chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
SuperT
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2017/12/16

arrow_drop_down
  • 「沈黙交易・ものくるる友・賢者の贈り物」~もののやり取りについて考える①

    三つの話が頭に浮かんでくる。 沈黙貿易の話。吉田兼好の「ものくるる人」、 オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」、 ものを送ることに関する三つの物語、という話。(写真:フォトAC) 【沈黙交易の話】 古代において、ふたつの民族あるいは部族、あるいは村が、まったく言葉を交わすことのないまま物品を交換する、その方法を「沈黙交易」または「無言交易」といって世界中に例があるようです。 具体的には、 一方が、ある決められた場所に物品を置き、一定の合図(角笛や法螺といった楽器による音声など)を送ってから姿を隠すと、合図を受けたもう一方の集団はその場所へ行って置かれた物品を受け取り、等価と思われる質と量の物を置い…

  • 「9月になりました」~夏休みが終わって、子どもたちは勇んで登校してくる・・・わけがない

    夏休みが終わり、 エネルギーが貯まった子どもたちは、 苦しいほどの元気さで登校してくる、 ――な、わけないでしょ。 (付録:9月のウンチク)という話。(写真:フォトAC) 【夏休みが終わって勇んで登校・・・するわけがない】 9月になりました。統計上は日本のすべての小中学校が昨日までに夏休みを終え、2学期もしくは前期後半を始めているはずです。とはいえ昔と違って夏休みも短縮気味で、今日から再開という自治体はおそらく3割程度です。 今年は残暑も厳しいのに(そして九州・東海そして関東地方一部のように、先週末から台風の影響で暴風雨に見舞われ地域もあるというのに)、皆さま、ほんとうにご苦労様です。長かった…

  • 「台風娘サンサンはなぜ左巻きなのか」~台風の名前とメカニズム

    台風10号(サンサン)が上陸中です。 鹿児島上陸後、まる1日たっても九州を出ない恐ろしい台風は、 新学期が始まってもまだ近畿地方にいるらしいのだ。 その台風の名前とメカニズムについて調べて来た。という話。(写真:フォトAC) 【あまりにも遅い台風】 2024年の台風10号が現在、日本列島を通過中です。 昨日午前8時ごろに薩摩川内市付近に上陸した台風は12時間たった昨日の午後8時に至ってもまだ有明湾内にあり、ウェザーニュースの予想*1では本日15時ごろ、ようやく国東半島付近か九州を離れることになりそうです。その時点でも予想気圧985hPaというとんでもない強さです。 夏休みの最後の週末が台風で一…

  • 「人間的な、あまりにも人間的な生成AIの物語」~生成AIとの付き合い方が分かってきた④

    ウソをつくというのは極めて人間的な行為だ。 もしかしたらAIは人をからかったり弄んだりといった点でも、 人間に近づいたのかもしれない。 そして人間らしく、過ちも犯すようになったのかもしれない。という話。(写真:フォトAC) 【優秀でない者の遇し方】 息を吐くようにウソをつく生成AIにだまされないためにすべきことのひとつは、「根拠を問う」ということです。大昔の「2ちゃんねる」で盛んにやった「ソースは?」とか「ソース、キボンヌ」というあれです。生成AIはインターネット上から情報を集めて、それを組み合わせて回答しますからどこかに元ネタはあるはずです。それをそのまま報告させるわけです。 考えてみれば2…

  • 「ChatGPTにウソをつかせない具体的な方法」~生成AIとの付き合い方が分かってきた③

    やはり生成AIの助けを借りたい事情があり、私は再びChatGPTに向かう。そしてウソつき少年に、ウソをつかせない方法を編み出すのだ。という話。(写真:フォトAC) 【不毛な、あまりにも不毛な生成AIとのやり取り】 平安時代の貴族の数はどれくらいかとChatGPTに問と、次のようなやり取りになります。あなた:平安時代の貴族の数はどれくらいかChatGPT:平安時代の貴族の数を正確に把握することは難しいですが、一般的な見積もりによれば、平安時代の貴族の総数は数千人程度とされています。貴族は基本的に朝廷に仕える者たちで、公家(くげ)や官人(かんじん)と呼ばれました。彼らは、摂関家(せっかんけ)、藤原…

  • 「見放してもやはり気になるChatGPT」~生成AIとの付き合い方が分かってきた②

    Microsoftの生成AI(Copilot)は使い勝手がいい、友人はそういうが、私にとっては大同小異、使い物にならない。しかしやはり気になる。使っている人がいる以上、使い方があるはずだ、という話。(写真:フォトAC) 【AI:こんな簡単なこともできない】 友人に教えてもらったMicrosoftの生成AI「Copilot」に、「名前に数字の含まれている都道府県名をすべて拾い上げてください」と依頼したら妙な答えが返ってきた、という話をしました。そのときの答えがこれです。Copilotが送信しました。 東京都 北海道 名前に数字の入っている都道府県はこのふたつだけで、他にありません。 予定していた…

  • 「やはり相変わらずの危険なウソつき」~生成AIとの付き合い方が分かってきた①

    ChatGPTは日々進化し自己増殖する しかしもしかしたら、取り繕う技術のみを高めているのかもしれない。 もはやそChatGPTのうそは見破ることができない? MicrosoftのCopilot なら、もっといろいろできる――か?という話。(写真:フォトAC) 【AIプロンプト】 二カ月ほど前、徳島県在住の友人と東京都在住の友人、そして私の三人でオンライン飲み会を開いていたところ東京のN君が、「ところでね、生成AIってね、あれについてどう思う?」 どうやら彼は最初からその話をするつもりだったようで、「最近さ、実はこういう本を見ながら勉強しているんだよ」 そういってカメラに向かって見せたのは、「…

  • 「紫式部が藤原道長の愛人だった可能性、清少納言と友だちだった可能性の話」~テレビドラマを見なおす④

    身分が違うから道長と式部は恋人同士になれない? 時期が違うから清少納言と式部は知り合えない? いや、いやそんなことはないだろう。 いつの時代も、若者の行動に節度など設けられないのだから、という話。(写真:フォトAC) 【配偶者を手に入れられなかったゴリラはどこへ行くのか】 40歳を過ぎてから、若いうちにあれをやっておけば、これをやっておけばと思うことが多くなりました。そのひとつは中高生の時代に脇目もふらず勉強して、京都大学の霊長類研究所にはいる、ということです。 私は東大・京大、あるいは全国の医学部・医大は、国公立私立を問わず努力で入れるものではないことを痛いほど知っていますから、それは中年男…

  • 「平安貴族の人数が分からない」~テレビドラマを見なおす③

    「光る君へ」の、若き日の藤原道長と紫式部が恋仲で、 清少納言と式部は互いに友情を感じているという設定――、 それって、荒唐無稽な話なのか。 とりあえず平安貴族の人数について調べてみた、という話。(写真:フォトAC) 【科学の神髄は『誰がやっても答えは同じ』・・・じゃなかったのか?】 子どものころの私は19世紀なみの理性主義者で、人間関係のことは理性がすべてを解決すると信じていましたし、生活上の具体的な問題については科学が必ず解決してくれると思い込んでいました。今、世界にうまく行っていないことがあるなら、それは理性が足りなかったり科学の進歩が追い付いていなかったりするだけで、いつか必ず、この地上…

  • 「『源氏物語』の書き始めの場面に立ちあう」~テレビドラマを見なおす②

    NHK大河ドラマ「光る君へ」、 いよいよ紫式部が「源氏物語」を書き始めた。 しかしそれは純粋な文学的興味からではなく、 厳しい政争の中で選ばれた、優秀な武器として書かれたのだ、という話。 (写真:フォトAC) 【周知の事実をいじり直して書き換える歴史】 いわゆる「歴史マニア」は二つの切り口で四つのグループに分けられます。 ひとつは奈良時代以前の、文書や絵画といった資料が揃っていない時期を愛する人と、それ以降を好む人、もうひとつは京都や江戸など、それぞれの時代の中心地で起こっていたことに興味のあるひとと、郷土史に類する内容が好きな人です。 総じて古い時代を好む人にはロマンチストが多く、中世以降を…

  • 「集合知としてのドラマづくりの話」~テレビドラマを見なおす①

    ドラマって、 脚本家の頭の中にあるものを無機質なシナリオに変換し、 それを現場で改めて肉付けし、皮を被せて作り直すものだよね。 それって学校の授業の指導案に似てないかい?という話。(写真:フォトAC) 【水晶の指導案】 一時間の授業を進めようという時、教師はどんな場合でも頭の中に一時間分の計画を描いて教室に向かいます。この計画を授業計画または指導計画と言います。 授業計画(また指導計画)をきちんと紙に書いたものを指導案といい、1枚にまとめてペロンと出す場合もあれば、電話帳のように厚い(といっても若い人にはもはや通じない比喩)冊子を作ることもあります。さすがに最近はなくなりましたが、昭和から平成…

