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花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。

読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。

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2017/02/11

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  • 流砂の如く・・・ 76

    真正面に座る親父には笑顔はない。その横にいる爺様も同じ・・・だがお袋と孝三郎はニコニコしているし、美涼は顔を赤くして俯いている。この雰囲気で聞かされる話は・・・・・・「総二郎、実は先ほど美和子が付き添って美涼さんを病院に連れて行ったのだがな・・・そこで美涼さんが妊娠していることがわかったのだよ」「・・・・・・・・・そう・・・ですか」「予定では来年の4月の終わり頃になるだろうとのことだ」それを聞いて奥歯を噛み締めた。計算す...

  • なんでも屋の業務日誌・30

    「この池を作った時、大型の鯉飼育には水深3mが良いといわれてな。でも今では1mでも良いと言う話じゃったから、そこまで水を入れてないのだよ」「あぁ、それで水面までの距離があるのですね」「大型の鯉は深さより広さだと聞いて、池を拡張したのが3年前でな~」「・・・あの💢!!」「「「・・・・・・・・・」」」俺たちが庭池談議をしているとき、不意に聞こえてきた怒りの声・・・振り向いたら牧野が頭に水草付けてこっちを睨んでて、慌て...

  • 流砂の如く・・・ 75

    イベントから10日が過ぎ、9月になった。まだ暑さは続いているが、この頃から宗家は茶会が増え、毎週末爺様は亭主を務めてくれた。それだけではなく、弟子の稽古に炉開きや口切りの打ち合わせや準備も手伝ってくれて、それはかなり助かった。親父もあれ以来おとなしくリハビリを続け、最近ようやく家元限定の仕事である「免状の発行」などを行えるようになった。茶を点てる動きの方はまだ人前では行わず、自分だけで確かめている...

  • なんでも屋の業務日誌・29

    「花沢さん!私、花沢の社員って設定ですか?」「うん。そうじゃないと朝から夜まで勤務って言われたか困るでしょ?あんただって事務仕事があるだろうし、花沢の社員がお手伝いってことになったら時短出来ると思うし」これは初めから思っていたこと・・・何日間勤務するかもわかんないのに、牧野を何時間も借りることになったら三毛猫の手も大変だろうし。でもそれを彼女に話してないとは思わなかった。(←自分のことである)「あぁ、...

  • 流砂の如く・・・ 74

    どうやって帰ったのかも覚えていない・・・気がついたら私はマンションの駐車場に停めた車の中にいた。もう外は薄暗く、外で遊ぶ子どももいない。助手席には今日買った物があるけど、その中身も覚えてない・・・その下にイベントのパンフレットがあるのを見て、また大きな溜息を吐いた。本当に綺麗な人・・・着物がとてもよく似合っていた。ただ、妊婦さんには見えなかったけど、それも目立たない体質なのかもしれないし。・・・と言うことは妊...

  • なんでも屋の業務日誌・28

    花沢さんの家を見ていたから驚かなかったけど、この家もかなり広い・・・って、そんなことはどうでもいいんだけど!!急に現れたお爺さんの後ろをついていく花沢さんの袖を引っぱり、「どういうことですか?!」って睨み付けると・・・「え、なにが?」「私が花沢物産総務課の人間って事ですよ!」「あぁ・・・言わなかったっけ?」「言ってませんよ💢!!」←一応小声「ん?どうかしたのかね?」「「なんでもありませ~~ん」」振り向いたお...

  • 流砂の如く・・・ 73

    オープニングセレモニーが終わり、控え室に戻ったのは11時45分。すぐに実演に入る団体もあったが俺たちの実演までにはかなりの時間がある。だから今から昼食を取ることになり、弟子が配られた弁当を俺たちの前に置いた。ここで美涼が手洗いに行くと席を立ち、流石にそれには付き添えないのでここで待つことに・・・彼女がいなくなってから、弟子にセレモニーの間の事を聞くと・・・「美涼様は初めのうち、ステージの横で総二郎様を見...

  • なんでも屋の業務日誌・27

    「「「「・・・・・・・何があったんだ?・・・・・」」」」「皆さんっ!私のせいじゃありませんから!!」こんな日に限って全員がほぼ同じ時間に帰社してきて、事務所のど真ん中にある冷凍庫を見て目がテン。そのうえ私が中にアイスを入れてたから、ドアを開けてまた目がテン。社長が「もしかして、これが今回の依頼料?」って言うから、両手をブンブン振って今日の出来事を説明した。そうしたらまたまた4人の目がテン、口がポカン・・・「日当...

  • 流砂の如く・・・ 72

    イベントが開催される商業施設につくと、弟子2人が道具類一式を抱え、俺は美涼を伴って7階にある控え室に向かった。そこは広い部屋をパーティションで区切っただけの控え室・・・ホテルやイベント専用の施設じゃねぇからそれも仕方がない。案内するスタッフについてそこに入ると、何処からともなく「総二郎君じゃないか」と声がかかり、俺は軽く一礼して通りすぎた。その時に美涼もにこやかに挨拶し、皆が驚いてる・・・それも感じてい...

  • なんでも屋の業務日誌・26

    藤本が執務室に戻ってきたらすぐに自分のデスクの上を片付けた。それを見て「どうかしたんですか?」と言われたけど、彼の顔を見ずに答えたのは・・・「篠田産業に行ってくる」「え!急にどうしたんです?」「篠田会長から呼ばれただけ。1人で来いって言われたから藤本は残って仕事してて。急ぎのメールがいくつか来ていたから、それを片付けてくれると助かる」「私が行かなくてもいいんですか?」「・・・あの美人秘書に会いたいのかも...

  • 流砂の如く・・・ 71

    「今週の土曜日、出勤になったんだ」「あ、そうなんだ・・・」「辞める前に少しぐらいは協力しようかと思ってね。印刷部にも急がせてる案件があってさ~~」「うん、わかった・・・お疲れだね」木曜日の夜にそんな話をされて、私はサイドボードの上にあるカレンダーを手に取った。そこで日にちを確認すると、その土曜日は8月24日・・・・・・この日付に覚えがあり、少し考え込んでると・・・・・・思い出した。前に先輩に頼まれて行った商業施設で...

  • なんでも屋の業務日誌・25

    「それでは会長、本日は楽しい時間をありがとうございました」「・・・(楽しそうに見えなかったが)・・・いや、こちらこそだよ。あの件、よろしく頼むよ」「・・・わかりました。またご連絡差し上げます」そう言って会長を見送ったのは20時30分。俺の後ろに立つ藤本も深々と頭を下げていたけど、会長秘書がモデルかと思うような美人だったとは・・・道理でこいつの機嫌が良いと思った。そしてタクシーが見えなくなるとホッと一息・・・今度...

