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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • 夜の走行

    夜に浮遊していた魔法の絨毯が、信号の目の色をうかがいながらその下を抜ける。 都道七号線に入りひた走る、眩いばかり、聖なるひかりの都内。 前方に数珠繋がりのテールランプ。ふと気づけば停滞に陥っていた。 車道がゆっくり脈打つ。脈打って脈打つと脈が早くなってふたたび走り出す。 「次、左折です」とくりかえすナビによりマップ上にループが生じ、ひかりの波を渦と巻く。 明滅するひかりの波、さざ波あら波、波の満ち干きのなかに生まれる奇跡を求めて溺れあう。 円周率のまぼろしを見ながら走った、走り廻った、そんな今夜描いた円環がいま閉じられる。 星月の力のまにまに魔法の絨毯を降りる。静か

  • リカの面影

    持て余していた時間に思い出すだけのつもりだった過去、巻きもどすことができないと理解しても募り募ってくるあの子 あのとき好きだった子の名前はリカ、リカとリニアモーターカーの夢なども見た、どんな夢でも栄光のリアリズムだった 様々に満ちていた栄光は未だ実現していない、まざまざと見ていた記憶は脳裏に沈めるしかない、栄光なんか、エゴじゃないか 栄光よりも重要だと思われるあの恋、映画館横の渋滞を眺められるあの公園、秋のなかにいたと思う、はっきりさせるべくたどる 「ふりむくな後ろには夢がない」とかいう決め台詞、口だけで読了の甲斐もなかったやつのセンス、試されていた、騙されるものか 確か

  • 光景のアイランド

    光景のなかに、人類の手からこぼれ落ちた島があった。都会から島流しにされた男女たちが、その島にたどりついて自然とともに生活しており、亞里砂もそこにいた。 都会から島に流されるときはさみしくてならなかったのに、島ですごしていうるちに、亞里砂は帰りたいと思わなくなった。 島流しにされた男女たち毎日、海を泳いで魚を追い求めた。いつものようにみなで海で泳いでいると、亞里砂の泳いでいる近くに半分に割れた丸太が浮かんでいた。その上に立ってみると、天賦の才なのかも知れない、彼女は波乗りをたちまち覚えた。 調子に乗って燥ぎながら、波を背に海面をすべっていると、波のなかに幾つも見えていた魚た

  • Bye Bye Blackbird

    雨のなかであいつを思う、歩きながら哀愁を背負う、いっちまったな、汚れつちまつたよ、鳥が歩いている、あいつのように見える アーケードの下に「僕たちの失敗」の広告、バリケード封鎖の名残は恥ずかしい失態の露悪、ニヒリズム、生きている 五日市街道に出たら、古着屋地区のデルタ、バス停に突っ立ってみる、斜交いから現れたから乗る 雨をくぐる、すぐに降りる、雨に濡れる街なみを愛している、雨宿りの街っ子と相性がいいのである 街並みを染めるグレー、ロータリーは駅を飾る、脈打つように走るシボレー、高架線は道をかたどる 風上から流れてくる空きありのマンション、紙切れで流される空想のキャプショ

  • Round Midnight

    夏の終わりのここ、ぼくの知人の箱、補導されるぞと歩道にJKを出す、ほどほどに流れ出すDJの曲、しっかり覚えてしまっていた曲、うっかり思い出してしまった記憶 ディグられてまき散らされた音の結果、チクタクと巻きもどされた時の経過、散々オールするとまくし立てておいてとりやめにする、騒ぎと音楽を背にまとわりつかせてドアを出る 時計の針がさすのはVの字、都道七号線からの道のり、ジャワティを買ってあける、駐車場がらんどうにあいてる、高架下をくぐって自由に歩くか、轟音がするのは一〇時台の快速か 満月は蒼白かった、マンション群を歩いていた、とおる公園にいる恋人、とおく家屋の窓の音、テレビニュース

  • メルトメイズの入り口

    雲の流れの背後で月にあるあかりが沼の右半分を照らし、左手には燃えるガス灯が城のような白い建築物にあかるみを与えている。沼には小舟が浮かんでいて、彼と彼女が乗るその後ろで、レースをまとった女性がオールで舵をとっている。 小舟は泥のふちに向けて進んだ。みなもから赤みを帯びた蓮の花が顔をだしてふるえている。彼女が小舟から蓮の花を撫でると、ひらいた香りが鼻腔を打った。 小舟の突端が沼のふちにめり込むと、漕ぎ手の女が表情の失せた顔で指先を陸へ向けた。陸地へとまたいだ彼女と彼は、そびえる城のような建物のまえに立ち、それを眺め廻す。逆さまの剣を頂きに掲げる入り口がガス灯にゆらめいている。 仄

  • あさきゆめみし

    台風竜巻いて虎みたいに暴れている、大音量でドラゴン的風を起こしている、内側は平穏で戦いもなく乱れたりしないでいる、嘘みたく平成とかわりなくみな令和になじんでもいる 静かな絵たちとアンビエントライト、明るい部屋でもスタティックな色、シャーベットカラーがチャーミングポイント、壁紙の色はガーリーに見えるホワイト アロマ焚いて嵐を耳にする、書籍ひらいてあらすじをみている、香るネロリはシフォンの精油、誇る祈りのシモーヌ・ヴェイユ、如何なる奇跡が恩寵也し可、いまさら君の温度を感じた 魔法の絨毯、いや違う、浮かぶ室内、違う違う、彼女の思想は思索の果て、彼女の祈りは労働が糧、重力から逃れられると

