ゆらゆらとゆれる様を、ずっと眺めていた。なんて表現してよいのか、”癒し”という言葉では物足らない気がした。 藤の花で覆われているのではなく、御座のようなものが掛けられた、格子状になった棚の下で、木漏れ日を浴びていた。仰向けになって眺めていると、そこには、ゆらゆらと揺れる水面がうつっていた。 改札口を出て、右に出た。確かこちら側だったはずだ。角を曲がると、急な上り坂が現れ、こちらで間違いないと確信した。 見覚えのある建物の前に到着したのは、営業時間の五分前だ。誰もが一番乗りだと思っていた瞬間、すぅっと一人の男性が私達を横切って入口に向かった。二番目だね、なんて言いながら男性のあとに続くと、中には…