  • 流砂の如く・・・ 70

    妊娠を知ってから3週間が過ぎ、8月も後半・・・毎日が猛暑で朝から身体が怠かった。それでも朝早くに起きて朝食を作り、そのお皿を洗い終わった頃に・・・「じゃあ、行ってくる。車の運転、気をつけてね」「うん、行ってらっしゃい。今日から15時で終了だからそんなに心配しなくてもいいよ」「心配するよ、今はまだ安定期じゃないんだし」「・・・・・・ありがとう」「早く帰るから。君が好きなチーズケーキ、買って帰るからね」「楽しみに...

  • なんでも屋の業務日誌・24

    「・・・日が暮れるの、早くなったよね~」「専務、いいから書類に目を通して下さい。いつまで夕日を眺めてるんです?」「・・・もうすぐ業務終了だね」「なに言ってるんですか、この書類の報告期限は今日ですよ」「・・・・・・・・・・・・・・・」「明日出来ることは今日しなくていい、なんてのは通用しません」今はもう9月・・・とは言えまだまだ猛暑で、仕事のやる気なんてどこにもない。そんなことを藤本に言ったら殴られそうだから、仕方なくデスク...

  • 流砂の如く・・・ 69

    約束した1時間はとっくに過ぎた。このまま知らん顔しようかと思ったが、そのあとのお袋の小言が鬱陶しい・・・だから30分遅れで美涼の部屋に向かった。あいつのために作られた離れは俺の部屋とはそんなに遠くなく、さっさと歩けば30秒もかからない。それなのに足が重く、随分長く歩いたかと思うほど・・・その離れの灯りが見えると、深い溜息が漏れた。嫌なことは早く終わらせようと思い、ノックをすると返事の代わりに美涼が出迎え...

  • なんでも屋の業務日誌・23

    裏口と言われたけど私のアパートのドアよりもめっちゃ綺麗なドア。そこにあったインターホンを押すと、すぐにカチャッと開いて、これまた綺麗なお姉さんが「いらっしゃいませ」と言ってニコニコと・・・彼の後ろにいる私を見たらクスッと笑ったんだけど、それはどういう意味だろう?その前のニコニコとは違い、若干悪意を感じたのは気のせいか?1歩中に入ると、流石に裏口って感じで、スタッフさんの傘とか通勤用の派手な靴?とかが...

  • 流砂の如く・・・ 68

    「牧野さん、無理しないでね?」「はい、大丈夫ですよ~」「小さな物でも箱で持つと重いから、牧野さんは軽いものにしてね~」「台車、使わせてもらってますから」ふぅと息を吐きながら品出し・・・先輩スタッフさんが気を遣ってくれるけど、有り難いような、心苦しいような・・・まだまだ実感がないから気が引けてしまう。それよりも昨日の夜、片山さんが変なことを言い出したから気になって・・・**「よし・・・そろそろ茹でようかな・・・」2...

  • なんでも屋の業務日誌・22

    病室を出ながら通話をタップし、「急用?」と聞くと・・・『今、どちらですか?』「どうして聞くの?」『もしも会社に近い場所においででしたら、寄っていただけたらと思いまして』別に急いでる様子でもないのに、その言い方。しかも藤本だって休みのはずなのに・・・と、思った瞬間、嫌な予感がした。だから素直に「花沢総合医療センターにいるけど」と答えると、『それなら結構です』と言って、速攻切られた。「・・・・・・なんなんだ💢」お...

  • 流砂の如く・・・ 67

    親父が騒ぎを起こした翌日、西門には美涼とその母親が来ていた。そして親父を見舞い、爺様にも挨拶・・・前日とは打って変わってお袋の機嫌は良かった。俺はと言うと・・・「本当にいいのですか、総二郎様」「別に・・・いいんじゃね?これで親父の気持ちが安らぐのなら・・・」「でも、その気はないとあれほど言ってらしたのに」「・・・俺が西門に出来ることはこのぐらいだからな・・・」「総二郎様、そんな言い方は・・・」「志乃さん、そんなに心配...

  • なんでも屋の業務日誌・21

    私が持ってたお見舞いの花を凛々花さんに渡したけど、そのお礼は当然花沢さんに向けられた。しかも私が渡すときは無表情だったのに、彼に向けた笑顔は極上・・・人間、こんなにも瞬時に顔を変えられるのかと驚いたくらいだ。花沢さんはそんなことも気にせず、側にあった椅子に座ってダンマリ。それでも凛々花さんは嬉しそうに「昨日までは苦しかったんですけど~~」と、自分の体調のこととかを話してた。それに対して花沢さんは「は...

  • 流砂の如く・・・ 66

    どうやって家に帰ったのかも覚えていない。気がついたらガレージにいて、そこでもハーレーに寄りかかって地べたに座っていた。時間なんてわからない・・・頭の中は真っ白で、さっきのこと以外、何も考えられなかった。つくしが片山と暮らし、あいつの子どもを妊娠している・・・それがどうしても信じられなかった。会えなくなってから1ヶ月半・・・俺と関係を持った後で片山とそうなったとして、その子が絶対に片山の子だと言い切れるのか・...

  • なんでも屋の業務日誌・20

    捻挫が治ったもんだから気分が良くなり、少し調子に乗ってスキップしてみた♪そうしたらマジで痛くなくて、「流石、私!」と言いながら駐車場へ・・・「あれ?私の車・・・どこだっけ?確か黒いBMWとベンツに挟まれてたよね・・・」テーマパークほど広くない駐車場なのに自分の車が見えない。と言うか、デカい車に挟まれてるから見えないんだと思うけど、「確かあの辺りで~」と思いながらもスキップが止まらなかった。そして白い車から男性...

  • 流砂の如く・・・ 65

    「「「え~~~~~~っ!!牧野さん、妊娠してるん?!」」」「・・・は、はい///・・・もしかしたら気分が悪くなるかもですが、仕事はするんで・・・」病院に行ってから数日後、ドラッグストアのスタッフさんや店長の前でそれを話した。と言うのも、少し悪阻っぽい症状が出てるためで、隠してると病気かと思われてはいけないから。ここは処方箋も扱うような大きなドラッグストアだし、具合悪そうにするわけにはいかない。今はフルタイムの...

  • なんでも屋の業務日誌・19

    土曜日、久しぶりに車に乗った。行き先は花沢総合医療センターで、10時に特別に予約を入れられたから。そこに行くと火曜ほどは駐車場も混んでなくて、すんなり入れることが出来た。怖かったのは隣がBMWとベンツだったこと・・・その間にボロボロの中古の軽自動車を入れる私の神経の図太さよ!なんてことを思いながら病院内に入り、休日の受付に行って説明すると、やっぱり最上階を案内された。普通に整形外科外来で良くない?と思う...

  • 流砂の如く・・・ 64

    俺が時間を作りたいと思っていたとき、その連絡は来た。とある団体の会食に参加予定だった日、その代表者が流行の感染症になったために中止になった・・・と。「マジか・・・・・・具合はどうだって?」「症状は軽いそうです。でも自宅待機ですし、同じ会社の方々ですので皆様検査をなさるそうで・・・」「仕方ないな・・・見舞いの電話を入れておこう」「はい、それがよろしいかと」事務長からそれを聞き、残念そうな言葉を出したものの、内心時...

