chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 硫黄島戦没者の日米合同慰霊祭に思う

    硫黄島で行われた戦没者の日米合同慰霊祭に石破総理とヘグセス国防長官が参列した。同慰霊祭への総理参列は、平成25年の安倍氏以来とされており、石破総理にあっては断念した戦後80年談話に代わる「戦争検証」の一環ともされている。伝えられるところでは、石破総理の「戦争検証」の骨子は、開戦に至るシビリアンコントロールが機能しなかったことの検証であるらしい。帝国憲法に限らず、立憲君主国における開戦の大権は内閣の輔弼を得た国家元首が担うのが原則であり、そこには今様のシビリアンコントロールの概念は希薄であると考えている。このことは、東京裁判において連合国が広田弘毅氏を訴追し文官として唯一死刑を宣告したことにも示されているように思う。現在では、開戦に至るシビリアンコントロールが機能しなかった最大の理由は、統帥権の独立を主張し...硫黄島戦没者の日米合同慰霊祭に思う

  • 外交の変質?

    トランプ政権発の関税戦争の行方が目まぐるしい。各国首脳は相次いでトランプ大統領と電話会談して、何とか自国への打撃を回避・軽減しようと躍起であるし、報復措置を示唆し牽制してもいる。我が石破総理も電話会談はできないながら「全ての選択肢がある」と述べるものの、選択肢については「手の内を見せる」と沈黙している。本日の産経抄では、先日の日米首脳会談に同席した人の印象では、総理は「始終「紙」を読んで、会話・会談では無かった」とされ、さらには、外務省高官の話として、「今、総理に話されると不必要な言質を与えかねない」ために、電話会談されないことを期待されているようである。従来型の外交や首脳会談では、事務方で合意できたことを首脳同士が握手・発表して手打ちを演出する体であったが、ウクライナ・ガザ紛争における停戦・休戦交渉やE...外交の変質?

  • グルーズを眺める

    通院の待ち時間に私設美術館収録のグルーズを眺めている。Wikipedia《ジャン=バティスト・グルーズ(1725-1805年)は、フランスの画家。宮廷風俗を描いた同時代の他の画家と違い,市民生活に題材を求めた風俗画を描くことで絶大な人気を誇っていたが、フランス革命後には新古典主義の台頭によって業界での評価は低下したが大衆的な名声は最晩年まで持続した》と解説されている。「村の花嫁」は代表作の一つとされているが、自分は「女性の頭の研究」が好きである。目の下の隈らしき陰影と寄せた眉根、男の不実を詰る演歌の一節が浮かぶ。女性の頭の研究(メトロポリタン美術館)村の花嫁(ルーヴル美術館)甘えん坊(エルミタージュ美術館)自画像(ルーヴル美術館)グルーズを眺める

  • 慣用句の恐ろしさ

    高校で使用される教科書検定での検定意見等が公表された。気になったのは、徴用工問題の記述で「半島からの連行」という表現が「動員」に訂正されたということである。政府は、2021年4月に維新の馬場代表の質問書への答弁書として強制的なニュアンスを持つ「連行」を「動員」とすることを閣議決定し、日本の主張を明確にしている。資料的にも、強制連行しなくても募集を掛ければ所要以上の応募があって、選考に苦慮する程であったことが明白となっている。一方、朝鮮にあっても合格者がを遠方に出稼ぎする身を案じるよりも高額な報酬を羨む気持ちの方が強かったことも明らかにされている。史実はさておき、驚かされたのは検定意見を付けられた出版元の編集責任者が「単純に表記が曖昧だった。政治的な意図をもって入れたというより、用語の使い方で確認を怠った」...慣用句の恐ろしさ

  • コロンビア大学の助成停止に思う

    トランプ政権は、コロンビア大学に対する助成金590億円の支給を停止したそうである。支給停止の理由は、先のパレスチナ紐帯デモによって、反ユダヤ教育活動が適切に行われていないことであるとされている。590億円と云う助成額にも驚いたが、同大学の年間授業料が1000万円を超えるとされていたことにも驚かされた。一般的にアメリカの私立大学の授業料は高額ではあるが、卒業生の寄付によって運営されている基金を持つ大学が多く、成績優秀者に対しては基金の給付奨学金を得る道が整備されているために、成績優秀者が貧困のために大学教育を受けられないという事例は少ないとされていた。しかしながら奨学金を獲得できなかった凡庸な学生は出世払い的ローンを組むそうで、大卒資格が就職・出世に直接結び付かない社会構造であれば、ローン返済もままならない...コロンビア大学の助成停止に思う

  • ミサイル発射ボタンの国有化

    長射程ミサイルの発射権限を原則的に日本が持つ計画を統合作戦司令部が策定していることが報じられた。現在は、射程1000Km超の巡航ミサイルやスタンドオフミサイルを発射する場合には、ハ―ド・ソフトの両面からアメリカの同意が無いと打てない。言い換えれば、政府が国民の生命・財産を守るために防衛出動を決断をしても、その遂行に不可欠の武器使用にはアメリカの同意・協力を得る必要があって、タイムリーに所要の兵器を使用できない可能性があることを意味している。現在、西側各国は、EUの有志国連合構想を始めとして、アメリカの背信とも云えるトランプドクトリンに抗すべき方策を模索している。今回の発射権限国有化にも同様の思惑を持った政権の意を受けて、制服側が実質作業に当ったと思うので単に国家安全保障戦略に記載されている「我が国が主たる...ミサイル発射ボタンの国有化

  • F-47戦闘機を知る

    アメリカの次世代戦闘機の導入・制式採用が報じられた。新戦闘機は、ステルス機能を強化するとともに無人戦闘機と共同戦術が取れるもので、名称はF-47と報じられた。F-35の次がF-47?と思ったが、第47代トランプ大統領に因んでの命名とされていた。改めて米軍用機の命名規則を調べると、《1962年以降は、任務タイプを示す英文字・ハイフン・軍における命名番号・サブタイプを示す英文字が入る》となっているが、軍における命名番号は連番であることを要しないようでF-22からF-35に飛んで、更に今回のF-47に飛ぶ歴史を持っている。F-22から飛んだF-35にも何等かの理由があるのだろうが、そこまでは分からなかった。律儀で几帳面な日本人は、帝国時代は九七式艦上攻撃機や零式艦上戦闘機のように制式採用した皇紀念を冠し、自衛隊...F-47戦闘機を知る

  • 進水式考

    愛子内親王殿下がジャパンマリンユナイテッド磯子工場(横浜市)で行われた公船の命名・進水式に臨まれた。進水したのは文科省所管の国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する極域研究船で、式典では「みらいⅱ」と命名された後に内親王が支綱を切断されて進水した。JAMSTECの進水式にはこれまでも清子内親王、佳子内親王が御臨席されたと知ったが、これ以外の公船の進水に皇族の何方が御臨席されたのかは知ることができなかった。進水式は、建造船台から滑り落ちる船台進水と建造ドックに注水するドック進水に分けられる。近年では、艦船の大型化等によって船台進水は少なくなっているが、支綱切断とともにくす玉が割れて船が滑り始める船台進水の方が遥かにドラマチックである。自分も本来ならば船台進水の数日前には着任できる一次艤装...進水式考

  • EUの本気度-2

    トランプ政権はNATO軍司令官の地位を放棄する意向であることが報じられた。発足以来NATO軍司令官は米陸軍大将が務めることが続いていたが、トランプ政権がそれを放棄することは、NATOに対するアメリカの思惑・意向・関与を低下させる意味を込めているのであろう。19日にはEU欧州委員会が「欧州防衛の備え」と題した白書を公開し、先に発表していた総額130兆円に及ぶ欧州再軍備の基本路線と具体策を明確にした。軍備強化は、ミサイル防衛、ドローン開発などを列挙し、更に弾薬等の継戦消耗品についても共同生産・調達することとされている。フランスのマクロン大統領が、欧州域に有志国連合を結成してフランスの核を提供すると表明したのは、つい10日程前であるにも拘わらず、これほどの準備が整っているとは思わなかった。推測であるが、アメリカ...EUの本気度-2

  • EUの本気度

    ウクライナ和平で親露姿勢を隠そうともしないトランプ外交に危機感を持ったEUでは、アメリカ主導のNATO軍とは一線を画した戦略判断・指揮統制を持つ有志国連合構想が大きく動き出したように思う。発起人的フランスは、ドイツ国境に近い空軍基地を有志国連合の拠点にするとして、同基地に大量の次世代戦闘機と超音速ミサイルを配備すると発表した。ドイツは、兵器の調達・増産に必要な巨額資金を得るための国債発行を可能とする基本法(以下、憲法)改正を行った。ドイツの憲法改正については、主導した保守政党(キリスト教民主・社会同盟)に、中道左派政党(社会民主党、緑の党)が賛成したとされている。脱原発・風力発電推進・二酸化炭素削減などの環境政党と思っていた緑の党が賛成したのは、所詮「命あっての環境政策」と現実的な選択によるものであろうか...EUの本気度

  • 春闘を学ぶ

    今年の春闘は、連合傘下の760組合で2年連続5%超の高い賃上げを獲得し、中小企業に限っても33年ぶりに5%を超えたと報じられた。デフレ下では賃金の引上げを望む声が多く、韓国にも抜かれたとの嘆きも聞こえてきたが、昨今の物価高騰の原因の一つに「人件費の高騰」を挙げる声を聞けば、「賃上げはインフレの第一歩」と云うことが実感できる。長く公務員であったので、春闘勝利の余慶も人事院の勧告と国会決議を経た年末まで待つのが例であった。春闘と云えば、父島からの休暇時に国鉄労組の順法闘争の煽りを食った思い出しかないが、今更ながらに春闘を勉強した。Wikipediaを頼りに春闘の来歴を辿ると〇1954年5単産共闘の賃上げ交渉始まる。〇1955年3単産が加わり8単産共闘会議結成〇1959年総評と中立労連により春闘共闘委員会結成-...春闘を学ぶ

  • 新型鳥インフルエンザ出現か

    アメリカで新型の鳥インフルエンザが検出されたが、既に野鳥から乳牛に感染し、更に乳牛(牛乳)を介して人にも感染しているらしい。感染者は40人程度で何れも軽症であるとされているが、新ウイルス検知から哺乳類への感染期間が短いことからウイルス変異が急激で、中国コロナの再来すら危惧されているらしい。複雑に進化した高等動物では、進化に百万年単位の長時間と突然変異と云う僥倖を要したが、単細胞生物はその変化を極めて短期間で成し遂げるようである。ウイルス感染症に致死率80~90%とされるエボラ出血熱があるが、発症がアフリカの一地域に留まって世界的なパンデミックに至らないのは、エボラウイルスの毒性、致死率、症状の重篤化があまりにも高いために、保菌者が遠出する前に死亡してしまうためとされている。そのため、中国コロナのように致死...新型鳥インフルエンザ出現か

  • 数字の魔力

    米教育省が、少数派(マイノリティー)の人種を優遇している疑いで約50の大学を調査することが報じられた。マイノリティーの権利を擁護すべく法律等で、新入生の人種比率などを義務付けた結果、却って白人やアジア系の門戸を狭める逆差別が顕著になるとともに、過度のマイノリティー擁護思想は、博士号審査や奨学金受給審査にまで及んでいるらしい。古来から法規制には数字を掲げることが一般的・かつ有効であり、日本でも男女雇用機会均等法などは当初の努力目標から数値目標に改正されている。しかしながら、年月を経ると法令等に定められた数字は策定当初の理念や合理性から離れて独り歩きを始めるのも、また古今東西を問わないように思える。独り歩きを始めた数字の魔力が、国民の不利益となったり個人の人権を損なったりするケースも多い。かって日本には防衛費...数字の魔力

