現職の小池百合子都知事(71)が、前参院議員の蓮舫氏(56)らをリードする展開の東京都知事選(7月7日投開票)。2期8年に及ぶ小池都政の在り方が問われる中、「週刊文春」は、部署別の超過勤務状況を取りまとめた内部文書を入手した。小池氏は2016年の都知事選で「残業ゼロ」などの公約を掲げていたが、文書からは都庁職員の残業時間が労働基準法で定められた上限を超えていることが窺え、波紋を呼びそうだ。

3選が濃厚になってきた小池氏 ©時事通信社

総務局人事部職員支援課長が各局長らに宛てた文書

 3選を狙う小池氏が2016年の都知事選で掲げた公約が、「7つのゼロ」だった。「待機児童」など7項目のゼロを目指すとしたが、実際にゼロを達成したのは、「ペット殺処分」のみ。「残業」については、都職員1人あたりの平均残業時間は13.5時間(2015年度)から、16.8時間(2022年度)へと逆に増加している。

 今回、「週刊文春」が入手したのは、総務局人事部職員支援課長が2024年2月7日付で、各局(室・本部)長らに宛てた〈超過勤務命令の上限時間の遵守及び長時間労働面接の確実な実施について(通知)〉と題された文書など。〈近年、全庁の超過勤務時間数は高止まりの傾向にあり、令和5年度においてもその傾向は継続しています〉とし、各局長らに超過勤務命令の上限時間の遵守を求めている。

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上位に並ぶのは新設された知事肝煎りの部署

 さらに、職員らの厳しい労働環境を如実に示すのが、〈部別超過勤務状況(令和5年11月実績)〉と題された文書だ。職員1人あたりの超過勤務時間数の多い部署から順番に並べられており、1位は、財務局主計部の102.2時間、2位は教育庁グローバル人材育成部の89.5時間、3位はデジタルサービス局総務部の72.6時間、4位はスタートアップ・国際金融都市戦略室の54.8時間、5位は中央卸売市場管理部の48.4時間と続く。労働基準法では、時間外労働の上限は原則として⽉45時間と定められているが、11の部署が45時間を上回っていた。

部署別の超過勤務ランキング

「小池都政で新設された肝煎りの部署が上位に並んでいます。労働基準法を遵守できていない部署も多く、幹部らは小池氏と深く関わる部署に『異動したくない』と言っている。知事の思い付きでいつどんな指示が来るかわからないからです。特に知事と近い政策企画局では、数十人が昨年度末に退職したといいます」(都庁元幹部)