  • なんでも屋の業務日誌・18

    あの日から5日が過ぎた。今日は金曜日で、土日は休み・・・ようやく背中の痛みも捻挫もよくなって、普通に歩けるようになった。「・・・思い返せばすごい1週間だったなぁ・・・」**先週の金曜の夜はダイニングバーで酔っ払い、土曜の朝は花沢城で目が覚めた。日曜日は本番で投げ飛ばされ、イケメンの寝顔を拝み、ついでにワンピと鞄と血だらけの靴をゲット。月曜日は花沢さんに送ってもらったけど、足首にサポータをして背中を痛めた私に...

  • 流砂の如く・・・ 63

    親父が自宅に戻ってから数日間、1日に見舞客1~2名の相手をする以外は母屋でリハビリをする生活が始まった。孝三郎も同時に治療を受けつつ、弟子の指導などを行い、依然として外向きの仕事は俺とお袋、宗家での茶会は爺様。それでも家族の顔が揃ったこともあり、忙しい中でもホッとする部分はあった。そんな時に本邸に現れたのは桜井家の当主と美涼・・・俺はその来訪を聞かされてなかったので驚いた。またしても俺に秘密裏に計画...

  • なんでも屋の業務日誌・17

    月曜日の朝、背中の激痛で目が覚めた。これは昨日、背負い投げされた時の打撲によるもの・・・少し動かしただけで「うっ!」って声が出ちゃう。それでも会社に行かなくちゃいけなくて、動く度に「あっ!」「いっ!」「うっ!」と言いながら朝食を食べ、いつものように超時短メイクをして服を着替えた。髪はいつものように1つ括りにして・・・その時にハンガーに掛けたワンピースを見て、昨日の出来事を思い出してた。すごいお嬢様だった...

  • 流砂の如く・・・ 62

    「牧野さん、今帰ったの?今日は遅かったんだね~」「・・・片山さん・・・こ、こんばんは」「こんばんは。どうかした?そんなに怖い顔して」エレベーターのドア前で鉢合わせしてしまった私たち・・・この1週間は顔を合わせていなかったから、上手く表情を作れなかった。この人は私の動揺など気にもせず、ドアが開いたら「乗らないの?」と背中を押して・・・中に入ったら手に持ってる薬局の袋をさらに強く握り締めてしまった。「それ、潰れち...

  • なんでも屋の業務日誌・16

    「足よりも背中が痛いかも・・・・・・ってか、いつまで寝てんの💢?!」時間はすでに16時。あれから2時間も経ってる。と言うか、この部屋に入って1時間半・・・・・・花沢さんは爆睡。本当ならもう仕事も終わって自宅に戻ってるはずなのに・・・そして私の方が気疲れして寝てるはずだったのに!勝手に帰ろうにもあの靴は履けないし、裸足で帰るわけにもいかない。なんとかワンピは無事だけど、髪はグチャグチャ・・・・・・「あれ?」髪の毛を直そう...

  • 流砂の如く・・・ 61

    湧き上がる怒りを静めるには時間が掛かった。この間に事務長が後援会長が来ていたことの理由を聞くと、お袋が桜井親子を出迎えにロビーにいたとき、友人の見舞いに来ていた会長に出会ったというものだった。その時に親父の退院を教え、今日なら病室に来てもいいとの許可を出したのだそう・・・そんな偶然があるのか?と思ってしまうが、今更どうでもいい・・・・・・気持ちが落ち着いたら美涼のことなど無視して、ここで親父に初めて孝三郎...

  • なんでも屋の業務日誌・15

    「いくら彼女が無作法な事をしたとは言え、こんな場所で投げ飛ばすなど言語道断です。そんな人とは2度と一緒に過ごしたくはありませんので、私はこれで失礼します」「類様、そんなっ・・・!!」「別にあなたのお爺様には何も報告しません。が、牧・・・良江さんの事をご自宅で話されたことがわかった時点で、Mホテルのスカイラウンジで人を背負い投げしたことをお伝えさせていただきます。なので、ここで起きた話は誰にもしない方があ...

  • 流砂の如く・・・ 60

    つくしと会えなくなってから1ヶ月が経過・・・その間に梅雨が明け、クソ暑い夏が始まっていた。孝三郎はまだリハビリなどを行う段階ではなく、安静にしながらも右手だけで出来る軽い仕事を始めた。それは招待状などの作成とか事務長の手伝いだが、長時間すると首に痛みが来るので、1日のうちの数時間だけ。それでも俺の負担は軽くなるので助かっていたが・・・やはり考の不安は大きくなるようで、時々荒れてしまうこともあった。酒も飲...

  • なんでも屋の業務日誌・14

    「雪だるまの前にいるのんびり王子を助けなきゃ・・・!」と、気合いを入れて1回大きく息を吸った。それを吐き出すと同時に足に力を入れ・・・ズキッとしたけど我慢して突進!このワンピに似合わないスピードで10歩ほど進んだら、そこはもう敵陣!!「プリンはいかがですか?」「あ・・・プリンは好きです」「まぁ🧡じゃあ濃厚なプリンを・・・・・・」そんな会話が聞こえた瞬間、そのテーブルの真横に立った!すると雪だるま・・・もとい、お嬢様...

  • 流砂の如く・・・ 59

    「・・・・・・・・・・・・んっ?」「目が覚めた?」「・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」「余程疲れてたんだね・・・あれだけのお酒で寝ちゃうなんて」そう言われて顔を上げると、ぼんやりとした視界がそのうちはっきり見えてきて・・・・・ハッと我に返って身体を起こすと、目の前には片山さんがいた。私は彼の部屋のテーブルに突っ伏してて、そこには彼の飲んでるお酒のグラスしかない。この状況が理解出来なくて、目を見開いて辺りを見ていると、それよりも...

  • なんでも屋の業務日誌・13

    「いらっしゃいませ。ご予約のお客様ですか?」「・・・花沢だけど」「石川様よりご予約いただいております花沢様ですね?お席にご案内いたします」「・・・ありがとう」スカイラウンジに行くと、そこのスタッフに案内されたのは入り口右手側の奥の席・・・「お連れ様がお越しになるまでこちらでお待ちください」と言われ、赤いバラが一輪飾られたテーブル席に座った。スタッフの言葉通り相手はまだ来ていなくて、すぐにスマホで牧野に席の...

  • 流砂の如く・・・ 58

    パエリアだけだとさみしいから、サラダとスープも作ることにした。とは言え手の込んだものを作る気などなく、ニンジンのサラダとコーンスープだけ。せん切りニンジンを作り、タマネギの薄切りとハムの細切りを用意。エリンギも細切りにして、これはコンソメのスープで茹でて下味を付ける。サニーレタスは水洗いして水気をきり、食べやすい大きさにちぎってお皿に盛り、そこにドレッシングで和えた材料を乗せるだけの簡単なものだ。...