  • 「フワ雷同」~フワちゃん事件にみる人間関係の臨界点について

    芸人のやす子さんを中傷したのが原因で、 タレントのフワちゃんが芸能活動を中止するとか・・・。 しかしあの程度のことは、これまでもして来ただろう。 今回に限って問題になったのは、それなりの理由があるのか? という話。(写真:フォトAC) 【何があったのか】 世の中には取るに足らないできごとが山ほどあって、そのいちいちに立ち止まる必要はないのですが、最近起こった「フワちゃん舌禍事件」(と名づけておきましょう)は、どうでもいいことなのに気持ちの隅に引っかかってとても気になりました。喉の奥に本当に小さな魚の骨がささって妙に気になる、そんな感じです。 事件のいきさつはこうです。 8月2日(今年2024年…

  • 「何が甘くて何が厳しいかはそれぞれ」~ちょっとした違いから見える日米の教育差

    キース・アウトを更新しました。 kieth-out.hatenablog.jp

  • 「カマラと国松のハリスの旋風」~アメリカ大統領選挙と50年前のアニメ

    このところ気の重かったアメリカ大統領選の話題、 民主党の候補がバイデンからハリスに変わり、 俄然、雰囲気が変わって民主党勝利の芽も出て来た。 ハリス旋風――そして私は妙なことを思い出したのだ、という話。(画像:フォトAC) 【40歳を過ぎたら男は自分の顔に責任を持つべきだ】 閏年と夏季オリンピックとアメリカ大統領選挙は、常に同じ年にあります。いずれも4年に1度のできごとですから、パンデミックで開催年がずれた2020東京オリンピックのようなことがない限り、永遠にこのままです。そして私にとってここ10年近くは、そのために気の重い「4年に1度」となっています。オリンピックや閏年のせいではなく、アメリ…

  • 「戦争で亡くなった皆さま、今のこの国で良かったでしょうか?」~79回目の終戦記念日に

    79回目の終戦記念日がやって来た。 あの時代はあまりに多くの命が失われたが、 彼らが守ろうとしたこの国は、今の姿でいいのだろうか? それでも何とかやっているよと、誇りたい気持ちが、私には、ある。 という話。(写真:フォトAC) 【戦没者310万人の重み】 終戦から79年を迎えた15日、およそ310万人の戦没者を慰霊する政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で行われました。 戦没者310万人の内訳は次の通りです。 [軍人・軍属] 国内で亡くなった人 20万人 海外で亡くなった人 210万人 計 230万人 [民間人] 国内で亡くなった人 50万人 海外で亡くなった人 30万人 計 80万人 [特…

  • 「凡事徹底がされて楽な国と、されなくて楽な国」~二つの五輪と凡事徹底②

    続けてオリンピックの開かれた二つの国、日本とフランス。 古くから互いに憧れ、互いを尊重し合った両国だが、 あまりにも違う。ひとことで言えば、 凡事が徹底されて楽な国とされなくて楽な国。という話。(画像:フォトAC) 【対極にありながら惹かれ合う不思議な二カ国】 荻原朔太郎が「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」と書いたように日本には古くからフランスの憧れる風があり、今も歴史のある高校には「フランス研究会」が残っていたりします*1。 それと同時に、フランスにも日本に対する憧れがあり、古くはジャポニズム*2、最近では「ジャパン・エキスポ」*3という日本のサブカルチャーを中心とした…

  • 「パリ・オリンピックが閉幕する」~二つの五輪と凡事徹底①

    パリ・オリンピックが閉幕した。 3年前、コロナ禍の下で行われた東京大会を経て、 8年ぶりに実施された“普通の大会” ――、 それがさほど普通ではなかったのだ、という話。(画像:フォトAC) 【パリ・オリピックが閉幕した】 パリオリンピックが閉幕しました。日本は金メダル数でアメリカ、中国に準ずる20個で第3位。すばらしい大会だったと言えます。もっとも予算も大幅に使って強化した前回大会の貯金みたいなものも残っているでしょうから、真にスポーツ大国かどうかは今後にかかっていると言えるでしょう。 さて、今回のパリ大会が始まった当初、派手な開会式の演出を東京大会と比べて「これぞフランスの実」「日仏の文化格…

  • 「教員と教育関係者の子どもだけが幸せになれる時代」~学校から水泳指導がなくなる⑤

    20世紀の後半、学校の水泳指導のおかげで、 水難事故は5分の1に、死者数で6分の1に減った。 しかしもはやプールを維持する時代ではない。 そこで教員は、我が子だけに正しい教育を施そうとする。という話。(画像:フォトAC) 【学校が機能を手放せば、その部分で格差が生れる】 学校は自由の城ではなく、平等の牙城だという点は案外見過ごされがちです。 世の中には「勉強を教えるなんて塾の先生の方がうまいのだから学校なんていらない」と平気で言う人がいますが、その人たちは世の中に全く教育に関心のない親たちがいることを知らないのです。 学校を無料の託児所くらいにしか考えていない親たちの一部は、公教育がなくなって…

  • 「水泳の練習時間はとりあえず半減にされる」~学校から水泳指導がなくなる④

    夏休み中のプール開放がなくなると稼働率は極端に下がり、 維持管理費と補修費が重くのしかかる。 行政は民間のプールの利用を考えるが、 はたしてそれでうまく行くのだろうか。という話。(画像:フォトAC) 【学校のプールはなくなる】 夏休み中にプールを開放する学校が少なくなっているという朝日新聞デジタルのニュースから話をはじめています*1。 考えてみれば昭和の時代、お盆を除いたひと夏を、まるまる使いっぱなしだった学校のプール、そのプール開放がお盆までとなり、やがて夏休み当初の一週間だけに減らされて、いよいよ取りやめとなる。すると実質的なプールの使用期間は、梅雨明けから終業式までのわずか10日間だけと…

  • 「プールがなくても困らない、泳げなくても困らない」~学校から水泳指導がなくなる③

    夏の暑さと学校プールの設置率との間に関係はあるのか、 設置率と市民の泳力との間に正の相関関係はあるのか、 はたまた泳げないことで水難は増えるのか、 そもそも泳げることは重要か?という話。(画像:フォトAC) 【日本で一番、夏が暑くならない県】 クイズです。〔問題〕 今年(2024)7月19日に、これまでの最高気温35.6度を塗り替えて初めて36度台(36.0度)に入った、全国でもっとも最高気温の低い都道府県はどこか。〔答え〕 沖縄県。 意外かと思いますが四方を海に囲まれると、驚くほど気温の変化が少なく、穏やかな感じになるらしいのです。ちなみに都道府県を最高気温の低い順に並べると、沖縄県:36.…

  • 「日本の学校にプールをつくらせたふたつの事件」~学校から水泳指導がなくなる②

    何と言っても日本は世界トップクラスを誇る教育大国だ。 教育内容、設備ともに他の国々の追従を許さない。 ほとんどの学校にプールがあって水泳指導が充実している。 それだけでも世界を圧倒している。という話。(画像:フォトAC) 【ネバーランドの教育】 日本の教育は間違っている、日本の教育は世界に後れをとっている、といった話が出るたびに私は、「よく分からなけどそれはその通りだとして、では日本はいったいどこの国の教育を見習ったらいいのだ? どこの教育制度を目標としたり手本として今後の教育を考えたらいいのだろう?」と訊くことにしています。私のこの問いに、明確な国名や都市名をあげて答えた人はいません。少なく…

  • 「ウィン、ウィン、ウィン。そして、誰もいなくなった」~学校から水泳指導がなくなる①

    夏休み中のほぼ毎日、学校のプールが開放され、 当番の保護者が子どもを引率してくる時代があった。 それが大方の保護者の利益でもあった時代だ。 しかし社会は変わり、そして誰もいなくなった。という話。(画像:スタジオジブリより*1) 【学校のプール開放の縮小は今に始まったことではない】 先週金曜日に、夏休み中にプールを開放する学校が少なくなっているという朝日新聞の記事*2をネタに、「夏休み中の学校のプール開放がなくなりつつある。それは学校からプールという施設自体がなくなってしまう前兆である。かつて水泳指導は学校の最重要指導項目のひとつだった。しかし、キャリアパスポートや道徳所見のため、諦めざるを得な…

  • 「余談:学校の働き方改革が進まないわけ」~学校から水泳指導がなくなるとき①

    夏休み中の学校の、プール開放がなくなりつつある。 それは学校からプール自体がなくなってしまう前兆である。 かつて水泳指導は、学校の最重要指導項目のひとつだった。しかし、 キャリアパスポートや道徳所見のため、諦めざるを得ないのだ。という話。(写真:フォトAC) 【保身と非難されても、やがて学校のプールはなくなる】 夏休み中にプールを開放する学校が少なくなっている、というニュースが朝日新聞デジタルに出ていました。夏休みの水泳指導、取りやめ相次ぐ理由 子の泳力に影響、懸念の声も(2024.08.01) 取りやめの理由を、東京都新宿区のある小学校長は、「真夏に登校させるのは熱中症のリスクがある。教員の…

  • 「世界ランキングの9位(阿部)は1位(ケルディヨロワ)に勝てなくて当たり前だろ?」~メディアはもう少し丁寧に調べてくれ

    阿部詩がまさかの2回戦敗退! しかし勝ったケルディヨリワは結局、優勝している。 改めて調べると、阿部は世界ランキング9位で、ケルディヨリワは1位。 これって、初めから「負けて当たり前」って話じゃないの?という話。(写真:フォトAC) 【パリの空の下をセーヌが流れ、悪魔が笑う?】 パリオリンピック柔道女子52㎏級、日本期待の阿部詩は2回戦で敗退。私は詩ちゃんが大好きなので、意気消沈です。 メディアは各紙こぞって「まさかの敗戦」(日テレ、日刊スポーツ、スポーツ報知、サンスポ他)と書いていますが、私もよもや2回戦で負けるとは思っておらず、詩ちゃん自身もおそらくそんなところで躓くことは想定しておらずに…

