと息抜きに出かけて来ます.昨年は丁度今頃メキシコへ行っていました.ですから昨年に比べるとなんとなく余裕のある4月なのです.昨年と比較して3月の気温が低く,サクラを始めとしてあらゆる植物の動き始めがゆっくりでした.しかし上手くしたもので,だんだんと追いついて来た感があります.サボテンたちも早春の花から初夏の花へと移行しつつあります.この花サボは,紫野×...
春の花レブチア&スルコレブチアがどんどんと咲いています.ハウスに入って彼らのかわいい花を見るとホッとします.そう言いながら栽培に力を注いでいるわけでもなく,春に植え替えするとあとはほぼ放置,中には調子を崩すものも出て来ます. 明るいオレンジ色の花のR.fiebrigii R784(= Aylostera walteri)です. ホフマニー(R.hoffmannii R521a), 温かみのあるオレンジ色の花.何度も咲いてくれるので,結構長い間楽しんでい...
超普及種の月影丸には赤花と白花があります.白花は原産地では確認されたことはなく,園芸生産の中で生まれたものとされています.この赤花と白花を相互交配してみました.後代は下の写真のように全て赤花になりました. もし白花が花弁の色素合成に関わる遺伝子の突然変異ならば,白花は1遺伝子の潜性(昔は劣勢と言いましたが,実態に合わない用語なので,学術的には使わないことになり,今はこれを潜性と言います)である可...
プシスの白花なんて誰も見向きもしないのかもしれません.しかし,朝まだ陽が差し込まないハウスに入り,この花を眺めるとその良さが分かります.これは大豪丸錦の花,何かを語りかけるかのようにこちらを向いているように見えます.仄かな香りを楽しんでから写真を撮りました. 下の写真の株は,Echinopsis subdenuda L943です.だんだんと大きくなり,たくさん花をつける様になりました.短毛丸や花盛丸系のものは相当な大株...
春は駆け足,毎日違った表情を見せながら,季節はどんどん進んでゆきます.ぼっとしていると色々なことを見過ごしてしまいそうな勢い,エビたちも次々と咲いてきます. これは白元(E. reichenbachii),少し花弁の先が弱くてヨレてしまうのが少し残念.全ての白元がこうなるわけではありません. そしてラウイ(E. lauii)穏やかな花色が素敵です.基部からだんだんと仔を吹いてきました.群生株となってたくさんの花を一斉に...
3月の終わり頃,白鷺多頭株にそれはたくさんの花芽が出てきました.これは期待できるぞと,ワクワクしながら待っていました. お天気がすぐれない日が続きましたが,薄日に反応して一斉に開花. 再び,三度と咲いてだんだんと豪華に,株全体が花で見えなくなりました. 花姿も良いのですが,一度開いた花が閉じた姿がまた良いですね. これらの多頭株は,キリンで大きく育成したものを胴切りして作ったものです.実生から3年...
瑞鳳系の中で,このニベウム(Astrophytum capricorne var. niveum)が今年は先陣を切りました.他のカプリコルネたちはようやく新刺を伸ばし始めたところです.いつ見ても彼らの花は魅惑的で,吸い込まれそうです.一体誰を誘ってるの?と聞きたくなります. このニベウムの不幸は以前に記事にしました.こうして横から見ると,普通の瑞鳳より刺はしっかりとしており,なるほど大鳳の系統だなと思わせます. 園芸的に言う白瑞...
今年はなんだか大文字白鳥が好調なようで,たくさんの蕾を上げてきました.ちっとも大文字らしくないねと言われそうですが,締めて作ると大文字の模様は出てきません.接木でふっくら作ると明瞭なのですが,今度は白鳥らしくなくなります.やはり白鳥は詰まった真っ白の刺じゃなくちゃと思っています. 程なくして一斉に開花しました.花は全く普通の白鳥です. もう一つ単頭の大文字がいます.これは少し大文字らしい縞が見え...