  • なんでも屋の業務日誌・12

    日曜日のお昼過ぎ、私は鏡の前で念入りにメイクをした。普段は使わないアイライン・・・震える指で目元に近づけたけど・・・「どぅわぁぁぁ~~~~~っ!!狸になったぁ!!」瞼の上がまっ黒になり、慌ててそこを擦りまくったらさらに広がってとんでもない顔に・・・急いでメイク落としで拭き取り、ベースメイクからのやり直し。そしてもう1度ネットでアイラインの引き方を読むことに・・・初心者や不器用さんにおすすめなのはペンシルアイラ...

  • 流砂の如く・・・ 57

    その週の金曜日、前のマンションに戻って大家さんに退去の立ち会いをしてもらった。そこで鍵を返したり、補修の必要な部分の説明を受けたりと数時間を過ごし、ポストを見たら会社から離職票などの書類が届いていたのでそれを鞄に入れた。その帰りには郵便物の転送の手続きも・・・でも住民票の移動はまだしなかった。なんとなくだけど、今のマンションに長く住む気がしなかったから・・・それが終わると江戸川に戻り、今度は求人雑誌を見...

  • なんでも屋の業務日誌・11

    「青山のPerfetto・・・地図アプリで見るとこの辺り・・・・・・」スマホを片手に歩いていると、前方に煌びやかなお店を発見。そこのドアに見えたのは「Perfetto」の文字で、外観だけでめっちゃ高そうな雰囲気出しててドン引き!私は普通のシャツにジーンズで来たから、こんなお店のドアを開け勇気なんてないんだけど!・・・とは言え、花沢さんに言われたので仕方なく指先だけでドアの取っ手を持ち、それを押しながら「すみません~~」と小さ...

  • 流砂の如く・・・ 56

    会社に行かなくなって6日目・・・部屋も片付いたし、することがなくて逆に気持ちが落ち着かなかった。ドライブしようにも土地勘はないし、今日は曇り空で日差しが強くなかったので散歩に行くことにした。課長から聞いていたスーパーまでの道をテクテクと、ただ周りを眺めてゆっくり歩く・・・そうしたら正面からベビーカーを押しながらこっちに向かって歩くお母さんがいて、通り過ぎる時にチラッと見たら、可愛らしい赤ちゃんが寝てた。...

  • なんでも屋の業務日誌・10

    「ふぁ~~~~~~~~~・・・・・・よく寝た」目が覚めたのは11時30分・・・モゾモゾとベッドを降り、シャワーを浴びた。ドライヤーも面倒だったのでタオルドライして部屋に戻ると、適当に選んだ部屋着でひと休み・・・その時にスマホが鳴ったので名前も見ずに出てみると・・・『ちょっと花沢さん!!この契約書、どうしたんですかっ!!』鼓膜が破れるかと思うほどの声量に驚き、思わずスマホを耳から離したんだけど、誰かすらわからない・...

  • 流砂の如く・・・ 55

    次の日から宗家の空気はガラリと変わった。お袋の声が響かず、少しだけ張り詰めたような緊張感・・・爺様も婆様もそんな空気を醸し出してないのだから、お袋の強張った表情のせいだろう。食事の時も久しぶりに爺様が上座に座り、その次には婆様。婆様の向かい側にお袋が座り、俺は婆様の隣だ。会話するのは俺たち3人で、お袋は終始無言・・・それを志乃さんがハラハラした様子で見守っていた。食事の後で古弟子数人も交えて打ち合わせを...

  • なんでも屋の業務日誌・9

    何が起きてるのかサッパリわからない・・・今、私はどこかの国のお城の中にいるみたいな気分で、ふかふかの椅子に座ってる。すんごい大きな窓には、クラシカルでエレガントな絵羽柄の刺繍が綺麗なレースカーテン&カーブを描いて留められてるクリーム色のカーテン。観葉植物もあるんだけど、それが3メートルぐらいあるんじゃない?ってぐらいのサイズで普通の家庭ではまず有り得ない。さっきの部屋もシャンデリアだったけど、ここ(...

  • 流砂の如く・・・ 54

    平日午後の総合病院は見舞いに来た人でごった返していた。そんな中、森田さんが爺様を、俺が婆様を支えるようにしてエレベーターに向かい、そこで最上階を押すとドアが静かに閉まり、病院独特の匂いがする空間はシーンとしていた。婆様が「孝三郎が生まれた時以来来てないわ~」と言い、パネルの文字が増えていくのを眺めていた。そして最上階に着くとナースステーションに目配せして通過・・・その時に事務員が何か言いたげだったが...

  • なんでも屋の業務日誌・8

    タクシーを呼んだはいいが、1人で歩けない彼女を放り込んでも良いものか・・・。運転手に「酩酊状態だけど、この子を1人で乗せてもいい?」と聞くと、流石に首を横に振られた。「それならあなたも乗ってくださいよ」と・・・タクシー運転手は寝ている客の肩をゆすったりするどころか、身体に触ったりして起こすのもNGを出されているからだ。これは相手の身体を触っていると盗難やセクハラなどの疑惑を持たれるからで、そういう事情から...

  • 流砂の如く・・・ 53

    月曜の朝、早速京都に俺が電話をして、爺様に秋の野点茶会の応援を頼んだ。この時には孝三郎が事故に遭ったことも話し、親父と同じ病院に入院していることも説明。でも親父の気持ちを考えて孝三郎の事は秘密にしていると伝え、後援会の連中にもまだ話せていないことも伝えた。その上でアドバイスを求めると、急遽東京に来てくれることとなった。「ホントに来てくれるんですか、お爺様」『口切りの茶事ぐらいまでなら構わんよ。どう...

  • なんでも屋の業務日誌・7

    花沢さんとお茶するお嬢さんの写真を見て真っ先に思ったこと・・・これ、何もしなくてもよくない?!そう言ったら彼がムッとした顔で、「無責任な!」って。でもよくよく考えたら、このお嬢様がこの人と会って、それでいて「彼女」になろうと思うだろうか。むしろ会った途端、自己嫌悪に陥って逃げる可能性もあるんじゃない?彼女になろうと思うこと自体、世界一高い山、つまりヒマラヤ並みにハードル高いと思うんだけど!そう言った...

  • 流砂の如く・・・ 52

    医者と看護師が出て行き家族だけになると、孝三郎もかなり落ち込んだ顔を見せた。何度も「なんでこんな目に・・・」と言いながら動かせる右手を拳にして唇を噛み締めて・・・・・・お袋はまだ事故のことについて詳しく聞いてなかったから、ここで俺が知ってる限りの話をして聞かせた。相手のことは孝三郎も聞いていなかったので、それには忌々しそうに眉根を寄せながら無言・・・俺が「事故のことはすべて弁護士と保険屋に任せるから」と言うと...

  • なんでも屋の業務日誌・6

    「そんなところに立ってないで、座ったら?」そう言うとモジモジしながら「どっち側に?」って・・・別に2人用の席なんだからどっちでも良いのに。強いて言えば入り口に近い方が男性で、奥が女性。カウンター席だと男性は右側で女性は左側に座るのがいいんだそう・・・そう言ったら猫背のまま奥に座った。「カウンター席の話・・・それはどうしてですか?」「人間は左耳で聞いた言葉をより感情的に捉える傾向があるから。恋愛心理学的な観...