  • 「阿部詩はどのように泣いたのか」~メディアはもう少し日本語がうまくなってもいいだろう

    阿部詩が負けた。それは仕方ないことだ。 しかしそれにしてもあの涙の扱いはどうだ? 阿部詩は負けてほんとうに “ギャン泣き”したのか、 それとも”慟哭(どうこく)”したのか? という話。(写真:フォトAC) 【阿部詩は負けて“ギャン泣き”したのか】 7月28日(日)、何となく頭の隅で1日中、決勝進出を逃した池江璃花子のことを考えているような夕方、「阿部詩、敗れる」の一報が入りました。私は詩ちゃんのファンでもあるので頭の中で池江と阿部のふたつは同時に処理できないと感じて、詩ちゃんのニュースは日を置いて見ることにしました。 二日置いた昨日、ようやくVTRで試合を観るとともにネットニュースをあれこれ読…

  • 「キラキラネームがキラキラメダルを引き寄せる」~オリンピックも人生も軽やかに?

    一部のメダリストたちの名前が変だ。 その子の親たちは、最初から自分の子を、 コスモポリタンに育てる気だったのだろうか? 頭の固い私には頭の痛い問題である。という話。(写真:フォトAC) 【競技歴3年目の世界頂点】 28日に開催されたパリオリンピック、スケートボードの「女子ストリート」は日本勢のワン・ツー・フィニッシュで終わりました。吉沢選手金メダル、赤間選手は銀メダルですが、前半は東京オリンピック銅メダルの中山選手が5位につけていたので表彰台独占の期待も高まっていたらしいのですが、残念ながらそこまではうまくいきませんでした。しかし中山選手の最終7位も立派な成績です。まずはおめでとうございます。…

  • 「私はオリンピックが見られない」~運がなければ勝者に離れないが、勝者になれば幸せになれるとも限らない

    パリオリンピックが始まりました、 しかしコンジョウナシの私は、贔屓の選手が負けるのが怖くて、 テレビも見られないのです。 敗者もときの運がなかっただけだと、分かってはいるのですが――という話。(写真:フォトAC) 【私はオリンピックが見られない】 2024パリオリンピックが始まりました。ところが私はこういうスポーツ大会を観戦するのがとても苦手なのです。贔屓の選手が負けるのを見ていられないのです。例えば昨日の池江梨花子。ネット・ニュースで、「レースを終えるとタオルで顔を覆い、プールサイドに座り込んだ。約10分間、涙が止まらず、インタビューでは問いかけの後15秒間、絶句した」(2024.07.27…

  • 「結婚式:結局は児戯だがやっておいた方がいい」~過渡期の結婚問題を考える④

    親族・姻族は結局のところ安全保障の枠組みである。 普段は必要ないが、いざという時のために、 大切にしておかなくてはならない。 そのためにも結婚式、しないよりはした方がいい、という話。(写真:フォトAC) 【遠い将来の家族関係なんて見通せない】 ずいぶん昔の話です。新聞だか雑誌だかの人生相談のコーナーにこんな質問がありました。「とにかく正月やお盆に夫の実家に行くのが嫌だ。特になにかを言われるわけでもないが、2~3日も、大人しく愛想を振りまいて、猫を被って家事の手伝いをしたりするのがたまらない。盆暮れの義実家への訪問はこれを最後にしようと思っているがどういうものか」 文言はそのままではありませんが…

  • 「結婚式をする理由が消えていく」~過渡期の結婚問題を考える③

    結婚式を挙げる人が急速に減っている。 もちろん以前から、 結婚式などしたくない人や十分な資金のないひとはいた。 しかしいま進行しているのは、別の問題なのだ、という話。(写真:フォトAC) 【時に不機嫌な結婚式】 結婚式や披露宴をやろうとするいちいちジェンダーバイアスだの家父長制の残滓などに引っかかって気分が良くない。親の顔を立てて来賓にお偉いさんを置いたら挨拶で、「これからも両家の弥栄を願って・・・」とか言い始める。内心、《両家、関係なくね?》と思う。憲法にも、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」(憲法2…

  • 「大人社会はコンニャクのように、撥ね退けるか取り込む」~過渡期の結婚問題を考える②

    結婚式というのはけっこう厄介な行事だ。形式自体は古いので歴史の滓(おり)がたっぷりついている。しかしそれを完全に払しょくすると、今度はついてこれない人が出て来る。という話。(写真:フォトAC) 【大人社会はコンニャクのように、撥ね退けるか取り込む】 もちろん今後私自身が結婚式を挙げることはありませんし、ふたりの子どもも既婚者ですので再び結婚式に関わる可能性は極めて低いのですが、それでも式にこだわるのは、これを巡って新旧の価値観がぶつかり合うことは少なくなく、そのもち方によって親子の関係に歪みの生まれる場合もあるからです。 昨日取り上げた記事の女性も、「今まで生きてて、短期間でこんなにジェンダー…

  • 「結婚式のジェンダーバイアス」~過渡期の結婚問題を考える①

    ジェンダーフリーの考え方からすると、 結婚式はジェンダーバイアスだらけだという。 しかし待て、 結婚式はそもそもそういうものではなかったのか?という話。(写真:フォトAC) 【結婚式のジェンダーバイアス】 最近のネットニュースを見ていて「はて?」と首を傾げた記事のひとつは、「今まで生きてて、短期間でこんなにジェンダーバイアスを感じたのは結婚式が初めてだった」という内容の記事です*1。 ジェンダーバイアスとは、「男らしさ」「女らしさ」など男女の役割を勝手に決めつけてしまう偏見のことだそうで、例えば、招待状に自己紹介を書こうとしたら、実際に作成しているのは新婦だというのに新郎を先にした方がいいと言…

  • 「学問は暇に任せてするものだけど・・・」~今日は大暑だそうです

    今日は二十四節気のひとつの「大暑」。 これから立秋までの期間にはさまざまな呼び名がある。 しかし今の教師にそれをゆっくり調べる時間はない。 教員の質の低下と言うなら、まずこちらを心配すべきだ、という話。(写真:フォトAC) 【そもそも大暑・土用・暑中ってなんだったっけ】 今日、2024年7月22日は「二十四節気(にじゅうしせっき)」*1のうちの「大暑(たいしょ)」だそうです。二十四節気というのは1年を春夏秋冬四つに分けたそれぞれをさらに六ずつに分けて特徴づけたもので、これに「雑節(ざっせつ)」*2と呼ばれる「節分」だの「彼岸」などを合わせて季節の変わり目の目安としました。二十四節気を頼りに農作…

  • 「今が昔であれば、教師不足もなくなる」~一学期最終日の今昔物語

    朝8時出勤、午後4時15分退勤、夏休み中は日直以外、一日も学校に行かない、そんな昭和が甦れば、教員不足も一瞬で吹き飛ぶのに・・・という話。(写真:フォトAC) 【一学期、お疲れ様でした】 長い一学期、お疲れ様でした。 日本の公立小中学校は明日から夏休みという学校が大部分のようです。私がしばしばお世話になる「日本文化研究ブログ」*1 *1によると、夏休みの始まりが明日でないのは、すでに実質13日(土)から始まっている千葉県千葉市、23日(火)始まりの京都府京都市・宮崎県宮崎市、24日(水)始まりの新潟県新潟市、25日(木)からの岩手県盛岡市・富山県富山市、さらに遅れて翌26日(金)が北海道札幌市…

  • 「いつか人間が自分一人で通知票を書く日が来る」~生成AIで通知票を書く日はくるのか③

    通知票の所見欄をAIに書いてもらうと言えば抵抗も強いが、 文例やひな形を見て真似をするのは昔からやってきたことだ。 浸かっている人も、この先ずっとAIに頼り続けることもないだろう。 人は進歩するのだ。目くじらを立てることはない、という話。(写真:フォトAC) 【そう言えば昔からやっていた】 生成AIのChatGPTに「小学6年生の総合所見を40人分、書いてください」と依頼すると4分少々で40人分の総合所見を提示してくれました。その中身が思った以上に平凡で、汎用性が高そうで、しかししばしば妙に具体的な部分もあって途方にくれました。 そこで一部をプリントアウトしてまだ現役の妻に見せると、こともなげ…

  • 「まだまだ信用ならないChatGPTに通知票の所見を書かせてみる」~生成AIで通知票を書く日はくるのか②

    「息を吐くようにウソをつく」と言われた生成AI。 1年余りの間にかなり成長した。しかしまだ信用しきれない。 そんなAIに通知票の総合所見を書かせると、 確かにそれなりのものが出て来る・・・が、という話。(写真:フォトAC) 【ChatGPTはだいぶ良くなったが、まだまだ信頼しきれない】 私があまり触らなかったこの1年数カ月の間に、ChatGPTがどれ進化して使えるようになったか、もう少し調べてみます。例えば私のハンドル・ネーム“SuperT”について、知っていることを教えてくださいと訊ねたときの以前の答えは次のようなものでした。「SuperTは、日本のYouTuberであり、主にゲーム実況やプ…

  • 「ChatGPTはどこまで成長したのだろう」~生成AIで通知票を書く日はくるのか①

    生成AIで通知票の所見を書くことの是非が話題になっている。 しかしそもそもAIを使えば、 40人もの所見を簡単に書き分けることができるのだろうか? そこで私は最近のAIの、能力を調べ直してみることにしたという話。(写真:フォトAC) 【今日のブログの予定】 今日の記事は、 都道府県ごとの夏休みの開始日と終了日、日数を調べ、大部分が今週末であることを確認してから、 「昨日までの3連休で、通知票は書きあがりましたか?」と問う。 「ここに『海の日』が入るようになってから、通知票にじっくり取り組む日が増えて楽になりましたね」と、社会的には通用しない学校の悪しき慣行を前提にひとこと言って、 ところで、最…

  • 「フラン研(フランス研究会)の話」~エリートが本気でフランスに憧れた時代の名残り

    娘のシーナが15年ぶりに出身高校の文化祭を覗いてきた。 驚いたことにパンデミックを越えてすべてが復活している。 あの謎のフラン研(フランス研究会)も生き残っていたが、 なぜドイツ研やイタリア研がなく。フラン研があるのだろう?という話。(写真:フォトAC) 【娘のシーナ、一瞬の帰省をする】 7月7日が母の97歳の誕生日だったのですが、前日の土曜日が病院で診察を受ける日になっていたため、外出ついでに寿司屋によって“ハッピー・バースデー”を済ませてきました。その様子を写真に撮って家族LINEに載せたところ、夕方、娘のシーナからメッセージが入って、「明日のお祖母ちゃんの誕生日にお祝いに行く。ついでに(…

  • 「秘策:今日は書くことがないので~について書きます」~小説はいくらでも書けるが日記がまったく書けない話③

    日記の一番の難しいところは、何をどう書くか決める部分だ。 特別な日も声掛けを忘れず、平凡な日は観点を持たせる、 それでも書くことのない日のために、 「書くことのない日のための話題ストック」を用意しておく、という話。(写真:フォトAC) 【文章の調理法】 母は料理が苦手な人で、私は幼いころから「今夜、何が食べたい?」と繰り返し聞かれて困っていました。料理が苦手な人の子だから料理の名前も知らない、あれこれ作ってもらえないので食わず嫌いばかりで何が食べたいかと訊かれたらカレーとトンカツしか思いつかない。だからと言ってカレーとトンカツが交互に出てきても困ります。子どものころはそれでもスパゲティだの焼肉…

  • 「なぜ日記はあれほど苦労するのだろうか」~小説はいくらでも書けるが日記がまったく書けない話②

    孫1号のハーヴは小説ならいくらでも書けるのに、 日記だとまったく書けない、苦労している。 なぜ日記はあんなに大変なのか、 それを、どう克服すればいいのか、という話。(写真:フォトAC) 【なぜ日記はつまらなくなるのか】 昨日は私の孫の1号が小説執筆に夢中で、“小説”ならいくらでも長く書けるという話をしました。しかし実は話の重心はその後ろにあって、「(“小説”ならいくらでも書けるのに)日記はまったく書けない、苦労している」ということについて考えてみたかったのです。 ところで13年前に父が亡くなったあと、母は精神的にひと区切りがついたところで記憶を整理しようと、父の日記を初めて開いて見たようなので…

  • 「文章はリズムが先、リズムに乗せて書く文章」~小説はいくらでも書けるが日記がまったく書けない話①

    8歳の孫のハーヴは最近、小説執筆に夢中、 いくらでも長く書けるのだという。 しかも発想は自由、文末の処理は的確。 いったいどうして、そんなことができるようになったのだろうという話。(写真:フォトAC) 【孫1号が小説を書く】 『冬が始まったころ、イギリスの白山村では新年に向けて準備が始まっていた。ところが、ある二十歳の娘のいる家では、始まろうとさえしていなかった。 その家の主人は「ムッシュ・ムダ―」という。 決して悪い人ではない。なぜ始まっていないかというと・・・旅に出ていたというのだ。 今、ムダ―はベルリン諸島にいる。「ふぁ、旅ってものはいいな」と彼は言うのだが、旅と言っても今はシーズンオフ…

  • 「出て来る女優さんが知らない人ばかり、実生活でも近所の人が分からず、実の弟にさえ気づかない」~相貌失認と夏ドラマ

    7月に入って、新たな夏ドラマが始まった。 しかし主演レベルが知らない俳優ばかり。 実生活でも、知らない人が親し気に声をかけてきたりする。 相貌失認――しかしそれにもめげず、他に伍してきた私は立派だという話。 (写真:フジテレビ:サイトにリンクしてあります) 【夏ドラマが始まった】 7月も第2週に入りましたが、そろそろ夏ドラマの初回がぽつりぽつりと始まっています。ドラマの改変期は毎回そうなのですが、他局の新ドラマを潰すための特番が目白押しで、映画もかなりの有名どころが放送されるので、観る方はたいへんです。 正直言ってこの齢になると心から楽しめるドラマは1シーズンにせいぜい2~3。しかしその2~3…

  • 「今日7月5日の『明日(6日)は何の日?』」~明日はサラダ記念日、ビートルズの始まりとオウム最期の日

    明日はサラダ記念日、 そしてビートルズのジョンとポールが出会った日でもある。 さらに言えば麻原彰晃たち7名の死刑が執行された日だが、 今もなおカルトとの戦い方は分かっていないという話。(写真:フォトAC) 【7月5日の「明日(6日)は何の日?」】 昨日はアメリカ独立記念日だというお話をしましたが、明日7月6日はサラダ記念日です。――とは言ってもみんなでサラダを食べようとか、サラダに感謝しようとかいった日ではなく、歌人の俵万智さんが1987年に出版した歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)の中の一首で、本の題名にも引用した、 この味がいいねと君が言ったから 七月六日はサラダ記念日からきた言葉です。…

  • 「独立宣言と子どもの成長」~今日はアメリカ独立記念日です

    今日はアメリカ独立記念日。248年前の7月4日、 若きアメリカは基本的人権の尊重と民主主義を掲げて船出した。 出発にあたって彼らは、自由も平等も幸福追求も自明だと言った。 二の四の言わず、歩き始めようと言ったのだ、 という話。(ジョン・トランブル作「アメリカ独立宣言」) 【試験対策は冒頭のみ】 今日、7月4日はアメリカ独立宣言の発表された日です(1776年)。 昨日は「枕草子」を始めとして大学受験の際に必死に覚えた古典の冒頭文を書き連ねましたが、「アメリカ独立宣言」や「フランス人権宣言」も同じように大学入試や教員採用試験の対策として、冒頭だけを一生懸命、暗唱したものです。どれもこれも冒頭だらけ…

  • 「古典は日本人のアイデンティティ、日本人の心の寄る辺だ」~古典・漢文の学習はやはり必要。何なら英語はなくてもいい②

    「枕草子」を始め、「源氏物語」などの古典は、 日本人が共通に持つ知的財産、心の寄る辺。 これを失ってはならない。 「光る君へ」も、いよいよ佳境に入る、 という話。(写真:フォトAC) 【日本人のほぼ全員がもつ共通の記憶】 今週日曜日の「NHK短歌」(Eテレ 06:00~06:25)「スペシャル 短歌で『光る君へ』を10倍楽しもう!」*1の中で歌人・俵万智さんが、大河ドラマ「光る君へ」の一場面に触れて、「ききょう(ドラマの中での清少納言の本名)さんが四季・春夏秋冬の・・・とサジェスチョンしたときに、(中略)あそこで『春はあけぼの』ってみんなが、全国の人が思えたんじゃないかと思って、そういう意味で…

  • 「『NHK短歌』が大河ドラマ『光る君へ』について言及したよ」~古典・漢文の学習はやはり必要。何なら英語はなくてもいい①

    Eテレ「NHK短歌」で「光る君へ」の特集をやった。 やはり誰が見てもこころ動かされるところは同じ。 死の床で権力者は妻の詠んだ和歌を口ずさみ、 清少納言は傷心の中宮のために「枕草子」を書き始めるという話。(写真:フォトAC) 【NHK短歌「スペシャル 短歌で『光る君へ』を10倍楽しもう!」】 日曜日の朝のEテレは午前5時から宗教を題材とする「こころの時代」、6時から「NHK短歌」、6時25分~35分がラジオ体操、6時35分から「NHK俳句」と続きます。 私の家では「こころの時代」と「NHK短歌」は気まぐれで流すときは流し、「NHK俳句」は妻の趣味なので朝食を取りながら見て、7時になるとフジテレ…

  • 「棒茄子の鍵の外れた私がボーナスについて調べた」~教員のボーナスは調整額を含めた「給料の月額」が算定基礎だって知ってた?

    「ボーナス」とは細い棒状の茄子のことだと、 親に魔法をかけられ、見ないふりをして来た私も、 今度ばかりはボーナスについて調べてみることにした。 すると意外なことが次々と分かってきた、という話。(写真:フォトAC) 【職員室内の給与差の話】 先週の金曜日(6月28日)、公務員にボーナス(期末・勤勉手当)が支給されてニュースになりました。国家公務員は「管理職を除く行政職職員(平均33.4歳)の平均支給額は、約65万9400円」(新聞報道)だそうです。地方公務員は自治体によってかなりの差がありますが、一般的には財政基盤が強固で常に民間企業と人材を奪い合わなければならならない都会の方が高く、田舎に行く…

  • 「腹をくくった家の子だけが、きちんと育ててもらえる時代」~私たちは子どもに罠をしかけていないか⑤

    本当に気を遣ってやらなければならない子どもたちの陰で、 鍛いて錬って育てられるべき子どもたちが放置される。 もはや学校が子どもを一定水準に引き上げる時代は終わった。 腹をくくって家庭で育てた子どもだけが、きちんと育つ時代だ、という話。(写真:フォトAC) 【今週は話題のアタリ週】 不思議なことに、話のネタというのはない時はまったくないのに、ある時はいくらでもあって扱いかねているうちに旬を失い、結局は見捨てるしかなくなることもしばしばです。 今週はその「アタリ」の週で、ティックトックで探し当てた「寝坊した社員と上司の会話」を始め「岐阜県で高校入試の内申書から出欠席の欄がなくなった話」や「大阪府立…

  • 「幻想:誰も無理しないで済む社会の創出」~私たちは子どもに罠をしかけていないか④

    高校入試の内申書から出欠の記録をなくして誰もが、 「学校に行かないといけない」と思わずに済む世界、 家が貧しくとも名門私立高校に進学できる世界、 私たちはそれを創設したが、それで良かったのか。という話。(写真:フォトAC) 【学校は行かなくてもいい場所になった】 一昨日のネットニュースに、教育関係で気になる記事が二つありました。 ひとつは「2025年度の岐阜県内の公立高校の入試から、各高校に提出する内申書の中の欠席日数や理由を記載する欄を廃止する」というものです。 気になったのはその理由で、CBCテレビは、「生理休暇や親の世話など、生徒本人の責任ではない欠席に対する配慮を求めた文科省の通知に基…

  • 「なぜ頭の中の警報は正しく鳴らなかったのか」~私たちは子どもに罠をしかけていないか③

    部下の遅刻を優しくとがめる上司と、生意気な物言いのその部下。 それはいかにも令和らしい風景で、昭和にはなかったものだ。 しかし令和の、丁寧に時間をかけて言葉を尽くす指導が、 必ずしも本人のためになるとは限らない。という話。(写真:フォトAC) 【令和だから起こったできごと】 一昨日から話題にしている「朝寝坊で出勤できなかった部下」と「そこに電話を入れた上司」とのやりとりは、見方によれば「日常の態度・言動・考え方・性癖を逆手に取られた一人の若手社員が、社内での信用と立場を失い退職に追い込まれていく物語」と考えることもできます。 録音されたやり取りが直接、馘首に繋がるとも思えませんが、組織の中にい…

  • 「誰が得をして、誰が損をした話なのだろう」~私たちは子どもに罠をしかけていないか②

    ネット上で拾った優しく弱腰の上司と生意気な部下との会話。 結局、誰が得をして、誰が損をした話なのだろう? そこから自ずと社会の構造が見えてくる。 なんやかや言っても、大人の社会は底が硬いのだ。 という話。(写真:フォトAC) 【誰が得をして、誰が損をした話なのだろう】 犯罪映画や推理小説に出て来る犯人捜しの基本中の基本のひとつは、「誰がその犯罪で得をしたのか。得をした者が犯人だ」です。 昨日は「朝寝坊で出勤できなかった部下」と「そこに電話を入れた上司」とのやりとりという、これが創作だとしたらあまりにも優れすぎていて、かえって素材として面白いお話を紹介しました。 ところでこの話、基本的には「《何…

  • 「聞くだに苛立たしく腹立たしい、上司と部下の電話のやり取り」~私たちは子どもに罠をしかけていないか①

    ネット上で、訊くに堪えない、 大人どうしの電話のやり取りを聞いた。 腰の低い上司と生意気な部下。 しかしそこに単純ではないものが見えてくる。という話。(写真:フォトAC) 【聞くだに、苛立たしく腹立たしい、電話のやり取り】 先週の中頃、X(旧ツイッター)をいじっていたら、《寝坊して出社しない部下とその携帯に電話を入れた上司とやり取り》といった面白い録音がアップロードされていて、しばらく聞き入りました。部下の受けごたえの傲慢さと上司の低すぎる姿勢に、かなり苛立って相当に頭に来ていたからです。 内容は次のようなものです。(黒字が上司・青字が部下)。―------------------------…

  • 「部活を学校に残す、給特法も悪くない」~少子高齢化が教員の働き方改革を阻害する⑤

    部活の地域完全移行を宣言する自治体が次々と出てきた。 しかし都会はまだしも、人もなく金もない田舎町で何ができるのか――。 部活は時間をかけて小出しに校外に出し、 貰えぬ残業代よりも確実な調整額。特典もあるしね。という話。(写真:フォトAC) 【部活の地域移行:拍車はかかるが馬は走るか?】 一昨日(6月19日)の朝日新聞デジタルに「神戸市、平日の中学部活動も地域移行へ 方針公表、2026年度から」という記事が出ていました。ただし私は、部活の地域移行について過去20年にわたる失敗の現場にいましたので、生徒・保護者・学校、そして地域および各種団体がいちおう満足して納得できるような組織ができるかどうか…

  • 「しつけも部活も学校の仕事として受け入れるしかない」~少子高齢化が教員の働き方改革を阻害する④

    「子育ては保育園と学校が面倒を見ます」 暗にそう言ってきた以上、政府に教育の大風呂敷はたためない。 しつけは学校の重要な指導項目だ。 部活も完全に切り離すことは難しい。という話。(写真:フォトAC) 【子どものしつけは誰の責任か】 しつけという言葉はボンヤリ使う場合が多いので改めて定義しようとすると厄介です。しかしおそらく、一部は「挨拶をする」とか「目上の人にはそれなりの言葉遣いをする」とかいった生活上のマナー・ルール・道徳の問題であり、もう一部は「食事をしたら歯を磨く」とか「きちんと服をたたむ」とか「着る」とか、要するに生活自立に関わる能力・習慣のことを言うと思われます。大人に対しても使わな…

  • 「いっそ学校の教育課程を昭和に戻そう」~少子高齢化が教員の働き方改革を阻害する③

    平成以降の教育改革は目指すものが高すぎた。 教師のやることは多すぎるが、実りは余りにも少ない。 そしてそれどころか、 基本的で大切なものが失われようとしている。という話。(写真:フォトAC) 【学校の教育課程を昭和に戻せ】 躾も家庭学習も部活動も、勤務時間外の子どもの活動にも、学校は関与し、ある程度責任を負っていくべきだ、というお話をします。ただ、それだけだととんでもない反発を受けそうですし、反発はかまいませんがこの先を読んでもらわないとかないませんし、そもそも教員の働き方改革の時代に言ったところでそれだけでは実現する可能性もありません。 そこで、これまでも再三申し上げていることですが、私の立…

  • 「子育ては保育園と学校が面倒を見ます」~少子高齢化が教員の働き方改革を阻害する②

    日本の少子化・高齢化が、教職員を増やすことに二の足を踏ませる。 女性の社会参加を促し、二人以上の子を持つことが奨励される。 代わりに差し出されるのが、 「子どもは学校が面倒を見ます」と書かれたカードだ。という話。(写真:フォトAC) 【少子化が確実である以上、教員を増やすことはできない】 少子化が学校教育にどう影響するかというと、まず出てくるのが「将来に向けて教員を減らさなくてはならない」という話です。 教員の数は「定数法(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)」によって決められています。基本は各校の学級数によって決まります。正確に言えば児童生徒数が学級数を決め、学級数…

  • 「教職が子ども相手の楽な仕事で、高収入だと思われていた時代の話」~少子高齢化が教員の働き方改革を阻害する①

    つい数年前まで、教職は子ども相手で楽な、 高収入の、安定した仕事だと思われていた。 だからいくら負担を増やしても、誰も心傷まなかった。 その時のツケが、今、回り巡って来た・・・という話。(写真:フォトAC) 先週の水曜日(12日)のこのブログで、明治時代、近代化を急ぐ政府は国民を説得してその子女を学校に出させた、いわば国民にお願いして学校に来ていただいたわけで、そんなところから学校教育は丁寧で、至れり尽くせりなものとならざるを得なかった、というお話をしました。翌13日はその続きで、「しかし現在は明治とは違った意味で、懇切丁寧で至れり尽くせりの教育が必要とされるようになっている」というお話をする…

  • 「残業手当があるのに異常な時間外労働は減らないじゃないか」~官僚が教える“残業代が出ても残業が減らないワケ②

    給特法を廃して残業手当を設ければ、労務管理も進み、 教師の生き方も今よりずっと人間的なものになるだろうと言う。 しかし国家公務員を見よ、 彼らは残業手当があっても働くことをやめないじゃないか。という話。(写真:フォトAC) 【残業手当があるのに異常な時間外労働は減らないじゃないか】 6月11日のNHKクローズアップ現代「悲鳴をあげる“官僚”たち 日本の中枢で今なに」では、1日23時間労働というまさに殺人的労働を強いられる官僚の姿を紹介していましたが、その収入面については何も語っていませんでした。私はそこに興味があります。 というのは「給特法反対。いわゆる『定額働かせ放題』を廃して学校にも残業代…

  • 「ブラック霞が関と学校」~官僚が教える“残業代が出ても残業が減らないワケ"①

    霞が関が危機的状況だという。 異常な長時間労働に苦しんで、人は辞めるが代わりは来ない。 その姿は学校にそっくりだ。 いや待て、違う。官僚には残業代が出ていたはずじゃないか?という話。(写真:フォトAC) 明治時代、近代化を急ぐ政府は国民を説得してその子女を学校に出させた、いわば国民にお願いして学校に来ていただいたわけで、そんなところから学校教育は丁寧で、至れり尽くせりなものとならざるを得なかった、というお話をしました。 今日はその続きで、「しかし現在は明治とは違った意味で、懇切丁寧で至れり尽くせりの教育が必要とされるようになっている」というお話をするつもりでした。ところが一昨日のNHKクローズ…

  • 「日本の学校教育は、政府が国民に頼んで学校に来てもらうところから始まった」~のちに禍根を残さないよう言うべきことは言っておく③

    日本の学校教育は国民に政府が頭を下げ、 学校に来ていただくところから始まった。 だから「学校がすべての責任を負います」と言わざるを得ず、 だから教員の日常は今も苦しい。という話。(写真:フォトAC) 【日本では学校が子どものすべてについて責任を負う】 日本の教員がかくも過重労働を強いられ、過労死基準をはるかに上回る時間外労働をしなくてはならなくなったことには、構造的な理由があります。それは日本の公教育が最初から教科教育だけでなく、より良い人間関係・社会関係の教育(広義の道徳教育)や健康教育にも責任を持つと表明してきたからです。 欧米ではキリスト教会が、アラブではイスラム教会が、そして近代の中国…

  • 「仕事を減らしても教師の労働時間は減らないだろう。教師は漁師と同じだからだ」~のちに禍根を残さないよう言うべきことは言っておく②

    教員も働き方の意識を変えるようにと専門家は言うが、 教師の気持ちは大きくは変わらないだろう。 学校の教師も港の漁師と同じ。 隣りのアイツには負けたくないのだ。という話。(写真:フォトAC) 【思った通り、教師が子どもを犠牲にする話】 全国中学校体育大会(略称:全中)の規模縮小の話は昨日のニュースでも扱われていて、ある局では相撲部の大会を取材し、保護者や選手から「困った」「何とかしてほしい」といった言葉を採取した上で、「子どもたちを第一に考えた方策を取ってほしいものです」といったまとめ方をしていました。右上には「教員の負担軽減のため」の文字が浮かび上がっています。 全部まとめると、「教員の負担軽…

  • 「中体連全国大会の規模縮小は教師のためじゃない」~のちのち禍根を残さないよう言うべきことは言っておく

    全中の規模縮小は教師の負担軽減のためじゃない。 大会を担う係員・補助員(部活顧問と部員)が足りないからだ。 それを教師のためだと言われて認めると、 のちのち何を言われるか分からない、という話。(写真:フォトAC) 【全中(全国中学校体育大会)19種目から9種目が消える】 先週8日の土曜日、日本中学校体育連盟(いわゆる中体連)は全国中学校体育大会(略称:全中)の規模縮小のため、水泳や体操など、現在実施している19競技中9競技を2027年度から取りやめると発表しました。 取りやめになる競技は、水泳・ハンドボール・体操・新体操・ソフトボール(男子)・相撲・スケート・アイスホッケー・スキーの9競技(ス…

  • 「いまの農家も知らない江戸時代の農業の常識」~意外と気づかない農業の当たり前③

    単純で分かり易い農業の世界で、 人はこころ病むことがない。 しかし300年前はさらに単純で分かり易かった。 現代は農業と言えど、もはや聖域ではないのかもしれない。 という話。(図版:歌川広重「東海道五十三次」より「原 朝之富士」) 【再々掲:百姓はこころ病まない】 たびたび書いていますが、百姓*1仕事というのは基本的にとても分かりやすい一面を持っています。それは失敗したときに悪いのは、自分か気候か、二つにひとつしかないということです。 作物が病害虫でだめになったら、悪いのは適切な予防措置を取らなかった私です。作物に罪はありません。遅霜や台風に潰されたら、ある程度は対応が不十分だった私のせいです…

  • 「植物界では、同じ種類に同じことが一斉に起こる」~意外と気づかない農業の当たり前②

    子どもの成長を植物に例える人がいる。 しかしどうだろう。 植物の世界では、同じ種類に同じことが一斉に起こる。 それは人間には決して起こらないことだ。 という話。(写真:SuperT) 【子どもの成長を植物に例える】 子どもの成長を植物の成長に例えていう人がいます。例えば昔、理想とされた、「踏まれても、踏まれても、繰り返し立ち上がる、雑草のようにたくましい子」などがそれです。しかしこの言葉、何となくしっくりきません。最初に「たくましい子」を雑草に例えた人も、この言葉を信奉し続けた人も、きっと農業体験も園芸体験もなかったのでしょう。雑草がどんなものか、ひと夏、身を入れて畑や花壇に立ち向かってみれば…

  • 「作物にはそれぞれのスタートとゴールがある」~意外と気づかない農業の当たり前①

    わが家の畑、数えたら30種もの作物をつくっていた。 「そんなに多くて大変じゃないか」人は言うが、 それぞれの作物にはそれぞれのスタートとゴールがある、 それを組み合わせて行けば、なんとかなるのだ、 という話。(写真:SuperT) 【今年の畑:少量しか必要ないから多種になる】 ときどきお話ししていますが、私の自宅には1アール(正方形に直すと10m×10m)という帯に短く襷に長い畑があります。農家として収入を得るには小さすぎ、家庭菜園というには大きすぎるサイズです。若いころは仕事に子育てに畑にとけっこうな負担でしたが、退職してからは私に存在理由を与えてくれる、ありがたい存在となっています。 今年…

  • 「反省文という文化・現場検証のススメ」~指導助言の質を高める方法⑥

    人が反省し後悔するのは、論理のためではない。 事実の積み重ねだけが罪深さを教えるのだ。 そのために学校では「反省文」という文化が育ち、 事実を見据える教育が行われてきた、 という話。(写真:フォトAC) 心の中にある不安や恐怖、怒り苦しみなどを文章にし、さらに点数をつけることによって曖昧模糊とした不安などを分析可能な“モノ”に変える、すると不安や恐怖は以前よりずっと小さくなり、輪郭もはっきりして対応可能なものに変化している――と、認知療法は教えてくれます。そこに現れてくるのは、自らが膨らまし尽くした幻影ではなく、すべて余計なものを削ぎ落した客観的な姿だからです。 一昨日お話しした《警察署の取調…

  • 「心の中の曖昧模糊を、外に取り出して“モノ化”する」~指導助言の質を高める方法⑥

    見えないはず心の中を“見える化”すれば、 自ずと問題のちっぽけなことに気づかされる。 ”モノ”のようになった不安や苦しみからは、 問題のほんとうの深刻さも解決策も見えてくる、という話。(写真:フォトAC) 【正体が見えないから恐ろしい】 「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」 幽霊かと思って怯えていたが、実は単なる枯れたススキだった、という川柳です。不気味に明るい秋の月明りの下で、ユサユサと揺れるススキのさまが普通以上に恐ろしかったのでしょう。正体が枯れ尾花と知って恐怖がスーッと引いて行く様子がよく分かります。 心の中にあるたいていの不安、恐怖、心配、苦しみは、実は実体よりははるかに大きく見えるのが…

  • 「認知(行動)療法と警察の取調室」~指導助言の質を高める方法⑤

    認知療法は認知心理学に由来するものではなく、 精神分析学や行動療法の限界を越えて出てきたものだ。 その方法は記述と評価と対話。 警察の取り調べに似て、実に興味深い――、 という話。(写真:フォトAC) 【「認知」「療法」という矛盾】 認知療法という言葉は早くから耳にはしていましたが、正面から向き合ったのはずいぶん遅く――というか、ほとんどつい最近になってからのことです(注:古希の人間の「つい最近」は10年~20年くらい前のことも入ります)。 私の知っている認知心理学と心理療法という言葉がうまく噛み合って来なかったからです。本気で向かい合うのを厭う気持ちもありました。だって認知心理学者って半分は…

  • 「1分で終わる超速心理学入門と学校教育」~指導助言の質を高める方法③

    学校教育と心理学の間には深い因縁がある。 もしかしたら心理学が成立するはるか以前から、 学校教育の中に心理学は入り込んでいたのかもしれない。 精神分析も行動主義心理学も、そして認知心理学も――、という話。(写真:フォトAC) 心理学の成果が学校教育のあちこちに生かされているというお話をしています。しかし少し手順を間違えたみたいですので、心理学そのものの復習を、少しだけしておきます。題して・・・ 【1分で終わる超速心理学入門】 扱う対象で心理学を分類すると児童心理学だの犯罪心理学だの、あるいは学習心理学・教育心理学・恋愛心理学・色彩心理学といくらでも出てきます。ところがこれを学問の潮流として分類…