  • 石破総理限界か

    石破総理が1年生議員を中心に配った、商品券が物議を醸している。石破総理は「ポケットマネーでの手土産」としているが、永田町の相場は知らないものの手土産は寿司折が定番の階層の目には些かに高額に映る。石破総理は、法的には問題ないとしているが、衆目は「グレー」としているようである。パーティー券の還付金不記載議員に対しては、公式処分を超えた公認取り消しなどの加重処分まで科した人とは思えない行為であり、今国会で政治資金規正法が論議されているさなかの脇の甘さは政治家・総理としての器量の限界を示しているように思える。石破政権は、予算案や法案の成立のために野党の協力を仰がざるを得ない状況とは言え、その対価として長らく自民党が保持していた「譲れない一線」すら差し出している。野党との修正協議に追われて「石破カラー」が出せない状...石破総理限界か

  • ウクライナ和平の動きに思う

    ウクライナ紛争に和平の動きが報じられた。和平に至る停戦には既にウ・ロの双方が合意した模様ともされているが、和平には領土の割譲が必至とみられていることから、今後とも相当の紆余曲折を辿るだろうと考える。3年余に達する紛争で両国は疲弊し、特にウクライナではインフラの多くが破壊されたことや、人的被害の多さから厭戦気分と書けばウクライナ国民に失礼とは思うものの「幾ばくかの領土を割譲しての和平も已む無し」という空気も漂っているらしい。停戦⇒和平に至ったのは、主要支援国であるアメリカが、支援の停止に動いたことが大きいように思える。今日のウクライナを明日の我が身とするEUは支援の継続を表明しているものの、アメリカの肩代わり支援は自国経済に大きく影響することだろうし、トランプ大統領の関税恫喝の影響を加えると、停戦⇒和平に同...ウクライナ和平の動きに思う

  • 日産の新社長誕生に思う

    本日は、経済音痴の故に的外れな駄文で終わるだろうことをお断りします。日産の新社長人事が報じられ、後任の新社長はメキシコ人で、しかも現在の業績不振の責任を負うべき戦犯(?)の一人とも目されているので、カルロス・ゴーン氏の悪行・悲劇再来の予感さえする。解説記事を読むと、日産の取締役会の構成は12人中10人が社外或いは筆頭株主ルノー出身者で占められており、社長選任委員も全て社外メンバーであるらしい。取締役会は、ゴーン事件を契機に設立されたが、社外メンバーが大勢を占めるので経営に対する監督は独自の視線で行えるものの、どうも生産・販売の現場と乖離した存在と化しているらしい。取締役会が発議したホンダとの経営統合協議に対しても、経営側が統合の前提となる再建策を提示できずに不調に終わったのは、取締役会と経営陣の足並みが揃...日産の新社長誕生に思う

  • 日米安保の片務性

    第二次トランプ政権で、日米安保の片務性が蒸し返された。トランプ大統領は「一体、誰が(片務性を)認めたのか」と不快感を示し、政権の中枢からは「駐留軍経費の増額」や「軍事費の対GDP比3%超」を求める声が高くなっている。日本では、「極東最大の基地を提供していることで、釣り合いが取れている」とする意見が多いが、どうだろうかと考えてみる。日米安保締結時や新安保改定時は東西冷戦の真っ最中で、極東の赤化防止のためには、日本の地勢位置が大きな要素を占めており、米国も日本に軍事基地を置き地上兵力を常駐させることに安保の片務性以上の価値を見出していた。しかしながら、中露はもとより北朝鮮も核兵器とその運搬能力も得ている現在では、日本の地勢的強点も相対的・総体的に低下している。核兵器以外でも、長距離を飛翔できる無人機や巡航ミサ...日米安保の片務性

  • 野党人の限界

    石破総理の言行不一致や現場無視の姿勢が問われているかのようである。予算委員会で共産党の小池議員から、日朝交渉における2件の外交文書(所謂田中文書)紛失問題を問われ、既に紛失を認めた安倍政権の閣議決定を漸くに踏襲する答弁を行った。田中文書に関して石破氏は在野時代に「内閣は良く調査して説明すべき」と安倍氏を繰り返し非難していたことを小池氏からも追及されたとされる。施政方針演説では、持論である「アジア版NATO構想」・「日米地位協定改定」・「日朝連絡事務所開設」に触れず首相の公式な施政方針としなかったものの、「アジア版NATO構想」と「日朝連絡事務所開設」に関しては秘密裏に検討を指示したとされている。しかしながら、「アジア版NATO構想」は集団安全保障の中核には核兵器若しくは強大な通常戦力保有国が必要なことに加...野党人の限界

  • トランプ考

    トランプ大統領の施政方針演説の詳細が報じられた。内容は、就任以後の大統領令や各国首脳との会談で明らかにされたものの総集編とされ、サプライズは無かったとされている。トランプ大統領の名は、トランプ(Trump)であるが、日本でトランプと云えばカード遊び(トランプ::tramp)が連想される。日本でいうトランプは英語では単にカード(cards)と呼ばれているらしい。何故にカードをトランプと呼ぶようになったかと云えば、コントラクト・ブリッジ(以下、ブリッジ)でトランプは「切り札」を意味するが、trampを連呼するその遊びを観た通弁が名称と勘違いしたことに由来すると云うのが通説となっている。ブリッジでは、戦う若しくは応援するに足る持ち札を貰った時、切り札を特定せずに戦える若しくは切り札を特定できない時に「ノー・トラ...トランプ考

  • 高校教育無償に思う

    過半数割れ与党の予算案が、野党のバラマキ政策の歳出化を人柱にして衆院を通過した。維新の主張する高校教育の無償化も人柱の一体であるが、素直には頷けない点が多く、3日の衆院予算委員会で自民の山田賢司議員が質した内容もその一つである。質問・要望の要旨は、「現地の公立高校に就学する在外邦人は対象外であるのに、日本在留の外国人に無償化が及ぶのは可笑しい。外国人は対象外とすべき」であるが、その通りであると思う。さらに「無償化という言葉を使用するが「税負担化」であって国民の理解が得られない」とも発言されている。税金の使途は公平であるべきで、中卒で就職し汗水垂らす人間からは所得税を徴収し、その一部が青春を謳歌するだけの粗悪高校生にまで、高額の私立高校・外国人生徒にまで、支払われるのは著しく公平性に欠けるのではないだろうか...高校教育無償に思う

  • 核バランスの崩壊と核保有論議-2

    本朝の新聞を読んで、昨日の「核バランスの崩壊と核保有論議」の続編を書くことにした。昨日は、マクロン大統領の「欧州域の防衛にフランスの核を提供する」趣旨の発言を「アメリカ嫌いでフランスの栄光第一」とする国民性かと書いたが、英国とEUの欧州委員会が、ウクライナ支援の継続と戦後復興のためとはいえ、ロシアの脅威に備えるべく「欧州の再軍備」・「有志国連合の結成」を打ち出しているのは注目すべきであるように思える。この動きはトランプ大統領による和平斡旋が、ウクライナとEUの主張からは懸け離れた頭越しの米ロ交渉となる可能性から生まれたものであるが、有志国連合が結成されて、その活動が軍事作戦指導にまで及んだ場合、米国主導のNATO軍とは別の規範で行動することとなる。ロシアの戦術核への防御や抑止を有志国連合が判断するとなれば...核バランスの崩壊と核保有論議-2

  • 核バランスの崩壊と核保有論議

    フランスのマクロン大統領が欧州の核抑止力として自国の核兵器を提供する可能性を示唆した。トランプ政権のウクライナ支援の縮小・停止、紛争(戦争)の停戦斡旋の動きによって引き出されたものであるが、米ロ中の核バランスで一応保たれている世界情勢が一変する可能性を有しているように思う。これまでは英仏の保有する核兵器は自国防衛にのみ使用し、欧州全域の防衛はアメリカの核兵器を中核としたNATOが担うこととされてきたために、英仏は核兵器の増産を凍結してきた。フランスについては、1949年8月に成立したNATOの原加盟国でありながら、「フランスの栄光」追求として独自の核戦略を掲げたドゴール―ル大統領時の1966年からサルコジ大統領がNATO復帰を宣言する2009年までアメリカの核兵器を中軸に据えたNATOの統合軍事機構から脱...核バランスの崩壊と核保有論議

  • 巻きずしと源田実氏

    先日の朝食のメインは、パンに代わり前日の夕食の残りの巻きずしであった。食卓に載せられていた緑茶を見て、コーヒーではどうだろうかと試したが、バカ舌の自分にはコーヒーの方があっていると感じた。過去には紅茶とおにぎりが合うというCMもあったし、握り寿司のお供が緑茶となっているのは、渋みや苦みで口中をリフレッシュするのが目的ではないかと考えると、それがコーヒーの苦みであっても一向に構わないように思える。その時の略茶・コーヒー・紅茶の連鎖で、源田実氏の言葉を思い出した。その言葉を自分が聞いたのは昭和50年代で、氏の参議院議員3・4期時代と思うが、眼前の氏は年齢に応じた好々爺の風情ではあったものの眼光は写真で見た鋭さで、戦後30年を経た当時でも歴戦の勇士と呼ぶに相応しいものであった。源田氏「英(紅茶)、米(コーヒー)...巻きずしと源田実氏

  • コレクション考

    先日亡くなられた森永卓郎氏のコレクター哲学を知った。森永氏のコレクションは、少年時代に父親から貰ったミニカーが原点であるらしいが、傍から見れば脈絡・一貫性のないもの、所謂ガラクタと聞いている、後年、TV露出の機会を得た森永氏は、機会・人脈を頼りに有名・著名人にサインを頼み、こけしにビート・たけし氏のサインを貰って「ビートこけし」と駄洒落、森永キャラメルの箱にされたキャメロン・ディアスは「キャラメル・ディアス」とご満悦の様子であった。コレクションの中には重複した物も多いようで、インタビューアーが「同じ物を複数個持つ不思議さ」を問い質したら、森永氏は「コレクターの心を解ってないネ。本当のコレクターは、集めることが好きなんだよ」と述べておられる。成る程!!。目的は「集めること」だけで、収集品の価値・希少性・一貫...コレクション考

  • 給食費の無料化

    義務教育における給食費無料化が実現するようである。無料化によって、これまで問題視されていた給食費を払えない世帯・児童、物価高による献立の貧弱化、地方自治体の赤字などの救済・健全化に多くの改善が図られることだろう。唯一、癪に触るのは「十分な余力がありながら払わなかった下種ども」の行為を追認する形にもなることであるが。昨日、連休逗留中で少食の孫との食事中の会話。爺「来年度から給食費が無料になるかも知れない」孫「ヤッタァ!!」爺「そうか、子供心にも親の財布を気にしていたのか」孫「ううん。お母さんからの”給食費を払っているのだから、残さずに食べなさい”というプレッシャーから解放される」爺「それなら、ここの食事を有料にして、お母さんの遣り方が続けられるようにしなければなぁ」孫「止めてよ。折角光を感じたのに」ともあれ...給食費の無料化