英丸(Echinomastus dasyacanthus SB120)が綺麗に咲いています.輝きのある伸びやかな花弁はとても綺麗です.草姿も花も桜丸に似ています.それもそのはず,E.intertextus subsp. dasyacanthus,つまり桜丸の亜種とされています.さらに今では,E.intertextusに統合する見解もあります. 形態的には英丸は刺が立っていて,素手で触ると刺がかなり当たります. しかし,実生を見ると刺が立っておらず,いわゆる桜丸とはあまり...
このマレッティアーナ(Copiapoa malletiana)は,昨年あるイベントの廣仙園さんのブースで手にしたものです.順調に成長して少し丸みを帯びて来ました. コピの花の写真を撮ってどうすんだってところですが,一応花が咲いたので撮ってあげることにしました.コピにしてはやや大きめの美しい花です. 日本の園芸家に馴染みの黒士冠は,C.dealbataという学名に対応するとされて来ました.園芸的理解は,白肌で一本の刺がシュッ...
随分と昔のこと,ある有名園で象牙宮と名札の立っている小さいパキポを買いました.その頃まだパキポのことは全く知らず,これがグラキリスなのかと思い持ち帰りました.程なく葉が展開して来ましたが,なんだか違うようです.でもずんぐりと育つ姿は,ちょっとそれらしくも思えました.その後たくさんのパキポを扱うようになり,ああこれは何かの交配種だと思うようになりました. しかしサイズは十分になったのになかなか花が...
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ユーフォルビアは,ほぼ守備範囲外です.結構な大家族なのに,ウチにいるのはわずかに数種,しかも無加温ハウスでサボテンと同居させても元気に過ごせるという条件をクリアーするものだけ.おのず珍しいものは皆無.ボクにとって,ユーフォは沼でもなんでもありません.それでも時々目の前を通過するユーフォを少しでも理解すべしと思い,この新刊を手にしました.90種余りを写真で解説されていて,ユーフォ全般を眺められるよう...
少し古い写真を取り出し,ヘキランに出る病気を記録しておきます.他の有星類にも出ますが,特にヘキランで目につく病気です. まずは古い写真ですが,7年前の三角ヘキラン,秋の姿です.茶褐色のシミが次々と広がっていました.ダコニールを塗布し,さらに半年後の様子です. こうした処理により病斑はそれ以上は広がらず,下の写真は現在の様子.増稜してすっかり風貌は変わりましたが,その後病気の再発はありません. 次...
昨年7月にキリンに乗せたヒルホの一つが咲いてきました.これはEriosyce occulta RS1958です.Neochilenia occultaだったりPyrrhocactus occultusだったりThelocephala occultaだったりと収まりの悪い種です.このRS1958の故郷情報は,チリのタルタルとラスブレアスの間で アグアベルデ山の方向とあります.GEで見ると乾燥したガレ山のような風景です. このオクルタの花色は,白っぽいものから黄色味を帯びたもの,さらにはピ...
一年を通じて雨の少ない讃岐地方にしては,今年は陽性の梅雨,よく雨が降っています.おかげで作業の出遅れた畑は,すっかり雑草に覆われ,どうしたものかとため息が出ます. 外で雨よけ栽培をしている金鯱くんも,今は強い陽射しを待ってじっとしています.その稜間でアマガエルがひっそりへばりつき,こちらを見ているようです. 春に生まれたたくさんのカマキリの子が,ハウス内にまで棲息場所を広げていますが,雨続きのハ...
マイニアエ(M.mainiae)のオシャレな花が咲いてきました.ピンクのストライプの花弁の基部に黄色い葯がまとまり,その中をこの仲間特有の先端が大きく割れるピンクの雌しべが伸びます.どうしてこんなにオシャレな花に進化したんだろう,と見るたびに感心します. このマイニアエはどれぐらいの種内変異があるのだろうか,と思いFNの付いた種子を蒔いてみました.これはSB540,故郷はメキシコ ソノラ州のエルモシージョ(Hermo...
亀甲竜の小さい株が揃って梅雨とともに休眠に入りました.枯れた枝をむしり取ってやり,表面の軽石を取り除いてやると,ようやく亀甲模様の出てきた球根が見えました.何年移植していないのか分からなくなっていましたので,気まぐれではありますが移植することに. 鉢から抜いてみるとしっかり根が張っていました.鉢底に日向土の中粒,その上にバークを入れ,さらにその上に普通サボテンに使っている用土を用いて植えられてい...
