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2022/05/27

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  • 大捕り物帖

    先週、実家の2階トイレ付近に、10センチはあろうかというほどの大クモが現れた。足腰も太く、ヒトデほどのボリュームがある。「わ!クモ」というわたしの叫びに驚いたヤツが、開いていたトイレのドアから中にはいったのを見計らい、ドアを閉め、ヤツを閉じ込めた。そこまではいいが、以来、そのトイレが使えなくなった。さてどうしたものか。バルサンを焚いて中に差し込むか。ともかく折を見てどうにかしなくてはならない――。1週間ぶりにそのトイレの前を通るとなんと、ドアが半開きになっている。古い木造住宅のこと、建付けが緩くなり、風圧かなんかで開いたのだろう。果たしてクモは、そのまま中にいるのか、それとも脱出したのか。中を覗いて確認する勇気はない。不気味な気持ちをひきずったまま迎えた夜、食後なにげなく足元を見ると、黒いかたまりがススス...大捕り物帖

  • みんないいヒト

    平日午後12時半からのNHK朝ドラ『ちゅらさん』を録画している。2001年に放送されていたものの再放送である。堺正章さんやキャンディーズの田中好子さんなど、顔ぶれも懐かしい。ヒロイン恵理と文也が東京で出会い、結婚し、家庭を持ち、そしてそろそろ大団円を迎えそうである。この展開は、朝ドラの中の朝ドラ。おしまいには、すべての葛藤や仲たがいが解決されて、よかったね、となる。伯母は、「あんなにみんながうまくいくはずはない」と文句を言いつつ、それでも見ているらしい。姑と嫁、義理の親子、実の親子……。どんなに初めはもめていても、そのうちわかり合えるよね、朝ドラだもの、というような期待をもっている。朝ドラというくらいだから、キホン、1日の初めに見るのである。せめてドラマの中だけでも安心していたいのである。さて、再放送では...みんないいヒト

  • 早くも……

    実家に台風見舞いの電話をする。するとついでのように母曰く、「火曜日の〇〇さん、8月いっぱいでおしまいにしてもらうように、△△さんに電話しておいたわ」。〇〇さんとは、母を毎週火曜日に訪問してくれている看護師、△△さんはケアマネである。訪問看護ステーションの管理者、〇〇看護師、そしてケアマネさんが実家に勢ぞろいして、訪問看護の契約書を取り交わしたのは7月。母の体調に不安があったために、安否確認を兼ねて、わたしが依頼したのである。契約の説明中、母も、「そうね、そうね」と乗り気なお返事をしていたが、あとになって「何が始まるの」「何をしてくれるの」と、実は訪問看護について理解していなかったことがわかった。実際、訪問看護の時間は、バイタルチェック、脳トレや折り紙、軽いストレッチ、残りは専ら母のおしゃべりで過ぎるようで...早くも……

  • 椅子がきた

    台風接近による気圧低下のためか、何もしないのに(しないからか)、朝から腰が痛む。低気圧で頭が痛くなる現象を「台風頭痛」というらしいが、「台風腰痛」というのもあるかもしれない。「今日はお天気が悪いから神経痛が出てねえ」という高齢女性のセリフを、ドラマかなんかで見たような気がする。先日購入した椅子が届いた。11時から13時までにお届けします、と昨日ショートメールが届いた。台風接近の最中、到着が遅れるのではないかと思ったが、図ったように、11時2分ごろにインターホンが鳴った。(11時になるまでこの土砂降りの中、時間調整していたのではないかというほどのタイミングである)。あらかじめ組み立てまでをお願いしていたので、椅子の形を成した状態で狭い玄関先にそれは運び込まれた。梱包のビニールはびしょ濡れだが、しっかりと包ま...椅子がきた

  • 百閒先生ふたたび

    台風がうじうじといつまでも進まないので、天気図を見るたびにじれてしまう。後ろから背中を押したくなる。どっちに進むのかまだ決めていないらしい。このたびの台風はそうとう優柔不断なようだ。悶々と天気予報とにらめっこしていてもどうなるものでもなく、突如の大雨で電車が止まっても困るのでそれを言い訳に1日家にこもって本を読んで過ごした。内田百閒の『百鬼園戦後日記』を。百鬼園先生の作品に初めて出会ったのは『御馳走帖』だっただろうか。なにげなく書店で見つけて立ち読みして、買った。作家との出会いは不思議。誰かから勧められたというのでもなく、書店でなんとなく手に取って心惹かれて……というのが多い。きっかけについて記憶にも残らない。その時々のマイブームというのがあり、そのまま2冊目、3冊目と買い求め、ひととおり読み終わるとブー...百閒先生ふたたび

  • 夏の1日

    行きつけの美容院が閉店になったので、口コミの評判が良く、値段も安め、駅から近いという店を発見して行ってみた。駅前の新しくできたビルの中、階段を上った突き当りの店である。エレベーターに慣れていたのか、2階の階段がきつく感じられる。店の中には10席ほどあり、お客さんが老若男女合わせて6,7人ほど。それぞれにスタッフがついている。客層が若いので、少しいたたまれない。待っている間、あたりをきょろきょろ見回し、初めての客の雰囲気全開。今まで通っていた店が、ひとりかふたりのこじんまりとしたところだったせいか、賑やかに感じられる。真ん中の席に案内される。担当は若い女性である。初対面の挨拶がてら名前を教えてもらったが忘れてしまった。カラーの色だの、「前髪を切り過ぎないで」だの「髪の毛の量が多いうしろはボリュームをおさえて...夏の1日

  • たかが爪、されど爪

    父の両手の指が伸びている。訪問リハビリのスタッフがくると、「〇〇さん、爪が伸びてますねえ」と指摘するのだが、そのたびに父曰く、「うん。今日切ろうと思っている」。が、一向に切ろうとしない。もちろん家族にも切らせない。「身を切られそうで危なっかしい」のだとか。確かに以前、足の指を切ってあげたら、他人の爪は切りづらいことがわかった。だったら自分で切ればいいものを、「そのうちに切る」という身のない返事ばかりが返ってくるだけである。先日、訪問リハのスタッフに、「看護師さんに爪切りをお願いすることはできますか」と尋ねると、なんでも「爪切り」は医療行為なので、それをお願いするとなると、また別個に主治医の指示書が必要となるのだそうだ。現在、3か月に1度ほど来てくれる看護師は、あくまでも体調の聞き取りのために訪問するのであ...たかが爪、されど爪

  • ”あるある”な話

    「介護者のつどい」に参加した。先月は自分の居住地近くの地域包括センター主催のつどいに、今回は、両親のケアをお願いしている包括センター主催のつどいに参加してみた。長く住んでいた地域なので甘く見ていたらしく、駅を降りたとたん道に迷った。上り坂を無駄に歩くこと10分ほど。冗談ではなく、熱中症になるかと思った。駅に引き返してイオン飲料をがぶ飲みして体調を復活させてから再びセンターに向かう。ようやく着いたものの、今度は入口の場所がわからず、建物のまわりをぐるぐるまわったときなんか、もうこのまま帰ろうかと思った。で、ようやくたどり着いたつどいの場。前髪は汗で顔に張り付き、マスクの中はぐっしょり、メガネは熱気で曇り、必死の形相だったかもしれない。担当のスタッフは、以前、介護認定の契約の時にお世話になった男性だった。こう...”あるある”な話

  • 椅子と新札

    椅子を買いに行った。わたしの部屋には、椅子がない。1DKの部屋のこと、椅子なんぞ置いたら狭い空間がさらに狭く、足の踏み場がなくなりそうだからだ。食事は文机に置いて座布団に座って済ます。パソコンデスク用の椅子は、ベッドに腰かけて代用していた。が、ものの本や医師によると、腰痛にとっては、床に座るよりも椅子のほうがいいらしい。座面に深く腰かけて、背もたれに軽くもたれる感じが腰に負担をかけないとか。床座りでも、正座やあぐらなら悪くないらしいが、わたしはどちらも苦手。特に内またの人間は、あぐらが苦手どころか、全く不可能なのである。背に腹はかえられない。猛暑に足がすくんだが、電車に乗ってディスカウント家具屋に出かけたのである。お盆休みでさぞかし込み合っているかと思いきや、朝早い時間帯のせいか、意外にすいている。展示し...椅子と新札

  • 訪問看護その後

    8月。母の訪問看護が始まってひと月ほど経った。ことの発端は遡ること6月、それはエコー検査の日だった。夕食後、母が口をぽかんと開けたまま生あくびを繰り返している。「目の前が真っ暗になった」と言う口振りはろれつがまわらない。「これは絶対救急車でしょ!」と思ったものの、母は「救急車は呼ばんでいい」を繰り返している。様子を見ているうちに元に戻ったためその日は何事もなく終わったのだが、その様子に恐れをなしたわたしは、医師とも相談、安否確認と体調管理のためにケアマネさんに訪問看護の調整を依頼したのである。ケアマネさん曰く、「エコー検査のために食事を控えたりすると、時々そういうことがあるようですよ」。さすが、多くの事例を見聞きしている。全てが初体験のわたしは、何かおきるたびにおたおたする。様子見で構わないことと、急な対...訪問看護その後

  • はて?

    オリンピックのウェイトリフティングやスポーツクライミングの競技を見ると、ついつい「あんなに重いもの持って……」「足がめちゃくちゃ広がっているわねえ。可動域広くてうらやましい!」などと、腰に注目してしまう。というのも、数年来から徐々に痛み始めた腰の治療のために整形外科を受診したからである。「すべり症」と言われたのが数年前。その時から生活習慣を改めればよかったのだが、重い荷物を持ったり中腰で作業したりと、からだをいたわらなかったことを今さらながら悔いる。そういえば「腰」という字は月ヘンに「要」と書くではないの。その重要性に無頓着だった自分のうかつさに気がつく。一説によれば、内また・そり腰がすべり症の原因のひとつでもあるそうで、そういえば、子供のころからバリバリの内また・反り腰だったことに思いがいたる。「腰痛」...はて?

