能登半島地震から1か月以上経ち、新聞各紙には検証記事も載り始めた。今回紹介したいのは石川県の地元紙・北國新聞である。

 まず北國新聞には「平時」から注目していた。新聞好きな私はかなり前から「北國新聞に注目してごらん」といろんな方に教えてもらっていたからだ。森喜朗(石川県出身)と近く、権力者との一体感があるからだという。森喜朗のバックアップを受けた馳浩知事にも就任以降やさしかった。

馳浩石川県知事 ©文藝春秋

 しかし、そんな北國新聞に今「異変」が起きている。能登半島地震をめぐっての検証記事で馳浩知事に対して厳しいことを書き始めているのだ。

ADVERTISEMENT

 まず1月22日の『初動を検証する』(「1・1大震災 日本海側からのSOS」第2章(13))。

 見出しで『揺れを共有していない知事』『怖さ語れぬ県民の代表』と書いてきた。

《元日の午後4時10分、「あの揺れ」を馳浩知事は少しも体験していない。休暇で東京の自宅にいたからだ。》(北國新聞)

専門家が問題視したこと

 このあと、震災の揺れを被災者と「共有」していない馳知事はどう被災地に寄り添い、震災対応の指揮を執ってきたのかと続く。翌日の記事では阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」のセンター長を務める河田惠昭氏に話を聞いている。河田氏は馳知事が元日の発災時に都内の自宅にいたことについて「今回は仕方なかった」と一定の理解を示したあと、むしろ別のことを問題視した。

 それは石川県の「丸投げ」感だ(1月24日)。石川県が国に提出した能登半島地震の被災地支援に関する要望書を見ると、熊本地震の際に熊本県が提出した要望書に比べ、石川県には能動的な姿勢が見えないという。流れに任せたままで、県民(被災者)にビジョンを示すべきだと河田氏は語る。