  • 日本学術会議改組法案に思う

    日本学術会議改革のための日本学術会議法案の内容が報じられた。改組の目玉は、2026年に政府の機関から「特殊法人」に移行、業務を監査し会員らの不正行為を首相へ報告する「監事」を、活動の評価方法などについて意見する「評価委員会」を設置、監事と評価委員は会員以外から首相が任命する、であるらしい。新会員の選出についても、前任者による後任者指名制度から会員の互選とし、候補者に関しても局外者による品定めが行なわれるようで、活動の透明化によって真の国立アカデミーとしての再出発が期待できるように感じられるとともに左翼伏魔殿からの脱却も期待できるように感じた。この改組案に対して、歴代の会長6人が「政府の干渉強化によって学問の独自性が損なわれる」と法案反対を表明したようであるが、彼等が自浄作用の無いぬるま湯組織存続の元凶であ...日本学術会議改組法案に思う

  • ブリッジと第6級賞詞

    自分は、第6級賞詞受賞という輝かしい?経歴を有している。時間的制約を受ける艦内娯楽の代表はトランプであり、士官室ではコントラクトブリッジ(以後。、コントラ)が行なわれる場合が多い。かっては海軍士官のたしなみと半強制されたコントラも、現役の最後頃には見かけることも少なくなっていた。幹部昇任後に初めて乗艦した護衛艦では、コントラ好きの艦長のもと多くの幹部が競技していた。乗艦早々の昼休みに召集され、ほんの数分間のルール説明の後、実戦での特訓が始まった。全く要領を得ない自分には、叱責の声雨アラレで昼休みどころか昼地獄の有様が数日間続いた。しかしながら記憶力に難あるのか、一向に上達することは無かったが、それでも相手からは全幅の信頼は得られないものの、協議参加が認められる程度にまではなったと思っている。こんな叱責満載...ブリッジと第6級賞詞

  • 岸田前襲撃犯の量刑に思う

    総選挙遊説中の岸田前総理襲撃犯に対する裁判員裁判で、和歌山地裁が懲役10年の判決を下した。裁判における最大の争点は殺意の有無であったが、判決では殺意を含む全ての訴因で有罪と認めた。量刑については、殺意を持った一般的な殺人未遂事件と同程度とされるが、産経新聞の社説では、一般的な殺人未遂とテロ行為のそれが同じで良いのだろうかとの疑問を投げかけている。被害者の社会的地位に応じて量刑を加減するのは中韓では良く耳にするが、他の先進国ではあまり聞かないものの、テロ行為には別の規定を設けている国も多いのではないだろうか。アメリカでは、殺意・計画性の下に行われたり放火・誘拐・強姦・強盗などの過程での殺人を第1級殺人罪(最高刑は死刑)、殺意はあったが計画性は無かった殺人や暴力・レイプ等の過程で結果的に起きた殺人を第2級殺人...岸田前襲撃犯の量刑に思う

  • 戦後80年談話の行方

    石破総理とその周辺が、戦後80年首相談話の発出に十分な色気を持っているらしいことが報じられた。首相の戦後談話は、戦後50年に村山首相、同60年は小泉首相が、70年は安倍首相がそれぞれに発出した。村山・小泉談話は、日韓・日中関係改善を目途として発出されたが、中韓からは朝鮮併合、慰安婦強制連行・南京虐殺等について日本政府が公式に誤りを認めたと受け取られ、却って反日思想の火に油を注ぐ結果にしかならなかったと理解している。特に村山談話に関しては、前の宮沢内閣の官房長官であった河野洋平氏の談話、所謂「河野談話」を追認するものと受け取られたので猶更であったように思える。70年談話は反省を込めながらも「児孫にまで謝罪の責任を負わせることはできない」と謝罪外交への訣別を宣言し、中韓以外からは歓迎された戦後談話の最終形と思...戦後80年談話の行方

  • コンプライアンスを学ぶ

    .中居正広氏の事案では、社員が食事会の設定に関与したと誤報されたことによって、フジテレビ社のコンプライアンスに疑義ありと経営陣の引責辞任にまで発展した。コンプライアンスは法令遵守と和訳されているので、フジテレビの場合では例え社員による食事会設定が事実であったとしても、会社のコンプライアンスを問うのは如何なものかと思い、コンプライアンスを勉強した。ネットで観て自分なりにシックリ感じるのは、《ラテン語のcomplere(空所を満たして一杯にする)が英語のcomplete(完成)に繋がり、complianceはcomply(何かに従うこと)という動詞の名詞形である。complianceは、単に何かに従うことを指しており、その「何か」は特定されていないが、和訳の際に、我々が従う「何か」は法令に違いない」と誤訳され...コンプライアンスを学ぶ

  • 京大教授の遅刻

    他人の失敗・不幸を喜ぶ気持ちは毛頭ないことを念頭に置いて頂きたい。TV番組に出演予定の京大教授が2週連続で番組を遅刻・欠席した。1回目は、京都からTV局のある大阪まで新幹線で移動する際に誤って上りの新幹線に乗ったそうである。乗車して直ぐに気付いたものか番組スタッフ宛第一報に「只今米原付近を名古屋に向け走行中」とメール報告されたらしい。不案内の在来線駅での乗り換えに失敗した経験は幾度も有る自分でも、流石に新幹線の上下を間違えたことは無いので、可笑しさを通り越してしまった。しかしながら、自分であれば慌てふためくとともに、くどくどと謝りの言葉を入れ込むであろう第一報を、悠揚迫ることない文面で状況を端的に表現したメールを観て「流石に大学教授」と感服した。日本海海戦を前に秋山真之参謀が付け加えたとされる「本日天気晴...京大教授の遅刻

  • 立民の財源探しに注目

    立憲民主党が来年度予算に約4兆円の修正(歳出増)を求めることが報じられた。今回の修正案では、修正の前提である財源確保の方策も併せて示されていることが特色で、民主党政権時の「財源を考慮しないコンクリートから人へ」の失敗反省が図られている。さらに、政局的には国民民主が絵図を描いた年収の壁で「財源は政府・与党が」の無責任さを強調する色合いも有るように感じられる。歳出の修正事項は給食費の無償化、年収の壁引上げ高額医療費負担額の低減などで評価できるものの、財源確保については年金等の政府基金取り崩しや予備費の圧縮などで手当てし、国債の発行はしないとされているが、とても継続事業を支える恒久的な財源確保とは呼べないものである。政府基金の取り崩しにあっては数年でギブアップであろうし、災害対策が主眼の予備費を圧縮することは小...立民の財源探しに注目

  • 再び病院船を学ぶ

    アルピニストの野口健氏が、病院船の保有に関して国会で論議することを提言しているコラムを読んだ。東日本大震災では、病院船とまでは呼べないものの相当な医療設備を持つ揚陸艦を配備したにもかかわらず、総合的な運用に関しては「トモダチ作戦」に参加した米海兵隊から《日本の水・陸両用能力が脆弱》と指摘されたように、病院船とそれを支援(利用)する陸海空の総合・統合運用力は不足していると思っている。統合運用については、陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」が3月に編成されることから、水陸空両用能力も改善されると期待しているが、病院船に関しては大規模災害の度に話題とはなるものの、喉元過ぎれば語られることも少ない。病院船の保有に関する要望が一過性となるのは、偏にコストがかかり過ぎることであるように思う。病院船...再び病院船を学ぶ

  • 金のポケベル

    訪米中のネタニエフ首相が、首脳会談に際してトランプ大統領に贈った金のポケベルが物議を醸している。金のポケベルは、ガザ紛争勃発直後ハマス支援に参戦したヒズボラ戦闘員間での通信手段として広く用いられていたポケベルにモサドが爆薬を仕掛けて遠隔爆発させ、12人の民間人を含む少なくとも42人が死亡3,000人以上が負傷したことに由来している。ガザ紛争は現在6週間の停戦期間中であるが、ハマス側の人質解放は遅々として進まず、現在までに人質13人を解放しただけである。これに応じる形でイスラエルが釈放したのは刑務所などに収容していたパレスチナ人600人とされている。また、15日にも行われると期待されていた人質交換も、ハマス側がイスラエルの停戦義務違反を主張して延期になりそうな状況を観れば、人質を解放しないハマスが人質を”人...金のポケベル

  • 現代コメ事情

    米価高騰の抑制策として、凶作を条件としていた政府備蓄米の放出が行なわれる。”タイ米騒動”があったなとWikipediaで調べると、《1993(平成5)年の記録的冷夏に起因する米不足現象で、平成のコメ騒動とも呼ばれている》とあった。自分と我が家限定の記憶であるが、当初は国産米〇㎏購入しようとすれば、タイ米〇㎏を同時購入しなければならないという販売形式であったが、何時しか国産米が出回り始めて何の制約も無く国産米を購入できたように思うので、流通経路のどこかで。作為的な操作があったのかも知れない。今回のコメ不足では、平成のコメ騒動とは異なり令和6年のコメ収穫量は前年を上回ったものの、JAを始めとする大手集荷業者の集荷量が前年を下回る、すなわち農家の売り惜しみが原因の一つとして挙げられるらしい。都市伝説であろうが「...現代コメ事情

  • 国会での制服答弁は?

    衆院予算委員会で求められた、制服答弁議論が門前払いされた。質問したのは国民民主の橋本幹彦議員(元空自・当選1回)が、制服自衛官の国会答弁論議を求めた際、最終的には理事会の判断と安住委員長の裁可で門前払いの様相であったらしい。橋下議員は、議論深化の前提として1国会における防衛論議は机上の空論2慣例が制服答弁議論の深化を妨げている。としているが、まことにその通りと思う。理事会・委員長の頑迷な慣行踏襲は「シビリアン・コントロール」のためとされているが、自衛隊の戦力と配備に無知な国会議員では、防衛体制の構築と武力行使の是非をコントロールすることは望めないのではないだろうか。防衛予算を防衛官僚に丸投げした結果、正面装備は体面を保っているものの、後方の弾薬や部品の備蓄・保有は危機的で、戦闘機のカニバリズム(数機を部品...国会での制服答弁は?

