「イケメンですね」の二次小説です。テギョン・ミニョが中心のお話になります。
パタパタと階段を下りるスリッパの音が響く朝。ジェルミはキッチンで忙しそうにスプーンと口を動かしていた。 「おはよテギョンヒョン。ミジャおばさん急用ができたっ…
その日ミニョは息苦しさで目が覚めた。といっても、目は開けていない。夢の世界から現実へと意識が戻ってきたという意味。目は開けられなかった。ずしりと何か得体の知…
深夜、疲れた顔で帰宅したテギョンは冷蔵庫からいつもの水を取り出すと、あくびをかみ殺しながら自室へと向かった。ただでさえ忙しいのに、「一緒に食事しよう」という…
合宿所の屋上で、カップをテーブルに置くと青い空を見上げシヌは大きく伸びをした。今日、テギョンとミニョが帰国する。もう飛行機は着いているはず。今頃はタクシーに…
あとがきです。 「ひとりの夜はうさぎを抱きしめて」 無事終わることができました。 よかったー 読んでくださったみなさん、ありがとうございました。 …
『ミニョ悪い、空港まで迎えに行くつもりだったけど行けなくなった。みんな忙しいから誰も行けそうにないや、ゴメンな』 そうメールを送ったのは数日前。そして今、…
タタン、タタタン、タタン、タタタン・・・握るというより落とさない程度に軽く持っただけのスティックが奏でるドラムにいつもの力強さはどこにもなく、乾いた地面を叩…
テギョンが病室のドアを開けた時、目に飛び込んできたのは必死の形相でぬいぐるみに話しかけているミニョと、骨があれば確実に首の骨が折れていると思われるほどうなだ…
それは月明かりのきれいな夜だった。冴え冴えとした月が辺りを照らし、暗闇に立つ二人の姿をくっきりと浮かびあがらせている。事務所のテラスは他に人影もなく、二人き…
“青天の霹靂”“寝耳に水”いいや、この驚きはそんな簡単な言葉では言い表せない。例えるなら・・・“空に向かって投げた小石がなかなか落ちてこないと思っていたら、…
・・・にんじん? 人参をどうしたって? ・・・ん?いや違う。 ・・・・・・にんしん? にんしん、にんしん・・・・・・・・・・・・・・・妊娠!? 最初、聞き間…
喜びの涙を浮かべるでもなく、嬉しくてその場をピョンピョン跳びはねるでもない。そして大勢の患者がいる場所だから踊り出さなかったのでもないということは、ミニョの…
テギョンの退院が決まった。退院後もしばらくはリハビリのため通院は必要になるが、それはこの病院でなくてもよく韓国でもできる。自由に外出することのできない今のい…
宿泊しているホテルを出てバスに揺られること数十分。窓から見えてきたのは数年前に建て替えられたという巨大な病院だった。吹き抜けのゆったりとしたロビーには座り心…
さらりとした風が無地のカーテンをなびかせた。隙間から入りこんだ午後の日差しがテギョンの顔を照らす。誘うような光が覚醒を促したのか、眉間にしわを寄せながら、ゆ…
新しい朝が来ますようにと思いながら眠りについたのに、いざ朝になってみるとミニョは今までと違うかもしれないことが怖くなった。変化を受け入れるのは時として痛みを…
「ごめんなさい、汚しちゃった」 ひとしきり泣いたミニョは呼吸を整え、すんと鼻をすすると真っ赤になった目とテジトッキをこすった。ミニョが泣いている間テギョンは…
夜のうちに雨が降ったのか、カーテンを開けると朝日を浴びる木々は茂る葉に玉の露を光らせていた。窓を開ければ少し湿り気を帯びた風がすうっと頬をなでる。洗い流され…
「父さんと、か・・・・・・あの人が?」 長年蓄積されたわだかまりはそう簡単には解けない。呼びたくても口には出せないのか思わず出そうになった言葉をわざとのみこ…
「自分で呼んでおいてその顔は何だ」 「いやー、その顔でその声ってやっぱ違和感だらけっていうか・・・」 深夜ミナムの部屋をノックしたテギョンは不審そうな顔でじ…
「あっ、すいません」 ちゃんと目を開けて歩いているのに近づいてくる人が見えていなかったのか、自分の進むスピードが速すぎてうまくよけられなかったのか。肩がぶつ…
家族を待つ人。恋人を待つ人。友人を待つ人。国際線の到着ロビーは再会を喜び合う人々でにぎやかだった。その人たちの間を出迎えを捜す様子もなく無表情で歩くギョンセ…
ゆっくり話をしようと下りてきたリビングで、テギョンは事故に遭ってから今までのことを話した。ソファーに腰かけた身体を前に倒し膝の上に肘を乗せる。組んだ指を見た…
深夜、ジェルミが慌てた様子でミナムの部屋にやってきた。 「ミナム、シヌヒョン部屋にいないよ」 「何!?」 ドアが少しだけ開いたままになっていることを不審に思…
「いいなー、私流れ星って見たことないんですよね」 何気なく観ていたテレビで流星群の話をしていた。今夜極大を迎えると。ミニョはただ流れ星が見られるだけでなく、…
勢いよく開いたドアから手が伸びると、廊下に追い出されたはずのジェルミの身体は吸いこまれるように部屋の中へと消えた。胸ぐらをつかんで離さないミナムの顔には、疑…
車の中は静かだった。イヤホンで音楽を聴いているシヌはいつものことだったが、一番後ろでマ室長の眠気覚ましのBGMのようにしゃべり続ける二人が、今日は珍しくひと…
「はっ!・・・よっ!・・・くっ!・・・ふんっ!」 テジトッキからシヌへ、そして再びテジトッキの中へと戻ってきたテギョンは少し期待していた。常識では考えられな…
シヌがミニョを抱きしめる。その姿を想像しただけでムカムカと腹が立ってくる。しかしそのシヌは今は自分であって・・・中身は俺なんだから問題ないだろと思いつつ、安…
鏡を見てテギョンは唖然とした。何度もまばたきをした。痛くなるほど目をこすった。しかし、口角を上げてみても眉間にしわを寄せてみてもそこに映っているのはシヌの顔…
時間はほんの少しさかのぼる。ミニョとシヌが言い争いをした日の深夜。ミニョが寝た後、ジェルミが帰ってくる少し前。テギョンの意識は不思議な感覚に包まれていた。そ…
シヌが帰ってきた時、リビングからミニョの楽しそうな声が聞こえてきた。あきらかに誰かと会話している声に、てっきりジェルミが先に帰っているのかと思ったが、そこに…
「ただいま。なんだか楽しそうだね」 「シヌさん、おかえりなさい。実は今日オッパと・・・」 いつの間に帰ってきたのか、振り向くとシヌが立っていた。いつもならそ…
バスを降り、蔦の絡まる大きなアーチをくぐると、目の前に広がるのは色とりどりの花たちだった。広大な敷地の植物園でミニョたちを出迎えたのは、辺り一面に咲き誇る色…
「オッパ」 テギョンに話しかけるミニョの声はいつも明るかった。しかしそこにいるのは動けず表情も変わらないぬいぐるみ。だからミニョの呼びかけに返事がないと、テ…
三人が帰ってくるのは夜遅い。ミニョは先に夕飯を食べるとリビングでテレビを観ていた。 「あーコホン・・・ミニョ、膝が寒いんじゃないか?」 ミニョの隣、ぬいぐる…
「ねぇねぇ、ミニョどうしちゃったのかな。テジトッキはぬいぐるみなのに話しかけてたよ、それにオッパって・・・」 事務所の一室でうろうろと歩き回るジェルミは不安…
はぁ・・・吸った息を吐くという動作は普通の呼吸と同じなのに、ため息というのはどうしてこうも暗い気分になるんだろう・・・とその日の朝、シヌは憂鬱な面持ちでお茶…
ミニョの瞳に映ったのは見慣れない天井だった。といってもまったく知らないというわけではなく、あくまでも見慣れない天井。この部屋には何度も入ったことはあるが、テ…
「おい、俺を投げたな」 「す、すみませんっ!」 放り投げられころころと部屋の隅まで転がっていったテジトッキをミニョは慌てて取りに行った。 「びっくりして・・…