キリンウチワに花が咲き始めたことを報告したのは5月のことでした.あれからも次々と花が咲き,5つの異なる系統で花が見られました.今回は花の特徴などを報告しておきます.5系統のうち2つは花径が他の3系統より大きい感じでした。ただ,花芽の着いた位置や樹勢により花の大きさは変わることもあるので決定的ではないかも知れません.参考に大きいもの,小さいものの写真を載せました. またある系統では下の写真のように星形の...
春に交配した綾波の果実が日に日に赤みを増し,ある日ウチのハウスを訪れた方が,赤いプラスチック,ピンポン玉のようだと言うのを聞いてなるほどピンポン玉だなーと感心しました. 梅雨が入って間も無く,ピンポン玉を収穫しました.まだしっかり母体にくっ付いているのですが,これが簡単に外れるまで待っていると種子の休眠が深まってしまうとされています.どのタイミングで休眠に入るのかなど詳細な情報はありません.趣旨...
夏に咲いて来るマミたちが次々と開花しています.その中で荒目丸が綺麗に先揃っていました.この荒目丸は学名のM. alamensisから来たものかと思いますが,現在はM.sheldoniiに統合されています.カリフォルニア半島のメキシコ側の対岸に広く分布し,このシェルドニーはかなり変異に富んだ種とされ,幾つものシノニムがあります. 花はほぼ白で薄茶色のストライプの入るものからピンクまであるようで,何が典型的なのかは決めが...
いかにもアカントらしい風貌のサボテン,Acanthocalycium munitum HD10です.A.thionanthum var. munitum ともされ,どうやらA.thionanthumに包含される流れのようです.グラウカムとはごく近いものです.故郷はアルゼンチン,広く分布しているようです.種小名のmunitumは武装している,つまり刺があるという意味ですが,確かに刺がうねるような個体もありますが,この種が特にアカントの中で強刺ということでもなさそうです....
効率良くカプトメデューサエの実生を生育させるのにはどれぐらいの密度で播種すれば良いか,昨年7月に小さな実験をしてみました.種子はイヤというほど採れるのです.発芽もまずまずです.しかし生えたものを移植すると歩留まりが低い.これはどこか栽培方法に問題がるものと思われました.出来ることなら発芽後の移植を省いて何とかならないでしょうか.そこでいつも使っている25穴のトレーを用いて播種密度を5,10,15,20,25...
この南米の柱ものアレキパは,6年前の春に山城さんのところで,これは一体なんだろう?と思って手にしたモノです.当初名前が分からず困ってましたが,どうやらArequipa spinosissimaらしいと言うことで落ち着きました.すっかり立派になったなと感心して眺めています. 彼らの花は,ハチドリ受粉に適応した形態を進化させています.こうして2花が揃って咲くとそれ自体が何か鳥の様にも見えます.残念ながらここにはハチドリは...
梅雨空の下,舞衣(Mammillaria wrightii)が大きな花を咲かせていました.このライティーは,何度か登場するウィルコキシー の元となる種です.1800年代にすでに記載されており,古くから知られた種ですが,日本で広く流通しているかと言えばそうでもありません.勿体ないなと思います.この株はSB86で,故郷はニューメキシコ州Manzano Mountainsです.かなり分布が広いらしくメキシコ北部のソノラ砂漠にまで広がっている様です...
黒王丸など一部のコピが欲しい人がまだ結構居るらしく,サイズのある株は高価です.そんなに興味あるなら自分で種子を蒔けばよいのにと思うのですが,どうやらそんな人は少数派のようです.確かに少し時間がかかりますが,コピたちは,自分で育てたぞという達成感というか満足感というか優越感というか,一言で言えば栽培の楽しみを存分に享受できる代表的な種類です.まず交配すれば種は簡単に採れます. 蒔けばよく発芽します...