  • 中国元外交官逮捕に提言

    中国大使館の元3等書記官が逮捕された。逮捕容疑は、3億円ともされる国のコロナ対策給付金の不正受給である。自分の知識では、単純な給付金詐欺であれば刑事部が担当すると理解しているが、逮捕したのが警視庁公安部であるので、単なる詐欺容疑だけではないように思える。昨年5月にも同様の容疑で中国人を逮捕(不起訴)した際には、中国海外警察の拠点と目されるビルの家宅捜査も行われていることから、今回の逮捕に関してもその延長であると思いたい。新聞報道の解説部分に依れば、例え海外警察であったとしても在日中国人などに対する恐喝などの明らかな犯罪行為が絡まなければ、処罰する適当な法律が無いとされており、今回も詐欺容疑だけでの処罰になる可能性も捨てきれないように悲観している。しかしながら、一旦帰国した外交官が再来日し、なおかつ東京でレ...中国元外交官逮捕に提言

  • 失敗作ですが

    失敗作ですが、手間の代償として掲載することをお許し頂きたい。点描に挑戦しました。百均で購入した綿棒を使用してドットを作成しました。多分ですがドット数は優に5千点は超えていると思っております。作画当初は、ドット径を小さく押していたのですが、だんだん大きくなっていきました。また、淡く描こうとした楓の葉も、落ち葉に使用した濃い絵の具の残りがもったいないと貧乏根性で加えたために、全体として変化に乏しいものになってしまいました。生活苦から多作・多売を余儀なくされたバロック絵画の巨匠が、「この大きさを塗るのに、そんなに時間はかけられない」と画風を一転させたという逸話を読んだ覚えがありますが、点描でも同じことが云えそうに思いました。千寿院の大楓(F8)失敗作ですが

  • カープの球春(はる)

    カープがキャンプインし、今年も一喜一憂ならぬ一憂二憂をも覚悟しなければならない幕開けを迎えた。作季終盤、CS進出は確実&優勝も夢ではない首位の座から、あれよあれよの間に四位に滑り落ちた。原因は投壊・貧打に加えて、メンタル的にも空回り・浮足立ちと、戦績を落とす要因のすべてが一挙に悪化したとの思いが強い。今年はどうだろうと選手名鑑を眺めてみるが、総合的な戦力は昨季と変わらないことに加えて、10勝は読めた九里投手のFA移籍の穴を、誰が・どれだけ埋めることができるのか、との不安要素もある。シーズン・オフのテレビには球団対抗の番組が登場するが、カープでは矢野雅也選手の出演が多かった。強肩(遠投130m)、俊足(50m5秒9)の身体能力を武器に、菊池選手と共に「カープ自慢の二遊間(新井監督)」と評される存在である。昨...カープの球春(はる)

  • 中国の諜報活動の一端を知る

    台湾で、中国に絡めとられたスパイの摘発が増加していると報じられた。台湾の国家安全局の報告では、2024年に中国のスパイとして起訴されたのは64人で、2022年の10人から大幅に増加。このうち現役・退役軍人は計43人で7割弱を占めるとされている。先月20日に摘発されたのは、台湾北部の防衛を担う陸軍第6軍団の元副指揮官の退役中将で、「中国のスパイとしては最高位の将校」であるらしい。一般的に、スパイと聞けば情報の窃取が主な目的であろうと思うが、台湾人による中国スパイは、台湾に反政府武装組織を組織して、「人民解放軍の10万人を台湾に引き入れる」、「台湾独立派の要人暗殺」、「中国の台湾侵攻に呼応して武装蜂起・後方攪乱」、「政府転覆」と荒っぽいものでもので、この任務に耐え得るよう軍人・退役軍人が絡めとられているようで...中国の諜報活動の一端を知る

  • 伊東純也選手案件に思う

    伊東選手の姓加害案件については、刑事告訴した両者ともに検察が不起訴としたことに不服を申し立てていたが、1月23日に大阪第2検察審査会が改めて「不起訴相当」とした。伊東選手は週刊誌を「名誉毀損」で告訴、女性2人に対して賠償金約2億円を求める民事訴訟を起こしているので、今回の判断が民事訴訟にどのように影響するのだろうか。伊東選手の問題が報じられた際、日本サッカー協会は代表抹消まではしなかったもののW杯予選を欠場させたが、所属する欧州クラブ(仏1部リーグ、スタッド・ランス)は変わらずに起用し続けている。司法国家では、未決者は推定無罪として被告発者や被告の人権を守るが、日本サッカー協会と欧州クラブの対応を比べれば、遠い極東の地での訴訟騒ぎと云うことを除いても推定無罪の対応に大きな差があるように思える。閑話休題。昨...伊東純也選手案件に思う

  • アメリカの航空事故とDEI

    ワシントン近郊の、レーガン国際空港で着陸態勢の小型旅客機と陸軍ヘリが空中衝突して、67人が犠牲となった。事故原因の究明はこれからであるが、トランプ大統領や関係者からは「管制ミス」を指摘する声が聞こえる。特に大統領からオバマ・バイデン大統領が旗振りしたDEI政策の影響が航空機の管制業務の質を低下させてことを匂わせる発言がなされた。発言の真実性に関しては何とも言えないが、米経済界やEUの動きを俯瞰すれば単なる政敵叩きと切って捨てられないように思える。アメリカでは、バイデン政権末期から証券市場への上場基準にあったDEI目標が廃止され、大企業は相次いでDEIの部署や規模の縮小を表明している。EUでもDEI数値目標を縮小する動きが各地で相次いでいる。DEIの概念に含まれる移民と少数者について考えてみた。アメリカンド...アメリカの航空事故とDEI

  • 誤報と孫引き

    週刊文春が中居氏報道の一部が誤報であったと訂正した。中居氏問題自体と誤報の詳細にについては関心がないが、ネット報道などを参考にすると、中井氏の性加害の発端にフジテレビ社員が関与しているとする部分であるらしい。文春側は、誤報は第1報のみで次報以降は修正しているとしているが、旬日に亘るフジテレビ叩きは第1報を元に為されていることを思えば、誤報の申告が遅すぎると云わざるを得ないように思う。数日前のブログで「孫引き」の戒めを書いたが、フジテレビの記者会見における参加記者は明らかに第1報を事実として認識し、フジテレビ側が事件への関与を再三否定しても聞く耳を持たないという展開であったとされる。このことを総覧すれば、「主犯」を文春の誤報とするのは当然として、取材能力を持つジャーナリストが追加・裏付け取材を為すことも無く...誤報と孫引き

  • 空自音楽会の中止に思う

    那覇市内の小学校で予定されていたPTA主催の空自音楽隊の演奏会が県教組織支部の抗議によって中止されたと報じられた。抗議は「教育の中立性を損なう」や「軍事組織に対して否定的な感情を抱く家庭が少なくない」等を挙げているが、教組自体の左傾や諸々の家庭の総和であるPTAが計画した音楽会であることを思えば、論拠を欠くものに思われる。沖縄県の市長からオール沖縄系が全滅したことによる焦燥感によるものであるかもしれないが、徐々に攻撃対象を増やす遣り方は中国共産党や韓国左派の常套であり、共産党の統一戦術であるのかもと邪推している。閑話休題地上戦を経験している沖縄県を除いて、反戦・反軍は如何にして伝播したのかを考えるが、あくまでまで自分の限られた経験と独善である。自分が高校生であった昭和30年代、すなわち戦争(戦闘)経験者が...空自音楽会の中止に思う

  • 防衛記念賞に思う

    昨日の産経新聞正論に掲載された櫻田淳(東洋学園大教授)の「自衛官の処遇と名誉の階梯」を読んだ。氏は、刀伊入寇の論功行賞に対する藤原実資の【敵を撃退した者に、褒賞を与えなば、この先に奮戦する者はいなくなるだろう】との言を冒頭に掲げて論を展開されている。さらに自衛隊員の功績・経歴を示す防衛功労賞(特別、1~5級)、防衛記念賞(48種類)については、授与の根拠が自衛隊法施行令であり内閣府賞勲局所管の行う叙勲とは別であることも紹介し、帝国軍人への位階勲等の再現までは望むものではないが、何らかの「名誉の階梯制度」の創設を提言されておられる。改めて調べると、防衛功労賞については退官後も所持・着用や遺族への継承が許されているが、防衛記念賞については制服とともに退官を機に所持・着用することは許されない。このことから、防衛...防衛記念賞に思う

  • 橘大隊長奮戦記

    小学生の頃、図書室の隅で橘大隊長奮戦記という冊子を読んだ記憶がある。長じて静岡で勤務していた時に、陸自板妻駐屯地で橘大隊長の銅像を見かけた。昨日のブログ作成の過程で橘神社の存在を知るとともに、名前が「周太」であることを初めて知った。小学生以来70年の時を経てであるが、橘周太氏とは?とWikipediaで調べてみた。曰く《慶応元(1865)年現在の雲仙市生まれ、明治20年陸軍士官学校卒業、東宮武官、歩兵第36連隊中隊長、名古屋陸軍地方幼年学校長などを歴任し、明治37(1904)年2月9日の日露戦争開戦にあたっては新設の第2軍管理部長、同年8月11日に歩兵第34連隊第1大隊長に転出、8月31日の遼陽の戦いで戦死し同日付で陸軍歩兵中佐に特進、勲四等旭日小綬章及び功四級金鵄勲章を賜わり、以後軍神として尊崇される。...橘大隊長奮戦記

  • アメリカ湾改称に伴って

    トランプ大統領は就任後、矢継ぎ早の大統領令を発出している。1期目の就任直後には6本の大統領令に署名したと記憶しているが、今期は「矢継ぎ早」と報じられるのみで本数の詳細までは分からない。その中の一つに、メキシコ湾をアメリカ湾に改称、マッキンリー山の名称を復活させるがある。メキシコ湾の改称については、世界的な認知が必要であることから韓国の日本海⇒東海と同様に定着することは無いように思えるが、マッキンリー山の復活については国内問題であり地図業者も喜んでいるのではないだろうか。マッキンリーの名称は第25代大統領ウイリアム・マッキンリーに因んでいるが、かねてからトランプ氏はマッキンリー氏の保護主義的な政策とキューバ、プエルトリコ、フィリピン、グアムの支配権を獲得した実績を尊敬するとしていた。(カナダ、・グリーンラン...アメリカ湾改称に伴って

  • 要約に思う

    昨日の産経新聞の1面大見出しは《首相野党に責任共有訴え》であった。瞬間湯沸かし器の自分は一覧して、いやしくも行政府の長(指揮官)が、野党に失政の責任分担を求めるのは言語道断、指揮権の放棄に他ならないと怒り心頭に達した。気を静めて施政方針演説の全文を読むと、どうやら、随所に出てくる「(過半数に達しない自公の悲哀から)与野党の枠を超えての議論」や結語で述べた「比較第1党としての責任を持つが、国民・国会議員の御理解・御協力をお願いする」という部分から全体の印象として「責任の共有」と要約したものだろうと思える。指揮官とは”敗軍の将は兵を語らず”に尽くされた様に「立案の課程や作業の推移がどうであれ、結果については全責任を負う」のが常識である。石破総理を指揮官型ではないと断じる自分は、石破総理ならばさも有りなんとして...要約に思う

  • 中居正広氏報道に思う

    中居正広氏が芸能界を引退した。引退せざるを得なくなった中居氏の女性問題の詳細は知らないので、的外れであるかも知れないが、報道と民情に関する所感を忘備録として残すことにした。中居氏の引き起こした女性問題とは、中井氏側が女性に9千万円の和解金(=慰謝料?)を支払うことで双方が納得していたものの、後日に週刊誌が報道したことで注目され、紆余曲折の末に中居氏の引退で幕が引かれることになったと理解している。世間の耳目を集めた騒動ではあっても、双方が和解した案件について中居氏を引退に追い込むほどの報道は行き過ぎではないだろうか。例としては適当でないかも知れないが、刑事事件で刑期を終えた出所者に、前科者として刑罰以上の報復を求め、最終的に社会から排除することに似ているように思える。前科者の社会復帰に対して多くの報道機関は...中居正広氏報道に思う

  • お絵描きクラブの日

    お絵描きクラブの日、最近の駄作を掲載致します。1枚目は、洋式の壺にネットから拝借した13代柿右衛門の模様を当て嵌めてみました。ブドウも手強かったが、背景作りにも行き詰まり2枚目の自作の絵を掛ける体にしました。ご笑覧下さい。「柿右衛門様式(F4)」「里の秋(F6)」お絵描きクラブの日

  • 石破外交は?