  • 「心の“見える化装置”としての制服」~指導助言の質を高める方法③

    一クラスに30人も40人もの生徒がいる中で、 問題を抱える子を見つけ出すのは容易ではない。 そこで見えない心の中を「見える化する装置」が必要になる。 それが制服を始めとする外見に関わる決まり事だ。 という話。(写真:フォトAC) 【心の“見える化装置”としての制服】 「服装の乱れは心の乱れ」という言葉はよく誤解されますが、「服装が乱れてくると心も乱れてくる」という意味ではありません。「心が乱れるとそれが服装などに現れるから、注意して観ていましょう」という意味です。要するに服装を「心の“見える化装置”」として考えるわけです。 具体的に言えば、勉強やスポーツに熱中し、あるいは生徒会や学校行事、学級…

  • 「私語の多い子には何と言って注意するの?」~指導助言の質を高める方法②

    集中力がなく、何度言っても私語の止まらない子、 そんな子には言ってやらなければならない言葉がある、 行うべき対処法がある。 そんなこと、大学の講義で学んだはずなのに、という話。(写真:フォトAC) 【私語の多い子には何と言って注意するの?】 私は若いころ、先輩の先生からこんな指導を受けたことがあります。《集中力がなくてすぐに私語をしてしまう子どもを指導するのに、言い方が三つある。 人が話をしているときは、「しゃべってはいけない」と言うのと、「黙っていなさい」と言うのと、「しっかり聞きなさい」と言うもの。 もちろん最後が一番優れている。なぜならひとが話しているときに他の子がすべき積極的ば態度が、…

  • 「思ったことをすぐしゃべってしまう子をどう指導したらよいのか」~指導助言の質を高める方法①

    先週24日(金)の「チコちゃんに叱られる!」 話題になったひとつは、 思いついたことをすぐ言葉にしてしまう自分の扱い。 チコちゃんの聞いて来た答えがよかった。 という話。(写真:フォトAC) 先週5月24日のNHKバラエティ「チコちゃんに叱られる」のテーマは次の三本。① サッカーコートがしま模様なのはなぜ?② “あみだくじ”はなぜ“あみだ”?③ 酔っ払うと声が大きくなるのはなぜ?でした。その内うしろの2本に正解できて、私としては極めて珍しい好成績なのでだいぶ気分を良くしました。 【スカイウォーカー氏、ハゲをからかって後悔する】 ところで2問終わったところで差し込まれる休憩時間のコーナーで、チコ…

  • 「中宮彰子と、これから出て来るかもしれない宮廷サロンの人々」~今さら大河、今から大河(⑤最終)

    長命でなければ人格も磨けない。 中宮彰子は長く生きることによって手腕を磨き、 だからサロンは豊かになった。 その一人ひとりを見てみよう、という話。(写真:フォトAC) 【中宮彰子のサロン】 ノーベル賞を受賞するにはさまざまな条件がありますが、そのうち最も重要なもののひとつは「長生きをする」ことです。受賞対象の大半は30年以上も前の研究で、「これはどう転んでも価値が減じることはない」と確信が持てるまで待ってから渡すのです。ところが人間の方は待ちきれずに死んでしまうこともある。そこで意外な人がもらっていないということもあるようです。 藤原道長の娘で一条天皇の后であった中宮彰子は、当時としてはかなり…

  • 「実資(さねすけ)という重石、ふたつの宮中サロン」~今さら大河、今から大河④

    「光る君へ」の時代には大勢のたおやかな男たちがいた、 腹の座った武骨者もいた。 女たちは宮廷サロンで賑やかに自らを磨く。 しかもそれらは極めて狭い範囲で起こったことなのだ、 という話。(写真:フォトAC) 【今までに来た人】 これまで5カ月余りのNHK大河ドラマ「光る君へ」に登場した人物を「文学・芸術に関わる人のみ」と限定して並べると、まず藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは:「蜻蛉日記」、歌人、〔財前直見〕)、赤染衛門(あかそめえもん:歌人、〔風稀かなめ〕)、儀同三司母(ぎどうさんしのはは・高階貴子・高内侍:歌人、〔板谷由夏〕)の三名。 もちろんまひろ(紫式部、〔吉高由里子〕)もききょう(清…

  • 「人も時代もよく知らないから面白い」~今さら大河、今から大河③

    NHK大河ドラマ「光る君へ」、 人も時代もよく知らないから面白い。 高校で学んだきりの「除目(じもく)」が甦る、 「ただ歌を詠んだだけの人」が生き生きと動き出す、という話。(写真:フォトAC) 【人も時代も、よく知らないから面白い】 「光る君へ」は、私の生活の中に投げ込まれたザルツブルクの小枝です。ですから私がもともと持っていた知識のカケラは、簡単に吸い寄せられてくっつき、輝き始めます。 例えば先々週来の放送に出て来た「除目(じもく)」――貴族や役人の人事発表および委嘱の行事ですが、これに関する枕草子の記述(「23段、すさまじき(興ざめな)もの」)が高校の教科書にあって、ですからまったく知らな…

  • 「ザルツブルクの小枝と藤原道綱母」~今さら大河、今から大河②

    同じ授業でも力のつく子とそうでない子がいる。 要するに知識の実のつく枝の大きさの差だ。 それとは逆に、枯れ枝が投げ込まれた瞬間から、 バラバラだった知識がひとつにまとまって行くこともある――という話。(写真:フォトAC) 【同じ学習をしても差がつくのはなぜだろう?】 同じ教室で同じように学んでいるのに知識のつき方に差が生れる、それはなぜか? 答えはいくつか考えられます。 ひとつは先天的な記憶力の差だというものです。世の中には「頭のいい人なんていない、要は努力の差だ」と言ったりする人がいますが、そんなことはありません。私のかつて同僚である英語科の先生は、1300人もいる大校の全生徒の、名前と学年…

  • 「NHK大河ドラマ『光る君へ』が面白くないわけがない」~今さら大河、今から大河①

    NHKの大河ドラマ「光る君へ」。 今ひとつ盛り上がらないのはなぜだ? こんなに面白い歴史ドラマは、 めったにないと思うのだが―― という話。(写真:フォトAC) 【今さら大河、今から大河】 NHK大河ドラマ「光る君へ」の視聴率が低調で、「やはり合戦シーンがないとダメだ」とか「登場人物や歴史そのものに馴染が薄すぎる」とか、「新たに覚えようと思っても人物は藤原だらけ」とか「1月8日の第一回放送と能登半島地震のために元日から延期になってきた『芸能人格付けチェック』がバッティングして損したな」とかさまざまに言われますが、視聴率は常に10%を越えて他の民放ドラマの追従を許さないし、そもそも受信料を取って…

  • 「みんなが人の心を読み誤っている」~人生の答え合わせ⑥

    人生の答え合わせをしていて痛烈に思うことは、 心を素直にして、 もっともっと話し合わなければならなかったということだ。 みんながみんな、人の心を読み誤っているという話。(写真:フォトAC) 【クラスを見る大人の視点】 昨日は、「子どもたちはクラス内のできごとについて驚くほどたくさんの情報を持っていて多くが共有されている。しかしそれが大人社会に流れてくることはほとんどない。また、子どもたちの《驚くほど広い情報網》に引っかかって来ない情報――つまり誰かによって慎重に隠された情報があるとしたら、それを大人が知る可能性はほとんどない」というお話をしました。子どもには子どもの世界があるのです。 ところが…

  • 「子どもたちの社会は大人には閉じられているが実は広い」~人生の答え合わせ⑤

    子どもたちは弱い。 だから大人たちは守ってやらなければならない。 外敵から、そして自身の弱さからも。 しかし弱さゆえの子ども社会の強さもある という話。(写真:フォトAC) 【「弱き者よ、汝の名は女」】 シェークスピアの「ハムレット」に出てくる有名なセリフです。ただし主人公が女性に優しかったという話ではなく、ハムレットの実の父親である先王が死んで2か月と経たないうちに、母親がその弟である新王と結婚したことを激しくなじっての言葉なのです。『誘惑に対して何と「弱き者よ、汝の名は女」だ』ということです。 中学校の生徒指導の最前線にいるとき、私はこの言葉を何度も思い出しました。もちろん私の場合、弱き者…

  • 「ほんとうに大切な言葉は血肉となって、意識のレベルには浮かんでこない」~人生の答え合わせ④

    学生時代の仲間と飲み、翌日は会社員時代の先輩・同僚と昼食会。 一日おいて翌々日には昔の教え子が訪ねて来た。 わずか4日で、 人生の20年間分ほどを振り返ることになったわけだ、 という話。 (写真:フォトAC) 【元教え子たちが訪ねてくる】 既に一週間以上前の話になりますが、大型連休の開けた7日、週日だというのに三十数年前の教え子が3人、私の家を訪ねてくれました。ですから4日に大学時代のゼミの同窓会をやって5日に会社員時代の先輩と同僚に会い、一日置いて7日に中学校の教諭時代の教え子と会ったわけです。わずか4日で15年分くらいを振り返ることになりました。 訊ねて来た3人のうち女性ふたりが東京在住で…