  • 音楽、その道

    茶目っ気のあるブレザー着てはめられた高校一年目、チャールズ・ミンガスのプレイに殴られた登校の道で、いま思えばだが正しく殴られた、忌ま忌ましさから逃れて聴いていた、 夏休みもすでに終わったな、ふりかえるのももうやめらどうかな、大人になったが、子供であったし、かつては幼く、いまでも怪しく、道しるべをきたのだが、みちがえるほどではなく、 人生に文句はない、日常に文句がある、退屈が許しがたいらしい、ゲーミングなごまかしをているらしい、快楽が欲しいのではなく刺激が欲しいのだと、傀儡政権の手先がコーラのなかに仕込めと、 ILLコミュニケーションふたたび斬るカラオケージョンなパーティ、カラオケ

  • 君の住処へ

    ゆく先は東京側の千葉、すぐ近くの車窓の外、電光掲示板にショートムービー、自己啓発ですぐわかる人生だと、ファストなラスト、ファックだダスト、キックで遠く、線路は続く、終点までだが。 たどりついたら津田沼駅、だとしたらば船橋市、スマートフォンのチャージをためて、改札口のSuicaの祭り、つま先からふみだしてロータリーを眺めやる、つまらなくなるなよこの街といま一度思いやる。 次は秋にと約束していた女の住処、浮き上がるほど厄介なこの思いの在処、釘をさすけどただの友愛、首ひねってもただされないかい、ではなぜ吉祥寺から延々と、手放しで来てしまったのだええいままよと。 タクシーだとtwoメータ

  • 恋愛などで進行だとて

    夏は終われど、暑さ終わらぬ、少なくとも空まだ盛夏、ときめくのも素肌の裸、ひらめくのは海と空の境界、きらめくその上の道を航海 終わりなきときめきの心臓、怖がるなだって恋なんだろう、退屈よりましだろう、退屈に埋没を恐れ、ららららと口ずさんで祈れ、日常を暮らしを歌え 流れ流れてさかのぼる、海を川へとさらに山へと、見下ろすと街並みも広がる、見晴らしは絶景が彩る、磨いた大気を見る、ひらいた瞳孔で見る あの海からここにきた、また海へともどるのだ、山からダイヴして海辺の光景、やまないくたびれないのだこの憧憬、グライダー、GoodRider、耽溺、飛んでけ 内向的アバンチュール、口内炎に

  • 無意識のうえ意識的にしても

    背後にフロイトじっとしているかのように、虚空のフロント自由にかたるように、広がっていく小宇宙、ひそかな草原に夢中、森のなかの花園、なごみながら寝そべる、 まったく無意識で、うっかりうたた寝してた、音声認識メモ作動、見張られていた挙動、絵空事めぐる明晰夢、寝言までがメモられている、ふたしていた不必要な夢までを拝借、ふと思えばぶしつけなまでの解釈、 暗号の解読みたいだった、関係のないことみたいだった、「駄菓子屋の人体」、だがしかし診断、「惚れてて舞う身体」、それでもなお診断、それで分析できるのかと思ってしまう、そういう文明でもってきたという、 健全な不健全だったとの診断、石けんで洗浄

  • 誕生、希望、挫折、音

    誕生前夜を案じた心地で、環状線を安全運転、流す選曲、道に忠実、誕生石はターコイズ、一二月の約束はいつか薬指にとおす、 そうして誕生日から誕生してきた、躁みたく体感たかぶってもいた、そのように苦労を知らなかった、晴れ晴れしくも溌剌と朝日見てきた、 ノーマークのブランド、存在がブランド(なんてね)、脳天はぶれない、人生のプランはだがしかし、キメすぎないことだとしっかり、語ってみせるくちびるの赤、語り落としてく道筋も確か── 指先にトランキライザー、指折り服用を数えた、薬指にはターコイズの色あい、ゆく先を確かめる占い、結局は憂鬱、結婚の約束、いつしか薬で破局、 月は昇り切ってた

  • ヨハネスが髪を染める

    仄あかり程度にされていた部屋に座る私の向かいにヨハネスが座っていたから、色を頼んでみた。彼は一拍、思案する顔をしたが、色なら、と居間を見渡し右手で宙に波線を描き、指を鳴らした。 地味で暗い色をした居間に黄と青が広がった。こちらを覗うヨハネスに私が頷くと、ふたたび彼は指を鳴らし、黄と青を遠慮なく呼び込んだ。空間をはみでるかのように、至るところをひかりの粒で輝かせながら、目覚ましく広がる黄と、深みを持った青、赤も角からたれて、色彩は力を帯びていった。 私の指のアクセサリに乗ったひかりの粒たちが弾けあって移動している。ヨハネスのスリッパの先から見える裸足の爪先までそのひかりの粒はは

  • 彩りガム

    彩りガムというめずらしいものをもらった。色のついたガムで、青、赤、黄色、緑、紫、それ以上たくさんの色が各々のガムについている。 食べると味がある。それは、けれどもフルーツ味などではなく、色のみの味だった。つまり、味に色がついているのだ。 紫なら紫の味がして、緑なら緑の味がする。何の味がするの? 色味。共感覚の持ち主でなくてもその味の色はわかるようになっている。 複数の味を一緒に噛むと、当然ながら混ざった色の味になる。全部の色をいっぺんに口にしたら白味になって、黒味にはなることはない。 そんなめずらしいガムを祝いに一ダースもらった。冷蔵庫に入れないと色あせるから注意との

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