  • 流砂の如く・・・ 51

    孝三郎が日光からの帰り道で交通事故に遭った・・・その連絡に驚いて事務所に行くと、そこでは西村さんが誰かと電話中だった。俺を見たら事務長は慌てて電話を切り、すぐに状況を聞いたんだが、その事故が起きたのがすでに都内に入っていたために搬送先は親父がいる病院にするとのこと・・・「今は搬送中ですが、孝三郎様は怪我をしているようですが意識はあるそうです。一緒に行った弟子の石崎と電話で話してたんですが、楠本も怪我をし...

  • なんでも屋の業務日誌・5

    「なにっ?!50万の報酬?!」「「「「客から値段提示してきたの?!」」」」「はぁ・・・・・・そうなんですよ」翌日、社長と先輩達に花沢さんの依頼内容を報告した。当然内容よりも金額に驚き、全員口を開けて固まった・・・・・・そりゃ、そうだ、そんな依頼主なんて初めてだもん!ただ、引き受けるかどうかと言うと、その賛成反対は半々に別れた。「やっぱりそれは公序良俗に反しませんか?」「そうかなぁ・・・でも恋人でもないんだろ?半...

  • 流砂の如く・・・ 50

    「・・・・・・・・・・・・っつ・・・!」寝返りをうったら強烈な頭痛がして、思わず額を手で覆った。薄目を開ければ部屋が真っ暗で、私はしばらくこの状況を考えたんだけど・・・・・・床じゃないってところでベッドを組み立てたことを思い出した。ただ、次の瞬間・・・・・・!!「えっ?!」ガバッと身体を起こして振り向いたら、そこにはTシャツ1枚の男性が寝ていた。それに驚いて自分を見たけど、Tシャツは着てるけどブラをつけていない・・・それに血の気...

  • なんでも屋の業務日誌・4

    定時になり、俺はデスクまわりを片付けて立ち上がった。当然のように藤本は不機嫌さMAXで俺を睨み、「本当にお帰りになるのですか?」と言うから素直に頷いた。そもそも役員には就業時間は存在しない。つまり業務に支障がなければ2時間の勤務でも問題ないし、緊急時であれば24時間ぶっ続けで勤務する場合もある。今日はその「業務に支障がない」日であり、帰宅しても咎められることは・・・「経営戦略会議で出た課題についての所見...

  • 流砂の如く・・・ 49

    「君を大事にしてくれる人は他にいるよ・・・」「・・・・・・どこに?」「・・・・・・ほら、目の前に・・・・・・いるじゃない」額の手の指の間から薄めで見ると、そこにはニコニコしている総二郎・・・ではなく、片山課長がいた。大事にしてくれるって言い方に違和感を覚えながら、なんとか苦笑いして「なに冗談言ってるんですか」って返した。でも気分はどんどん悪くなり、身体が揺れてるのが課長にもわかったみたい。「そんなに辛いならホントに寝たら...

  • なんでも屋の業務日誌・3

    翌日、出勤したら真顔の藤本が俺の前に立った。何かと思えば、出して来たメモは「日曜日、Mホテルスカイラウンジに14時」・・・そしてこれが石川氏からのメールだと言われ、ガクッとした。「・・・ホントに予約したの?」「そうみたいですね。専務のお名前で予約したそうですが、お会計は石川社長がしてくれるそうです」「いや、金の心配はしないけど・・・」「住田建築のお嬢様の情報もいただいたので専務に転送しました」「・・・・・・有り難...

  • 流砂の如く・・・ 48

    「まずは出してる部品の数を確認しようか」「はい、よろしくお願いします!」「仕事じゃないんだからそんなにかしこまらないで・・・それにもう上司じゃないし」「すみません///!」レンチを持って来てくれた課長が部屋に入り、部屋に広げた板や部品をキレイに並べた。自分のベッドを組み立てる作業なのに補助的な位置に座り、課長が説明書を手に持ってる・・・まるで恋人か家族みたいな構図に戸惑うけど、どうしていいのかわからなかっ...

  • なんでも屋の業務日誌・2

    「専務、そろそろ出掛けますよ」「・・・・・・・・・・・・」「専務、起きて下さい。モニターで顔隠してもバレてますよ」「・・・・・・藤本って目敏いよね」「貴方の監視が仕事ですから」「・・・仕方ないなぁ・・・」「仕事に仕方ないとか言わないで下さい。ほら、曲がったネクタイを直して下さいよ、幼稚園児じゃあるまいし」花沢物産・専務執務室・・・高層ビルの最上階に位置するこの部屋で、秘書に急かされて椅子から立ち上がった俺。名前は花沢類。自...

  • 流砂の如く・・・ 47

    翌日、ホームセンターに電話して、退職後にしていたベッドの配達を早めてもらった。それが届いたのが昼前で、想像以上に大きな段ボールに溜息しか出なかった。それでも早くベッドで寝たかった私は、お昼ご飯を食べたらすぐにそれを広げ、組み立て説明書を読んだんだけど・・・「なになに・・・ベッドの組み立てに必要な準備品と手順を解説・・・か。ドライバートレンチ、それに軍手に毛布・・・それはカーペット敷いてるからいいよね?それに細...

  • なんでも屋の業務日誌・1

    なんでも屋・・・それは便利屋とも言われる生活上の困りごとを手助けする仕事だ。昔はよろず屋とも呼ばれ、部屋の掃除や洗濯、買い物、ゴミ出しなど家事全般から犬の散歩、浮気調査、引越し作業、高齢者のサポートまで、文字通りなんでも引き受けちゃう。もちろん引き受けられないものもあって、それは「法律・道徳に反する仕事」と、「責任が個人に負わされる仕事」。法律や道徳に背くような仕事は、たとえば人の命を・・・なんてのは論...

  • 流砂の如く・・・ 46

    火曜日、俺は移動途中に親父の見舞いに行った。とは言えその時間は僅かに15分・・・それ以上はスケジュール上無理だったが、1週間以上会っていなかったので気になっていた。「おはようございます、西門様」「お父様、今はリハビリ前なのでお部屋でゆっくりされてると思いますよ~」「お世話になります・・・」「じゃあこちらに記入お願いしますね~~」ナースステーションで面会記録簿にサイン・・・この特別室のフロアにはそんなに沢山...

  • 流砂の如く・・・ 45

    月曜日の朝、今までよりも30分早く家を出た。初めての通勤ルートで、どのくらい時間が掛かるかわからなかったから・・・それを片山課長に聞いても良いんだけど、それだけのために電話やメールをするのは躊躇われた。そして最寄り駅でも課長とは会わず、彼が何時の電車で通勤しているのか、それも聞いてないから知らない。あれだけの事をしてもらってるのに、この態度は酷いのかとも思うけど。会社にはいつもより早い時間に着き、就...