  • 「それでも教師の金銭感覚は狂っている」~人生の答え合わせ3・5の②

    常識を知らない教師がいるからと言って、 教師全体が非常識なわけではない。 しかし金銭感覚に狂いのある場合は少なくないかもしれない。 何しろ民間とは全く異なる、雲の上みたいな世界だからだ、 という話。(写真:フォトAC) 【結局、特殊な事例】 ほとんどの教員は小中高大学と進んでそのまま採用試験を受け、つまり学校を出ると同時に学校に入ったため社会経験に乏しく、だから世間を知らず常識に欠ける――そうした型にはまった批判に私は受け入れることができません。 確かに社会性に乏しかったり非常識な人もいますが、教師と呼ばれる人々は全国の幼小中高等学校(およそ5万校)に100万人近くもいますから、そのわずか1%…

  • 「教師は意外と世間を見ている」~人生の答え合わせ3・5の①

    学校を出てそのまま学校に入った、 だから教師は世間知らず・・・!? そうか? そもそもキミたちの知っている学校は、 私たちの知っている学校とまるっきり違うのだがね、 という話。(写真:フォトAC) 【大型連休後半の「私の人生の答え合わせ週間」】 5月4日のみどりの日の夜、大学4年の時のゼミ仲間と同窓会を開き旧交を温めました。コロナ禍下のオンラインを除いて、4年ぶり2回目の飲み会です。 その翌日(5日)、大学卒業後に勤めていた会社の先輩と同僚を呼び出し、オンラインのひとりを加えて4人で昼食会を開きました。年賀状や電話でのやりとりを除くと40年ぶりの会合です。 翌6日の振り替え休業日に田舎に戻り、…

  • 「半世紀前の塾産業、そこに流れてきた人々」~人生の答え合わせ③

    同窓会の翌日、私は会社員時代の先輩と同僚に会った。 これも40年ぶりの会合だ。 互いにずいぶん年を取った。 それなのに私は、あの時代の清算をしていないのだ。という話。(写真:SuperT) 【人生の答え合わせ第2幕】 大学時代のゼミの同窓会の翌日、私はかねてから約束をしてあった別のふたりと昼食会をしていました。大学を卒業後30歳になるまでの間しばらく勤めていた学習塾の元同僚と先輩です。 二人ともずいぶん年を取ってしまい、元同僚の方は頭が禿げ上がって残った髪も白く、先輩の方は黒く薄い髪こそ残っているものの、杖をついていて歩くのにもままならない様子がありました。一日おきに透析に通っていると聞いてい…

  • 「雑多な、どうでもいい三つの話」~人生の答え合わせ②

    4年前に40年ぶりに行った同窓会、 コロナ禍を経てようやく再開された。 しかし期待した内容は少なく、 むしろ意外なところに収穫があった。という話。(写真:SuperT) 【同窓会の話題】 あの頃の私はどんな人間だったのだろう? 当時もその後も長いあいだ客観的に見ることのできなかった自分を、遠く離れた今の時点から見つめ直し、何と何が対応するのか対照してみる。具体的な、目に見える形でのあの頃の願いはかなわなかったにしても、本質的な意味での希望は実現したのだろうか、実現したとして何割程度達成できたのか、そういったことも確認したくて参加した同窓会でしたが、なにしろ顔を合わせての会は4年ぶり。互いの近況…

  • 「人とつるまない”しらけ世代”だが、最後は会って話をしよう」~人生の答え合わせ①

    大学のゼミ仲間との同窓会が、 コロナ禍のオンラインも含めて、ここ数年続いている。 本来はそれほど精神的紐帯の強い世代でもないが、 人生の最後、やはり会って改めて話そう――という話。(写真:SuperT) 【半世紀近くを経て始まった同窓会】 昨日は井の頭公園に行った話をしましたが、行ったのは公園の近くのイタリアン・レストランで大学時代のゼミ仲間と飲む計画があったからです。卒業以来長く続いた関係というのではありません。40年近く顔も見ない日々が続き、2019年の春、年賀状だけの関係からひとりが思いついて声をかけたところ、8人もの仲間が集まって関係が復活したのです。それが第一回のゼミ同窓会でした。 …

  • 「わが青春のイノカシラ」~見ていた風景が違う

    井の頭恩賜公園に40年ぶりに行ってみた。 カップルばかりだった公園が、 さまざまな人々に彩られている。 しかしそれは私の大きな勘違いのせいなのだ。という話。(写真:SuperT) 【三寺(高円寺・吉祥寺・国分寺)の彼方(あなた)】 学生時代は東京の中央線で暮らすことが多く、友人のほとんどが阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪を中心として、私たちが「三寺の彼方(さんじのあなた)」と呼んだ高円寺・吉祥寺・国分寺にいたため、自然とそのあたりで遊ぶことが多かったように思います。もう半世紀も以前のことです。 ふらっと友人を訪ねたのをきっかけに飲みに行くなら地元の阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪、きちんと約束して遊びに行くなら吉…

  • 「何も考えずに来られた幸せと厄介な老後」~年寄りは判断の要素に《終末》を加える②

    健康とは、身体のことを考えずにいられる状態 経済的豊かさとは、明日の生活費を計算せずに済むこと。 幸せとは、幸せを追求しないでいられる状況―。 いい人生だったが、終わらせ方は厄介――という話。(写真:フォトAC) 【成長の階段を上る人々、下る人々――】 現職のころ、子どもたちによく語ったのは、「キミたちは去年の今ごろに比べたら、ずいぶん身体も強くなり、心も豊かになり、そして知恵や知識もついて来たと、そんなふうに感じることができるよね。当たり前だよね。だから普通に行けば、来年はさらに身体が強くなり、心ももっと豊かになり、知恵も知識もずっと増えているはずだ――そんなふうに考えて間違いない。 でもそ…

  • 「死ぬ間際でもなくては困るもの、なくてもいいもの」~年寄りは判断の要素に《終末》を入れなければならない①

    築30年の我が家も家主並みに年を取った。 その修復はどこまですべきか――。 私も年を取って先行きが見えて来た。 修復は私にとって意味のあるものなのか―― という話。(写真:SuperT) 【家も年を取った】 前々から気になっていたのですが、自宅の裏に設置した灯油タンクに薄く赤い粉を撒いたような錆が浮かんできて、よく見たら隅の方では本格的に広がっている様子も見られました。おそらく錆を剥いで防錆材を塗布し、その上から塗装し直すのが一番の対応で、今からしておけばまだ20年か30年はもつものなのかもしれません。もっとも内部の様子は分かりませんから、案外腐食が進んでいて、外を塗り直す価値のないものという…

  • 「愛知は、10連休に、燃えているか」~先生たちは大型連休が嫌いなのに

    意外なことに教師たちは春の大型連休を嫌う。 せっかく作り上げた子どもの習慣が簡単に崩れてしまうからだという。 ところが愛知県は子どもにも教師にも、10連休を強く勧めている。 それぞれ自主的にゆっくり休めと――。大丈夫か? という話。(写真:フォトAC) 【GW:学校は10連休を我慢できない】 大型連休前半が終わり、カレンダー通りの人たちは今日から三日間、仕事に学業にと改めて励み。5月3日からの3連休でまた一息をついてと、そんな感じになるのでしょうか。今年は3・4・5日ががっちり土日にかかっていますからうま味も少なく、人によっては「落ち着いた生活ができるからいいや」という感じ方もあるのかもしれま…

  • 「今日も心病んだ教師のもとで、何十人もの児童生徒が不安定な教育を受けている」~東京都の新任教員の、20人にひとりが1年以内に退職した②

    最初から早々に辞めるつもりで入社してくる若者がいる。 教員はなかなか辞めない分、代わりに病んでいく。 今日も心病んだ教師のもとで、 何十人彼の児童生徒が不安定な教育を受けている。という話。(写真:フォトAC) 【最初から辞める態勢】 新年度早々、早くも辞める新規採用者が続出している。 中には4月1日に行っただけで退職代行サービスを使って退職した若者もいた。 しかも翌日には別の企業の面接を受けて採用が決まっている。 退職代行サービス会社の代表は、「新卒からの依頼は、去年4月は20件だったが、今年は、18日までで139件に。退職理由のほとんどが入社前と後のギャップ」と話している。 以上は一昨日(4…

  • 「たくさんの若者が消えていく社会」~東京都の新任教員の、20人にひとりが1年以内に退職した①

    昨年、東京都の新任教員の、20人にひとりが1年以内に退職したという 教員ばかりでなく、社会のあちこちで若者が神経をすり減らし、 叩かれ、潰されている。 いったい何が起こっているのだろう。という話。(写真:フォトAC) 【新任教員の20人にひとりが1年以内に退職した】 昨日付の朝日新聞デジタルに「東京都の新任教諭、4.9%が1年以内に離職 過去10年で最多」という記事がありました。 それによると昨年度に東京都が採用した新任教員のうち、169人が1年以内に退職しているのだそうです。割合にして4.9%。過去10年間で最多。ほとんどが自己都合による退職だったといいます――。 ここまでだったら、「ああ、…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、SuperTさんをフォローしませんか?

ハンドル名
SuperTさん
ブログタイトル
カイト・カフェ
フォロー
カイト・カフェ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用
  翻译: