ある日、都内の企業に務めるTさん(51歳・男性)のスマホが鳴った。電話の主は救急隊員で、ひとり暮らしをしている父親(81歳)がラブホテルで倒れたという。老いた父親がなぜそんな場所に? 一体誰と? Tさんたちは大いに動揺しつつ、入院の手続きなどに奔走した。

 そして迎えた退院日。父親が入院費をクレジットカードで支払おうとしたところ、使えないことが判明。一体なぜ――?(全2回の2回目/最初から読む

※写真はイメージです ©iStock.com

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 退院後、しばらくはマンションに併設されている介護施設へ一時入居することになった。ラブホテルで転んで入院、とはとんでもない父親だが、いろいろ整っているマンションへ入居できるだけの資産と年金を持っていたことだけはありがたい。

 だが、ケアマネジャーからの定期連絡によると、女性職員に対して卑猥な言葉を投げかけたり、性器を見せつけようとしたりするのは続いているということで、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 数日後の週末、姉と一緒に施設を訪ねた。様子を見に行くことに加え、カードが使えない理由と、もし限度額いっぱい使ってしまったのだとしたら何に使ったのかを知るためである。

 なにぶんカードの使用履歴などは個人情報なので、カード会社に電話しても教えてはくれない。いったん父親に電話を替わり、生年月日を言わせて本人確認を済ませたのち、息子と話をすることを本人が了承して初めてオペレーターと話せるわけだ。

利用額63万円の内訳

 ようやく繋がって事情を説明すると、限度額を使い切ったのではなく、

「先月のご利用額63万円が、指定口座の残高不足で引き落とせなかったので利用停止になっています」

 とのこと。高価な品を通販で買った形跡もないし、一体何に使ったのか。

 父親に「63万円も一体何に使ったのか」と聞くと、

「それはですね、デリバリーヘルスです」

 と、悪びれもせず答える。

「デリヘルは現金払いでしょ? カードで何を買ってるの?」