  • 真音の決心(最終話)

    僕が花沢の見学を終えてから1週間後、真莉愛達が帰国してきた。久しぶりに家族揃って夕食を食べたとき、真莉愛と真宙の体験談で大笑いして、母さんは「やっぱり日本で食べるのが美味しいわ~って。「ねぇ、真音は私たちがいないとき、何をしてたの?」「僕は・・・パパと水族館に行ったよ」「えっ?またウミガメの研究するの?」「ウミガメ限定じゃないけどね・・・やっぱり海洋生物は好きだなって思って」「へぇ~~~~~!また話を聞...

  • 流砂の如く・・・ 44

    東京に戻ったのは日曜日の夕方、まだ明るい時間だった。すぐに荷物を置き、金沢での出来事をお袋に報告・・・その時、仕事に関する事は何も言わなかったが、美涼と会う時間を作らないのかと小言を言われた。「会う時間も何も、俺はまだ承諾しちゃいねぇよ」「お見舞いのお礼も兼ねて、食事ぐらいすればいいのに・・・今からでもどこか予約出来るお店はないの?」「見舞いの度にそんなことしてたらキリがねぇよ。しかもまだ本調子じゃない...

  • 真音の決心(22)

    海洋開発部に入ると、まず飛び込んできたのが壁に貼られた沢山の海の写真。それはほとんどが海洋・海底調査、海底資源開発の現場みたいだったけど、その中にウミガメとか珊瑚の写真もあった。すぐにその写真の前に行くと、後ろから声をかけてきたのは平野さん。「可愛いでしょ?」「あ!はい・・・・・・綺麗な海ですね」「これは宮古島と石垣島です。こっちはハワイですね~」「・・・・・・僕も見ました。ハワイのウミガメ・・・」「聞いてます...

  • 流砂の如く・・・ 43

    引っ越し業者さんが帰ると、今度は部屋の片付・・・でも思うように身体が動かなかった。「牧野さん、どうかした?やっぱり具合が悪いの?」「いえ・・・そんなことはないんですけど」「疲れてるんだろうね・・・少し休んだら?俺の持ってきた珈琲、まだあるから飲まない?」「・・・はい、じゃあ少し休もうかな・・・」課長に言われてカーペットも敷いてない床に座り、紙コップに入れてくれた珈琲をいただいた。それを飲んで目を閉じると、身体が...

  • 真音の決心(21)

    3階に行くと今度は総務部っていうのがあった。藤本さんが言うには、総務部とは「組織全体に関する事務全般を扱う部署」だそうだ。備品や消耗品の管理、避難訓練などの企画、福利厚生業務、さっきのビルメンテナンスの会社に依頼をするのは総務の仕事なんだって。会議資料や社員名簿などの重要書類を作成、管理。入社式や社員旅行、忘年会などのスケジュール作成や会場の手配などもこの部署がするみたい。だから社員さん達は黙々と...

  • 流砂の如く・・・ 42

    土曜日の朝、早い時間に起きてすぐに部屋を掃除した。そして僅かな荷物を纏め、ここでの最後の朝食・・・もちろん自炊してないからコンビニのサンドイッチだ。それを食べてから珈琲を飲み、スマホで時間を確認。「もうすぐ7時か・・・・・・そろそろかな」そう言った途端にインターホンが鳴った。それは片山課長で、今日の朝7時に来ることになっていたからだ。理由はこの部屋の退去手続きのため・・・もともとここはこの人の名前で借りていた...

  • 真音の決心(20)

    高級ホテルみたいなエレベーターの中、操作盤の前に立つ藤本さんの背中と、僕の横にいる父さんの姿を横目で見ていた。会社の中に入った途端に変わった父さんの顔・・・そして父さんを見る社員さん達の表情。自宅でのんびりしてる父さんしか知らないから、ピンと背筋を伸ばした姿勢にもちょっと驚いてしまった。最上階に着くと静かにドアが開き、先に父さんが降りた。どうしていいのかわからずに残ってると、藤本さんが「どうぞ降りて...

  • 流砂の如く・・・ 41

    余裕の笑みを浮かべた美涼が、「お心は決まりましたか?」と言った。その意味は俺との結婚だろうが、そんな事は初めから考えていない。ただ、こいつ相手にあまり感情的に話すと不味いことが起きそうな気がして、ここでも「そう簡単に決められませんよ」と無愛想に答えるに留まった。先にどうしてもつくしと会って話したい・・・その結果、俺が西門を出てしまえば、そのあとの事は・・・・・・親父の事は気になるが、それよりもつくしとの未...

  • 真音の決心(19)

    真莉愛達がサマースクールに行った翌日の朝のこと。真純は1階のベビールームで使用人さん達が世話していて、僕と父さんだけが朝食のテーブルについていた。「本当に静かですこと・・・真音様、淋しくありませんか?」加代さんがパンを置きながらそんなことを言うから、ニコッと笑って「そんな子どもじゃないよ」って答えた。それには父さんがクスって笑っていたけど、僕はそんな父さんに真面目な目を向けて「お願いがあるんだ」と言...

  • 流砂の如く・・・ 40

    「課長、その案で退職届を提出します。お手数ですが総務部にご同行、お願いします」「・・・判った。じゃあ朝礼終了後にすぐ行こう」その後の朝礼中は何も言わなかったけど、終わってから私が片山課長と営業部のフロアを出て行く姿をみんながキョトンとした顔で見ていた。いつもなら私に話しかけてくる山田先輩も何も言わず、むしろ課長と一緒だから怪訝な顔してる・・・勘違いされたかな?って思ったけど、それももうどうでもいい。総務...

  • 真音の決心(18)

    夕食のすき焼きも、次の日のお好み焼きもみんなには好評だった。特にお好み焼きが美味しかったらしく、ノアもカイも2枚食べ、コアなんて3枚目・・・母さんは焼くのに大忙しで、でも特注した鉄板の前で、嬉しそうにお好み焼きをひっくり返してた。それを見てキャシーも挑戦し、見事にグチャグチャに・・・それも大笑いしながら母さんが形を整えてた。『ねぇ、つくし。これは何が入ってるの?』『これは海鮮だから、タコとイカとエビがは...

  • 流砂の如く・・・ 39

    慣れない部屋だったのに、疲れが溜まっていたのかよく眠れた。それというのも頭が重くなかったから・・・靄が掛かったような気持ち悪さがなかったせいかもしれない。この土日の調子の悪さはなんだったのか・・・昨日課長が買ってきてくれたおにぎりを朝食にして、お湯を湧かして珈琲を淹れた。変な組み合わせだけど、少しでも食べないと仕事が出来ない。そう思って無理矢理口に入れ、いつもより遅い時間に部屋を出た。なんたってここは会...

  • 真音の決心(17)

    『ここが僕の部屋だよ・・・』そう言って2階の部屋に案内すると、ノアは『すごく広いじゃん!』って驚いてた。確かに僕の部屋はもともと父さんが使っていた部屋で、机と本棚、それにベッドとテレビ以外に大きな家具はない。出窓のところに簡単なソファーがあるんだけど、ノアはそんなところに座らず、真ん中に敷いてるラグの上にぺたんと座った。そして壁に掛けてる「海洋地図」を見て、『夢は続いてるんだね~』と・・・『・・・・・・・・・』...

  • 流砂の如く・・・ 38

    管理会社の事務所に行ったけど、ここは契約者が課長だったから、彼が中に入って何かの手続きをした。私は課長とは「無関係」だから付いては行かず、車の中で待機・・・しばらくしたら課長が出てきたので、一緒にウィークリーマンションに向かった。この時、課長は近くのコインパーキングに停め、私の車をマンションの駐車場に入れた。このマンションは入り口も部屋のドアも暗証番号で開けるタイプだったので、それを聞いて中に入り、...

  • 真音の決心(16)

    ノアが来日したという電話がかかってきたのは3月16日で、「すぐに北海道に行く!」と楽しそうだった。その時、土曜日に羽田に着く時間を教えてくれと頼み、我が家はそれからおもてなしの準備でみんなドタバタしていた。「・・・でもノアの家ってアイランドスタイルのプランテーションハウスだよ?あんまりディナーって感じじゃないと思うんだけど」「そうなの?じゃあもっとアットホームな感じにしましょうか」「鍋にするには人数...

  • 流砂の如く・・・ 37

    「私にとって幸いだったのは・・・総二郎、お前が・・・いてくれたことだな」「・・・・・・・・・・・・俺はまだまだだ。今の段階じゃ、とても家元になんてなれない・・・そんな歳でもねぇし、周りが納得しない」「私の病気があるんだから・・・納得はするだろう。そしてお前を助けてくれるはず・・・だ。なんの問題も・・・・・・なかろう」まだ上手く喋ることが出来ないせいか、時々言葉を詰まらせながら親父はそう言った。そして真面目な顔で、「もう一つ、言わ...

  • 真音の決心(15)

    真純が産まれてから前みたいに賑やかになった自宅。赤ちゃんの泣き声は真宙の時を思い出させ、真莉愛なんて自分が母親にでもなったかのように世話してた。お祝いの品物や花束が毎日のように届き、甘ったるい匂いで頭が痛くなるぐらい・・・母さんと加代さんは毎日そのお礼とお返しで忙しそうだった。「す~ちゃんってさ、1番パパに似てない?」「そうかな・・・でも目の色は確かにパパだよね」「ねぇ、まりあ姉ちゃん・・・赤ちゃんの髪の...

  • 流砂の如く・・・ 36

    届けてもらったお弁当を広げ、小さなテーブルで向かい合って食べた。結構高そうなお弁当で、味も良い・・・私の知らない仕出し屋さんの名前だった。「お金、払います」って言ったんだけど、課長は笑いながら「要らないよ~」って。「それよりもしっかり食べて?牧野さん、痩せすぎだよ」「えっ、あ、あの・・・」「あぁ、深い意味はないって。Tシャツがブカブカだから・・・その、見えちゃうんだよね」「ーーーーっ///!」「今じゃないよ?...

  • 真音の決心(14)

    ゴールデンウィークが終わる前日、父さんと真莉愛が帰国してきた。その時には羽田まで迎えに行き、出発の時と同じように元気な真莉愛が顔を見せた。僕よりも真宙の方が駆け寄っていき、真莉愛も「ひろ君、元気だった~~?」って・・・・・・数日間なんだからそんなに変わることなどないのに、と母さんと呆れて笑ったんだけど・・・「ただいま。変わったことはなかった?」「お帰りなさい、類。のんびりしたゴールデンウィークだったよ~~...

  • 流砂の如く・・・ 35

    管理会社を出たのは昼過ぎで、それから課長とランチを食べに行った。それは駅近くの小さなイタリアンで、冷製パスタを頼んだんだけど・・・「食欲無さそうだね」「・・・・・・頭が重くて・・・」「そっか・・・ホント、ごめん・・・」「・・・・・・いえ、私が・・・悪いんです」謝られると虚しくなる。あれは夢ではなく、本当だったんだと思い知らされる・・・記憶はないけど、自分から迫っただなんて恥ずかしすぎる。ただ、課長も本気で申し訳なさそうな顔をす...

  • 真音の決心(13)

    それから数ヶ月が経ち、僕たちは5年になった。そのゴールデンウイーク、父さんはパリにある花沢物産の欧州本社に行くことになった。それは珍しいことじゃなかったんだけど、真莉愛が父さんにくっついてフランスに行くことに・・・しかも、その理由を聞いて僕は驚いた。「えっ?デザイナーの職場見学?」「うん。パパの会社の人の奥さんがデザイナーなんだって」「へぇ・・・真莉愛、そんなに興味があったの?」「まぁね!なんでもやって...

  • 流砂の如く・・・ 34

    「牧野さん、シャワー浴びたら?」「・・・・・・・・・え?」「シャワーだよ。汗かいたし、気持ち悪いでしょ?」「あ、そうですね・・・・・・そうします」珈琲を飲んだらそれまで昂ぶっていた気持ちも静まり、逆に身体が怠かった。だからなのか課長の声が随分遠くから聞こえるような・・・そんな感じでフワフワしていた。確かに身体がベタベタしていて、それが何を意味するのかはわかる・・・でも、それを悔やんだり苛立ったりする気持ちはなくなって...

  • 真音の決心(12)

    サマースクールをきっかけに、僕は自分のやりたいことが出来るようになった。ウミガメの保護は日本だけの話じゃない。だから英語をもっと話せるようになろうと思って、それは今まで以上に頑張った。それにちゃんと泳げるようになりたくて、スイミングスクールにも通うようになった。真莉愛も初めは僕にくっついて来てたけど、あいつは1ヶ月でやめちゃったけどね。それまでヒョロヒョロだった僕だけど、ご飯も沢山食べるようになっ...

  • 流砂の如く・・・ 33

    いつ5階に着いたのかも覚えていない。気がついたら課長の部屋の前で、この人がポケットから鍵を出すのを見ていた。そしてガチャッと音がして、フワッと香ったのは男性の部屋、独特の匂い・・・私がドアの外で突っ立ってると、「中に入って?」と優しい声で言われた。その声に導かれるように足が前に出る・・・その時も、「入るな」って声がしたけど、身体はそれを無視した。「お邪魔します・・・」「どうぞ~、殺風景な部屋だけど」「・・・・・・...

  • 真音の決心(11)

    『で、まことはなんになりたいの?』・・・・・・僕はすぐにその返事が出来なかった。でも何か言わなくちゃって思って、英語が出なかったから日本語で「パパの会社に・・・」って言ってしまった。それをカイがみんなに伝えたようで、ノアが『パパの会社に入るんだ?』って言った。だから一生懸命笑って頷いたけど、それが泣いてるように見えたのかもしれない・・・キャシーが『それも素敵な夢よ』って髪を撫でてくれた。その時・・・『あ~~~、...

  • 流砂の如く・・・ 32

    夕方、宗家に戻って後援会の臨時集会に臨んだ。内容は勿論親父のことで、孝三郎は仕事のため欠席、お袋が現時点で説明できる範囲での病状報告をした。医者ではないためそれも推測というか、希望というか・・・この時にはお袋が悲しそうに喋っていて、俺はそれを醒めた目で見ていた。「家元も必死に頑張っておりますの。ですからどうか皆様、今しばらく見守って下さいませ。その間はわたくしと息子達でしっかり務めさせていただきます...

  • 真音の決心(10)

    「どうしてまこちゃんばっかり面白いことしてるの?!まりあだっておさかなさん、見たかった!!」「そう言われても・・・ぼくが決めたワケじゃないし」「そ、そうだよ~~~、真莉愛。真音のせいじゃないわよ~」「・・・どうしてもって言うなら、帰国したあとで、今度は別の島に行けば良くない?それかニースでいいなら、丁度パパも仕事で行こうかと思ってるから」「今日、見たかったの!!」「「「・・・・・・残念だったね・・・」」」真莉愛...

  • 流砂の如く・・・ 31

    課長の住むマンションに到着したのは約束の時間から5分程遅れていた。その原因は私のホテル予約・・・シングルがちょうど1部屋だけ空いてたから、急いで手続きをしたんだけど、そのせいで管理会社の人を待たせてしまった。でもその人は穏やかな人で、「問題ないですよ~」と笑って許してくれて、その後はすぐに空室の見学に入った。片山課長も自分の部屋に戻らず、スーツにカバン持ったまま付き添ってくれて、この部屋の設備や近所...

  • 真音の決心(9)

    高さ150m、約8分間の空の旅・・・それは確かに素晴らしかった。ハワイの真っ青な海とワイキキの街並み、遠くにはダイヤモンドヘッド・・・座ってるだけなのに、鳥の気分になった感じ。それを夕食時に家族に話すと、母さんは驚き、父さんは「勇気あるね~」って。真莉愛はピンとこなかったようで、パラセイリングのことを父さんに聞いていた。そして「いいなぁ!まりあも乗りたい~」って言ってたけど、真莉愛のバディであるルアナはアク...

  • 流砂の如く・・・ 30

    出勤するのにキャリーケース持ってるなんて、出張でもあるまいし・・・と、自分で突っ込み入れながらフロアに入ったけど、少し時間が早かったので人は少なかった。急いで更衣室に行ってキャリーケースをロッカーに押し込み、始業時間までかなりあったけど仕事を開始。昨日出来なかったことをしたり、メモ書きされていたことを片付けたりと、やることは多かった。そのうちみんなが出社してきて、私を見るなり「具合、どう?」と・・・それ...

  • 真音の決心(8)

    少しの間ゆっくりしたらすぐに夕食の時間になり、初日のこの時は参加している生徒と親が全員レストランに集合することになっていた。それは軽いパーティーのような感じだったんだけど、父さんは仕事のために欠席。サマードレスに着替えた母さんが、僕と真莉愛を連れてそこに向かった。2人のドレスはロイヤルブルーで、白いプルメリアの花がプリントされたもの。僕はグリーンにパイナップルがプリントされたシャツ。集まったみんな...

  • 流砂の如く・・・ 29

    少し休んだらなんとか歩けるようになり、食事もしたので力も湧いたような気がした。それでも仕事が出来る程には回復していなくて、課長の言うとおり今日は有休を取ることにした。15時にはフロアに戻り、そこで有給申請をしてから先輩達に頭を下げ、自分のデスクを簡単に片付けた。山田先輩は営業に出ているし、片山課長も同じく・・・電話するのも申し訳ないので、メモ用紙にお礼を書き、それぞれのデスクに置いた。「本当に病院行...

  • 真音の決心(7)

    サマースクールには翔太も行くことになった。ただ、翔太の場合ハワイに叔父さんがいるらしく、その家に泊まるとのことだった。だから飛行機に乗るときは1人だけど、それも初めてじゃないらしい。去年も1人で飛行機に乗ってハワイに行ったようで、「お前は両親が来るのかよ」って小馬鹿にしたように言われた。「だって生徒1人に親が1人って言うから・・・」「え?じゃあ妹も行くのか?」「どっちかっていうとまりあが行きたがって...

  • 流砂の如く・・・ 28

    『ごめんごめん!先輩が二日酔いで起きられなくてさ~、私用のスマホでアレコレ話してたのよ~』あぁ、そう言うことか・・・そんなに飲んだのか?てか、つくしが飲んだんじゃねぇよな・・・・・・お前が具合悪いならヤバいけど、そうじゃねぇなら良かったわ『総二郎こそ声が暗いけど、何かあったの?もしかして、私に会えなかったから淋しいとか?』アホか!てか、どれだけ自信過剰だよ・・・・・・まぁ、間違ってねぇけどな。実はな・・・俺の方も色...

  • 真音の決心(6)

    幼稚舎を卒園したら、今度は英徳学園初等科に入学した。幼稚舎の友達は全員ここに進級したし、外部からの新入生もいて、新一年生の人数は倍になった。そして規定により真莉愛とはクラスが別々・・・それは仕方のないことで、でも友達が増えていた真莉愛も気にしてない様子だった。入学式の時には両親が揃ってきてくれて、これもやっぱり幼稚園同様、父さんにペコペコする人はいた。そして僕にわざわざ声をかけるおじさんも・・・「おぉ、...

  • 流砂の如く・・・ 27

    「牧野、大丈夫か?!」・・・そんな声が聞こえていたけど、頭がグルングルン回って気持ちが悪い・・・少し吐き気もあって口元を押さえていたら、男性じゃなくて数人の女子社員が会議室に入ってきた。その中には山田先輩もいて、「貧血?」とか「メニエール病とかあるの?」って・・・気分が悪い理由は判っていたから首を横に振り、「大丈夫です」って言ったけど立ち上がれない。そのまま先輩の肩に掴まってデスクまで行こうと思ったけど、...

  • 真音の決心(5)

    その日の帰り、迎えに来てくれたのは母さんだった。真宙がいるから運転手のおじさんが来ると思っていた僕たちは喜んで駆け出したんだけど・・・その時にすれ違った誰かの母親が・・・「あら・・・花沢の奥様じゃない?」「あぁ~~~~、あの普通の家庭の人でしょ?前の奥様の方がお似合いだったわね~」「ふふふ、そんなこと言っちゃ可哀想よ。もともとの育ちが違いすぎるんだから」「そうね~、やっぱり品格って途中からはなかなか身につ...

  • 流砂の如く・・・ 26

    結局その日の夜は1度も総二郎と話せなかった。あれからも悪いと思いつつ、何度か電話したんだけど・・・それが「答え」だと思ってしまった私は・・・・・・木曜日の朝、LINEをブロックし、総二郎の電話番号を着信拒否した。総二郎の気持ちに嘘はなかったのだと信じたいけど、昨日の安達さんの話も事実なのだろう・・・と。それなら傷が浅いうちに手を引いた方がいいと思ってしまった。それにほんの少しだけ・・・許せないって気持ちもあった。あ...

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