名誉客演指揮者の大友直人を迎えてバルトークとエルガーの不思議な組み合わせのマチネーだ。音楽的には何ら共通点はない二曲だが、今回はそれぞれがとても良い演奏だった。まずはバルトークのピアノ協奏曲第2番Sz.95だが、この演奏の成功は何よりもピアノ独奏のフセイン・セルメットの技量と音楽性に資するものだったと言って良いだろう。それは打楽器のような強靭な打鍵からからとろけるようなロマンティックな響まで、それはもうピアノを操ってあらゆることが可能だと思わせる程の見事さだった。東響もそれに呼応し濃厚にしてエネルギッシュな好演。とりわけティンパニとトランペットのアクセントに胸が高鳴った。割れるような盛大な拍手にアンコールはうって変わってショパンの練習曲作品25-7で、セルメットはバルトークとは正反対の静謐な世界をも見事に...東響オペラシティシリーズ第140回(7月7日)