    石破総理誕生後の外交を観ると、何かおかしい。岩屋外相就任後の主要訪問先を辿れば、中国⇒韓国⇒米国となるが、中国ではEEZ内のブイ設置、日本人の不法拘束、在中日本人の安全確保、水産物の輸入禁止・空軍機の領空侵犯等喫緊の問題について中国の対応・言質を得ることなく、中国人観光客の観光ビザ要件緩和という手土産を渡したに過ぎなかった。内乱騒動の渦中であることから訪問自体を疑問視する声が高かった韓国訪問では、日米韓の安全保障連携強化という当事者レベルからの儀礼的な挨拶を得たに過ぎなかった。トランプ大統領就任式に政府代表として参加したアメリカでも日米首脳会談の時期決定には応じて貰えずに早期実現という当事者レベルの儀礼的な対応を得たに過ぎなかった。石破総理はと云えば、各国に先んじて東南アジア2ヵ国を歴訪してアジア地域の安...石破外交は?

  • 北別府学氏を偲んで

    カープ黄金時代をエースとして支えた北別府学氏の番組を観て久々に涙を流した。改めて紹介するまでもなく、北別府氏はカープ一筋で200勝を挙げた唯一の選手であるが、白血病で3年間の闘病生活の末に2023年6月に65歳で亡くなられた。当時のカープのお歴々が語る彼の人柄は、物静かで優しい反面、闘争心は旺盛で何より練習熱心であったとされる。特に、入団1年目19歳のキャンプで自分の球速ではプロの世界に通用しないと見極めて、制球力に活路を見出した判断力と制球力獲得のための練習量は、猛練習が基本とされるカープにあっても突出していたという。こうして得た制球力をもって世上は氏を「精密機械」と称えた。エース=完投とする北別府氏にあっては、マウンドで交代を打診するコーチに、「次は誰が投げるん」「そいつだったら俺が投げ続ける」と公言...北別府学氏を偲んで

  • 韓国の政情・司法・民情

    韓国の所謂”内乱”については分からぬことが多すぎる。何故に尹大統領は大時代の戒厳令を発出したのか、何故に野党は大統領の罷免弾劾を急ぐのか、何故に司法は大統領の逮捕を認めたのか、全く分からないことだらけである。加えて、大統領の逮捕に抵抗した市民がいて、更には逮捕後の世論調査で尹大統領の支持率が急昇したこと等を観ると、尹大統領が使用した”従北反国家勢力”なる存在が、確実に韓国中枢を牛耳っているのは間違いのないように思える。龍谷大李相哲教授によると、1月9日に野党「共に民主党」が国会に提出した「内乱特別検察法」には、尹政権の行った【海外紛争地域への派兵、対北朝鮮拡声器稼働、対北朝鮮ビラ大幅拡大、無人機平壌侵入、北朝鮮汚物風船原点打撃、軍事境界線における攻撃誘導】が列挙されているそうである。【】内だけを読めば、確...韓国の政情・司法・民情

  • 高校野球の改革案に思う

    高野連が、高校野球の7回制を検討しているらしい。現行の9回制は選手の負担が大きいとの判断に基づく改革であるが、如何なものであろうか。野球は9回制と考えるのは頑迷な伝統墨守・固定観念と切って捨てられるかもしれないが、これまでの9イニングを巡って繰り広げられる攻防・展開こそが野球と心得るので、7回制の野球は別のスポーツになるように思う。バレーからビーチバレーが、ラグビーから7人制ラグビーが、サッカーからはフットサルが、バスケットからはスリー・エックス・スリーが、と派生しているが、何れもが別のスポーツとして認知されているので尚更である。また、日米プロ野球でも、主として興行面から試合時間短縮のために、延長回制限、投球間隔制限、牽制球制限などのルール改正が為されているもののイニング短縮は取り沙汰されないのも、野球の...高校野球の改革案に思う

  • 暗黒酸素を知る

    本朝の産経新聞で、スコットラン海洋科学協会が行なう暗黒酸素解明の研究を日本財団が支援することが報じられた。暗黒酸素とは、深海底の岩石塊(マンガンノジュール)が海水を電気分解することで発生する酸素を指しているらしい。これまでは、約20~24億年前に地球大気中の酸素濃度が殆どゼロの状態から現在の1/100以上のレベルにまで急激に上昇し、生命進化にも多大な影響を及ぼしたとされ、その原因は「大氷河期から温暖期への急激な温暖化に伴い、光合成生物が大繁殖することで起きた」とするのが定説とされてきた。一方、暗黒酸素は昨年の7月に発表された論文で提示された新しい考えであり、生物の光合成によらない酸素が深海底で発生しており、これは多金属団塊(ポリメタル・ノジュール)による海水の電気分解によるものではないかとの見方を示してい...暗黒酸素を知る

  • 当地の会釈事情

    買い物に行く途中、歩道上の前からくる3台の自転車に遭遇した。丁度離合するであろう地点に電柱があるので、自転車をやり過ごすために立ち止まった。自転車の主は東南アジア系と見受けられる若者であったが、驚いたことに3人とも道を譲った自分に会釈して走り去った。彼らの会釈がお国の風習か、はたまた郷に入らばの故かは分からないが、清々しく感じた。当地に越して早10か月、首都圏とは混雑の程度が低いとはいえ、公共交通機関の優先席に居座って寝たふりをする若者の姿を目にすることも少なく、席を譲られたことも首都圏の10年分くらいある。また若者に何かを譲れば、必ずに会釈や笑顔が返ってくる。流石、長幼に序を求める九州の風土と感じ入る半面、些かに残念に思うところがある。それは、老人に何かを譲っても、会釈が返されることは極端に少なく、皆無...当地の会釈事情

  • うなぎバトル

    共産党員や支持者の間で「うなぎ論争」が熱く交わされているらしい。きっかけは共産党の斉藤優子目黒区議が昨年末、Xで自民党の高額会食批判を投稿し、この投稿に対して、かつて共産党を支持していたとする投稿者が共産党の政治資金収支報告書(令和5年:2回の会食で計11万5800円)をもとに「共産党も外でうなぎを食べて会食費を使っている」と批判。すると斉藤区議が「共産党はうなぎを食べたりしてはいけないと言いたいのか」と反発し、論争が始まったらしい。これをきっかけに「常識の範囲内で会食をするのはいいと思う」・「共産党だと鰻を食べたらあかんと言う合理的な理由を説明しろ」という擁護派、「うなぎはブルジョアの食事だ」・「共産主義思想に反している」という批判派のコメントの応酬が繰り広げられているそうである。かって自分は共産党と云...うなぎバトル

  • キャリア官僚の早期離職(転職)に思う

    国家公務員の幹部候補者である総合職の早期転職が急増していると報じられた。報道では2014年度に採用された600人のうち23%が10年以内に退職したそうである。転職の理由として挙げられているのは、長時間労働や給与などの待遇に対する不満である。このことに対して、人材・頭脳の流出が危惧されるとしているが、公務員の性格・存在が「公奉」であることを思えば、功利一辺倒の離職者を例え引き留め得て栄進させたとしても、かっての前川喜平次官のような存在になることは目に見えるように思える。ここは「腐ったリンゴを早期に淘汰できた」と喜ぶべきであるように思う。組織構成員の士気(今様には、モチベーションであろうか)を上げるためには、待遇改善や福利厚生の充実が大きいとされている。短期の功績を昇給や昇任で報いることのできない海軍では「食...キャリア官僚の早期離職(転職)に思う

  • 監視能力の向上

    NTTとスカパーが共同出資する民間会社「スペース・コンパス」が、上空3万6千キロに静止衛星を打ち上げて、低軌道を周回する観測衛星等の画像を一括統合して地上に送信する計画を発表した。報道によると各観測衛星等が直接地上に送信するよりも1時間以上時間を短縮することが可能で、防衛省が活用すれば艦船の位置や陸上兵力の移動なども常時把握できるようになるらしい。利用法によっては監視能力の向上が期待できるものの、問題が多い様にも思える。「スペース・コンパス」は《既に複数の潜在顧客と(利用の)協議を進めている》としているらしいが、潜在顧客(情報の販売先?)の身体検査はどうなっているのだろうか。潜在顧客に中国解放軍傘下やロシア企業は含まれていないのだろうか。更には、販売先が日本の官公庁だけであったとしても、セキュリティの脆弱...監視能力の向上

  • 海自が特定業者優遇?

    本朝の産経新聞が、海自の共通仕様書が特定業者を優先するかの仕様で、他社を排除している可能性があると報じた。記事によると、潜水服の素材を共通仕様書で「ポリエステル85%以上、ウレタン15%以下」と定めているが、この仕様に合致するのは1社のみであり、他社からは「性能に直結せず合理性が無い」と反発しているとしている。10mの垂直・斜潜水の教育訓練と数回の実潜水・潜水作業指揮経験のみであるが、潜水服に要求されるのは、肌との密着度と水中での動き易さであり、とりわけ重要なのは「潜水服に対する潜水員の信頼度と安心感」であると思っている。報道では、潜水員の感想・言い分まで取材したようには読み取れないので、何とも言えないが、該当社納入の潜水服が、潜水員に無類の安心感を与えていると仮定するならば、単に機能・合理性から判断すべ...海自が特定業者優遇?

  • 自爆ドローン整備に思う

    防衛省・陸自が自爆ドローン310機を整備することが報じられた。小型の自爆ドローンの出現によって戦術が大変革した今、やや遅きに失した感あるとは言え、装備・戦術の近代化から歓迎するものである。しかしながら、導入機が外国製であることには賛成しかねる。高度の偵察・通信機能を備えた無人偵察・攻撃機に比べ、自爆ドローンが民需ドローンの発展形で、典型的なデュアルユースであることを思えば、国内生産の可能性は十分で、安全保障の面からも自前の機体とすることが必要であると思う。調達に当っては、各国の機体代理店の一般競争入札で決定すると報じられているが、面妖な仕組みである。装備品の取得に際しては、例え外国製であっても自衛隊の要求性能・運用基準を第一とすべきで、競争入札と云う金銭面でのみ決定すべきものではないように思う。バブル華や...自爆ドローン整備に思う

  • グリーンランド購入を学ぶ

    トランプ次期大統領が、デンマーク領グリーンランド購入意欲を覗かせた。同島の購入については、前のトランプ政権時にもチラッと聞いたことを思い出したが、4年経った今もトランプ氏は購入の意欲を持ち続けているようである。調べてみると、アメリカのグリーンランド購入意欲は、今に始まったことではなく、既に1946年にはトルーマン大統領がデンマークに同島の購入を打診して拒否されているらしい。グリーンランドは地勢的にソ連(ロシア)を扼する絶好の位置にあって、1946年当時は東西冷戦に備えたバレンツ海等の制海権確保の目論見からであったろうが、80年を経た現在では、軍事的重要性に加えて経済活動上の北極圏航路の重要性が増し、更には同島の永久凍土にはレア・アースが大量に埋蔵されていることが分かっており、戦略的価値は飛躍的に向上してい...グリーンランド購入を学ぶ

  • 銀時計考

    先日は、恩賜の煙草について書いた。本日は恩賜の銀時計に関する都市伝説ついてである。新兵教育を修了して最初に配属されたのは、米軍貸与のPF(パトロール・フリゲート1400㌧)であった。同じパートのS2曹は海軍特別年少兵(特年兵)の出身で特攻艇”震洋”訓練生で終戦を迎えられた猛者であった。そのS2曹から聞かされた都市伝説である。海軍の兵曹にも成績優秀で恩賜の銀時計を所持している人がおり、もし彼が帰艦時刻遅延(遅刻)を起こしても、舷門で当直士官に帰艦時刻前を指している銀時計を示せば、当直士官は時計に敬礼して帰艦時刻前であると認めたそうである。添田唖然坊の「ラッパ節」に、今なる時計は八時半あれに遅れりゃ重営倉今度の休みがないじゃなし離せ軍刀に錆がつくトコトットットと詠われているように、帰艦時刻遅延(遅刻)は軽くて...銀時計考