3年前の夏に“夏のロビビア”という記事を書いています.多分この時に交配してみたのだと思うのですが,ミズクエンシス×紫野の一つが開花しました.草姿,刺の様子などはかなりミズクエンシス(Lobivia calorubra var. mizquensis)に近い印象です.花型は中間型ですが,花色は相当紫野(L. winteriana)に引っ張られている感じです.紫野と交配したものを色々見て来ましたが,喉が白くなるのは潜性なのか,後代には現れません....
この紅籠はちょうど10年前の京都シャボテン大会でグランカクタスさんから分けてもらったものです.当時の日本ではまだ紅籠はとても珍しく,興味津々で眺めたのを思い出します.竜神木接でしたので,台を短くして栽培して来ました.すっかり竜神木の部分は木質化しています.自然とたくさんの分枝を出して多頭株になっており,一斉に開花するととてもかわいい姿です.過去記事を辿るとこの紅籠が登場するのは大変久しぶりのことで...
パキプス オペルクリカリアがあまりに人気なので,一体何が良いのだろう?と一鉢手にしたのが2019年春のことです.ラベルを見ると62歳の誕生日に自分のプレゼントとして購入したようです.手にしてみて,ああこれはただの盆栽やな,と直感したのですが,何故かこの盆栽が今も衰えることない人気を保っています.地植えが良いと聞いて鉢を埋めたのが2年前のこと.鉢が傾いて来たのは,どうやら地中で鉢から外に出た根が,押し上...
銀姫(Mammillaria slevinii)が大好きなマミラリアの一つだということを何度か書きましたし,事実何度も登場して来ました.少し前にFN付きの種子を蒔いていたのですが,ようやく開花して来ました.このSB1251の故郷はカリフォルニア半島の先端近く,San Juan de la Costaです.何か種内変異が見られるかなと思っていましたが,基本皆同じ顔つきでした.花は大小あるように見えますが,まだ小株なのでなんとも言えません. 下の...
数年前からこの短刺の琴系丸(Mammillaria camptotricha)が出回り,マミ好きのボクとしてはぜひ観察してみたいものでした.なかなか良い機会に恵まれず最近ようやく手にしてじっくりと観察してみました.ユーモラスな感じさえするこの短刺カンプトくん,人気者となったのがなんとなく頷けます.なおこのタイプの琴系丸をモンストと称する向きもありますが,これはモンストに当たらないと思います. 下の写真はウチに居る普通に...
昨年の夏に種採りのことを記事にしました.今年も春から手交配をして種採りに励んでいます.毎朝見て柱頭が出ているものに小さな絵筆で花粉をつけます.柱頭は先が3つに分かれ赤いのですぐに目に付きます. しばらくすると丸三角の果実が見えて来ます.手交配しても100%着果するわけではありませんが,放置して,アリさんに任せているよりは格段に着果数は増えます. 今年はタピオカストローなる胴太のプラスチックストローが...
このふわふわの白マミが穏やかに咲く姿を見ると猛暑の中でもホッとします.思わず頭を撫でてみたくなります.このM.albicomaは,淡雪丸という和名を頂くも,ほぼアルビコマという名で流通しています. 白い毛の長短,花の大小に多少違いはありますが,大体よく似ています.下の写真個体はやや花が大きいようです. これはSB271で,ヌエボレオン州ドクトルアロヨ付近が故郷です.上の写真の個体よりこじんまりとしているよう見...
この古い交配種の小さな苗をホムセンから救出して来たのは3年前のことでした.間もなく単幹だったものが下の写真のように分枝し始めました. その後主幹はそれほどびっくりするほど上には伸びず,分枝はそれぞれ大きくなって,それなりの枝振りになってゆきました. 今年は4月,5月に2回の開花ピークがあり,たくさんの花を咲かせて楽しませてくれました. そして7月また咲いて来ました.気温の上昇とともに若干花径は小さめ...
もう13年も前の記事でママのげんこつなる綴化サボテンをホムセンで買ったことを書いています.これが,Hildewintera aureispinaの綴化なのだろうなと思いましたがあまり自信もなく,やがて出てきた普通枝を挿し木して維持していました.ポツポツと咲くようになり,今年は少し纏まって開花しました.花などを見てやはり間違いないなと確認できました.ただし現在はCleistocactus winteriとされるのでしょうか.刺色,花色共に種内...
この黒竜(Pterocactus tuberosus)は,初夏から真夏前に何度か咲いて来ます.明るい陽の光の下で見るより,少し暗いところで見た方が雰囲気のある花色に見えます.これが大人な色ということでしょう,いいなーこの色合い,と咲くたびに思います. 蕾がガタイと同じ色をしているので,開花する直前まで気がつかないこともあります.下の写真の左下には大きな蕾が居るのですが,目立ちませんよね. Web上での記事を見ていたらdu...
テロカクタスのフラウテンベルゲリ(T.rinconensis subsp. freudenberugeri)は,春から咲き始め本格的な暑い日が続く頃は一休みして秋にまた開花してきます.年に何度も花を楽しめる素敵なサボテンなのですが,四方に広がる刺のせいで場所を取ります.ですからいくつも並べるわけにはいきません. 花はホントいつ見ても綺麗です.これまで異なる季節に開花した花を観察して来ましたが,気温により花色にあまり変化はないようで...
このハウディアーナ(Mammillaria saboae subsp. haudeana)は,春の盛りごろからポツポツと開花し,ある時たくさんの蕾が一斉に開花します.どうしてこんな風になるのか分かりませんが,何かの信号があるようにも見えます.まあそんなことはともかく,一斉に開花する年に一度の晴れ姿は素晴らしいものです.開花当日朝の写真が撮れる年もあれば,何かの用事で見過ごすこともあります.今年は,この幸せを十分堪能しました. 晴...
昨年も丁度同じ今頃にこの士童(Frailea castanea)の花を載せています.十分陽の当たる場所に置けばちゃんと開花することに確信したので,今は成株をエリオシケなどと共にしっかり陽の当たるところにおいています.外観は陽射しに弱そうですが,意外と大丈夫なものです.おかげさまで順調に次々と蕾が大きくなり,この素敵な花を何度も楽しむことができています. フライレアたちは花が咲こうが咲くまいが種子を作るので,種子...
ペンタカンサと呼ばれる聖王丸(Gymnocalycium buenekeri)です.なぜペンタカンサなのかと言うと,G. denudatum var. pentacanthumと記載されたことがあり,その時の呼称が一般に使われているのです.確かに天王丸にも似た風貌をしています.実際にはG. horstii var. buenekeriとされることがあるようにホルスティの近縁種です.なおpentacanthum(5本刺)の名前通りにはゆかず,刺の数は3〜5のようです.この斑入り株を手に...
ガッセリアーナ(Mammillaria gasseriana)をキリンで養成したことを以前に記事にしました.ちょっとメタボになっていますが,これから採種用に活躍してもらうつもりなので,これはこれでよしとしましょう.正木の兄弟たちとの比較観察から,カギ刺は大きくなると消失することもわかりました. ガッセリアーナの花は渋い花です.3株の花の様子は微妙に違いました.出所の異なる2株を交配して得た後代なので,こうした変異が内...
ウチではリトープスたちは年中軒下栽培ですが,これで結構なんとか育っています.春には無事に古着を脱ぎ捨て,今はじっとしている季節です.そんな中,ふとみると黄色いものが見えました.曲玉(Lithops pseudotruncatella)です.リトの中では早咲き系なのは知っていましたけど,まだ6月下旬,梅雨の最中に咲いてきました. 花には何の異常も認められません.そうするとリトの花芽分化は相当早い時期なのだということが類推...
日本では紅白はめでたいものとされます.紅白の起源は源平合戦からという説が有力らしいのですが,なぜめでたいのかは諸説あるようです.めでたいから紅白なのか,紅白だからめでたいのか,はっきりしてないようですね.本来赤花を咲かせる植物に白花変異株が出ることは色々な植物で知られています.サボテンも例外ではありません.メキシコの自生地に変異集団が確立した種もあれば,園芸的に拾い出され固定した園芸品種の白花も...
数年前に小さな株を買いました.その時のラベルはSubmatucana paucicostataとなっていましたが,今はMatucana paucicostataとされています.ペルー原産,生息地は限られているとされます.学名のパウキコスタータ(少数派)はここから来ているのでしょうか. さて,うちに来てから基部からどんどん分枝を出して来て現在このような姿になっており,今年初めて花を咲かせました. この個体の花色はオレンジとピンクの混ざったよ...
先週,まだ梅雨が明けない中,久しぶりに廣仙園さんを訪ねました.雲間に見え隠れする伊吹山を眺めながら,田村駅からゆっくりと歩いて向かいました.いつもながら圧倒的な実生苗の数です.ハウスをひと回り,たくさんのギムノカクタスやコリファンタなどの実生が売り頃を迎えていました.またボクはあまり刺ものには興味がないのですが,綺麗に作られているのを見るといつも感心します. コピやエリオシケなど他では見られない...
昨日でメヒコ3rdを終えて,七夕の今日から通常ブログに戻ります.七夕とサボテンは何か絡みはないものかと探してみましたが,流石にパッとした話題は見当たりません.星に願いをといえば有星類,こじつけですが今日はアストロの話題.瑞鳳玉は子供の頃から大好きなサボテンでした.近年色白化が進み,流通しているのは皆白瑞鳳というべきものです.メキシコで見たような,成長点付近の白点が茶色になる普通の瑞鳳はどこへ行った...
今日で一応メヒコ3rdを締めようと思います.長々とお付き合い頂きありがとうございました. 帰ってからすぐに写真を整理すると共に,それぞれの種について改めて本などで調べ直したり,友人に尋ねたりとこのブログの記事を書くために相当の時間を費やし,あっという間に2ヶ月余りが過ぎてしまいました.いつも百聞は一見にしかず!と言っているのですが,ただ見ただけではダメで,こうして復習することが如何に大切かを再認識す...
ある動植物が,将来に渡り絶滅の危険がないというためには,その動植物が健全な形で存在しているだけではなく,自然の状態で世代交代ができていることが重要です.現地でサボテンを見ると,すごく立派な株に目が行きがちですが,その場で小さな実生苗が育っているのかどうか,いつも気にしていました.命がつながっている様子を,この目で見ておきたいのです. 太平丸は結構な頻度で小さな株が見つかりました. アンシストロカ...
アガベのアルボピロサ(Agave albopilosa)は新しく報告された種です.アガベ音痴のボクでも一応名前ぐらいは知っていました.しかし,その自生地が極めて限られているというのは認識がなく,どれぐらい稀なのかは知りませんでした.ウステカ渓谷を車で深く分入り,さらに山道を歩き,ようやく辿り着いた崖に彼らは居ました.まずは比較的観察し易いところにいたもの.綺麗にポンポンが開いています. 周りには結構な頻度で笹の...
クアトロシネガスという響きは独特で,何はともあれ一度は行ってみたかった場所です.近年は観光地としても注目され,白い砂の丘は結構有名だったたりします. 白い砂の中で小さなサボテンを探すのはなかなか大変です. その白い砂の中に居たのはAncistrocactus pinkavanus です.種小名は植物学者Donald J. Pinkawa氏にちなんだものです.乾季は完全地面の下に隠れており,雨が降った時だけ地上に顔を出すといった生態の持ち...
クアトロシネガスの平原,そこに居たのはEchinomastus warnockiiでした.ワルノッキーの生息地はUS南部からチワワ砂漠の広範囲におよび,個体数も多く,絶滅の危機にあるものではないようです.日本ではマスタスと聞いただけでもうこれは希少なのかなと思ってしまうのはイメージ先行の故でしょうか.草に隠れる様に何気ない姿で野にいました. 全身を白い刺で覆い尽くされているタイプ. やや刺に色の付くもの. 中刺がクッ...
Coryphantha属には結構な数のサボテンがいるのですが,広く栽培されている種の数は限られています.ちょっと馴染みのないものも含めアラカルトで紹介します.まずはC. delicata.小型で丸く中刺を欠く草姿は,如何にもコリファンタらしい これはC. palmeriかなと思われるもの.カギ刺になった中刺が揃って下を向いている姿は,よく目につきました. 次はC.difficilisです. 強い中刺とブルー肌が印象的ななかなか素敵なサボテ...