ぱちぱち。ごしごし。ぱちぱちぱち。ミニョがテジトッキを見つめ、まばたきをする。目をこすって、またまばたきをする。キョロキョロと部屋の中を見回し、特に何も変わ…
「はぁぁぁ―― ・・・」 朝、みんなが出かけていって一人になると、ミニョはリビングのソファーでクッションを抱きしめ、大きな大きなため息をついた。みんなの前で…
翌朝みんなで食事をしている時、シヌに電話がかかってきた。一斉に手が止まり、それまで表面上は和やかだった空気に一気に緊張が走る。視線がシヌに集中した。席を立ち…
テギョンを乗せた飛行機は離陸数十分後に墜落した。ニュースでそれを知ったアン社長はすぐにマ室長に電話をかけ、そこからダンスレッスン中のメンバーたちに連絡がいっ…
帰国するテギョンを出迎えるためミニョは空港へ来た。いつもなら騒ぎになるからと家で待っているのだが、昨日のミナムの言葉が気になってじっとしていられなかった。も…
暖かい光が降りそそぐ。春の訪れはまだまだ先だが、今日は”昨日までの厳しい寒さはちょっとだけ休憩”とでもいうように穏やかな空気が身体を包んでいた。くっと喉を伸…
昼過ぎに降りだした雨は次第に激しさを増していった。もともと屋外での撮影がほとんどで天候に左右されることも計算されていたスケジュールは余裕を持たせてあり、その…
こんにちは ずっと読んでくださっている方、お久しぶりです。初めてお越しの方、ようこそ! 四十肩だった左はそれほど痛くなかったのに、五十肩になった右は…
お久しぶりです。なんかこのフレーズ続くなーでも実際そうなんだから仕方ないわ (^_^;)お話、書き上がったんでアップしました。楽しんでいただけると嬉しいんです…
こんにちは、らんです。こちらでの記事のアップは久しぶりですが、お話じゃなくてごめんなさい~つぶやきというか、お知らせです。まずは・・・アメンバー申請をしてく…
「オッパ!」修道院にいるはずのミニョが急に現れたことに驚いたテギョンは、大きく目を見開いた。「ミニョ、どうしてここに」動揺するテギョンを見てミニョは大きく息…
凍てつくような寒さが和らぐと、それまで身を縮こまらせて歩いていた人々の背筋はピンと伸び、足取りも軽やかになった。時折強く吹く風はまだまだ冷たいが、ショーウィ…
あとがきです。「日蝕」 なんとか終わらせることができました。 ほっ。最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。コメントもたくさんありがとうございま…
いつも俺を最初に出迎えてくれるのは、カランコロンというベルの音。それに続くいらっしゃいませと言う声。そして一杯のコーヒー。ミニョが俺の前に座る。「この店はい…
「きゃっ!」「おっと」空を仰ぎ過ぎたんだろう。バランスを崩したミニョの身体が後ろへ倒れかかり、俺は慌てて抱きとめた。「そんなに手を伸ばしてどうするつもりだ」「…
芸能界はいいことも悪いことも、話題には事欠かない。海外へ行くと決めた俺は、何か大きなネタにマスコミが集中している間にひっそりと韓国を出るつもりだった。「一緒…
俺は今、ここから少し離れたところにある、小さなホテルに泊まっている。ずいぶん昔、この辺りはきれいな渓流と美しい自然を求め、観光客が急増した時期があったそうだ…
ミニョの部屋に泊まったのは一晩だけ。翌日にはホテルを探し、俺はそこへ移った。部屋にこもり社長をどう説得するかを考えたが、なかなかいい案が思いつかない。しかし…
疲れていたのは確かだ。だけど少しも眠くない。そしてついさっきまで感じていた疲れも、まるで魔法でも使ったかのように、きれいに消え去っていた。理由は判っている。…
シャワーを借りざっと汗を流した俺が部屋に戻ると、壁際に一組の布団が敷かれ、ミニョは部屋の反対側の壁にもたれながら、うとうとしていた。「本当にどこでも寝れるん…
「ブログリーダー」を活用して、らんさんをフォローしませんか?