  • 下着考

    世間一般の成人男性は、何着くらい下着(肌着)をお持ちなのだろうか。今回の転居・片付けで、自分用の肌着は20セット強であった。艦船勤務では、家と艦に各々10セットで20セット常備し、長期航海などでは大半を艦に持ち込むことにしていた。その名残からであろうが引っ越し前に20セット強の肌着を発見して何やらにんまりした。長い間箪笥の奥に隠れて変色しかかったもの等を処分しても、15セット以上残り、この分では死ぬまで下着を買わずに済みそうである。また、初任幹部として最初に乗った艦で、軍歴のある艦長から「士官は、常に夏冬の下着を持っておけ」と教えられた。補給艦乗り組み中のとある8月、南方海域で行動中であったが、アラスカに向け航行中の練習艦隊への訓練補給を急遽命じられた。金華山沖で親潮の影響下に入ると海水温と気温は急激に下...下着考

  • シェルター考

    本日の産経新聞が核シェルターの必要性を論じている。核シェルターについては、時折に・思い出したように報じられるものの、日本では余り進展しているようには思えない。今回の報道は、フィンランドでは国民の8割を収容できる施設を有しているに対して、日本は約5%の収容人員に留まっているので、日本でも核シェルター拡充の要有りとしている。しかしながら、日本での実情は核攻撃初期の爆風・熱戦から防護するため緊急避難的に利用できる強固な建物や地下施設を指定しているだけで、放射能防護機能を持ち中期的な籠城を可能とする他国の核シェルターとは比較できないものに過ぎない。加えて、その建物がどこにあるかとなると、申し訳程度に自治体のHPに掲載されているだけである。ちなみに現住地は市営地下鉄を有しているのでHPにはそれらが記載されてはいるも...シェルター考

  • USスチール考2

    USスチール買収問題は、大統領の買収不可決定を不服として日本製鉄が提訴したことで第2章に入ったと思っている。ここに来て漸く石破総理が登場したが、全く的外れの対応を見せているように感じ、正直なところガッカリした。岩屋外相は「日本の産業界による今後の対米投資について強い懸念を感じさせる事案」と発言したが、アメリカの主張を理解していないかのようである。石破総理や岩屋外相は、買収問題を単なる経済問題と捉えているのに対し、アメリカは日本の対米投資の影響と自国防衛基盤の維持を天秤に掛けての決定ではなく、単に安全保障に限定したロジックによっている。考えてみると、日本帝国の軍備・戦備の規模に対しても、議員・文官が積極的に関与した歴史は数えるほどで、統帥権の独立と云う「憲法外規定」に翻弄されたかのように、大本営・軍令部の意...USスチール考2

  • USスチール買収の行方

    日本製鉄のUSスチール買収計画が頓挫している。両社から約1兆4千億円で買収に合意したと発表された際、自分は”USスチールが買えるの?”と思った。はたせるかな、全米鉄鋼労働組合(USW)が反対声明、買収計画を審査する対米外国投資委員会は結論を出せずに大統領に判断を丸投げ、バイデン大統領は国防生産法の対象企業として売却不可の判断を示して現在に至っている。USスチールは1901年の設立当初はアメリカの鉄鋼生産の3分の2を支配していたが技術革新に失敗して順次シェアを落とし、昨年には24位まで下落しているとされる。何故に国内シェア24位の鉄鋼会社の買収ができないのか考えれば、偏に「USスチール」という社名が原因であるように思う。「US」を冠した社名が、国民に“アメリカ製造業の象徴・鉄は国家なり”のシンボルで、最強国...USスチール買収の行方

  • 選択的夫婦別姓年内実現

    選択的夫婦別姓を可能とする民法改正が、年内にも成立する可能性が高いと報じられた。この問題に関しては、自民党以外の政党が賛成し、日本の家族制度の根幹を損なうと反対していた自民党も、反対議員の落選によって岩盤保守の高市氏のみが孤塁を守るという状況と報じられている。立民の野田代表「国民の7割が賛成している」、公明の斎藤代表「男性・女性共に困っている人が多くいる」、石破総理「殆どの野党と公明党、財界もが導入を支持している」との声が続々と報じられるので、高市氏の主張する「家族制度護持」に賛同する自分も、現実社会の声に押されての改革ならば仕方ないのか不得要領ながらも改革已む無しに挙手しようとしているが、本当に別姓導入は「待ったなし」の状態にあるのだろうかとの疑問は解消できずにいる。毎月発表される報道各社の世論調査では...選択的夫婦別姓年内実現

  • 緑なき島の誤報事案が僅かに前進か

    NHKは、昭和30年に制作・放送した「緑なき島」の坑内作業シーンが、テーマである軍艦島の採炭現場の映像であるという確認ができなかったと文書で認めたと報じられた。問題のシーンはNHKが平成22年に韓国KBSに放映権を売却してから、朝鮮人労働者の強制連行、劣悪な環境下での不当労働、などの傍証として使用され始め、日韓関係悪化の要因となっていたものである。これまで、元島民・国会議員・有識者がNHKに検証と修正を求めて来たにも拘わらず、NHKは問題シーンが「軍艦島炭鉱以外での映像使用と確認できない」としてきたが、今回は島民側との調停で「軍艦島炭鉱の映像使用と確認できない」と変化している。新聞の追加取材に対してNHKは過去の回答と同じ内容と強弁しているらしいが、前者が「別な映像を使用したヤラセ・捏造ではない」であるの...緑なき島の誤報事案が僅かに前進か

  • 目出度さも

    貧富・貴賤の別なく時間だけは平等で、自分にも暮が来て・新年が訪れようとしている。晩年になって漸く安住の地と妻子に恵まれた小林一茶は諦観と満足の狭間で「目出度さもちう位也おらが春」と詠んだ。さて、自分は何と詠めば良いのかと考えたが、自分の才能と人間性が世間水準に遠く及ばないという諦観.達観は数十年前に持ったが、身過ぎでは終の棲家が有り、邪険ではあるが妻がいて、終末の面倒見を過度には期待できないものの子供がいて、お年玉の増額を虎視眈々と策動する孫がいての境遇であれば、「目出度さは最低ラインかおらが春」とでもするのが適当であるように思う。これから、子供に引率されての「コストコ買い出し」に同道するよう命じられている。世間並みに忙しいことを演出するために、本ブログは明日より正月休みとさせて頂きます。目出度さも

  • 日本学術会議の改革に思う

    漸くに日本学術会議の改組・改編が動き出した。学術会議の改組・改編は、2020年に新会員として内閣府に推薦した法律・歴史学者ら6人を菅義偉首相が拒否したことによって、会議運営の不透明さが明るみに出て広く知られることになった。本日の産経新聞で唐木英明・東大名誉教授が《会議は設立当初から共産党の影響力が強い。全体的には中道派会員の方が多いが、彼等(共産党シンパ)の声が大きく軍事研究忌避声明もその声の大きさの影響だろう》とコメントされている。そんな会員にとっては、推薦する後任者を政府が無条件に任命するこれまでの方式は願ってもないことで、浮上した改組案にも有識者の審査は入るものの後任者推薦方式は温存されていることを観ると、彼等の声の大きさと抵抗派の侮りがたい勢力が窺える。とすれば、今回の改組案もイデオロギーを廃した...日本学術会議の改革に思う

  • ヒグマの生態を学ぶ

    本ブログでOSO18に関する思いや佐竹秋田県知事の”熊送る”発言を題材とした。採り溜めた録画中”アナザーストリー”で、エゾヒグマの生態についての動物学者の解説を知ることができた。1学者の主張する説には多くの異論があるのが一般的であるので、その解説が学会でどの程度支持されているのかは不明であるが、無学の自分にもナルホドと思えるものであった。番組によると、ヒグマは雑食性とされるが北海道のヒグマは明治初期まではエゾシカなどを補食する肉食系雑食であり、消化器官も肉食に近い構造であるそう、明治以降の北海道開拓に伴う入植者がエゾシカ等を乱獲したために、それ以降は已む無く草食系雑食に移行したそうである。また、ヒグマは母親の採餌行動を継承するために、母親にエゾシカ・家畜・人間の補食経験が無いと子供もそれらを餌として認識し...ヒグマの生態を学ぶ

  • 石破論法に思う

    先日、問合せしたいことがあって区役所窓口に赴いた。応対は親切であったが、仕組み・手続き・理由の説明があった後に「基準に合致せず却下」を告げられた。以前、海自では民間と異なり「質問には結論だけを答え、重ねて理由を尋ねられた場合にのみ背景や考えを答える」と書いたことがあるが、この遣り方で窓口応対すれば「不愛想」「お上目線」「市民の窮状に寄り添っていない」と誹られ「喧嘩別れ」になるだろうことから、先人の案出した民間話法が今に引き継がれていることを漸くに実感した。臨時国会の総括の一つに、弱体政権が論戦を乗り切れた立役者に石破総理の「ねばねば話法」が挙げられている。本朝の産経新聞には、総理の「ねばねば多用」がデータを添えて報じられているので要約すると。昭和22年の第1回国会以降の議事録を検索すると、「ねば表現」は約...石破論法に思う

  • EEZ内のブイ設置に思う

    沖縄県与那国島の南170kmのEEZ内に、中国のブイが設置されていることが報じられた。ブイには、中国気象局、福建海洋気象浮標と記されており、中国の公的ブイであることは間違いない様に思う。訪中している岩屋外相は王毅外相に撤去を要求したと表明しているものの、これまでのブイについても中国が応じたことは無いので、今回も頬被りされることは間違いのなところだろう。このブイに限らず、EEZ内に設置した外国の建造物は撤去できないのであろうかとの疑問が湧く。他国のEEZ内で無断で海洋調査を行うのは明確な国連海洋法条約違反であることを思えば、日本が強制撤去を行えるのではないだろうか。今回のブイには海洋気象浮標と書かれて、海洋気象データの採取と装ってはいるものの、設置位置から潜水艦探知のための施設であることは間違いない様にも思...EEZ内のブイ設置に思う

  • 川崎重工の所得隠しに思う

    川崎重工業が海自に提供したとされる十数億円が所得隠しと認定されて、追徴課税の対象かと報じられた。海自に提供されたとされる金品の詳細については報じられていないが、造船所での検査修理を経験した自分には思い当たる点が少なくない。かって艦船修理費は、艦齢に比例して減少する仕組みであったために、老朽艦になれば部内規定で定める検査項目すらクリアできないことがしばしばであった。また、修理のために必要なボルト類などの消耗品は、各艦艇ごとに年間で定められた金額の中で賄わなければならないために、需要が急増する修理期には不足するというようなケースもあった。自分が、海士であった頃には現場で働く工員さんに頼めば2・30本入りの箱ごと貰えたが、造船不況以降は工員さんですら必要本数を申告して受け取ると変わったようで気楽に頼める雰囲気で...川崎重工の所得隠しに思う