  • 逆上がり

    パリオリンピックも後半に差しかかった。テレビをつけると、メダルをかけた戦いが今まさに始まろうとしている場面にでくわすことがあり、そのまま結果が出るまで見続けてしまう。オリンピックにあやかったのか、小学校時代の体育の話に花が咲いている番組があった。出演していたゲスト曰く、「逆上がり、あれはなにかの役に立つんでしょうかね」そういえば、逆上がりは、「できるようになるまで何度も挑戦するべき課題」という位置づけにあった。今でも、スポーツの専門家が、逆上がりのできない子供に付き添ってみっちり指導する番組まである。くるりと回ったその瞬間をスローモーションで回想したりして、「たかが逆上がりなのに……」と思わないでもない。わたしは運動神経が鈍く、陸上、球技、水泳……ことごとく苦手だったが、遊び半分に馴染んでいたためか、鉄棒...逆上がり

  • 始まりました、パリ五輪

    パリオリンピックの開会式。さすがに夜中の2時過ぎに起きている元気はなかったので録画をして朝がた見た。段々空が暗くなっていく様子、最初は雨が降っていなかったのに雨音が聞こえるほどに雨量が増えていく様子など、外での開会ならでは。聖火を持った人が縦横無尽に走り回るので、彼とともに周囲の景色も変わり、いっしょにパリ市内を観光しているような気分にもなる。参加者はずぶ濡れになりながらも笑みを絶やさず、跳んだり跳ねたり歌ったりしているので、こちらは雨が降っていることを忘れるほど。よくよく見てみれば、髪の毛はぐっしょりと濡れ、ピアノもずぶぬれである。聖火の火が消えなかったのは不思議である。各国の選手団は船に乗っての入場である。(「入場」という言い方も、会場が固定されていないので少し違うかもしれないが)。小さなゴムボートが...始まりました、パリ五輪

  • 気づけば「介護者」になっていた。

    「介護者のつどい」なるものに初めて参加した。各地区の地域包括センターで月に1度程度実施されている。センターの職員がファシリテーターを務め、集まったかたたちが日々、介護していくうえでの困りごとや悩みをフリートークで話をする。医師が同席しており専門的な立場から助言したり、経験者がアドバイスしたりということもある。その日の参加者は男性3人、女性はわたしも含めて3人。登録している人は10人前後らしいが、家の事情などで参加できない人もいるらしい。その日わたしが、両親の状況や自分の立場などを自己紹介がてら話すと、ファシリテーターの職員が、馴染めるようにと気を使って話を振ってくださり、参加者のかたたちからはそれぞれの立場に基づいて感想や助言が返ってきた。皆さん、現在は配偶者の介護をしており、お年も60歳代から90歳まで...気づけば「介護者」になっていた。

  • いつ終わることやら

    非常勤職員として再就職してから約4か月。現在は、「災害時マニュアル」の改訂作業をしている。災害が起きたときの対応について、その手順や連絡先などが書かれたマニュアルである。どこから手をつけていいのかわからずに、ほぼ10年近く放っておかれたものらしい。いつ起きるかわからない災害よりも、目の前の用務が優先されるのである。実際に災害が起きたときに、この分厚いマニュアルをいちいち読んでいる暇や余裕があるかはともかくとして、あったほうが気持ちの拠り所にはなる。なにしろ、職場は陸の孤島のような場所にある。電車やバスがストップしてしまったら、頼みの綱は手持ちの防災倉庫、近隣の医療機関や、商店の類だろうから。この作業を、わたしのような週3日程度のお手伝い勤務の人間に任せるのは、業務量的にもぴったりだと踏んだようだ。さて、軽...いつ終わることやら

  • 再びマインドフル

    NHKの番組『あしたが変わるトリセツショー』を見る。以前この番組で、まぶたを5秒ほど温かいお湯でぴちゃぴちゃやるだけで目が潤うというのを教わり試したところ、目がすっきりとした。以来、興味のあるテーマの時に見ている。今回のテーマは「さらば!イライラ不安「新・めい想」」だった。新・めい想とは、近頃はやりのマインドフルネスである。めい想というと宗教っぽくて抵抗がある人もいるようだが、今や、企業や医療関係機関でも取り入れている手法らしい。わたしもかつて、関係の本を何冊も買って何度も挑戦した。それなのに、どういうわけか途中で挫折してしまう。雑念が湧くのはしかたがないらしいが、「今、ここ」に戻ってくるのが苦手なのだ。ついつい、先々の不安や考えに引っ張られてしまう。その方が自分にとっての「自然」なのだ。自分には向いてい...再びマインドフル

  • 訪問看護

    ケアマネさんと、訪問看護ステーションの管理者、担当看護師が実家の居間に集合した。母に対する訪問看護契約を結ぶことになっているのだ。時間的に、父の訪問リハとの入れ違いだったために、帰りがけのリハスタッフも入り混じって、部屋の中が一時騒然とした。管理者は男性看護師で、髪の毛を後ろに結んでいる。担当看護師はメガネをかけ、髪の毛を短く切りそろえた若い女性だ。偏見であるが、髪の毛を伸ばして後ろで結んだ男性に、「軽い」イメージを抱いてしまう自分がいる。初対面の挨拶のあと、名刺が渡される。母の体調の聞き取りにはいる。母のとりとめのない話が一段落ついたところで、わたしが最近の母の様子を要約して話し始めると、訪看管理者と担当看護師が一斉にメモを取り始める。脳梗塞の後遺症や、体重減少の話、ろれつがまわらなかったエピソードなど...訪問看護

  • 映画『九十歳。何がめでたい』

    映画『九十歳。何がめでたい』を観に行く。平日の昼間ということもあるが、ざっと見渡したところ、(ワタシも含めて)シニア料金対象の観客が多い。佐藤愛子さんの書かれた同名エッセイを、御年90歳の女優草笛光子さんが、愛子さんに扮して演じる話だ。エッセイを書くにいたった経緯を、唐沢寿明演じる編集者とのからみで描いていく。寝起きの白髪頭をそのままに「今さらどこにいくわけでもないのに」と美容院に行くのもためらい、人に会いたくない、どこにも行きたくない、何もやりたくない、と億劫がる姿は、実家の高齢親の姿と重なる。60歳を超えたわたしも、数年前までは、難なく腰が上がった行動や動作も今では考えるだけで億劫でげんなりとしてしまうことが増えた。ましてや90歳超えとなれば、それは想像すらできない。若い時にはさわやかさを絵に描いたよ...映画『九十歳。何がめでたい』

  • 朝ドラふたたび

    東京都知事選もあと1週間。候補者50人以上、経歴紹介を見ているだけでも時間が延々と過ぎて、誰が誰だかとても覚えていられるものではない。奇をてらった登場のしかたや主張も次から次へと続けば、もはや珍しくもない。それでも、今度はどんな人が出てくるんだろう、と興味が湧いて、つい見てしまう。しかしその中身たるや、都のボスを決めるものとはいいがたいものも多い。たぶん、あのおふたりの戦いになるのだろうな、と予測しながら、彼女たちを盛り立てる余興のように思えてしまう。「NHKにもの申す」の候補者たちも、当のNHKの政見放送に出演しているというおかしな具合になっている。さてNHKといえば、朝ドラ『虎に翼』も折り返し地点にさしかかった。毎回録画して見ているのだが、何度も繰り返して見てしまう場面がある。寅子の学校時代の友人梅子...朝ドラふたたび

  • 値上げ

    郵便料金が10月より値上げするらしい。単価は安いが、上げ幅はかなりなもの。ハガキが85円とは、いっきに今までの封書並みである。需要の落ち込みによるものだそうだが、これでは益々「郵便離れ」が進んで、かえって逆効果かもしれない。年賀状もしかり。数年前に年賀状仕舞いをしたものの、一部の親戚には送り続けていた。しかしこうなってくるとそれもおぼつかなくなる。あの人には出すか出すまいか、数枚の年賀状を前に、相手を値踏みしているような気分になりそうで、そして毎年来ていたものが来年度から急にこなくなると、相手からも値踏みされたような、ぎすぎすした心持になりそうでもある。値上げ

  • 映画

    退職したら好きな本を思い存分読んで、俳句の教本もまた初めから読み直して独学するぞ!といきまいていたものの、いざ時間ができても、目の力・集中力・持続力が気持ちに追いついていかない。目薬をさし、目を休めながらでも午前中の3時間ほどがいいとこ。かえって時間が限られているほうが、集中力が増すようでもある。2時間もののDVDをぶっ続けで視聴するのも、かなりハードルが高くなってきた。日本映画ならまだいい。外国ものだと、登場人物(特に男性)の見分けがつかない。名前の違いがわからない。よって、初めの15分ほどは、わけがからないうちに過ぎてしまう。ようやく話についていけるようになってくると、最初のあの場面に何か意味があったのだろうかと気になって巻き戻して観るものだから、時間がよけいにかかる。最近では、それがわかるものだから...映画

  • 閉店なり

    美容院に行く。カラーをしながらスタッフさん、言いにくそうに小声で曰く「実は7月いっぱいで閉店することになりまして……」本店のスタッフが足りなくなったので、ここを閉めてそちらに移るように要請があったそうだ。彼女たちにしても、それを知ったのが5月の連休頃らしい。「あまりに突然で……。お客さんにご挨拶のお知らせを送るのにてんやわんやなんですよお。こうしてお会いしてお知らせできてよかったです」と彼女。行きつけの店というのは、これからもずっと続いていくものだと思っていた。そこにはなんの根拠もない。ないのだから、こうした突然のできごと(っておおげさだが)は当然起きる。そして少なからず動揺する。いつもそうだ。美容院に限らず、かかりつけのクリニックや飲食店もしかり。彼女に付いて本店に行くお客さんもいるらしい。さて、どうす...閉店なり

  • 視野検査

    半年に1度の視野検査を受けた。痛くもかゆくもないが、緊張する検査である。1点を見つめたまま、周囲に白い光が見えたら手元のボタンを素早く押す、という理屈は簡単なものではある。が、白い光につい焦点がひきずられてしまう。なにより問題なのは、「あ、見えた」と思った瞬間、すぐさま手が動かずに押しそびれてしまうことがままあることだ。そうした誤差も考えて作られている検査だそうだが、「さっき、見えてたのに……」という思いをひきずってしまい、つい、次の光に対する反応まで鈍くなる。もぐらたたき、あるいは瞬発力をみる検査のようにも感じられる。聴力検査もしかり。ぴ、ぴ、ぴ、という音が聞こえたら手元のボタンを押すのだが、「ん?今のは」と思っているうちに音が途絶える。結果は異常なし。まあ、それがわかればひとまず安心だが、もう少し認知...視野検査

  • 朝ドラ

    午前8時から放送しているNHKの朝ドラ「寅に翼」と午後から放送の「ちゅらさん」を録画して見るのが習慣となった。いずれも途中からのエントリーだが、見ていると、それなりに筋が追えるようになってきた。「寅に翼」の主人公、伊藤沙莉さんは、テレビドラマ「女王の教室」で小学生役として出演していた。雰囲気やハスキーな声質は当時と変わらないが、あの時の小学生がもうこんなに大きくなったのね、と思う。石田ゆり子さんもしかり。はかなげな雰囲気はそのままに、お母さん役として登場するようになったことを思えば、こちらも年を取るはずである。描く時代が時代なら避けて通れないが、ドラマの最中に太平洋戦争がはいると、とたんに悲劇じみてくる。ある日突然、召集令状をもって玄関先に立つ男性。そのあとは、皆が家の前に並んで「ばんざーい」と叫ぶ。そう...朝ドラ

  • 朝ドラ

    午前8時から放送している「寅に翼」と午後から放送の「ちゅらさん」を録画して見るのが習慣となった。いずれも途中からのエントリーだが、見ていると、それなりに筋が追えるようになってきた。「寅に翼」の主人公、伊藤沙莉さんは、テレビドラマ「女王の教室」で小学生役として出演していた。当時と雰囲気やハスキーな声質は変わらないが、あの時の小学生がもうこんなに大きくなったのね、と思う。石田ゆり子さんもしかり。こんなに大きな娘さんを持つお母さん役として登場するようになったことを思えば、こちらも年を取るはずである。描く時代が時代なら避けて通れないできごとだが、ドラマの最中に太平洋戦争がはいると、とたんに辛気臭くなる。ある日突然、召集令状をもって玄関先に立つ男性。そのあとは、皆が家の前に並んで「ばんざーい」と叫ぶ。そういう光景が...朝ドラ

