元広島カープの鈴木誠也外野手が、ナショナル・リーグ(NL)中地区の人気球団シカゴ・カブスと5年総額8500万ドル(日本円で約104億円)で契約したというニュースが流れた時、意外にも米メディアの反応にあまり「驚き」は見られなかった。
「レベルアップするための段階の中にメジャー挑戦があり、その段階に僕自身が来たと思った。しっかり覚悟を持ってやっていきたい」
鈴木がそう話して、ポスティング制度によるメジャー移籍の意思を発表したのは、昨年11月のこと。その直後、当時「右打ちの外野手」が補強ポイントとなっていたレッドソックスの地元紙が、広島で鈴木の同僚だった救援のライアン・ブレイザー投手のこんなコメントを載せている。
「誠也について話し合っているのを聞いた時、『彼は本当に、本当にいい選手だ』って思ったものさ。彼がレッドソックスの一員になるなら何の問題もない。チームで最高の打者だったのだから、間違いないんだよ」
複数球団から高評価を得ていた鈴木誠也
北米大陸の反対側に位置するジャイアンツの地元サンフランシスコのメディアも、こんな風に「鈴木獲得」を進言していた。
「彼はリードオフもできるし、3番や4番を打たせたり、6番に置いて打順を下まで安定させたりもできる。ボール球に手を出さないし、過去にやってきた日本プロ野球の打者たちが苦戦したのと一緒にしない方がいい。日本で最高の打者の中でも、彼の(打席での)アプローチや規律は際立っている」
MLBの「超一流選手」に名を連ねて評価
さらにMLB所有のケーブル・テレビ局であるMLBネットワークでは、より具体的に鈴木を評価していた。
「セイヤ・スズキは今オフの外野手のFA市場において、ニック・カステヤノス(前レッズ)やカイル・シュワバー(前レッドソックス)を筆頭とするFA外野手の(注目選手)リストに名を連ねている」
昨季レッズで秋山翔吾外野手のチームメイトだったカステヤノスは、鈴木と同じ右打者で首位打者争いをしながらも長打力もある実力派。カブス時代、ダルビッシュ有投手の同僚だった左打者のシュワバーは、最近のMLBの傾向に沿った「打率は低いが、出塁率と長打率は高い」タイプのスラッガーで、2人ともMLBを代表する“超一流外野手”だ。
カステヤノスは後に5年1億ドル(約123億円)、シュワバーは4年7900万ドル(約97億円)でそれぞれフィリーズと契約しており、鈴木の5年8500万ドルはそれに準じた高額契約と言えるだろう。