  • 冬休み&OSO18を偲んで

    冬休みが始まった。孫二人、終業式を終えたその足で、寓居に直行。親の監視・叱責が無い所為か1時間前まで、ぐーたらのし放題。しかし、最後に孫娘が「おじいちゃんは良い所はないのに、絵だけはうまいね」。これって誉め言葉なのか。微妙にくすぐって「お休みなさい」。明日以降が思いやられます。明日は強行軍を強いられてブログを書く暇も無いだろうと覚悟を決め、当地に転居して最初に書いた絵を披露してお茶を濁すことにしました。以前、クラス会の面々に披露したら「お前に似合わず目が優しい」との評価を得て、眼をおどろおどろしく加筆した物です。興味尽きないOSO18に捧げます。「OOSO18」(F10号)冬休み&OSO18を偲んで

  • 恩賜の煙草の思い出

    恩賜の煙草に関して、懐かしい思い出があるが、30年以上も経過しているので時効であろうと思い披露する。現在はどうなっているのか知る由もないが、かっては海上自衛隊の高級幹部が年に1度、東京に集合して会議を持つことが恒例であった。海軍大佐であられた高松宮殿下は、参集した高級幹部を招いて懇談されるのを例とし、楽しみにもされていたそうで、散会の際には吸い口に菊の御紋章があしらわれた紙巻きたばこ(恩賜の煙草)を手交されたと聞いている。自分が幕僚であった司令部の副官室で、高松宮殿下が下賜されたその貴重な恩賜の煙草を発見した。副官室付きの女性職員に質すと、既に喫煙者が激減していたために1年以上も棚に仕舞われたままとのことであった。ダメもとで「1本頂戴ョ」とねだったら、案に相違して「いいわョ」との即答。有難く頂戴して副官室...恩賜の煙草の思い出

  • 創作劇台本

    創作劇の台本を書いてみた。登場する人物や団体は実在しない架空の設定であることは当然である。老舗大手”自民産業”雇われ社長である石破さんは、己の手腕不足による業績不振で会社の規模を大きく損ない、他社の支援なしでは会社を維持できない状態になった。途方に暮れた石破さんは、息抜きのために酒でも飲もうと出かけたが、途中で転びそうになってしまった。手を差し伸べてくれたのは国民と云う名のバー経営者の玉木さんで、「うちで休んで行きなさいョ」という優しい言葉に釣られてバーに入った。看板に書かれている「国民」という名に安心してのことであるが、出てきた請求書は103万円で但し書きには将来に亘って払い続けることと書かれていた。なじる石破さんに対して玉木さんは平然と「店名を国民とは略称していますが、本当は国民民主で国民のことはあま...創作劇台本

  • 多様性重視風潮に揺り戻し

    ナスダックが上場の基準として設けている多様性に関する基準が無効と判断されことが報じられた。2021年にナスダックは米証券取引委員会の承認を得て、上場の基準として取締役に女性やマイノリティーが一定の割合で登用されていることを設けていたが、これが逆差別を招くとして裁判所が無効と判断したものである。報道によると、アメリカでは「多様性・公平性・包括性(DEI)」の取り組みが行われており、特に2020年に起きた白人警官による黒人への暴行死が取り組みを加速させたとされている。今回の訴因は「人種やジェンダー意識を個人の能力よりも高く評価する傾向」であるとされているので、アメリカ社会全体でも「過ぎたDEI」に対する是正・揺り戻しが起きているようである。また、多くの企業でDEI対処の部署が縮小・廃止されるという事態も起こっ...多様性重視風潮に揺り戻し

  • ”熊送る”に思う

    秋田県の佐竹知事の「熊送る」発言が話題である。発言は、スーパーに侵入・居座った熊を殺処分したことに対する県外からの苦情対応に関して、17日の県議会予算特別委員会における県議からの「毅然とした対応要求」に対して、《私にもし(苦情の電話が)きたら、完全に相手を威嚇する。お前のところに熊をを送るから住所を送ってくれと。こうすると相手が電話を切ります》と発言していたとのことである。佐竹知事と云えば、豪雪時の安易な災害派遣要請、四国料理は貧乏くさくて旨くない発言、何よりもイージスアショアの県内配備反対、等を記憶しているので、全体像としてはオール沖縄・玉城知事に近いイメージで良い印象は持っていなかったが、今回の「熊送る」発言には「いいね!」としたい。今回の苦情電話では30分間に及ぶケースも有るとされ、一昔以上前の距離...”熊送る”に思う

  • 貸金庫事件に思う

    本日は、嫌になるほど貧民の、繰り言・嫉みである。三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件が予想通りの展開となっている。11月23日に事件が明らかになった際には、被害者60人、被害額十数億円とされていたが、一昨日の会見では事件発覚後さらに数十人から被害申告が為されたので、被害額も増えるだろうとされていた。被害者数や被害額の増加は、貸金庫の性質上やむを得ないもので、貸金庫利用者が「これ程の金額の物を、これだけ盗られました」と申告すれば、銀行側としては「分りました」と答えるしかないだろう。会社員であった時、製品データ保全・保存のために会社契約の貸金庫を利用した経験しか無いので、以下は憶測にしか過ぎないが、おそらく個人契約の貸金庫については将に宝箱状態ではないだろうか。盗難予防のための貴金属保管は理解できるが、報道される現...貸金庫事件に思う

  • 玉川徹氏とは

    ネットで、玉川徹氏に対して「頼むからもう黙れ」という記事を観た。自分は、ワイドショーウを含む報道番組についてテレビ朝日とTBSは見ないため、直接には玉川氏の発言は聞いていないので、発言の趣旨はネット上の記事を参考にしたものである。玉川氏の発言は、安倍昭恵氏がトランプ次期大統領からの招待を受けてディナーを共にしたことに対して、「微妙な時期に招待に応じるのは不適切・(国民は)昭恵夫人を選んでもいないし、国民として(何かを)託しているわけでもない。もしかしするとそれで良い結果が得られるかもしれないけど、マイナスの結果が出たときには、どうするんだろう」と、日米関係にヒビが入ることを危惧するかの発言であったらしい。この発言に対して、多くのネットユーザーが「頼むからもう黙れ」趣旨の反対コメントを寄せているとされるが同...玉川徹氏とは

  • ”カガツ”考

    当地に越してきて、期待していた一つ自然薯に出会った。以前に暮らしていた関東では、山梨や伊豆方面に遠出しなければ先ず入手できなかった自然薯であるが、流石に市内では出会えないものの僅か数キロ程度郊外の道の駅にはそこそこに並んでいる。今回購入したのは、最大径5cm・長さ50cmでお値段は2,500円であった。翌日、山間の農家の直売所では同じくらいのものを1,500円で販売していたので、季節によって比較的容易に入手できるようである。自然薯とは表示されているものの、落下傘状の頭部が切り落とされていたことから見て、天然の自然薯を畑で栽培したものであるかもしれない。とは云うものの、件の自然薯で都合4回・娘夫婦・孫を含めて述べ20人弱堪能し得たので、スーパーの大和芋とは比べ物にならない程の粘り気である。自分が育った田舎で...”カガツ”考

  • マスメディアの罪科

    米大統領選、自民党総裁選、都知事選、兵庫県知事選と、メディアの観測がことごとく外れた1年であったように感じる。特に兵庫県知事選において、メディアが総力を挙げて悪人のレッテルを貼った感のある斎藤元彦氏が再選を果たした際には、ワイドショーのMC・コメンテータは自分たちの悪人叩きが受け入れられなかったことに将に意気消沈・周章狼狽の体であった。全国ネットのメディアで観る限り、斎藤知事に関しては彼の「功の部分」については一切触れることが無かったように思っている。何故このような報道になったかと考えると、メディアの中心に時代遅れの感ある全きの減点主義が存在していることに他ならないと思う。減点主義とは、多くの功績がある人にでも「これこれの減点があるのでこの人は全く駄目です」と簡単に人を切り捨てるやり方で、評価の分かれる「...マスメディアの罪科

  • 掃海艇の喪失に思う

    11月10日に掃海艇「うくしま」が機関室火災の後に転覆・沈没した。自分も約3年間掃海艇に乗艦したことがあるので、機関室火災~乗員1名行方不明~転覆・沈没と云う痛ましい事態に驚くとともに、行方不明となっている乗員(33歳)に心からの哀悼を奉げる。事故の詳細や原因については、後日発表されると思うので軽々なことは書けないが、沈没に至る一般的な経緯(私見)を書いてみたい。艦艇に限らず船には復元力があり、特に艦艇にあっては風や波の影響力を考慮しない静的復元力に限って言えば、90度(横倒し状態)以上でも艦は転覆しない設計となっている。艦艇の就役後に私物や需品を重心よりも上に搭載しても復元範囲が90度を下回ることは無い。では何故に「うくしま」が沈没したかと云えば、波浪に伴う自由水の移動によるものであるように思う。報道写...掃海艇の喪失に思う

  • 「ダンサー」デビュー

    妻は趣味で社交ダンスをしている。生徒確保の一環であろうと邪推しているが、ダンス教室の講師から「夫婦でされている方も多いので、ご主人も連れてきたら」と声を掛けられるらしいが、生来のリズム音痴に加え猫背に固まった姿勢ではと固辞している。妻の趣味が長続きしていることに些かの敬意とからかいを込めて、時折に「ダンサー」との敬称で呼んでいる。そんな自分が、先日「ダンサー」デビューを果たした。ここまで書けば「ハハァー」とお気付きの人も多いだろうが、デビューしたのは「段差ー」である。「段差ー」の顛末は、短い階段を降り切ったところに更に5センチほどの段差があったのに気付かず、前のめりに転んでしまった。若い時には簡単にリカバーできたであろうし、足元を注意深く見ておれば何程のことも無い段差であるが、とっさに反応できなかったもの...「ダンサー」デビュー

  • 年収の壁引上げに思う

    過半数割れ与党の政権保持のキャスティングボート(注)を手にした国民民主党が、論功行賞として要求した年収の壁引き上げが実現の見込みと報じられている。年収の壁の引上げについては「ヒト」として賛成しなければならないだろうが、引上げ決定のプロセスや波及については頷けない点が多い。プロセスを時系列に書くと、国民民主党は、総選挙において年収の壁引上げを公約の柱とした。選挙後の与国協議の開始早々に財源(税収減)をどうするかが問題となったが、国民民主党の榛葉幹事長は「必要な財源の手当ては政府・与党の責任」と述べた。更に、税収減について財務・総務省から7兆円程度とされたことに対して、全国知事会から「税収減は住民サービスの低下を招く」と引上げ反対のコメントが出された。その後の協議の場に財務省が作成した会議資料に「税の増収分等...年収の壁引上げに思う

  • 衆院選の自民大敗-2

    昨日は、自民大敗に至る戦略過誤についての私見であったが、本日は選挙戦術についてである。古来「戦略の過誤は戦術では補えない」と云われているが、今回の選挙戦では戦術もまた稚拙であったように思う。以下は主として、時折に見た政見放送とTVの政治討論からの印象であるが、自民党は、その全ての場において「ひたすらの贖罪」であったように思える。現在の世相を観ると、メディアを含んで全てが「減点主義」であるために、自民党は逆風・減点を少しでも減らそうとの戦術を採ったのかもしれないが、攻撃は最大の防御とされるように、パーティ券という相手の土俵に上がって戦えば、脛に傷持つ自民が負けるのは当然で、戦術的には野党の苦手とする憲法(緊急条項新設)、防衛、財源問題という自分の土俵に相手を引きずり込むという手法もあったように思える。良い例...衆院選の自民大敗-2