  • いざ鎌倉へ

    鎌倉へ行く。何か用事があったわけではないのだが、敢えていえば散歩。仕事にも慣れて、暖かくなったらいずれ……と思っていたらもうすでに夏も間近。いつでも行けると思っていると、なかなか腰があがらないのである。外の景色をぼおっと見ながら(時々考え事をしつつ)乗り物に乗るのが好きである。今日は40分ほどのバスの旅。着いたら、駅前すぐ左側にあるコーヒショップでモーニングセットを注文。薄焼きのトーストがとてもおいしい。トーストはシンプルだが(シンプル過ぎて)、これはおいしい!と思う店が意外に少ないように思う。平日とあってバスは空いていたが、鎌倉の町は修学旅行生や外国人の旅行者でぎっしり。修学旅行生をターゲットにしたと思われる食べ歩き専用の露店がそこかしこに出店している。中には、ひとつ600円以上のおまんじゅうまである(...いざ鎌倉へ

  • 倉庫整理

    近い将来、事務所が移転するということで、閉所に向けて少しずつ動き出している。新しい事務所内の配置の打ち合わせや、市役所との調整、現在ある物品の整理などなど。末端のわたしが受け持つのはもっぱら、不要物品や書物の廃棄である。昭和や平成の時代に発行された資料や年報などが、誰にも顧みられないまま、ただ並べられて、書棚はほぼ満杯状態である。昭和38年、40年発行などという年代ものもある。横浜博覧会の実行委員会が作成した冊子はずっしりと持ち重りがする。当時の写真や苦労話などが掲載されており、相当費用がかかったのだろうなあというような代物でもある。平成、というとつい最近のような気がするが、元年はすでに30年以上も前である。たまに、資料を職員に回覧した用紙がくっついたままになっていることがある。そこには、わたしが20年前...倉庫整理

  • マスクの話題再び

    大型連休後半。週3日勤務でもやはり休みはうれしい。とはいえ、どこもかしこも込み合っているご様子。近所に散歩に出てみると、ほとんどの人がマスク無しである。職場でも、新年度からマスクが「任意」となった。昨年度までは医療機関に準じるということで、マスクは必須アイテムだったのだ。とはいえ、実際にマスクをはずしている職員は見かけない。やはり皆さんが「一、二、の三」で足並み揃えてはずさないと、自分ひとりだけというのは、勇気がいるのだろう。夏場になって暑くなればひとり、ふたりと増えていくだろうか。わたしは今の職場にいる今年度はマスクをはずさないつもりである。皆がはずすから敢えてはずさないのである。ウイルスは消滅したわけではない。なんだかキョーフ心と習慣が身についてしまった。しゃれた型や色合いのマスクも増えた。さらに、皺...マスクの話題再び

  • 電話交換

    再就職してからひと月が経った。むずかしい仕事はないが、簡単な仕事ほど体力を使うことがわかった。コピーを取ったり、健康診断の希望項目を聞きに回ったり、福利厚生のパンフレットや郵便物を配ったりという、ひとつひとつの作業量はたいしたことではないものが、塵も積もればなんとやらで、1日の終わりにはちょっとした運動量になる。電話交換のスタッフが休みの日には、その業務も受け持つのだが、わたしはこの電話交換業務が好きであることにも気づいた。電話応対が好きなのではない。あくまでも「交換業務」。電話は何を差し置いても優先される。「〇〇さんお願いします」と受話器の向こうから声がする。遠くのほうで同僚と話している〇〇さんが見える。電話をつなぐ。すると〇〇さんは(当然のことながら)話をやめて電話に出てくれる。その優先性がどういうわ...電話交換

  • 口癖

    「どうせなら」。これは父の口癖である。それが母にとっては気に入らないらしい。どうせ、という言葉には、どこか投げやりなニュアンスが含まれている。弁護するわけではないが、これは、「どうせ、わたしなんか」のように、ひがんだ「どうせ」ではなく、「せっかくなら」という意味で言っていると思っていたので、母に言われるまでそのネガティブ性に気がつかなかった。しかし、母と同じように感じる人もいるだろう。親子の口癖は似る(と思う)。これまで、「どうせなら」という言葉が口を突いて出ようとするたびに、「せっかくなら」と言い換えるようにしていた自分にも気がついた。口癖というもの、本人は自覚しないで口にしていることが多い。相手がどう思うかについて、案外無頓着だ。人によって、受け取り方もさまざまである。年下の同僚に、「さっきも言いまし...口癖

  • 折り返し

    退職したという実感のないまま、今月も折り返し。3年連用日記の予定表欄。今年の3月の欄に「ゴール」の文字を書き、ひと月終わるごとにシールを貼って退職日までを待ち望んでいた。その3月ももうとっくに過ぎてしまったというのに、同じように生活は続いている。いったいなにをもってゴールとしていたのか、何を目指していたのか、こうなってくるとよくわからない。仕事内容は大幅に変わったものの、同じ庁舎に足を運び、弁当当番をこなしている。しかし見える景色は変わったかもしれない。部署が変わったのだから席から眺める景色が変わるのはあたりまえだが、回りを見回す余裕ができたというのだろうか。下っ端の立場上、とばっちりを受けることはあるが、振り回されることがなくなった。課どうしで繰り広げられる”責任”の押し付け合いにも巻き込まれることもな...折り返し

  • 2週間

    新たな職場で働き始めて2週目が終わった。たった6日働いただけだが、月の半分が終わったことになる。週3日勤務といえば少なく聞こえるが、体力的にはいっぱいいっぱいであることがわかった。来客があるたびに、席から立ち上がって窓口に向かう。たいした距離ではないのだが、積み重なればちょっとした運動量になる。郵便物を受け取る、庁舎案内をするといった程度のものならお安い御用だが、「どこそこの鍵を貸してください」となると、そうはいかない。じゃらじゃらとたくさんの鍵がぶらさがったキーボックスから、お目当ての鍵を探し出すのはことのほか難儀である。部屋の名前を書いてある文字も見づらい(というか、こちらの視力がおちているのである)。どこの鍵がどこらへんにぶら下がっているか、見当がつくようになる前に退職日を迎えるかもしれない。さらに...2週間

  • 1週間

    4月1日。辞令を受け取る。月・火・水の、週3日勤務である。ぎりぎりまで勤務先が決まらない役所の常としてやきもきとすることもあったが、結局、今までと同じ職場の、別の部署に席を作っていただいた。20年近く前に、常勤職員として在籍していた部署である。3月までは、感染症が起きるたびにバタバタと煽られたが、このたび配属になった部署は庶務課なので、比較的落ち着いてルーチンワークにいそしむことができるかもしれない。さらに職責が軽くなるというのは、実に気が楽であるということにも気がついた。新年度のフォルダのラベル張り、郵便物の仕分けと配布、レジ、マニュアルの校正作業など、こうした単純作業がわたしは好きなのである。まわりからは、引退した高齢女性がお手伝いに来ているような感じに見られているかもしれないが、職場も変わらず、(よ...1週間

  • 春の嵐

    29日は、退職式だった。なんの因果か、朝から暴風雨が吹き荒れ、雨は横殴り。傘をさして外に出るや否や、傘はおちょこに。電車が遅れては、と1時間ほど早く家を出たが幸い交通機関に影響はなく、会場の前の店で朝食をとりながら時間調整。店の大きな窓から外を見ていると、風雨ますます強まり、折れて無残になったビニール傘が、横断歩道を吹き飛ばされていく。植え込みの花が、半分ほど水没し、高いところに飾られた植木鉢の花も雨の勢いに押されてひしゃげている。目の前の会場が遠く感じられる。集合時間がせまっても雨風の勢いはいっこうに弱まる気配もないので意を決して外に出る。会場は、本庁舎3階の大会議場である。31年前に入庁式が行われた場所だ。外の嵐とは一転、静かな雰囲気が漂っており、式典の準備が着々と進められている。退職者もポツポツと集...春の嵐

  • ご褒美

    久しぶりに電車に乗って繁華街に行く。以前、たまに出かけていた店でモーニングセットを食べるためである。そこの朝食が特別おいしいというわけではないのだが、懐かしさと、「行ける」というのを確認するために、わざわざこんなふうに、訪れてみたくなることがある。来店前の期待が大き過ぎるために、「ふうん。まあこんなもんでしょ」という感想を抱いて店を出ることになるのだが、とりあえず「行った」ことでやや満足する。帰りにデパートの地下を徘徊する。ス―パーの品ぞろえに慣れていた目には、ちょっと高めのお菓子やケーキが目にまばゆい。いちごが旬を迎え、あっちにもこっちにも、つやつやとした苺の乗ったショートケーキが花盛りである。「ひとつ買っちゃおう……」3時のおやつにしてはちょっと値のはるお菓子を買う時には、自分を納得させる”言い訳”が...ご褒美

  • 最後の出勤

    今月末が退職日だが、せっかくなので(って何がせっかくなのだかわからないが)、年次休暇を消化すべく本日から休暇をとることにした。そのために、今日が常勤職員としての最後の出勤日である。ならわしとして、最後の日には、副所長が音頭を取って皆さんの前で、紹介をしてくださる。こちらも「お世話になりました」とかなんとか儀礼的な挨拶をする。今回のように中途半端な日には、ひとりだけの挨拶である。4月から、公の機関に週3日ほど、非常勤のような形で再就職するのだが、内示が出ていないので、はっきりと挨拶に盛り込むことができない。そのため、「4月以降、どこかでお会いするかもしれませんのでお願いいたします」などという、もったいぶったような、思わせぶりな挨拶となった。電話交換業務の職員からは、ハンドタオルを。同じ課の男性がたからは、チ...最後の出勤

  • 命の選択肢

    父がおなかを壊して救急病院に運ばれた。症状はたいしたことがなかったのだが、トイレに間に合わなかったことで母が動転してわたしに電話をしてきた。「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」という声を聞いて、わたしも思わず「救急車を呼んで」と言ったのが発端だった。病院に運ばれると、流れとしては検査となる。レントゲン、尿検査、血液検査、CT……。最近は、初めに、コロナかどうかも検査するので時間もかかる。搬送されたのが夕方だったせいか、帰宅したのは夜中になった。翌日、同じ病院の消化器内科に行くと、女医さんがはきはきとした口調で、「おそらく腸炎だと思いますが、確定診断とするためには、除外診断として、大腸内視鏡検査が必要です」ときっぱり。いろいろ質問する余裕もなく、てきぱきと話を前に進めていく。その勢いにおされて、同意書を書いて...命の選択肢

  • まくら投げ

    「まくら投げ」の全国大会が行われたそうだ。布団に寝た状態から始まるところや、「先生が来たぞー」というひと声で、散らばったまくらを自分の陣地にかき集める”タイム”を取れるところなど、見ていて笑ってしまうユニークなアイデアの競技だ。ドッジボールが正式種目になったのを見た時は、あまりのボールの速さ、真剣な表情に引いてしまったが、このまくら投げ競技は、是非「シニアバージョン」の大会を設けてもらって参加したいと思った。まくら投げをやったのは、高校の修学旅行。萩津和野から九州の長崎あたりまでの関西・九州方面への旅行だった。海底トンネルができたばかりの頃で、新幹線の窓から魚が泳いでいるのが見えると信じていた同級生がいたっけ。おしゃべりは苦手だったので、わたしの夜の楽しみは、まくら投げだった。同室の同級生の中には、もうそ...まくら投げ

  • 生き続ける

    若い職員に仕事の引継ぎを行った。退職まで秒読み。日記帳の、年間スケジュール欄にひと月に1枚ずつシールを貼って退職までの日を待ち焦がれていたが、あと1枚となった。となると、かなり名残惜しくもなってきた。コロナ禍の最中はあまりお役に立てなかったが、通常業務になって元の仕事がもどってきたとたん、わたしにも彼らに教えられる仕事がそれなりにたくさんあったのだな、と改めて思う(まあ、6年も同じ部署にいたのであたりまえだが)。本庁からは退職手続きに必要な書類が一括して送られてきた。3月20日からは有給休暇を取って少しのんびりしよう……。4月からは週3日ほど働きたいと思っているがそれもどうなることやら。職責は軽くなるが、反面、それ以外の気がかりなことはどんどん増えていき、ともすると、気持は重くなっていく。それでも生きてい...生き続ける

  • 映画鑑賞

    映画『PERFECTDAYS』を見る。役所広司さん演じる清掃業員の男性の日常を描いた作品である。「今、この瞬間が大事」、という最近はやりのテーマが込められているようだ。なにごともないような日々の繰り返しに見えても、全く同じ日はない、というようなメッセージも……。石川さゆりさんが出てきて急に歌いだしたり、三浦友和さんが役所さんと”影踏み”したりと、確かにキャストを見ると、それだけで十分変化に富んでいる。「今度はどうなるんだろう」と思って見ていると、エンドロールが流れ始めて、ちょっと拍子抜けがした。そうかといって、退屈というのでもなく、あっというまの2時間だったので、日常の、ちょっとした変化の演出に工夫があったのかもしれない。あまり起承転結を期待し過ぎてはいけない作品のようだ。映画鑑賞

  • エッセイ集

    懲りもせず、3冊目のエッセイ集に挑戦することになった。思いついたのは昨年11月末。12月には契約をして、完成原稿とは程遠いデータ原稿を送ること2か月。「本格校正」というオプションをつけてもらったら、これがまた細かいところまで表記の統一をチェックしてくださり、いかに自分が表記というものに無頓着だったかがわかった。さらに、言葉についての思い込みも多い。(メリーゴーランドは正しくは、メリーゴーラウンドなんですってね!)。朝4時に起きてせっせと校正。読み直すたびに修正箇所が見つかる。読み返すたびに、自分の生き方に向き合うことになり、逃げだしたくなる。モチベーションを上げ、どんより気分を盛り上げるために、控えていた珈琲に頼らざるをえなくなった。そして通勤時間になると、今日はここまで、と救われた気分になる。……の繰り...エッセイ集

  • 先日は天気予報が珍しく?当たり、久しぶりの雪となった。慣れない雪と風に、傘を持つ手に力がはいり、家に着くころには肩がガチガチに凝った。そんな中、自転車に乗っている人もいる。コワイコワイ。夜半には降り方も激しくなり、空の色も怪しく赤みを帯びて見える。なんといっても雪はぬくぬくとした部屋から眺めるのが一番いい。近所は車や人の通りが多い。翌日にはあっけなく溶けた。雪が純粋に楽しみだったのは小学生まで。雪の朝、「今日は雪合戦だってえ!」と職員室から伝令があると、歓声を上げて校庭に飛び出した。寒さなんか感じなかった。運動神経が鈍い割には、あのような”合戦もの”が大好きなのである。坂道の多い町に住んでいた頃は、雪の降った翌朝、「ドサッ」という音を背後に聞きながら凍った道を駅に向かった。足元に集中しないと自分も転びそう...雪

  • 確定申告

    医療費控除の申告をするために税務署に行った。大きな病気はしないものの、年々、医療費がなんだかんだとかさむようになってきた。特に、昨年はぎっくり腰やら眼科の定期診察で、大幅増となった。年を取ることはお金がかかること、というのはよく耳にするが、その手前にさしかかっている。この時期はまだ確定申告には早く、還付申請だけの受付なので、比較的空いている。これが本番を迎えると、説明を聞きながら申告書を作りたいという多くの高齢者で庁内はぎっしりと埋まる。なぜ税金の仕組みや申告書の書き方というのは、あんなにフクザツでわかりづらいのだろう。本格的に勉強しないからかもしれないが、その労力に見合うだけのメリットもなさそうだ。で、気がついた。今年までは職場で源泉徴収がされ、確定申告も職場経由だった。来年からはそれがなくなる。もしも...確定申告

  • 久しぶりのドラマ

    NHKドラマ『作りたい女と食べたい女』を見ている。1回が15分と短いのだが、最近はこのくらい短い方が気軽に楽しめる。(3時間スペシャルなんて番組もあるが、そんなに長い間テレビを見続ける気力根気はすでになくなった)。さて、このドラマは作るのが好きな女性と食べるのが好きな女性の話、と言ってしまえば身もふたもないが、”いいなあ、こういう関係”と思わせるものがある。それだけでなく、場面場面で、さりげなく「常識」というものに???を投げかけてくる。女性は定食屋さんでは小盛りを食べるのが普通?週末や、クリスマスを同性の友人同士で過ごすのはおかしい?年末年始は実家に戻るもの?一人前ってそもそも決まっているの?女性は愛想よく話さなくてはいけないもの?などなど。「普通」とされているものからはずれていても、自分(たち)が楽し...久しぶりのドラマ

  • 健康診断

    年に1度の健康診断に行く。受診項目ごとに、効率的な流れ作業になっていて、受診者も番号で呼ばれる。スタッフは皆忙しそうな早歩きで、もしかしたら、午前中に終わらせるというノルマがあるのかもしれない。健康診断の中で1番緊張するのが視力検査である。結果が悪いとわかっている検査ほど、憂鬱なものはない。筒(のようなもの)を覗くと、そこには大きさがさまざまな輪っかが並んでいて、明るく照らされた輪の切れ目を答えるというシンプルなものだ。大きい輪っかのうちはいい。自信を持って「右!」と答える。しかし輪が段々小さくなってくると、切れ目もおぼつかなくなってくる。「右?」と、つい尻上がりな疑問形の発音になる。そこでスタッフが無言だったりすると「左……」などと言い直してしまい、「左に見えますかあ」などと返ってくると、そこでまた「下...健康診断

  • 蛍光灯

    住んでいる部屋の蛍光灯が切れた。1本切れていたのは気づいていた。が、それほど暗さを感じなかったのでそのまま放置していたのだが、2本切れるとさすがに暗い。天井が高いので、脚立に乗り、上を向いたまま四角いカバーをはずし、中の蛍光灯を取り替え、そして再びカバーを取り付けるという作業は、チビで腕力がないわたしには無理というもの。まずはシルバー人材センターに電話をする。すると、「スタッフは70歳を超えているので、高所での作業はお断りしております」と言われた。高所っていったって部屋の天井なんですけど……。以前平塚に住んでいた時、シルバー人材センターに頼んだら「高齢なのでふたり体制で来させてください」と言われた。料金もふたり分かかったのは仕方がないとしても、脚立があるのに、汚い?靴下のまま、ベッドにずかずか乗っかって、...蛍光灯

  • いらっしゃい、辰年

    机の上に小さな12支の置物がある。うさぎ年を迎えるや否や、座布団の上に主役のうさぎを置いたが、その後、丸1年の間、ゆっくりと愛でる暇もなく、あっというまに「辰」にその座を譲ることになった。こんな調子で今年もあっけなく過ぎてゆくのだろう。平穏な時間、いつもと変わりのない日常が大切なのだろうな、というのは、テレビのニュースを見ていると感じることの多い昨今だが、なかなかそのありがたみを感じにくい自分がいる。「偶然そこにいた、いなかった」ということの重大性にも思いを馳せる年明けとなった。今日は近くのドラッグストアまで買い物。プチ、達成感とでもいうのだろうか。腰が痛い、寒そうだわ、となんだかんだいったって、わたしはショッピングカートいっぱいに食料品やら日用品やらを詰め込んで帰ってくるのが好きなようです。今年もどうぞ...いらっしゃい、辰年

  • さよなら、うさぎ年

    実家に頼まれて門松を買う。早いとは思ったが、昨年は30日にはすでに売り切れで手にはいらなかった。スーパーの入り口からは、クリスマス仕様の飾りつけがすっかり取り払われ、代わりに正月の和飾りやら、門松、しめ縄などがぎっしり並んでいる。今年は1月になるや否や、うさぎ年だ!年女だ!還暦だ!と勢いこんだものの、過ぎてみれば実にあっけなく、だからどうした!というように、尻すぼみに終わりそうだ。これがつまり、年賀状によく書く「穏やかな1年」だったということなのだろうか。だとしたら、穏やかな1年はありがたいかもしれないが、面白いものではない。日記の月間スケジュール欄に、ひと月に1枚ずつシールを貼って、卒業=退職の日までを待ち望んでいたのだが、半年を切るころから多少名残惜しくもなってきた。毎年あたりまえに用意されていた「居...さよなら、うさぎ年

  • 待ち合わせ

    先日、友人と忘年会を兼ねて食事をした時のことである。待ち合わせ場所は、地下鉄A駅のB側改札口に、午後6時である。いつものことながら早めに着いたわたしは、「どの店がいいかなあ」と改札口近くの飲食店街をぶらぶら物色した。5時40分。彼女も早めに来れそうだと言っていたので、改札口に立って待つ。電車が到着するたびに、大勢の人が吐き出されてくる。彼女がいないかと目を凝らす。なにしろ、メールのやりとりだけで、10年近く会っていない。しかも、マスクを付けている人も多く、人相がわかりづらい。5時50分着の電車も空振り。5時59分着の電車が到着しても彼女は現れない。代わりに、見知らぬ同年輩の女性がいきなり駆け寄って来て、「あら、ごめんなさい!友達とそっくりだから」と言われる。それなのに肝心のわたしの友人はやってこない。「こ...待ち合わせ

  • 顔が見えない

    コロナ禍が去っても、オンラインを利用した会議や研修、テレワークは継続中である。あまり機会がないせいか操作方法を覚える暇もなく、そのたびにオタオタとする。中でも苦手なのが、スカイプを使った会話。早いタイミングで、ついエンターキーを押してしまうので、未完成の文章が先方にとんでいってしまう。中途半端な漢字変換のままだったりして恥ずかしい思いをすることもある。先日は、年末年始の当番をどうするかのやりとりをしていたら、白熱してしまい、あっちが入力したらすぐさまこちらが入力し、そしてまたそれに応えて相手がすぐに入力するという言葉の応酬になり、まるでシューティングゲームをしているような雰囲気になった。言葉だけ見ると、まるで売り言葉に買い言葉のケンカをしているかのよう。相手の表情が見えないので、怒っているように思えてくる...顔が見えない

  • はまる

    たまに行く銀行のATMコーナーに、俳優織田裕二さんの警官姿を等身大のヒト型にして立てかけた看板がある。写真とはいえ、はいったとたん、視界の外に彼が映るといつもぎょっとする。誰もいないと思って入ると、なおさらである。サギ被害防止のためのようだが、さて、効果のほどはどれぐらいあるのだろうか。そういえば、彼の主演していた『外交官黒田康作』シリーズにはまったのは最近のこと。とっくにテレビ放送が終わり、DVDになってからそのシリーズの存在を知ったのである。それからは、TSUTAYAにせっせと通い、次から次へと借りまくった。『冬のソナタ』も、とっくにブームが去ってから冷やかし半分に借りてみたら、これもまたみごとに熱中した。ヨン様は特にどうということはなかったが、次はどうなるんだろう……というようなところでいつも終わっ...はまる

  • うろうろ

    何か月ぶりかの出張である。地下鉄の駅を出ると、「目印」だと教わった大きなビルがそびえたっている。やれやれ着いたと思ったのも束の間。目印のビルの周りには、たくさんの建物が建っている。え、いったいどれが目的の建物??結局、あっちにこっちにと歩き回り、やっと見つけた町内地図を頼りに見当をつけてたどり着いた。目的のビル名を見つけた時のうれしさといったら!あれほど心細くうろついたのに、「ちゃんと来れるじゃないの」と気分も復活。これが駅から10分も15分も歩くのだったらともかく、徒歩3分の距離なのである。以前、駅から徒歩2分で着くはずの場所に20分かかって到着したことがある。全く正反対の方に歩いていたのである。年々、初めての場所に行くのが億劫になってきた。団体旅行の自由時間で、時間いっぱい楽しめないのは、集合場所に無...うろうろ

  • そろりそろりと

    退職前6か月をきった。職場では、若い人への引継ぎを。実家では両親から引継ぎを。身辺が終わりに向けて動き始めた。コロナ禍以前の事業内容について知っている古株がわたしを入れて数人しかいないとなると、それなりに重宝されるようにもなった。かと思うと、電子決裁などという新たなやりかたにオタオタしてしまい、もう限界!などと思ったりもする。日記の月間スケジュール欄に、ひと月終わるごとにシールを貼って、退職を心待ちにしていたのだが、半年をきったあたりから、名残惜しい気持ちも湧き上がるようになった。自然に囲まれた職場の風景や、お気に入りの音楽を聴きながら通った通勤電車、人々が立ち働く事務所内の雰囲気、自分の席、そして抜かりなくこなしたお弁当当番^^……。3月末をもって、それらから、いっぺんに引き離されるというさみしさ。定年...そろりそろりと

  • 捨てられない

    わたしが衝動買いをしてしまう物には、その模様や柄に、目や鼻、つまり「顔」が付いているものが多い。先日、通りすがりにはいった店に置いてあった布製のトートバッグ。このテの袋はなにかしら持っているのだから必要もないのに、つい買ってしまったのは、目と口の付いた、おにぎりたちが描かれていたから。海老天やいくらを頭に乗せたり、梅干しが真ん中に書かれていたりするおにぎりがこちらを見て笑っている。スーパーに行くと、新発売のシーフードヌードル「イカまみれ」が目についた。文字通り、イカがいっぱいはいっているのだろうが、パッケージには、顔のついたイカの破片がぎっしり描かれている。顔といっても目と口だけなのだが、なんだかかわいい。カップの下のほうには注意書きとしてご丁寧に、「イラストはもちろんイメージで、実際とは異なります」と書...捨てられない

  • インスタントラーメン

    カップヌードル美術館に行く。チキンラーメンに始まって、歴代のインスタントラーメン、カップめんのパッケージがガラス戸越しに壁のように積み上げられた様子は圧巻である。スーパーの売り場に積み上げられていても、どうってこともないのだが、こうした場所ではつい写真を撮ってしまう。「すぐおいしい、すごくおいしい」のチキンラーメン創始者安藤百福さんの生涯について、パネルが展示がしてある。こうした”経歴もの”は読み飛ばしてしまいがちなのに、今回は興味深い内容だったので、じっくり読んだ。戦後の食糧難、一杯のラーメンに行列ができているところを見て、家でも手軽に食べられるインスタントラーメンを発明しようとしたらしい。20世紀に日本初で愛されるようになったモノの一位は、インスタントラーメンなのだそうだ。(ちなみに2位はカラオケ)カ...インスタントラーメン

  • 市役所

    横浜市役所が新しくなったというので、行ってみた。移転してもう3年ほどになる。場所は港のすぐそば、地下鉄の馬車道駅直結という。役所関係の用事は地元の区役所と保健センターで事足りるので、本庁に行くのはもしかして初めてかもしれない。せっかく駅直結とうたっているのに、降りる駅を間違えてしまい、関内駅から歩くことになった。日差しが強く散歩するには暑過ぎる中、道路の表示にしたがって進む。と、ここがその建物らしい、と知ったときには、驚いた。え?これが市役所ですか!!青空を背景に、シューッと空まで延びた建物が、光を帯びて建っている。それはまるで役所というよりは超豪華ホテルのよう。観光地のど真ん中にあるために、周囲のホテルと見まがうほど。30階以上あるのだとか。低層階には、今風の商業施設なみに、しゃれたカタカナのお名前もつ...市役所

  • おせち

    郵便局やスーパー、デパートでおせちの予約が始まった。実家では、もう何年も前から手作りはおしまいにして、こうしたところで予約している。どれがいいかとパンフレットをめくっても、どれもこれも同じに見える。ここのおせちがおいしかったから今年も是非、というのがない。年始のテレビを見ながら、しゃべりながら食べるので、味に関してはうわの空なのである。3年前の正月は、コロナ真っ盛りの時期で、出来合いのおせちを分けてもらって自宅でひとりもそもそと食べた。こんなによくよく味わいながら食べたのは初めてであった。味わうと、より一層味気なく感じられた。ひとりで正月を越す経験も初めてだった。紅白歌合戦も見ずに早々に床に就いた。除夜の鐘が遠くから聞こえてきた。おせちも紅白も、なんだかんだ文句をつけながら複数人で経験してこそのものだと知...おせち

  • あっちにこっちに行ったり来たり

    両親の通院に付き添う。車を持たない我が家はタクシー頼み。いっぺんに、あそこもここもとできるだけ多くの用事を済まそうとするので、ほとんど1日がかりである。最初は脳神経内科。母は脳梗塞の後遺症以来、足元や頭がふらついたり、重かったりするのが再発の前兆でないかと日々気にしている。「頭をなるべく動かさないほうがいいんでしょうか」「頭が重いので、なるべく寝転んでいたほうがいいのでしょうか」などと、姿勢次第で再発が防げると思っている。同じ質問にも、嫌な顔をせず朗らかに聞いてくれる医師だとわたしは思うのだが、「こうしなさい」と具体的なアドバイスをもらえないのが、母としては不服らしい。「先生」と名前のつく方がたに、絶対的な権威のようなものを求めているのかもしれない。長谷川式のスケール検査では、「野菜の名前を言ってください...あっちにこっちに行ったり来たり

  • にやにやする

    電車の座席に座ってぼんやり見るともなく周りを眺めていると、スマホを見ながらにやにやしている人が目につくようになった。これまでマスクの下に隠れていた笑顔が、表に出始めたようだ。動画か、ドラマか。それともメールの文面にウケているのか。または思い出し笑いか?あまりにも楽しそうに笑っているので、つい、じいっと相手の顔を見つめていると、ふと顔をあげ、こちらと目が合ったとたん、スッと真顔に戻る。こちらの視線は感じるものらしい。ずいぶん前に、同僚数人と出張の帰りに食事をした。「見ててごらん。あの女性、絶対こっちを見るから」同僚のひとりが自信ありげにそうおっしゃる。その女性は、わたしたちとは3つほど離れたテーブルに座って、友人らしきかたたちとおしゃべりをしていた。案の定、1分もたたないうちに、彼女は、くだんの同僚のほうを...にやにやする

  • よっこらしょ

    運転手さんへの飛沫感染を防ぐためか、長らく閉鎖となっていたバスの1番前の席が解禁となった。わたしはこの席が好きである。タイヤの上にあるので、ほかの席よりも一段高く、見晴らしがよい。背の小さいわたしが上から周囲を見下ろせる数少ない機会でもある。1,2段階段をのぼらなくてはならないので、お年寄りとお子様は御遠慮ください、と表示がある場合もある。先日、この席が空いていたので座ろうと、手をかけた。と、以前は易々と腰を掛けることができたのに、どうも難儀である。体全体が重い。両手で手すりをぎゅっと握り、足を踏みしめて、体をよっこらさと押し上げて、ようやく席にたどりつくといったような……。「よじ登る」という表現がふさわしい。なんと3年半のうちに、足腰が衰えていたのだ。そのうち、「おばあちゃん、そこ、危ないから後ろに座っ...よっこらしょ

  • 本末転倒

    6月からひと月に1度の割合で行っていた蚊のモニタリング調査が終盤を迎えた。何年か前のデング熱騒動をきっかけに始まった調査で、蚊を採取して、ウイルスの有無を調べるのである。今年は猛暑の日が多く、蚊の捕獲数も少ないのではないかと思っていた。しかし、意外にも、前回の令和元年の調査時(コロナ騒ぎで3年間行われていなかったのである)よりも、格段に多く採れた。3年ぶりの調査で、蚊も油断したのか??いやいや、そうではない。蚊を捕獲するための罠(トラップ)を仕掛ける藤棚の手入れがなおざりになっており、蔓や葉は伸び放題、蚊にとって恰好の生息地になっていたのである。うっそうとした茂みは、蚊を培養するのにちょうどいい環境だったということですね。調査する側としては、大変都合のいい結果だが、考えてみるとなんだかおかしい。藤棚周辺に...本末転倒

  • ランチタイム

    先週の金曜日、かかりつけ医の診察までに時間があったので、昼食をとっていた時のことだ。コーヒーのおいしい店である。眼圧があがるためにカフェインは控えているが、たまには解禁としている。と、食べ終わったあたりで、三人の女性グループが店にはいってきた。年の頃はわたしと同じぐらいだろうか。案内されて隣の席にやってきた。とたんに、周辺の空気が彼女たちの賑やかな声でワヤワヤと動く。平日の昼間は比較的空いてはいるが、こうした年齢層のグループが多い。席に着いた彼女たち、おしゃべりを継続したままメニューをめくっていたが、そのうちのひとりが、「チーン」と卓上の呼び鈴を鳴らした。最近は、注文が決まったら呼び鈴を押してスタッフを呼ぶしくみになっている店が多い。「お決まりでしょうか」。やってきたスタッフが礼儀正しい感じで、愛想よく聞...ランチタイム

  • マスク美人

    通院している眼科医院に、女優の石田ゆり子さんに似た美人のスタッフがいる。マスク越しのお顔といい、髪型といい、雰囲気といい、ゆり子さんを彷彿とさせるものがある。眼底検査や視力検査が彼女にあたると、ほのかにうれしい。しかし残念なことに、わたしは彼女がマスクをはずしたまるごとの顔を目撃したことがない。職場では、新型コロナが5類になっても医療機関に準じるということでマスク着用が義務となっている。肩にかかった長い髪をシュッと後ろにはらう姿が粋な職員がいる。コミュニケーションの取り方もやわらかく、言動も穏やかで、グループリーダーにふさわしい女性職員である。つけまつげの恩恵か、マスクから出た目もパッチリと力がある。とある日、彼女が水を飲もうとマスクをはずした瞬間、下からあらわれたお顔がわたしの思い描いていたよりも、ニュ...マスク美人

  • ついに♪♪

    ひとりカラオケ、通称”ひとカラ”に行った。台風一過の、暑さがぶり返した土曜日。実に3年半ぶりである。開店早々11時を狙う。全く失礼な話だが、早い時間のほうが、部屋がコロナウイルスに汚染されていないような気がしたから…。そういう自分こそ、ウイルスを持参していないとも限らないのに。カウンターで手続きをする。受付表には3人ほどのお名前。久しぶりのわりには、敷居が高く感じられない。ずっと来続けていたようにすら思える。「ダムにしますか?ジョイサウンドにしますか?」という質問。ああ、そういえばこんな質問が、あった、あった、と思い出す。希望の機種を聞いているのだ。ジンジャエールを頼み、部屋番号の書いた札を渡されて部屋に向かう。401,402,403……あった、407!廊下と、そこに順番に並ぶドアの感じが懐かしい。古巣に...ついに♪♪

  • ちゃんちゃんばらばら

    課長と、部下のA氏がもめていた。A氏曰く、「これは嫌がらせではないですか!!」そう叫ばれては課長も黙ってはいられない。「話し合いましょう!」と返す。6月に異動してきて以来、A氏はことあるごとに、課長に異議を唱えてきた。そのたびにかわされたり逃げられたりして、うっぷんがたまっていたようだ。今回は服務の件だったので、急遽、副所長を巻き込んでの話し合いになった。初めは、「まあ、まあ、ふたりとも落ち着いて」などと言っていた副所長だが、急ぎの仕事を中断させられたあげく、話の展開においてけぼりになったものだから、「ちょっと!わざわざわたしを呼んだんだから、もう少しわかるように話してよ!」と机をバン!と打ち鳴らして憤り、もめごとの炎がさらに拡大するかに見えた。仕事の方針や方向性についての意見の食い違いではなく、「休暇の...ちゃんちゃんばらばら

  • 保留

    ブログの更新もしないで2週間以上がたった。デパート開店を待つ5分間はじりじりと長く感じられるのに、こういう2週間あまりはあっという間に過ぎ去る。さて、先日上司と面接があった。退職の延長をするか否かの、現段階での確認である。あれほど退職日を願っていたのに、いざ、あと半年、そしてこんなふうに決断を迫られてみると、執着心と未練がわきあがってくる。しかも、世間は65歳までの雇用促進へ舵をきっている。6年間も同じ職場にいると、さすがに事務の手順も手慣れてくる。まだまだ続けられるのではないかという気持ちもある。かと思えば、これまでだったらありえない記憶違いに遭遇して、限界を感じたりもする。結局、今のところ、なにごともなければ退職の方向で……などという、なんとも歯切れの悪いお答えとなった。彼女としては、笑顔と寛容な態度...保留

  • 三つ子の魂

    引っ越しを前提に家の中を整理していたら高校生のときの日記を見つけた。片づけ作業の最中にこういうのを見つけると、もういけない。つい読みふけり、肝心の作業が中断する。高校1年の秋。台風が接近。傘も差せないほどの雨風の中、近所に住む友人とキャーキャー言いながら帰宅する途中の話。暴風雨というのは子供にとって楽しいものだ。それだけでも盛り上がるのに、友人のビニール傘が風に煽られてビニールの部分がまるごとはがれて飛んでいってしまった。彼女の手には傘の骨組みだけが残っている―—。窒息しそうなほど笑った、と書いてある。そして翌年。雪が降った次の日の朝、坂道が凍結して、何度も転びそうになりながらわたしは駅に向かっていた。と、後ろでドサッという派手な音がする。誰かが思いっきり滑って転んだらしい。振り返るとワルイので音だけ聞い...三つ子の魂

  • 残るはあとひとつ

    「暑いですね」という挨拶以外思い浮かばない日々。保健師さんが、「暑いって感じることは生きている証拠ですよ」と電話口で話していた。そういう励まし方もあるのかと感心したが、それはちょっと違うとも思う。この暑さの最中、マスクを付けている人が意外に多いようにも感じる。”気にする人”にとって、暑さ寒さは関係ないのだ。かく言うわたしも、外出の際に靴下をはくのと同じくらい、マスクをつけるのがあたりまえの感覚になった。コロナ禍以前は、夏場にマスクをしている姿ってちょっと怪し気な印象を与えたのに。電車の中では、マスクを付けない人が両隣に座ることに抵抗感がなくなってきた。さすがに、鼻をすすっていたりすると「もしや?」と思って席を移動する、という嫌味な態度ををってしまうが。高齢者施設では、クラスターが増えてきた。しかし5類に移...残るはあとひとつ

  • 誰のための命かと思うひととき

    3連休は実家に行く。「休んだ」はずの、母の訪問リハビリが、いつの間にか再開されていた。母曰く、「やっぱり1日も行かないのもさびしいから、(ケアマネの)〇〇さんに電話して週1日だけ残してもらったの」とのこと。わたしの預かり知らないところで、ケアマネさんが振り回されたらしいのを知って、いたたまれない。口数は多いのに肝心なコミュニケーションがとれていない、意思統一が図られていないわたしの家。母は今月で86歳、父は今年で89歳になる。食事中に、知り合いや親戚の話が出ると、たいてい、「あの人も逝ってしまったわね」「もう、いないだろう」「わたしたちも、いつ何があってもおかしくないんだから、あんたも覚悟しておいてね」という展開になる。なんだかぐいぐい引っ張られる。話題の中に未来が見えない。家に戻る日は、またとない猛暑。...誰のための命かと思うひととき

  • 応援

    にしおかすみこさんの、『ポンコツ一家』を読んだ。最初に著者を見たのは、NHKのEテレだった。小花の散ったきれいなワンピースを着て楚々としたイメージのかわいらしい女性である。彼女の本業、SM芸の方は見たことがないが、知っている人はそのギャップに驚いたのではないか。番組で彼女の新著について知り、気になっていたのが、先日、書店で偶然見つけたのだ。著者であるすみこさんと、ダウン症のお姉さま、アルコール好きのお父さま、認知症のお母さまの4人家族。すみこさんが、家賃の安い家に引っ越そうと荷造りして、引っ越すばかりになっていた時、1年ぶりに実家に戻ってみたら、家の様子がただならぬ状況になっており、やむなく実家に転居することになった、というところから始まる。想定外のできごとがおきる日々の中、すみこさんの的を射た突っ込み!...応援

  • 飛び入り

    武田信玄が、神奈川県知事になった夢を見た。「あ、まだ生きてたんだ」と夢の中で思ったが、あっさり納得するあたりが、夢の夢たる所以である。夢の中では、試験の場面もあった。徳川家康と、豊臣秀吉織田信長、そして武田信玄、その4人が漫画となって登場し、どれが信玄か当てる問題である。一番明るいキャラクターを選んだら、偶然にも正解だった。知事になったのを知ったのは、そのあとの場面である。試験の夢は今でもよく見る。昨夜の夢も、せっかく友人が席をとっておいてくれたのに、どういうわけか自分ひとりだけ離れた席で、きまずい思いをしながら試験を受けた。持ち物もなぜか、鉛筆とブラウス(なぜブラウス?)しか持ってきていない……。かなり脚色されてはいるが、学生の頃、実際に自分が感じた不安感や経験が元になっていることが多い。しかし登場人物...飛び入り

  • 迎えうつ

    母が、訪問リハビリを辞めた。正確に言うと「お休み」という形だが、再開する予定はないらしい。脳梗塞は消失したが、「足が重くてひょろひょろする」という後遺症は相変わらず。しかしそうした症状を抱えたままの歩き方に本人なりに慣れたそうで、「教わった体操のしかたは身に付いたから、もういいわ」とのこと。このままリハビリを続けても、足は重いままであることに多少失望したこともあるかもしれない。なによりも、リハビリのスタッフが来る日には、朝から居間の掃除などして、彼らをお迎えする体制をつくっておくのに疲れたらしい。時間に正確に来てくれる彼らを、こちらもその時間ピッタリに、「来るぞ来るぞ」と待ち構えているのが、なんとも落ち着かないのだとか。父ひとり分だけにすれば、その負担感も半分ほどには減るのではないかということだ。確かにそ...迎えうつ

  • プチ就活

    夏休み。地元で行われた「シニア世代の就活の進め方、求人の探し方」説明会なるものに参加した。わたしと同じか、もっと若く見えるかたも参加している。圧倒的に男性が多い。定年延長や再任用制度もあるが、体力や残りの時間のことなどを考えると、負担感が大きい。年金受給年齢を引き上げる口実として、「人生100年時代」などと踊らされても、そうそう人の体力は、寿命が延びたほどには進化していないのではないか。やれやれ、引退だわさ、という時になって、もう何もする気力が残っていないというのも悲しい。年金受給開始年齢まで働くのが大筋のような雰囲気になっているので、自分の定年を決めづらい。説明会では、いまどきの就活を教わった。就活と言えば、ハローワークに行くことしか手段のなかった昔と違って、今やネット検索が主流。応募もネット上だ。ハロ...プチ就活

  • かっけえ

    自転車用のヘルメットが届いた。先日母が購入したものが工事用で、安定が悪く、自転車用としては使えない代物だったのだ。ヘルメット着用が努力義務化されたためか、ネット通販でもいろんなタイプのものが売られている。わたしが購入したのは、外見は布製の野球帽だが、中にプラスチックのヘルメットが組み込まれているものである。これなら、自転車を降りて、そのままスーパーで買い物しても違和感がなさそうだ。安全基準もクリアしていると(いちおう)うたわれている。かぶってみると、頭の大きいわたしにもまあ、あうようだ。自転車売り場で売られていて、競輪選手も着用しているような、浅い型の、シュッと先のとがった”かっけえ”ヘルメットは、どうもわたしのお多福頭に合わなそうで、こちらを選んでよかったかもしれない。まず何よりも転ばないことが大事だが...かっけえ

  • それは、いらない。

    新しいテレビを買いに行った。〇〇カメラのネット通販で売られていたものをメモして来店した。在庫確認のあと、配達日などを決める。簡単なアンケートを書いて提出したあと、「少しお待ちください」と言われて、待つこと15分、いや20分以上??全然「少し」ではない。イラッとして来たころ、ようやくやってきたスタッフは先ほどの方とは違い、どうやら携帯電話の社員らしい。アンケートのインターネット欄、「ポケットWi-Fi使用」に〇を付けたために、そこに目をつけたようだ。据え置きタイプのWi-Fiをしきりに勧め始めた。実は先日、スマホを修理に出した時にも同じものを勧められた。ともかく、ちょっとした機会を狙って、すぐに商品を売り込もうとする。スマホの修理をお願いしに来ただけなんですけど……。テレビを買いに来ただけなんですけど……。...それは、いらない。

  • それは、いらない。

    新しいテレビを買いに行った。〇〇カメラのネット通販で売られていたものをメモして来店した。在庫確認のあと、配達日などを決める。簡単なアンケートを書いて提出したあと、「少しお待ちください」と言われて、待つこと15分、いや20分以上??全然「少し」ではない。イラッとして来たころ、ようやくやってきたスタッフは先ほどの方とは違い、どうやら携帯電話の社員らしい。アンケートのインターネット欄、「ポケットWi-Fi使用」に〇を付けたために、そこに目をつけたようだ。据え置きタイプのWi-Fiをしきりに勧め始めた。実は先日、スマホを修理に出した時にも同じものを勧められた。ともかく、ちょっとした機会を狙って、すぐに商品を売り込もうとする。スマホの修理をお願いしに来ただけなんですけど……。テレビを買いに来ただけなんですけど……。...それは、いらない。

  • 救急車初乗車

    朝起きたら右の腰と脇腹に激痛がはしった。そりゃもう、イタイなんてものではなく、あまりの痛さに、目の前にチカチカ星が飛んで、脂汗が全身ににじんだ。再びベッドに横になる。痛みはひどくても意識ははっきりしているので、これからどうしよう、などと思案する。原因はわかっていた。2,3日前、壊れたテレビを修理センターに送ろうと、スーパーからもらって折りたたんだ空き箱を右脇に抱え、左手には、折りたたみ傘。風雨が強く、それに逆らうように駅から家まで歩いた。たたんで面積の広くなった段ボールで、受ける風の抵抗がより強まったと思う。その時は気が付かなかったが、吹き飛ばされまいと、相当無理な力が全身に入っていただろう。原因がわかったところで、痛みはどうしようもない。1時間ほど横たわっていたら先ほどのずきーんという衝撃的な痛みがなん...救急車初乗車

  • テレビ壊れる

    それは16型の小ぶりのもので、外付けのハードディスクに録画もできるので、重宝していた。重宝し過ぎて、台から転げ落ちること数回。きっとその時のダメージが積み重なったものと思われる。ある日突然、プレバトを見ていたら、電源が切れて、あとはウンともスンとも言わなくなった。”叩くと直る”とは冗談半分によく聞く話だが、そもそも乱暴に扱い過ぎて壊れたのだから、その可能性もない。もしかして翌日になったらご機嫌を直して復活しているかも……と思い電源をいれてみたが、やはりシーンとしたままだ。サポートディスクに電話すると、予想通り、古い型なのでもう扱っておらず(6年もたっていないのに)、買ったほうがお得ですよ、とのお返事。テレビだけなら買い替えるものの、これまでの間、録画しておいた番組が惜しまれる。そもそも修理しても初期化され...テレビ壊れる

  • 『怪物』

    映画『怪物』を観に行った。シニア料金(60歳)で鑑賞できるようになって初めての映画である。コロナ以降、レジだけでなく、オンラインやシステム入力による手続きがあっちでもこっちでも増えて、そのたびに新しいやりかたの前にオタオタとする。映画館でも、対面販売と端末操作の二本立てだったのが、もはや機械操作のみのチケット販売になっている。インフォメーションで尋ねると、「機械操作にフォローは必要ですか」と聞いてくださる。いかにも、機械音痴に見えたのだろう。(実際そうなのだが)。ここは素直にお願いして端末機のところまでついてきてもらった。操作自体は簡単で、わざわざ来てもらったことを申し訳なく思ったが、座席を選ぶときの画面が小さ過ぎてよく見えない。このあたりの、通路側の席、と指定して、教えてもらう。(やっぱり来てもらったよ...『怪物』

  • 秒読み態勢

    新型コロナが5類に移行し、全数把握から、医療機関をしぼった定点把握になった。職場にくる電話の問合せもめっきり減って、派遣看護師さんは腕の見せ所もなく気の毒なほど暇をもてあましている。定点把握になっても、医療機関数が少ない地域では、一医療機関あたりの患者数が際立って多くなってしまう。それを記者に説明するための想定問答集を作っておいてください、などというメールが来たりする。こういうところが本当にお役所仕事だな、と思う。(実際、役所なんだが)突っ込まれた時の用心のために、いつもいつもビクビクしながら言い訳、というか「説明」を考えておく。そういう事務に時間を割かれてしまうのだ。そんなこんなにに振り回されるたびに、最近では、心の中で定年までの秒読みをするようになった。ちなみに現在は「あと10か月」。実際に通勤するの...秒読み態勢

  • 言い方ひとつで

    先日、父の脳神経内科の診察につきそった。半年ぶりのMRI検査である。この検査の際には、ベルトや、ポケットの中の財布などはあらかじめ取っておかなくてはならない。わたしがなにげなく、「サスペンダーはだいじょうぶですか」とスタッフに聞くと、彼女曰く「あら、ダメです。ああ、よかった、気づいて」。しかし父本人だけが、「おれはサスペンダーなんかつけてないぞ」と言い張っている。するとくだんのスタッフが、はずしたサスペンダーを手に持って、わざわざ父の目の前に突き出すようにして、「ほら、しているじゃないですか」となんとしても父の記憶違いを正そうとする。確かに父の間違いなのだが、そんなにむきになって指摘しなくても……。親が他人に叱られるのを見るのは嫌なものである。認知機能の衰えが原因となると、腹立たしいような情けないような気...言い方ひとつで

  • 蚊のモニタリング

    コロナがインフルエンザと同じ、5類に移行したことで、いろんなことが少しずつ3年前の状態に戻り始めた。昼休みに交代で行っていた、電話器や窓口のアルコール消毒は、特に来客が多い場所だけに絞られることになりそうだ。職員同士を隔てていた飛沫防止のパネルも、今後、撤去するかどうか話し合われるようだ。(わたしとしては、そのまま置いておいてほしいと思うのだが……)運転手さんへの飛沫を防ぐためか、座ることのできなかったバスの1番前の席も、解禁となった。マスクをつけていない人を見るのにも慣れてきた。職場の業務もしかり。3年ぶりに復活したのが、「蚊のモニタリング調査」である。数年前、代々木公園でデング熱が発生してから始まった調査だが、コロナの影響でそれどころではなく、ずっと休止状態だったのである。この調査、どんなものかと言う...蚊のモニタリング

  • ちょっと違う

    連休中、実家に帰ったときのこと。「これ、どうかしら」と母がおもむろに取り出したのはヘルメット。コンパクトに折りたためるようになっている。「防災用ヘルメット」と大きく書かれている。折も折、北陸地方で震度6を超える地震があったばかりだ。タイミングよく、地震に備えて購入したのかと思いきや、彼女曰く、「自転車にどうかと思って」。4月から自転車に乗車する際は、ヘルメットの着用が努力義務になったものの、わたしが一向に買う素振りがないので、母がどこかの通販で見つけてきたらしい。小さな注意書きに目をやると「オートバイや自転車には使用しないでください」としっかり書かれている。しかしまあ、防災用でも、何もかぶらないよりはマシかもしれないと試着してみると、どうもヘルメットの深さが浅く、頭の上でぐらぐらと落ち着かない。座りの悪い...ちょっと違う

  • しみの季節

    と言っても、お肌のシミのことではありません。「紙魚」(シミ)紙や衣服を食べて生きる虫なのだそうで、今の住居に引っ越してきて初めて知った。それまで1度も見かけたこともなかった。石をどけるとダンゴムシが現れるように、冬が去り、外が春めいてくるとその姿を現す。掃除をしようとどかしたパンフレットの山の下から。あるいは、積読の本の下から。あるいはモップの動きから逃れようとして。目の前を素早い速さで横切っていく。辞書にあるとおり、その色、頭からしっぽの先まで真っ白で、銀光といってもいいほど鮮やかだ。魚に似ているのでこの名前が付いたとあるが、確かに、床の上を走っていく様は、魚がスイスイとすべっていくように滑らかである。しかし虫は虫である。掃除のたびに(たまにしかしないが)、構えてしまう。今まで見たことがなかったことを思...しみの季節

  • マスク信仰

    外ではもちろん、電車の中でもマスクをはずしている人が多くなった。職場は医療機関に準じる、ということで、強制的にマスクの着用を求められている。やってくるお客さんも、保健所だと思うからか、マスクを着用してくるかたがほとんどだ。そのせいか、未だにマスク着用が当たり前の感覚から脱することができない。夏は暑いし息苦しいが、わたしのような横着者にとっては、化粧をしなくてもいいという、かなりの「便利グッズ」にもなっている。電車の中でひとり静かにしている人は、飛沫を飛ばさないだろうから、マスクをしていなくても抵抗を感じないが、どやどやと乗り込んできておしゃべりを始める集団に限って、マスクをしていない。そうした集団が隣の席に陣取ったり、目の前に立ったりすると、せっかく確保した座席を放棄して、マスクをしている人数が比較的多い...マスク信仰

  • 「だあいじょうぶ、だあいじょうぶ」

    先日は、新しく通い始めた眼科クリニックの定期健診の日であった。視神経乳頭の陥没を指摘されてから、多少神経質になりつつ、以前よりも目をいたわりながら暮らしている。検査の結果が悪くなっていませんように、と祈る気持ちで受診する。このクリニックでは、何人かの先生が曜日ごとに交代で診察を担当している。違う先生のご意見も聞いてみたいと、その日は初めて院長先生の担当日を選んだ。「今日は混んでますので」という受付スタッフの声。やはり院長先生だからだろうか。初めてなのでどんな医師なのか緊張する。混んでいるということは、いい先生なのか。話しやすい感じだといいな……。待合室で待っていると、診察室の中からは、年配の、気さくな感じの大きな声が聞こえてくる。診察に先立って、眼圧と眼底の検査をする。検査のスタッフは以前と同じ、石田ゆり...「だあいじょうぶ、だあいじょうぶ」

  • 訪問リハを始めてみれば

    訪問リハビリが始まって2週目を迎えた。火・木の週2日。父には男性スタッフが、母には女性スタッフが、しかも曜日ごとにスタッフと時間が変わるので、苗字と顔を覚えるのが大変である。マスク越しなのでなおのこと。さらに、理学療法士と作業療法士と別々の資格をお持ちとあれば、どのかたがどっちの資格だったか、覚える気力がなくなってくる。わたしはまだ火曜日のスタッフにしか会っていないが、母曰く、火曜日は、りんごほっぺがマスクから覗いた丸顔のかわいらしいタイプで、木曜日は、テレビ体操のお姉さんのような、スッとした美人系なのだそうだ。男性の場合、”指まで太い、がっしりした体格のいい若者”、と一括りにしてしまいがちだが、その点、女性のほうが、特長をつかみやすいかもしれない。歩き方の練習や、ストレッチ、マットレスに転がった状態での...訪問リハを始めてみれば

  • 撮影係

    新年度である。4年に1度の統一地方選挙の年は、主な人事異動は6月1日付で行われる。とはいえ、定年退職や、新規採用職員の転入など小規模の異動は例年どおり、4月1日付けである。職場では、3名のかたが退職や異動で転出するため、昨日の夕方は、彼らの挨拶と花束贈呈が行われた。定年退職を迎えるAさん曰く、「知事から辞令をいただくときに、まっすぐに彼の目を見て、『わたし、一生懸命やりましたよ』と心の中で訴えかけました。40年近く、がんばってきた自分を褒めたい」と。周りを取り囲む職員一同、シーンとしながらしみじみと彼女の言葉に耳を傾けた。来年は、定年延長しない限り、わたしもあの場に立つことになる。彼女のような発言はとてもできそうもない。せいぜい、「お休みもたくさんいただきまして、いろいろご迷惑おかけいたしました」と、謝罪...撮影係

  • 娘さん

    両親の訪問リハビリ開始が来週に決まった。週2回である。せっかちの父が、ケアマネさん経由で催促すると、ちょうど医師からの指示書が届いたところだったという。ソバ屋の出前のような話だが、時期的にもそろそろだったので、タイミング的にも頃合いがよかったのかもしれない。最近はケアマネさんと、電話や面談で話すことが多くなったが、未だに慣れないのが「娘さん」という呼び名である。介護サービスの利用者である両親から見れば「娘」なのであたりまえだが、何となく面映ゆい。電話に出て開口一番、「娘さん!」と言われると、恐縮さえしたくなってしまう。どこかひとごとのようにも思える。これまでも、通院の付き添いなどでそう呼ばれることはあったが、一時的なものだった。考えてみれば、これまで、”関係性重視”の呼ばれ方をされることが少なかった。〇〇...娘さん

  • 優柔不断

    先日、加湿器を買いに行った。エアコンだけでなく、花粉のせいもあるかもしれないが、今年は、目の渇きと疲れ、しょぼしょぼ感が強いのだ。まずはA店に行く。要するに潤えばいいのだから、なるべく安価なのを買おう、とすぐに決まるような気がしていた。ところが、実際店頭に並べられたその種類の多さにとまどった。水を加熱して蒸気を出す従来型に加えて、気化型だの、超音波式だの、ハイブリッド型だのと、商品名の上に札がついており、頭上には、それぞれのタイプのメリットデメリットを書いた看板がぶらさがっている。その辺をぶらついていた店員さんを捕まえて説明を乞う。従来型は水を沸騰させるので、煮沸消毒にもなるし、周囲の温度も下げないが、電気代は格段に高い。気化型は、「洗濯物が乾くイメージ」で、あまり潤い感はない。そして超音波は、霧のように...優柔不断

  • そんなに待っていたら……

    先日の金曜日の話。ケアマネさんが、訪問看護ステーションのスタッフを伴ってやってきた。当初、リハビリに特化したデイサービスを受けるつもりだったが、父がほかの利用者さんについていくのにやっきになってしまい、性分的にも体力的にも無理があるのではないかという話になり、そこで、両親とも、マンツーマンでの訪問リハビリをお願いすることにしたのである。計画が変更になるたびに、新しいプランをたてて、あっちこっちに連絡をとってこのように時間を割いて訪問してくれるケアマネさんに本当に申し訳ない。誰のためのリハビリなのかを考えれば、遠慮したり申し訳ながったりする必要はないのかもしれないが、それでも、今度こそ成約にいたって、彼女に実りのある仕事をした、という気持ちになってほしいと思ってしまう。訪看スタッフの男性職員は、作業療法士と...そんなに待っていたら……

  • プチ・スポーツクラブ

    先日は、リハビリに特化したデイサービスの見学に出かけた。マンションの一室を借り切った小規模施設である。両親とも足の動きが心もとないので、ふたりそろって同じ施設を利用したいのだが、今、空きがあるのは、金曜日の午後のひとり分のみ。コロナが落ち着き始めたこともあって、利用者が増えてきたのだろうか。地域包括のスタッフ曰く、この界隈の高齢者率は、40パーセントを越えているというから、潜在的な利用希望者はもともと多いのかもしれない。施設に入居するのは抵抗がある世代も、在宅で過ごせる時間をできるだけ長く保とうと、このようなサービスに人気が集まるのかもしれない。見学に伺ったのは、コグニション(認知)とエクササイズ(運動)の両方を組み合わせたコグニサイズを取り入れている。小さな部屋の両脇に、数台のマシンが置かれている。わた...プチ・スポーツクラブ

  • ワイワイガヤガヤ

    通院付き添いだの介護認定だの、ここ1年の間にわたしのブログの内容が高齢化してきた。環境はオソロシイほどに代わり映えがしないのに、中身はじわじわと変化(多くは喪失に向かって)しているのだ。そんなわけで、先日23日に、介護認定の代理申請をしてくれた地域包括のスタッフが、新しく決まったケアマネさんを伴ってやってきた。はつらつと声の大きい4,50代の女性である。声が大きいというのは、おそらく、耳の遠い顧客相手に日々奮闘しているのでそうなってしまったのかもしれない。職業病とはいえないかもしれないが。いただいた名刺も、裏を返すと、思わず「デカッ」と口走ってしまうほど大きなひらがなで彼女の名前が書いてある。これも高齢者への配慮だろう。その日は、ケアマネさんに介護保険に関する代理をお願いします、という契約を結ぶのが目的で...ワイワイガヤガヤ

  • 認定がおりたものの……

    両親の介護認定の結果が届いた。父は要介護1、母が要支援2。主治医の予想どおりだ。代理申請を依頼した地域包括の担当氏に連絡すると、まずはケアマネージャーを決めて彼(または彼女)との契約を結ぶのだとか。具体的なサービスにいたるまでには道のりが遠そうだ。別々のケアマネージャーだと混乱して大変だというので、要支援の担当である地域包括所属のケアマネさんに一括して、依頼することにした。さて、認定がおりたのだから、何のサービスがあるのか、真剣にパンフレットをめくる。今までふたりでなんとかやってきたので、いざ利用するとなると、具体的に何を頼んだらよいかよくわからない。父は湯船で腰を抜かした“前歴”があるので入浴が不安だが、ひとりで入浴できているものを、訪問介護員さんに、ガラス戸越しに危険がないか見張っていてもらうだけ、と...認定がおりたものの……

  • 道案内

    母の診察に付き添う。外は冷たい雨……。のせいかどうかわからないが、タクシーがなかなか来ず、やってきたのは、見かけないお顔の若い男性の運転手さん。こちらが乗りこむや否や、「よろしくお願いします!」とずいぶん礼儀が正しい。「〇〇医院までお願いします」と言うと、少し間があく。聞けば新人さんなのだそうで、あまりこの近所のことをご存じないという。雨天のために、近くを走っている車が出払ってしまい、遠くからひっぱられてきたらしい。「これから覚えますので教えてください」とこれまたさわやかに、はきはきとおっしゃる。知らないというだけあって、腰が低く、感じもいい。とはいえ、運転手さんが道を知らない、というのもなあ、と思いつつ、そのさわやかさと謙虚さに免じて、こっちを曲がってあっちを曲がって……と覚束なく伝える。実はわたしも、...道案内

  • 日脚伸ぶ

    春は苦手と言いつつも、こうも冷える日々が続くと、暖かくなるのが心底待ち遠しい。が、日が長くなっているのは明らかで、夕方、自転車の鍵をあけようとすると、ふた月ほど前までは、真っ暗な中、数字を合わせるのに難儀したが、最近ははっきりと見えるようになった。聞くところによると、日が昇る時間が早くなるよりも、日没の時間が遅くなるのが先なのだそうだ。1年以上通い続けた句会の開催が、土曜日から木曜日にうつったことで、ほとんど参加できなくなった。休会しようかな、と迷っていたところ、世話役の女性が、次回のお題は「日脚伸ぶ」に決まりました、とメールをくださった。まさに今どきにふさわしいお題である。休会の意向が揺らぐ。宿題が出るたびに、歳時記をひっくり返し、ああでもない、こうでもない、と言葉をひねくり回し、なんとなく5.7.5に...日脚伸ぶ

  • 視野検査

    本日、30日。視野検査を受ける。初めてである。ここに至る経緯についは、あまりにも悲壮感きわまるものがあり、検査の結果が、とりあえず”シロ”であったために、やっとこのように書こうという気になったのである。事の起こりは1月23日の、職場指定の健康診断。眼科検診をうけようとすると、スタッフ曰く「視神経乳頭陥没、とありますが大丈夫ですか」。は?カンボツ!初耳である。道路が割れてぱっくり開いた大きな穴を連想させる。前回2回の検査時に、この所見が小さく記載されていたのに、わたしは気づかなかったのである。ここが陥没していると、緑内障の可能性が高まるらしい。強度の近視でもあるし、父が重度の緑内障である。遺伝的要素も大きい病気と聞いていたので、さあ、もうこれば大変とばかりに、健康診断が終わるや否や、眼科に走った。いつもの眼...視野検査

  • 付き添い、再び

    父の通院に、母とともに付き添う。脳神経外科→眼科→皮膚科、最後に床屋、とフルコースである。車を持たない実家では、足の覚束ない状況となった今、タクシーが唯一の「足」である。そのために、一度にできるだけ多くの用事を済ませたいのである。地肌の上に毛がまばらにポヤポヤと植わっているといった程度なのに、わざわざ床屋に行く必要があるのかいつも疑問に思う。はたからどう見えるかを気にするたちの父が臆することなく床屋に行くのが不思議だが、気にするからこそ、残りわずかな毛だけでも綺麗に整えておきたいのかもしれない。綾小路きみまろさんが漫談の中で、カツラ頭に対するコンプレックスを逆手にとって笑いをとろうとするのも、男性にとって髪の毛へのこだわりは、有るか無いかの極端に関わるだけに、大きいのかもしれない。さて、最初の脳神経外科は...付き添い、再び

  • 笑えない話

    介護認定のための認定調査の日がやってきた。本人の前で言いづらいことは、調査員にメモを渡せばいいということだったが、あれもこれもと書いているうちに、メモの範囲を超えて、父母ふたり分合わせてちょっとした作文ほどの分量になった。あれもできない、これもできない、こんなことも困っている、と親のアラを探しているような罪悪感と、親の上に初めて立ったような優越感に似た気持ちが湧き上がる。調査にやってきたのは、山登りでもするような大きなリュックを背負い、分厚いダウンコートに身を包んだ体格のいい男性である。挨拶をひととおり終えると、わたしの作文もどきメモにまずは目を通してもらう。父の症状に、”重度の難聴で”などと書いてあったので、まずは今回の調査中、話しかけるときの声の大きさの調整をする。難聴とはいえ、母の雑談のごとき繰り言...笑えない話

  • ベテランの凄み

    中島みゆきさんの『劇場版ライヴ・ヒストリー』を映画館に観に行く。これまでのコンサートから15曲をチョイスして、スクリーン上に再現したものである。実際のライヴだと、2階や3階の遠い席しかとれず、双眼鏡越しにやっと表情が見えるか見えないか、といった具合でかなりもの足りない思いをするが、映像なら、(ライブではないにせよ)、彼女の表情や動き、衣装だけでなく、演奏に関わる方ひとりひとりの演奏っぷりまで目の前に見ることができる。すでに知っている曲ならそれはそれで懐かしく、初めて出会う曲なら、ああ、こういうのもあったんだ、と1曲1曲がとても興味深いものだった。と同時に、すすむにつれて、せつないような、痛々しいような気持にもなってくる。これまでのライヴを年代順に映しているので、徐々に、彼女がお年をめしていくのが、手に取る...ベテランの凄み

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