  • 衆院選の自民大敗-1

    衆院選での自民大敗についての所感を忘備録として残したい。勝負の世界では「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と云われるが、大敗を招いた必然の理由があり、その最大の要因は、石破茂氏の総裁選出であると考える。海上幹部同士の居酒屋談義の席では、上司の人物評価に学歴・階級を置いて俎上の人物像を「指揮官型」「研究者型」と類型的に分類することが多い。指揮官型とは、判断力や決断力に優れ何よりも統率力があり所謂「付いて行きたい」と思う人物であり、研究者型とは知識は十分ながら熟考・逡巡して変化に即応できない人で、謂わば「上司にしたくない人」を指す場合が多い。思うに、石破氏は典型的な「研究者型」である。何よりも石破氏の持論である「東南アジア版NATO」・「日米地位協定の改定」・「北朝鮮連絡室の開設」は研究テーマと...衆院選の自民大敗-1

  • 蓮舫氏の都知事選敗北

    ブログ休載中に起きた慶事の一つが、蓮舫氏の凋落である。蓮舫氏は、小池都政の長期化に加え、折から吹き荒れていた自民党のパーティー券問題から勝算ありとしての、都知事選立候補であったと観ている。選挙運動期間中における観測報道は小池氏と蓮舫氏の一騎打ち・伯仲であったが、結果的に蓮舫氏(130万票)は小池氏(290万票)にダブルスコア以上の大敗、更には石丸伸二氏(160万票)の後塵をも拝した。自分は、蓮舫氏の敗因は多岐に亘るであろうものの、突出しているのが彼女の「独善的言行が有権者の忌避を誘引した」ことであると思っている。これまで蓮舫氏が国会内でそれなりの地歩を維持してきたのは他党・政敵への容赦ない攻(口)撃・批判の巧みさのみで、国家観や国策に関しての識見・卓見やまして人望の故では無かったと思う。立候補表明以降、ネ...蓮舫氏の都知事選敗北

  • ワシントン・ポスト紙と劣等民族

    ワシントン・ポスト紙が、民主党寄り報道を辞めると宣言した。宣言の背景を巡っては、経営上の決断とされているようであるが、自分は編集サイドが「共和党へのネガティブ・民主党への提灯編集は、ニュース選択の二重基準に陥って報道の質を落とす」ことを自覚・自省したものではないかと考えている。ニュース選択に際しての二重基準の好例は、「サンデー・モーニング(TBS)」のコメンテータにしてジャーナリストの青木理氏の「劣等民族発言」に対する報道であるように思う。青木氏は、ネット番組で津田大介氏の質問に「自民党に投票する人は、一言でいえば劣等民族」と答え、二人で哄笑したとされている。劣等民族と云う最低のヘイト用語はナチスのユダヤ人蔑視を最後に使用する人はいないだろうと思っていたが、国家観・民族意識ともに欠如・喪失しているかの青木...ワシントン・ポスト紙と劣等民族

  • 開戦の日

    開戦の日に当たって、大東亜戦争の呼称についての私見を記すこととした。云うまでもないことであるが、『大東亜戦争』の呼称は、真珠港(湾ではない)攻撃から4日後の1941年(昭和16)年12月12日に閣議決定したもので、日本の戦略目標を端的に示したものと思っている。しかしながら、戦後の占領時にGHQが「大東亜戦争」の呼称を禁止して「太平洋戦争」と呼ぶことを強制するとともにメディアに対して検閲を行ったことから、次第に太平洋戦争という実態の伴わない呼称が定着した。GHQの企図するところは、日本の軍国主義潰滅以上に戦場を太平洋限定と匂わせる呼称として「極東軍事裁判(東京裁判)」において主導権を握り、かつ以後の世界戦略として共産主義ソ連と向背定まらぬ内戦中の中華民国の発言力低下を企図したものと考えている。1952(昭和...開戦の日

  • ブログの再々開と宇多田ヒカル

    再開したにも拘わらず、短期間で中断していたブログを再々開することにしました。契機とするのは、友人からの勧め(生存確認?)も大きいのですが、ルーティーンの変化(省略)が痴呆症の進行に大きく影響するのでは?と思ったからです。ルーティーンの省略が記憶力の減退に影響するのか、はたまた記憶力の減退がルーティーンの省略を引き起こすのかは判然としませんが、記憶力維持のためには自分にプレッシャーをかける必要があると考えました。先日、愚妻から「ホラ、藤圭子の娘は・・・」と話しかけられた際、彼女の風貌・ヒット曲「オートマチック」・松本人志氏が「天井の低い場所で」と評したダンス映像・結婚・離婚・アメリカ挑戦・・・さらには藤圭子氏のパチンコ・・と矢継ぎ早に浮かぶものの肝心の名前が出て来ない。これまでにも名前が出て来ない場合も5分...ブログの再々開と宇多田ヒカル

  • 防衛費シーリングの先祖返り

    令和4年に策定された安保戦略3文書において、防衛装備の抜本的強化に着手し、向こう5年間で総額43兆円の経費を支出することとされた。計画策定時の為替レートは1㌦108円内外であったが、現在では150円程度に推移しているので当初計画の装備が調達できるのかと危ぶんでいたところ、木原防衛省が「必要な防衛力強化を(43兆円)範囲内で行うことが防衛省の役割」、鈴木財務相も「政府としてこの水準(43兆円)を超えることは考えていない」とそれぞれに述べていることが報じられた。為替レートの変動で円の価値が2/3に下落すればドル建依存度の高い自衛隊装備にあっては調達できる装備も2/3になるのは必定で、200発装備予定の長射程ミサイルも140発しか保有できないことになる。かっては、防衛関連予算には「対GDB比〇%以内」というシー...防衛費シーリングの先祖返り

  • 便益を知る

    原価・利潤意識の希薄な職に半生を送ったためであろうか。便益と云う言葉を知らなかった。ネットで調べると、「便利で、利益があるようにすること。また、そのさま。(精選版日本国語大辞典)」、「便宜と利益。都合がよく利益のあること。(Weblio)」とあった。今朝の産経新聞「東日本大震災あす13年」の記事中、防潮堤の功罪を論じる一環として東大大学院の学生がある地区の「防潮堤建設計画に関する費用便益分析」という論文を書いて、便益から建設費や失われてしまう景観などの「費用」を差し引いた「純便益」が大きなマイナスになると試算しているとしていた。ある事象を数値化することで、損得勘定を定量的に示すので理解しやすい半面、一つの方向性を持たせるために数字を利用することも多いように思うが、今回の論述者は大学院生であるので、色眼鏡で...便益を知る

  • 老衰の復活

    メディアが伝える訃報で、再び”老衰”という言葉に接する機会が増えたように思う。昭和末期までは確たる死因が特定できない高齢者の訃報は”老衰”とされていたが、平成以降は”多臓器不全”と報じられていたように思う。両者の字面を自分としては、”多臓器不全”はボロボロの体でありながらも未練と執着を捨てきれない末期と感じるが、”老衰”からは「高僧の入定もかくや」の生き切った穏やか最期のように感じる。閑話休題人体・生命の不思議を最先端の研究者が披露しコメンテータが話を広げるNHKBSの「ヒューマニエンス」を良く視聴する。先日のテーマは”老衰”で、臨床研究者が高齢者施設生活者のデータを元に、興味ある仮説・意見を述べていた。研究者によると、施設から提供される1200kCal/日の食事を摂り続けても、個人差はあるものの多くの場...老衰の復活

  • モルヒネの思い出

    昨日は防衛省(自衛隊)が全血型血液製剤を独自に製造・備蓄する計画に賛意を表したが、更に保有・備蓄を検討して貰いたいものがある。その前に、新兵教育後に配属されたのは米海軍貸与(後に供与)のPF(パトロール・フリゲート)であったが、当該艦は昭和17年建造後に一時ソ連に貸与されたもので、自分が乗り組んだ時点でも主機回転計の前後進表示はキリル文字で書かれていた。乗り組んで2年後、艦は退役・廃艦となるために乗員は搭載物品の整理に明け暮れていた時、艦の最後尾にある舵機室のビーム(桁)裏の目立たない箇所で防水紙に包まれた不審な2個の包みを発見した。開けてみると内部に液体が封入されたビー玉大のガラス容器12個(計24個)が収められており、同梱の使用説明書は「モルヒネ」と読め、イラストの使用法も添えられていた。推察するに、...モルヒネの思い出

  • 「全血」血液製剤を知る

    防衛省が、戦傷兵に対する迅速な救急救命のために、血液型に拘わらずに輸血できる「全血対応型血液製剤を独自に製造・備蓄する方針であることが報じられた。独自開発には、戦死の多くが失血死であること、令和4年の防衛力整備計画で「血液製剤を自衛隊が自律的に確保・備蓄する体制の構築」が定められていることが背景として挙げられているが、混乱した戦場で一刻を争う救命のためにも、是非とも実現させて欲しいものである。具体的には、血液製剤製造の原材料は自衛隊員からの献血で賄うものの、2~4℃の低温状態での保存期間が3週間程度であることから、製造の始期や製造量は今後検討するとされている。報道によると、日本では同種の血液製剤は薬事承認されていないそうであるが、これまで災害大国の日本で不必要とされていたのだろうか、さらに医療現場からの要...「全血」血液製剤を知る

  • 集合住宅作法

    集合住宅での生活を修行中である。これまでは、狭いために1戸建てならぬ半戸建てと自虐していたが、それでも両隣に対してあまり気を遣うことも無く生活していた。また、集合住宅での生活経験は、官舎が漸くに整備された昭和末期に2回経験しただけで、それとても入居者は全て同業者、少ない予算で建てられたための薄い壁床を通して隣接の生活音は筒抜け、更に夜勤明けで帰宅する者、早朝に出勤する者、警急呼集で深夜に出勤する者、また居住者の大半が子持ちで特に幼児が部屋を運動場代わりに走り回る音、等々、いわゆる騒音は常であった。しかしながら「相見互い」「明日は我が身」との認識共有の故に騒音(生活音)に関するトラブルはなかった。今回の転居で実質的には初めて集合住宅で生活することとなったが、生活音による軋轢は相当なものであるようである。エレ...集合住宅作法

  • 妬み、嫉み、僻み

    産経抄子が野坂昭如氏の名言を紹介している。敬愛する野坂氏は《コラムを3つの「み」で書く。妬み(ねたみ)、嫉み(そねみ)、僻み(ひがみ)だ》と喝破されているそうである。コラムとは呼べない拙文であるが、振り返ってみると、公憤・提言の体を装ってはいるものの、将に3つの「み」のオンパレードである。恐らくであるが、テレビに代表されるマスメディアにあっても、識者・コメンテータの発する起床転結や思考過程の説明を要しない短いコメントの裏側には、3要素が潜んでいる可能性も有るように思える。アジアカップ準々決勝の対イラン戦敗戦の原因が、性加害訴訟で伊東純也選手が代表を外れた穴を埋められなかったとの指摘・分析に対して、「所詮、球蹴り遊びだろ。女性の人権の方が大事」とコメントした人がいるそうであるが、彼の真意と発言の裏側は、女性...妬み、嫉み、僻み

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、もうチョットで日曜画家さんをフォローしませんか?

ハンドル名
もうチョットで日曜画家さん
ブログタイトル
もうチョットで日曜画家(元海上自衛官の独白)
フォロー
もうチョットで日曜画家(元海上自衛官の独白)

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用
  翻译: